長崎県雲仙市をはじめ、全国の自治体で活用されている「ローカル10,000プロジェクト」。これは、地域の課題解決や経済循環を目指す新規事業に対して、国と市が連携して最大5,000万円の初期投資費用を助成する強力な制度です。この記事では、制度の概要から対象事業、申請のポイントまで、専門家が分かりやすく解説します。
ローカル10,000プロジェクトとは?
ローカル10,000プロジェクト(地域経済循環創造事業交付金)は、地域金融機関から融資を受けて新しい事業を始める民間事業者に対し、国(総務省)と市町村が協力して初期投資費用を支援する制度です。地域の人材、資源、資金を活かした先進的で持続可能な事業を後押しし、地域経済の活性化を目的としています。
この制度の3つの重要ポイント
- 最大5,000万円の大型支援:事業規模に応じた手厚い助成が受けられます。
- 金融機関との連携が必須:地域金融機関からの融資が前提となり、事業の実現可能性を高めます。
- 高い事業継続率:自治体や金融機関の伴走支援により、事業化されたプロジェクトの継続率は94%と非常に高い実績を誇ります。(令和5年3月末時点)
制度概要の早わかり表
項目 | 内容 |
---|---|
助成額 | 最大5,000万円(融資額に応じて変動) |
補助率 | 原則1/2(条件により2/3、3/4へ拡充) |
申請期間 | 随時(各自治体にご確認ください) |
対象事業者 | 地域金融機関から融資を受け、地域密着型の新規事業に取り組む民間事業者 |
対象経費 | 施設整備・改修費、機械装置費、備品費などの初期投資費用 |
どのような事業が対象?
このプロジェクトで支援されるためには、以下の要件を満たす必要があります。
必須となる事業要件
- 地域密着型:地域の資源(人材、産品、観光資源など)を活用する事業であること。
- 地域課題への対応:公共的な地域の課題解決に貢献する事業であること。
- 新規性・モデル性:新しい取り組みであり、他の地域のモデルとなるような事業であること。
- 金融機関からの融資:地域金融機関等から事業に必要な資金の融資を受けること。
【補助率UP】重点支援項目
以下のいずれかに該当する事業は、補助率が最大3/4に引き上げられる可能性があります。
- 生産性向上に資するデジタル技術の活用に関連する事業
- 脱炭素に資する地域再エネの活用等に関連する事業
- 地域の女性や若者の活躍に関連する事業(新規追加)
助成額と補助率の詳細
助成額の上限は、地域金融機関からの融資額と公費(助成額)の比率によって決まります。
融資額 / 公費(助成額) | 助成上限額 |
---|---|
2.0倍以上の場合 | 5,000万円 |
1.5倍以上~2.0倍未満の場合 | 3,500万円 |
1.0倍以上~1.5倍未満の場合 | 2,500万円 |
※助成額は、融資額と同額の範囲内となります。
申請から事業開始までの流れ
- 1事前相談【最重要】
事業計画の構想段階で、必ず事業を実施する市区町村の担当課および地域金融機関に相談します。ここでの調整が採択の鍵を握ります。
- 2事業計画の作成・申請
相談内容を踏まえ、事業計画書を作成し、必要書類を添えて市区町村に申請します。
- 3国による審査・採択
市区町村から国(総務省)へ計画が提出され、有識者による審査が行われます。採択されると交付が決定します。
- 4事業開始
交付決定後、事業を開始します。事業期間は最大2年まで拡大されました。
⚠️ ご注意ください
このプロジェクトは、国が事業の審査および採択を行います。審査の結果、事業が採択されなかった場合、市からの助成は行われませんので、あらかじめご留意ください。
まとめ:地域を動かす事業への第一歩を
ローカル10,000プロジェクトは、単なる資金援助ではありません。地域の金融機関や自治体と共に事業を育て、地域経済に新たな活力を生み出すための官民連携プロジェクトです。あなたのアイデアで地域を元気にしたい、新しいビジネスに挑戦したいとお考えの方は、ぜひこの制度の活用を検討してみてください。
まずは、あなたの事業拠点がある市区町村の商工観光課や企画政策課、そしてお取引のある金融機関へ相談することから始めましょう。
※上記は雲仙市の例です。最新情報や詳細はお住まいの自治体にご確認ください。