詳細情報
「家の古いブロック塀、地震が来たら倒れないか心配…」「撤去したいけど、費用が高くてなかなか踏み出せない…」そんなお悩みをお持ちではありませんか?実は、多くの自治体で危険なブロック塀の撤去費用を補助する制度が用意されています。この制度を活用すれば、最大30万円もの補助を受けながら、安全な住環境を実現できる可能性があります。地震大国である日本において、ブロック塀の倒壊は通行人や避難経路を塞ぐ大きなリスクとなります。この記事では、ブロック塀等撤去費補助金の概要から、対象条件、補助金額、申請手順、そして採択されるためのポイントまで、どこよりも詳しく、そして分かりやすく解説します。あなたの家の安全対策を、お得に進めるための第一歩をここから始めましょう。
ブロック塀等撤去費補助金とは?
制度の目的と背景
ブロック塀等撤去費補助金は、地震発生時にブロック塀などが倒壊し、人命に危害を及ぼしたり、避難や救助活動の妨げになったりすることを防ぐ目的で、多くの市区町村が実施している制度です。特に、2018年の大阪府北部地震でブロック塀が倒壊し、女児が亡くなるという痛ましい事故が発生して以降、全国的に危険なブロック塀への対策が強化されています。この補助金は、所有者が自主的に危険なブロック塀を撤去する際の経済的負担を軽減し、まち全体の防災性を向上させることを目指しています。
実施組織
この補助金制度は、国や都道府県ではなく、主にお住まいの市区町村が主体となって実施しています。そのため、制度の有無、補助額、対象条件、申請期間などは自治体によって大きく異なります。ご自身の所有するブロック塀が対象になるかを確認するためには、まずはお住まいの市区町村の役所(建築指導課、防災課、まちづくり課など)のウェブサイトを確認するか、直接問い合わせることが不可欠です。
重要ポイント:補助金の詳細は自治体ごとに異なります。この記事は一般的な情報を提供するものであり、申請にあたっては必ずお住まいの市区町村の最新情報をご確認ください。
補助金額・補助率について
補助金額は、自治体やブロック塀の状況によって変動しますが、一般的には以下の要素で決まります。
補助金額の計算方法
多くの自治体では、以下の2つの金額を比較し、いずれか少ない方の金額に補助率(例: 1/2)を掛けて補助額を算出します。
- ① 実際に撤去工事にかかる費用(見積額):施工業者から取得した見積書の金額(消費税を除く)。
- ② 自治体が定める基準額:撤去するブロック塀の面積(㎡)や長さ(m)に、自治体が定めた単価(例: 1㎡あたり10,400円、1mあたり10,000円など)を乗じた金額。
この計算で算出された額に、補助率(多くは1/2)を乗じ、最終的な補助額が決定されます。ただし、自治体ごとに上限額が定められています。
自治体別 補助金額・上限額の比較例
以下は、いくつかの自治体の例です。お住まいの地域では内容が異なる場合があるため、参考としてご覧ください。
| 自治体名 | 補助率 | 上限額 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 岐阜市 | 1/2 | 30万円 | 基準額は撤去面積1㎡あたり1万円 |
| 海老名市 | 要確認 | 20万円(通学路等は30万円) | 基準額は撤去面積1㎡あたり10,400円 |
| 四日市市 | 1/2 | 20万円 | 基準額は撤去延長1mあたり1万円 |
| 蒲郡市 | 1/2 | 10万円 | 基準額は撤去延長1mあたり1万円 |
| 蟹江町 | 要確認 | 10万円 | 詳細は要問合せ |
補助の対象となる条件
補助金を受けるためには、「誰が」申請するのか(対象者)と、「どのブロック塀が」対象になるのか(対象物件)の両方の条件を満たす必要があります。
対象者(申請できる人)
- 対象となるブロック塀等の所有者または管理者であること。
- 市税(住民税や固定資産税など)を滞納していないこと。
- (自治体による)暴力団員等でないこと。
対象物件(補助対象となるブロック塀)
一般的に、以下のすべて、またはいずれかの条件を満たす必要があります。
- 場所:公道(道路)や公園、避難地、通学路などの公共の場所に面していること。(隣地との境界にある塀は対象外の場合が多い)
- 高さ:道路面からの高さが一定以上であること。(例:60cm以上、1m以上など)
- 種類:コンクリートブロック造、石造、れんが造などの組積造の塀であること。門柱なども含まれる場合があります。
- 危険性:ひび割れ、傾き、ぐらつきがあるなど、点検の結果、倒壊の危険性があると判断されること。
- その他:撤去後に、再び高いブロック塀を設置する予定がないこと。
自分でできる危険度チェック!
国土交通省などが提供する「ブロック塀の点検チェックポイント」を活用してみましょう。「ひび割れがあるか」「塀は傾いていないか」「控え壁はあるか」などの項目を確認することで、ご自身の塀の危険度を把握できます。多くの自治体で、このチェックリストの提出が申請要件となっています。
補助対象となる経費・ならない経費
補助対象経費の例
- ブロック塀本体の撤去工事費
- 基礎部分の撤去費(自治体による)
- 撤去したブロック等の運搬費および処分費
- 仮設費用など、撤去に直接関連する経費
補助対象外経費の例
- 撤去後に設置するフェンスや生垣などの設置費用
- 門扉の交換費用
- ブロック塀の部分的な補修費用
- 消費税および地方消費税
- 申請手続きにかかる費用(書類作成費など)
申請方法と手順(ステップ・バイ・ステップ解説)
補助金の申請は、正しい手順を踏むことが非常に重要です。特に「工事の契約・着手前に申請する」という点が絶対条件となります。一般的な流れは以下の通りです。
ステップ1:事前相談・現地確認
まずは役所の担当窓口に連絡し、補助金の対象になるか相談します。多くの場合、職員が現地を訪れ、塀の状況(高さ、位置、危険度など)を確認します。この段階で補助対象外と判断されることもあります。
ステップ2:施工業者の選定・見積取得
撤去工事を依頼する業者を決め、見積書を取得します。複数の業者から見積もりを取る(相見積もり)ことで、費用の妥当性を確認できます。
ステップ3:補助金交付申請
役所から指定された申請書類を準備し、提出します。申請期間が定められているため、期限に注意しましょう。申請方法は窓口持参、郵送、オンライン申請など自治体により異なります。
ステップ4:交付決定通知の受領
申請内容が審査され、問題がなければ「補助金交付決定通知書」が届きます。この通知書を受け取るまで、絶対に工事の契約や着手をしてはいけません。
ステップ5:工事の契約・着手
交付決定通知を受け取ったら、施工業者と正式に契約し、工事を開始します。工事前、工事中、工事後の写真を撮影しておくことが重要です。
ステップ6:工事完了・実績報告
工事が完了したら、業者に費用を支払います。その後、役所に対して「完了実績報告書」を提出します。領収書の写しや工事写真などが必要となります。
ステップ7:補助金額の確定・交付
実績報告書が審査され、補助金額が最終的に確定します。その後、指定した口座に補助金が振り込まれます。
主な必要書類リスト
- 補助金交付申請書
- 事業計画書
- 位置図(住宅地図など)
- 現況写真(塀の全体像、ひび割れ箇所など)
- 撤去工事の見積書の写し
- ブロック塀の配置図、立面図など
- ブロック塀の点検チェックリスト
- 市税の納税証明書
- (完了時)完了実績報告書、工事請負契約書の写し、領収書の写し、工事写真
採択されるための3つの重要ポイント
この補助金は、要件さえ満たせば比較的採択されやすいですが、確実に受給するためにはいくつかのポイントがあります。
1. とにかく早めに行動する(先着順の壁)
最も重要なポイントです。多くの自治体では年間の予算額が決まっており、申請が予算額に達した時点で受付を終了してしまいます。年度の後半になると「すでに予算がなくなった」というケースも少なくありません。撤去を検討しているなら、年度が始まったらすぐにでも役所に相談を開始しましょう。
2. 「事前着工」は絶対にNG
繰り返しになりますが、補助金の交付決定前に工事の契約をしたり、工事を始めてしまったりすると、100%補助金は受けられません。これは「補助金はこれから行われる事業を支援するもの」という大原則があるためです。焦って業者と契約しないよう、手順をしっかり守りましょう。
3. 書類の不備をなくし、担当者と密に連携する
申請書類に記入漏れや添付書類の不足があると、審査が遅れたり、最悪の場合、不受理となったりする可能性があります。提出前には何度も確認しましょう。また、不明な点があれば、遠慮せずに役所の担当者に電話やメールで質問することが大切です。担当者と良好なコミュニケーションを取ることで、手続きがスムーズに進みます。
よくある質問(FAQ)
Q1. 賃貸物件や分譲マンションのブロック塀でも申請できますか?
A1. 賃貸物件の場合は所有者(大家さん)の同意があれば申請可能な場合があります。分譲マンションの場合は、管理組合として申請するのが一般的です。いずれも、まずは所有者や管理組合にご相談ください。
Q2. 自分で撤去した場合(DIY)も補助金の対象になりますか?
A2. ほとんどの自治体で、建設業者など専門の事業者に依頼した工事が対象となります。安全性の観点からも、DIYでの撤去は補助対象外となるのが一般的です。
Q3. 補助金はいつもらえますか?
A3. 補助金は、工事がすべて完了し、費用を業者に支払った後、役所に実績報告書を提出し、その審査が終わってから振り込まれます。工事費用の支払いを一時的に全額立て替える必要がある点にご注意ください。(※海老名市のように代理受領制度を設けている自治体もあります)
Q4. 撤去した後にフェンスを設置したいのですが、その費用も補助されますか?
A4. この補助金はあくまで「撤去」が目的のため、フェンス等の新設費用は対象外です。ただし、自治体によっては別途「生垣設置奨励補助金」などの緑化に関する制度がある場合があります。岐阜市の例のように、関連制度がないか役所に確認してみることをお勧めします。
Q5. どの業者に頼めばいいかわかりません。
A5. 役所が特定の業者を斡旋することはありませんが、自治体によっては補助金利用実績のある業者リストを公開している場合があります。お近くの解体業者や外構工事業者、工務店などに相談し、複数の業者から見積もりを取るのが良いでしょう。
まとめ:まずは自治体への相談から始めよう
危険なブロック塀の撤去は、あなた自身や家族、そして地域住民の命を守るための重要な防災対策です。費用がネックで先延ばしにしていた方も、この補助金制度を上手に活用することで、負担を大きく軽減できます。
この記事で解説したポイントをまとめます。
- 制度の確認:まずはお住まいの市区町村のウェブサイトで「ブロック塀 撤去 補助金」と検索し、制度の有無や詳細を確認する。
- 早めの行動:補助金は予算がなくなり次第終了。年度の早い時期に相談・申請を始める。
- 手順の厳守:必ず「交付決定」を受けてから工事の契約・着手を行う。
大切なのは、最初の一歩を踏み出すことです。まずは役所の担当窓口に電話一本、メール一通送ることから始めてみませんか。安全で安心なまちづくりのために、この機会にぜひ補助金の活用をご検討ください。