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ひとり親家庭の学び直しを強力サポート!高等学校卒業程度認定試験合格支援事業とは?
「キャリアアップのために高卒資格がほしい」「より良い条件で働くために学び直したい」と考えている、ひとり親家庭の親御さんやお子さんを経済的に支援する、非常に心強い制度が「高等学校卒業程度認定試験合格支援事業」です。この制度は、ひとり親家庭の方々が高等学校卒業程度認定試験(高卒認定)に合格するための講座受講費用を国と自治体が補助するものです。経済的な理由で学び直しを諦めていた方にとって、まさに希望の光となる制度と言えるでしょう。この記事では、制度の概要から具体的な支給額、申請方法、そして採択されるためのポイントまで、どこよりも詳しく、そして分かりやすく解説します。あなたの新しい一歩を、この制度が力強く後押ししてくれるはずです。
この制度のポイント
- ひとり親家庭の親または子が対象
- 高卒認定試験の講座受講費用を補助
- 支給額は最大50万円(自治体により異なる)
- 受講開始時・修了時・合格時の3段階で給付されるため安心
- 通信講座も対象になる
助成金の概要
まずは、この制度がどのようなものなのか、全体像を掴んでいきましょう。
正式名称と実施組織
- 正式名称: 高等学校卒業程度認定試験合格支援事業
- 実施組織: こども家庭庁、および各都道府県・市・福祉事務所設置町村
この事業は国の制度ですが、実際の窓口や申請手続きは、お住まいの市区町村など、地方自治体が行います。そのため、自治体によって支給額や細かな要件が異なる場合がある点に注意が必要です。
目的・背景
この制度の目的は、ひとり親家庭の親または子の「学び直し」を支援し、より良い条件での就職や転職につなげることで、経済的な自立を促進することです。中卒や高校中退の経歴がキャリアの選択肢を狭めてしまうケースは少なくありません。高卒認定資格を取得することで、正規雇用への道が開けたり、さらなる資格取得への足がかりになったりと、将来の可能性を大きく広げることができます。
助成金額・補助率|自治体による違いを徹底比較
この制度の最も重要なポイントは、支給される金額です。支給は「受講開始時」「受講修了時」「合格時」の3段階に分かれており、学習の進捗に合わせて受け取れるのが特徴です。ただし、前述の通り、支給額は自治体によって大きく異なります。ここでは国の基準と、いくつかの自治体の例を比較してみましょう。
【重要】以下の表はあくまで一例です。申請を検討される方は、必ずご自身がお住まいの自治体の担当窓口で最新の情報を確認してください。
| 自治体 | 給付の種類 | 支給額(通信制の上限) | 支給額(通学制の上限) |
|---|---|---|---|
| 国の基準例 | 受講開始時給付金 | 受講費用の4割(上限10万円) | 受講費用の4割(上限20万円) |
| 受講修了時給付金 | 合計で5割(上限12.5万円) | 合計で5割(上限25万円) | |
| 合格時給付金 | 合計で6割(上限15万円) | 合計で6割(上限30万円) | |
| 大阪市の例 | 受講開始時給付金 | 受講費用の80%(上限20万円) | 受講費用の80%(上限40万円) |
| 受講修了時給付金 | 合計で90%(上限22.5万円) | 合計で90%(上限45万円) | |
| 合格時給付金 | 合計で100%(上限25万円) | 合計で100%(上限50万円) | |
| 京都市・さいたま市の例 | 受講開始時給付金 | 受講費用の4割(上限10万円) | 受講費用の4割(上限20万円) |
| 受講修了時給付金 | 合計で5割(上限12.5万円) | 合計で5割(上限25万円) | |
| 合格時給付金 | 合計で6割(上限15万円) | 合計で6割(上限30万円) |
このように、大阪市では国の基準を大幅に上回る手厚い支援が用意されています。一方で、国の基準に準拠している自治体も多くあります。また、制度自体を実施していない自治体もあるため、最初のステップとして、お住まいの自治体での実施状況と内容を確認することが不可欠です。
対象者・条件
この制度を利用できるのは、以下のすべての要件を満たす方です。
対象となる方
- お住まいの自治体に居住する、20歳未満の子を養育しているひとり親家庭の親、またはその子(児童)。
- 大学入学資格を取得していないこと。(高校卒業者、高卒認定試験合格者などは対象外)
- 「母子・父子自立支援プログラム」の策定など、自治体の就業支援を受けていること。
- 就業経験や労働市場の状況から判断して、高卒認定試験に合格することが、より良い条件での就職(適職)に就くために必要であると認められること。
- 過去にこの給付金(他の自治体での受給も含む)を受給していないこと。
具体的にはこんな方が対象です
- 例1:高校を中退し、現在は非正規で働いているシングルマザー。正社員を目指すために高卒認定資格が必要だと考えている。
- 例2:ひとり親家庭で育ち、経済的な理由で高校進学を諦めた18歳の子供。専門学校への進学を目指しており、そのために高卒認定資格を取得したい。
- 例3:中学卒業後、ずっと家業を手伝ってきたシングルファザー。転職を考えているが、応募できる求人が限られるため、高卒認定資格を取得して選択肢を広げたい。
「母子・父子自立支援プログラム」とは、ひとり親家庭の自立を目標に、個々の状況に応じた支援プランを自治体の相談員(母子・父子自立支援員など)と一緒に作成するものです。このプログラムの策定が給付の前提条件となるため、まずは自治体の相談窓口へ行くことが第一歩となります。
補助対象経費
補助の対象となるのは、どのような費用なのでしょうか。
対象となる経費
- 高卒認定試験の合格を目指す講座(予備校、通信講座など)の受講のために支払った費用。
- 具体的には、入学金や受講料(授業料、教材費含む)が対象となります。
対象とならない経費
- 高卒認定試験の受験料そのもの。
- 補講費や、受講施設が実施する各種行事への参加費など。
- 高等学校等就学支援金制度の支給対象となる講座の費用。
どの費用が対象になるか不明な場合は、講座の申し込み前に自治体の担当者に確認することをおすすめします。
申請方法・手順
給付金を受け取るまでの流れは、いくつかのステップに分かれています。特に講座の受講を開始する前の事前相談と申請が必須である点に注意してください。勝手に講座を申し込んでしまうと、給付金が受け取れなくなる可能性があります。
【最重要】必ず受講開始前に手続きを!
原則として、受講料を支払ったり、受講を開始したりした後に申請しても、給付金は支給されません。まずは窓口相談から始めましょう。
ステップ・バイ・ステップ申請ガイド
- ステップ1:事前相談
お住まいの市区町村のひとり親家庭支援担当窓口(福祉事務所、子育て支援課など)へ連絡し、相談の予約をします。ここで、母子・父子自立支援員と面談し、「母子・父子自立支援プログラム」を策定します。高卒認定の取得が自立に必要かどうかなどを一緒に確認します。 - ステップ2:受講対象講座の指定申請
受講したい講座が決まったら、その講座が給付金の対象となるかどうかの「指定」を受けるための申請を行います。講座のパンフレットなどを持参して、受講開始のおおむね1ヶ月前までに行うのが一般的です。 - ステップ3:講座の申し込み・受講開始
自治体から「対象講座指定通知書」が届いたら、正式に講座へ申し込み、受講料を支払います。そして、受講を開始します。 - ステップ4:受講開始時給付金の申請
受講を開始したら、受講開始日から30日以内に「受講開始時給付金」の支給申請を行います。領収書や受講開始を証明する書類が必要です。 - ステップ5:受講修了時給付金の申請
講座のカリキュラムをすべて修了したら、修了日から30日以内に「受講修了時給付金」の支給申請を行います。修了証明書が必要です。 - ステップ6:合格時給付金の申請
見事、高卒認定試験の全科目に合格したら、合格証書に記載の日から40日以内(受講修了日から2年以内の合格が条件)に「合格時給付金」の支給申請を行います。合格証書の写しが必要です。
必要書類リスト(一般的な例)
申請段階ごとに必要な書類は異なりますが、主に以下のようなものが必要になります。自治体によって異なるため、必ず事前に確認してください。
- 申請書(各自治体の窓口で配布)
- 本人確認書類(マイナンバーカード、運転免許証など)
- ひとり親家庭であることを証明する書類(児童扶養手当証書の写し、戸籍謄本など)
- 世帯全員の住民票の写し
- 受講したい講座のパンフレットや案内書
- 受講料の領収書
- 受講開始証明書、修了証明書(講座提供機関が発行)
- 高卒認定試験の合格証書の写し
採択のポイント
この事業は、要件を満たしていれば基本的に支給される「給付金」です。競争率の高い補助金とは異なり、審査で落とされるというよりは、手続き上の不備で支給されないケースがほとんどです。以下のポイントをしっかり押さえましょう。
- 何よりも事前相談が重要: すべては自治体の窓口への相談から始まります。自己判断で進めず、まずは専門の相談員に話を聞いてもらいましょう。
- 申請期限の厳守: 「受講開始後30日以内」「修了後30日以内」など、各給付金には厳格な申請期限が設けられています。1日でも過ぎると受け付けてもらえない可能性が高いので、スケジュール管理を徹底しましょう。
- 書類の不備をなくす: 必要な書類は事前にリストアップし、漏れや記入ミスがないか何度も確認しましょう。不明な点はすぐに担当窓口に問い合わせることが大切です。
- 自立への意欲を伝える: 事前相談の際には、なぜ高卒認定資格が必要なのか、資格取得後にどのようなキャリアプランを描いているのかを具体的に伝えることが重要です。あなたの熱意が、円滑な手続きにつながります。
よくある質問(FAQ)
- Q1. どこに問い合わせればいいですか?
- A1. お住まいの市区町村の、ひとり親家庭支援を担当している部署(例:子育て支援課、こども家庭課、福祉事務所など)にお問い合わせください。まずは電話で「高卒認定試験合格支援事業について聞きたい」と伝えるとスムーズです。
- Q2. 児童扶養手当を受給していないと対象外になりますか?
- A2. 児童扶養手当の受給は必須要件ではありません。ただし、ひとり親家庭であることを証明するために、戸籍謄本など別の書類が必要になります。詳しくは自治体にご確認ください。
- Q3. 途中で講座をやめてしまった場合、給付金は返還する必要がありますか?
- A3. すでに受け取った「受講開始時給付金」の返還を求められる場合があります。また、当然ながら「受講修了時給付金」や「合格時給付金」は支給されません。やむを得ない事情がある場合は、速やかに自治体の担当者に相談してください。
- Q4. 仕事をしながらでも利用できますか?
- A4. はい、利用できます。むしろ、より良い条件での就業や転職を目指す、働いている方のための制度です。通信講座など、働きながらでも学びやすい講座も対象になります。
- Q5. 2科目だけ不合格でした。来年再受験する場合も対象になりますか?
- A5. 「合格時給付金」は、受講修了日から2年以内に「全科目」に合格した場合に支給されます。期間内であれば、複数回に分けて受験して全科目合格を目指すことも可能です。ただし、追加で受講する講座の費用が対象になるかは自治体の判断によりますので、事前に相談が必要です。
まとめ・次の一歩へ
「高等学校卒業程度認定試験合格支援事業」は、ひとり親家庭の皆さんが未来への扉を開くための、非常に価値ある制度です。経済的な負担を大幅に軽減し、学び直しへの挑戦を力強くサポートしてくれます。
重要ポイントの再確認
- 対象はひとり親家庭の親または子。
- 支給額や要件は自治体によって異なるため、必ずお住まいの自治体への確認が必要。
- 講座の申し込み前に事前相談と講座指定申請が必須。
- 申請には期限があるため、スケジュール管理が重要。
この記事を読んで少しでも興味を持たれたなら、ぜひ勇気を出して、お住まいの市区町村の窓口に電話をしてみてください。それが、あなたの新しいキャリアと未来を切り拓くための、大きな、そして確実な第一歩となるはずです。