群馬県みなかみ町で農業を営む認定農業者、そしてこれから農業を担う認定新規就農者の皆様へ朗報です。農業経営の安定化と発展を力強く後押しするため、みなかみ町では新たに「認定農業者営農支援事業補助金」を創設しました。この制度は、トラクターやコンバインといった高額な農業用機械の購入や、ビニールハウスなどの施設整備にかかる費用の一部を最大30万円まで補助するものです。経営規模の拡大や作業効率の向上を目指す方にとって、非常に価値のある支援策と言えるでしょう。この記事では、補助金の詳細な内容から、対象者の条件、申請の具体的な手順、そして採択されるためのポイントまで、どこよりも詳しく、そして分かりやすく解説します。2025年度の申請に向けて、今から準備を始めましょう。

この補助金のポイント

  • みなかみ町の認定農業者・認定新規就農者が対象
  • 農業用機械の購入や施設整備に最大30万円を補助
  • 補助率は対象経費の10分の3
  • 中古品(耐用年数2年以上)も対象になるのが大きな魅力
  • 申請期間は年2回(5月・10月)、計画的な活用が可能

① みなかみ町認定農業者営農支援事業補助金の概要

まずは、この補助金がどのような制度なのか、全体像を把握しましょう。基本的な情報を表にまとめました。

項目 内容
正式名称 みなかみ町認定農業者営農支援事業補助金
実施組織 群馬県みなかみ町
目的・背景 町内の認定農業者および認定新規就農者の育成・確保、並びに農業経営の改善・安定化を図ることを目的としています。
対象者 みなかみ町に在住する認定農業者および認定新規就農者(個人・法人)
問い合わせ先 みなかみ町役場 農林課 農政係

この補助金は、町の農業を支える中核的な担い手である認定農業者と、未来の農業を担う新規就農者を直接的に支援するために新設された制度です。農業経営には機械や設備の更新が不可欠ですが、その初期投資は大きな負担となります。本制度を活用することで、その負担を軽減し、より積極的な経営改善に取り組むことが可能になります。

② 補助金額・補助率について

補助金の活用を検討する上で最も重要なのが、いくら補助されるのかという点です。補助金額と補助率の詳細は以下の通りです。

補助率と上限額

  • 補助率:補助対象事業にかかる費用(消費税を除く)の10分の3
  • 上限額:30万円

具体的な計算例

実際にどのくらいの補助が受けられるのか、具体例を見てみましょう。

【ケース1】税抜150万円のトラクターを購入する場合
計算式:1,500,000円 × 3/10 = 450,000円
→ 上限額が30万円のため、補助金額は30万円となります。

【ケース2】税抜80万円の運搬車(中古)を購入する場合
計算式:800,000円 × 3/10 = 240,000円
→ 上限額の範囲内なので、補助金額は24万円となります。

【ケース3】税抜25万円の草刈機を購入する場合
→ 補助対象事業費が30万円未満のため、補助対象外となります。

ポイントは、補助対象となる事業費が税抜で30万円以上である必要がある点です。購入を検討している機械や設備の価格を事前に確認しておきましょう。

③ 対象者・条件の詳細

この補助金を利用するためには、いくつかの要件を満たす必要があります。ご自身が対象となるか、以下のチェックリストで確認してください。

  • みなかみ町に住所があるか?
    個人の場合は町内に住所を有し、法人の場合は町内に主たる事業所を置いていることが必須です。
  • 認定農業者または認定新規就農者ですか?
    いずれかの認定を受けていることが条件です。
    • 認定農業者:農業経営改善計画の達成が見込まれること。
    • 認定新規就農者:青年等就農計画の達成が見込まれること。
  • 町税等に滞納はないか?
    住民税や固定資産税など、みなかみ町に納めるべき税金等に未納がないことが求められます。

これらの要件は申請時の大前提となります。特に、認定計画との整合性は審査で重要視されるポイントですので、導入する機械や設備がご自身の計画達成にどう貢献するのかを明確に説明できるようにしておくことが大切です。

④ 補助対象となる経費

どのような費用が補助の対象になるのか、具体的に見ていきましょう。対象となるのは、以下の3つの事業で、かつ事業費が税抜30万円以上のものです。

対象経費リスト

  • 農業用機械の購入
    例:トラクター、コンバイン、田植機、管理機、運搬車、ドローンなど、農業経営に直接使用する機械。
  • 農業用施設の整備
    例:ビニールハウス、育苗施設、農産物貯蔵庫、堆肥舎などの新設や改修。
  • 農業用設備の導入
    例:選果機、乾燥機、灌水設備、自動環境制御システムなど、施設内に設置する設備。

【重要】中古品に関する注意点
この補助金では中古品の購入も対象となりますが、「残存する耐用年数が2年以上あるもの」に限られます。購入時には、販売業者から耐用年数を証明する書類などを取得しておく必要がありますのでご注意ください。

対象外となる経費

  • 消費税および地方消費税
  • 事業費が税抜30万円未満の事業
  • 汎用性が高く、農業経営以外にも使用できるもの(例:一般的なパソコン、乗用車など)
  • 土地の取得費用
  • 申請前に購入・契約済みのもの

⑤ 申請方法とスケジュール

補助金を受け取るためには、定められた期間内に、正しい手順で申請を行う必要があります。ここでは申請期間と具体的な流れを解説します。

2025年度(令和7年度)申請期間

申請のチャンスは年に2回設けられています。期限厳守ですので、カレンダーに登録するなどして忘れないようにしましょう。

募集回 申請期間
1次募集 令和7年5月12日(月)から 5月30日(金)まで
2次募集 令和7年10月1日(水)から 10月21日(火)まで

申請から補助金受給までのステップ

補助金は以下の流れで手続きが進みます。特に「交付決定通知」を受け取る前に事業を開始(契約・購入)しないように注意してください。

  1. 事前相談:まずは農林課農政係に補助金の活用について相談しましょう。
  2. 書類準備:申請に必要な書類を揃えます。見積書は複数の業者から取ることをお勧めします。
  3. 申請:申請期間内に、農林課農政係へ必要書類を提出します。
  4. 審査・交付決定:町で申請内容の審査が行われ、採択されると「交付決定通知書」が届きます。
  5. 事業の実施:交付決定通知書を受け取った後、機械の購入や施設の整備に着手します。
  6. 実績報告:事業が完了したら、速やかに「事業実績報告書」や領収書などを提出します。
  7. 補助金額の確定・請求:実績報告の内容が確認され、補助金額が確定します。その後、「請求書」を提出します。
  8. 補助金の交付:指定した口座に補助金が振り込まれます。

必要書類一覧

申請時には主に以下の書類が必要です。様式はみなかみ町の公式サイトからダウンロードできます。不備がないように、提出前に何度も確認しましょう。

  • みなかみ町認定農業者営農支援事業補助金交付申請書(様式第1号)
  • 事業計画書(導入する機械等が経営改善にどう繋がるかを記載)
  • 補助対象事業にかかる費用の見積書の写し
  • 町税等の滞納がないことを証明する書類(納税証明書など)
  • 【中古品の場合】残存耐用年数が2年以上あることを証明できる書類
  • その他、町長が必要と認める書類

⑥ 採択されるためのポイント

この補助金は「予算の範囲内で」とされているため、申請内容によっては採択されない可能性もあります。審査を通過しやすくなるためのポイントをいくつかご紹介します。

ポイント1:事業計画の具体性

なぜその機械が必要なのか、導入することで「作業時間が〇時間短縮できる」「収穫量が〇%増加する」など、具体的・数値的な効果を示しましょう。ご自身の「農業経営改善計画」や「青年等就農計画」と関連付けて説明することが非常に重要です。

ポイント2:費用の妥当性

見積書は、可能であれば複数の業者から取得(相見積もり)し、価格の妥当性を示すことが望ましいです。特定の業者から不当に高額な見積もりを取っていないことをアピールできます。

ポイント3:書類の完璧さ

記入漏れや添付書類の不足は、審査の対象外となる最も基本的な不採択理由です。提出前には、担当窓口である農林課農政係に事前確認をしてもらうなど、万全の状態で提出しましょう。

よくある不採択理由
・申請期間を過ぎていた
・対象者の要件を満たしていなかった(町税の滞納など)
・交付決定前に機械を購入してしまった
・事業計画の内容が曖昧で、必要性が伝わらなかった

⑦ よくある質問(FAQ)

Q1. 中古の農業機械も対象になりますか?
A1. はい、対象になります。ただし、残存する耐用年数が2年以上あるものに限られます。購入時に販売店から証明できる書類をもらうようにしてください。
Q2. 申請すれば必ず補助金はもらえますか?
A2. いいえ、必ずもらえるわけではありません。申請内容の審査がありますし、町の予算の範囲内での交付となります。そのため、申請者が多い場合は、事業の必要性や効果が高いと判断されたものから優先的に採択される可能性があります。
Q3. 複数の機械を合算して30万円以上になれば対象ですか?
A3. 一つの事業として一体的に導入するものであれば対象となる可能性がありますが、個別の判断となるため、必ず事前に農林課農政係へお問い合わせください。
Q4. 法人として農業を営んでいますが、対象になりますか?
A4. はい、対象になります。みなかみ町内に主たる事業所を置く法人であり、認定農業者または認定新規就農者の認定を受けていれば申請可能です。
Q5. 補助金はいつもらえますか?
A5. 補助金は、事業完了後の実績報告と検査を経て、金額が確定した後に請求手続きを行い、その後振り込まれます。事業実施時には一旦全額を自己資金で立て替える必要がありますので、資金計画にご注意ください。

⑧ まとめと次のアクション

今回は、みなかみ町の新たな支援策「認定農業者営農支援事業補助金」について詳しく解説しました。

重要ポイントの再確認

  • 対象者:みなかみ町の認定農業者・認定新規就農者
  • 補助額:最大30万円(補助率3/10)
  • 対象経費:税抜30万円以上の農業用機械・施設・設備
  • 申請期間:2025年5月と10月の年2回(期限厳守)
  • 注意点:必ず「交付決定後」に事業を開始すること

この補助金を活用することで、経営改善のスピードを大きく加速させることができます。まずは、ご自身の経営計画を見直し、どのような投資が必要かを具体的に検討することから始めましょう。

そして、次のアクションとして、みなかみ町役場の農林課農政係に電話で問い合わせてみてください。この記事で解決できなかった疑問点や、ご自身の状況に合わせた具体的なアドバイスをもらえるはずです。計画的に準備を進め、この絶好の機会を最大限に活用しましょう。

みなかみ町ではこの他にも、結婚新生活を支援する補助金(最大60万円)や、蜂の巣駆除費用の補助金(最大1万円)など、町民の暮らしを支える様々な制度があります。町の公式サイトなどで情報をチェックし、活用できる制度は積極的に利用することをお勧めします。