「子育てを親に手伝ってほしい」「親の近くに住んで、いざという時に支え合いたい」とお考えではありませんか?そんな子育て世帯や若者世帯を応援するため、多くの自治体が「三世代同居・近居」のための住宅取得やリフォーム費用を支援する補助金制度を実施しています。この制度を活用すれば、住宅取得にかかる経済的負担を大幅に軽減できる可能性があります。この記事では、ひたちなか市、松戸市、刈谷市などの具体的な事例を交えながら、三世代同居・近居住宅補助金の目的、金額、対象条件、申請方法、そして採択されるためのポイントまで、どこよりも詳しく解説します。マイホームの夢を、このお得な制度で実現させましょう。

この記事のポイント
✓ 全国の自治体が実施する三世代同居・近居支援補助金の概要がわかる
✓ 最大100万円など、具体的な補助金額の事例がわかる
✓ 自分が対象になるかの条件や、必要な手続きの流れを理解できる
✓ 申請前に必ず確認すべき注意点や、採択率を上げるコツがわかる

三世代同居・近居住宅補助金の概要

制度の目的と背景

三世代同居・近居住宅補助金は、多くの自治体が移住・定住促進、子育て支援、地域コミュニティの活性化などを目的として実施している制度です。核家族化が進む現代において、祖父母・親・子の三世代が近くに住むことで、以下のようなメリットが期待されています。

  • 子育て支援:祖父母による孫の世話など、共働き世帯の負担を軽減。
  • 高齢者の見守り:子世帯が親世帯の健康状態を見守り、緊急時に対応しやすくなる。
  • 経済的負担の軽減:住宅費や生活費を協力して賄うことができる。
  • 地域の活性化:若者・子育て世帯の転入による人口増加や地域活動への参加促進。

これらの目的を達成するため、自治体は予算を確保し、住宅の新築、購入、リフォームなどにかかる費用の一部を補助しています。

実施している主な自治体

この制度は全国の多くの自治体で実施されています。本記事では、以下の5つの自治体の制度を例に詳しく解説しますが、これら以外にも同様の制度を持つ自治体は多数存在します。ご自身が居住を検討している市区町村のウェブサイトもぜひご確認ください。

  • 茨城県ひたちなか市
  • 神奈川県大井町
  • 愛知県刈谷市
  • 千葉県松戸市
  • 岐阜県本巣市

補助金額・補助率【自治体別比較】

補助金額や補助率は、自治体や同居・近居の形態、世帯の状況によって大きく異なります。ここでは、各自治体の補助金上限額を比較してみましょう。

自治体名 補助金上限額 主な特徴
千葉県松戸市 最大100万円 同居75万円、近居50万円。市外からの転入で25万円加算。若者夫婦世帯も対象。
愛知県刈谷市 最大90万円 同居(新築等)で上限80万円。孫3人以上で10万円加算。
岐阜県本巣市 最大50万円 + 子育て加算 住宅取得・改修費の1/10(上限50万円)。18歳未満の子1人につき10万円加算。
神奈川県大井町 最大30万円 三世代同居のための住宅取得で30万円。Uターン移住者なども対象。
茨城県ひたちなか市 最大25万円 県外出身の子育て世帯かつ三世代同居等の場合に25万円。

このように、自治体によって補助額に大きな差があることがわかります。松戸市や刈谷市のように高額な補助を設定している自治体もあれば、本巣市のように子どもの人数に応じて加算されるユニークな制度もあります。補助率は「対象経費の1/2」や「1/10」といった形や、「定額補助」の形があります。

対象者・条件

補助金を受け取るためには、各自治体が定める詳細な要件をすべて満たす必要があります。ここでは、共通する主な要件と、自治体ごとの特徴的な要件を解説します。

共通する主な要件

  • 新たに三世代での同居または近居を開始する世帯であること。
  • 申請者および同居する家族全員が、市税等を滞納していないこと。
  • 暴力団員等でないこと。
  • 過去に同様の補助金を受けていないこと。
  • 一定期間(例:3年、10年など)その住宅に定住する意思があること。

自治体ごとの特徴的な要件

共通要件に加え、自治体独自の条件が設定されています。

  • 世帯要件:「中学生以下の子どもがいる子育て世帯」(多くの自治体)、「夫婦ともに42歳以下の若者夫婦世帯」(松戸市)、「夫婦ともに県外出身者」(ひたちなか市)など。
  • 親世帯の居住要件:「親が市内に1年以上継続して居住している」(松戸市)など。
  • 「近居」の定義:「親世帯と直線距離で2km以内」(松戸市、本巣市)、「同一または隣接の小学校区内」(刈谷市)など、距離や区域で定義されています。
  • 住宅要件:「居住部分の床面積が50㎡以上」(刈谷市)、「新耐震基準に適合していること」(松戸市)など、取得する住宅にも条件があります。

重要:契約前の手続きが必要なケースに注意!
刈谷市では「工事請負契約又は売買契約を締結する前に、補助対象事業の認定が必要」であり、松戸市でも「住宅取得に関する契約を締結する前に事前相談書を提出する必要」があります。このように、住宅の契約前に自治体への申請や相談が必須となる場合があります。すでに契約済みだと対象外になるため、計画段階で必ず自治体の要綱を確認しましょう。

補助対象経費

補助金の対象となる経費は、主に住宅の取得や改修に関する費用です。

対象となる経費の例

  • 住宅の新築工事費(工事請負契約金額)
  • 建売住宅や中古住宅、マンションの購入費(売買契約金額)
  • 住宅の増築・改築費用
  • 同居のためのリフォーム費用(間取り変更、水回り設備の増設など)

対象とならない経費の例

  • 土地の取得費用(※自治体による。対象となる場合もある)
  • 外構工事(門、塀、カーポートなど)の費用
  • 家具、家電製品の購入費用
  • 登記費用や仲介手数料などの諸経費
  • 他の補助金の対象となった費用

どこまでが対象経費に含まれるかは、自治体の要綱で細かく定められています。見積もりを取る段階で、補助対象となる工事とそうでない工事を分けてもらうと、後の申請がスムーズです。

申請方法・手順

申請のフローは自治体によって異なりますが、一般的には以下の流れで進みます。特に、どのタイミングで申請が必要かを確認することが重要です。

ステップ1:事前相談・事業認定申請(契約前)
まずは計画段階で、自治体の担当窓口(建築課、企画課、子育て支援課など)に相談しましょう。刈谷市や松戸市のように、住宅の売買契約や工事請負契約を結ぶに「事前相談」や「事業認定申請」が必要な場合があります。このステップを逃すと補助対象外となるため、最も注意が必要です。

ステップ2:住宅の契約・工事・引き渡し
自治体の指示に従い、住宅の売買契約や工事請負契約を締結します。その後、工事や引き渡し、代金の支払いを完了させます。

ステップ3:交付申請(完了後)
住宅の引き渡しや登記が完了し、三世代同居・近居を開始してから、定められた期間内(例:完了日から6ヶ月以内、1年以内など)に交付申請書と必要書類を提出します。申請期限は厳守です。

ステップ4:審査・交付決定
提出された書類を基に自治体が審査を行います。審査には1ヶ月〜2ヶ月程度かかることが一般的です。審査に通ると「交付決定通知書」が送られてきます。

ステップ5:請求・補助金の振り込み
交付決定通知書を受け取ったら、「交付請求書」を提出します。その後、指定した口座に補助金が振り込まれます。

必要書類の例

申請には多くの書類が必要です。事前にリストアップし、漏れなく準備しましょう。

  • 補助金交付申請書、誓約書、同意書など(自治体指定の様式)
  • 世帯全員の住民票の写し
  • 三世代の関係がわかる戸籍全部事項証明書
  • 市税の完納証明書または納税証明書
  • 工事請負契約書または売買契約書の写し
  • 建物の登記事項証明書
  • 補助対象経費の支払いを証明する領収書の写し
  • 住宅の図面(平面図、位置図など)
  • 工事前後の写真(リフォームの場合)
  • 母子健康手帳の写し(出産予定の場合)

採択のポイントと注意点

とにかく早めの行動が鍵!

これらの補助金は、ほとんどの場合、年度ごとの予算が定められています。予算の上限に達した時点で受付が終了となるため、申請を検討しているなら、できるだけ早く行動を開始することが最も重要です。年度の初め(4月〜)に申請できるよう、前年度から情報収集と準備を進めるのが理想的です。

申請書類の不備をなくす

書類の不備は、審査の遅れや不採択の大きな原因となります。提出前には、自治体が提供しているチェックリストなどを活用し、記入漏れや添付書類の不足がないか、何度も確認しましょう。不明な点があれば、必ず担当窓口に問い合わせて解決しておくことが大切です。

他の補助金との併用について

国の「子育てエコホーム支援事業」など、他の住宅関連補助金との併用ができない場合があります。特に、国の財源が充当されている補助金同士は併用不可となるケースが多いです。どちらの補助金を利用するのがより有利か、事前にシミュレーションし、検討する必要があります。

よくある質問(FAQ)

Q1. 中古住宅の購入でも対象になりますか?
A1. はい、多くの自治体で新築だけでなく中古住宅の購入も対象としています。ただし、松戸市のように新耐震基準への適合を求めるなど、建物の条件がある場合がありますので、購入前に確認が必要です。

Q2. 住宅の契約を済ませてしまいましたが、今から申請できますか?
A2. 刈谷市や松戸市のように、契約前の事前相談や事業認定を必須としている自治体では、契約後の申請はできません。自治体によってルールが異なるため、まずは至急、担当窓口にご確認ください。

Q3. 申請期間はいつまでですか?
A3. 多くの自治体で通年受付を行っていますが、前述の通り予算がなくなり次第終了となります。年度末を待たずに締め切られることも多いため、できる限り早い時期の申請をおすすめします。

Q4. 補助金を受け取った後、すぐに引っ越しても大丈夫ですか?
A4. いいえ、補助金の交付条件として、一定期間(例:3年、10年など)の定住が義務付けられています。この期間内に正当な理由なく転居したり、三世代同居・近居を解消したりした場合は、補助金の返還を求められることがあります。

Q5. 自分の住んでいる市町村にこの制度があるか調べるにはどうすればいいですか?
A5. お住まいの市区町村の公式ウェブサイトで、「三世代同居 補助金」や「住宅取得 支援」といったキーワードで検索してみてください。また、自治体の総合案内や、住宅・建築関連の部署、子育て支援課などに直接問い合わせるのが最も確実です。

まとめ:まずは自治体への相談から始めよう

三世代同居・近居住宅補助金は、これからマイホームを考えている子育て世帯や若者世帯にとって、非常に魅力的な制度です。最大で100万円もの補助が受けられるケースもあり、住宅ローンの負担を大きく減らす助けになります。

ただし、自治体ごとに制度の内容は大きく異なり、「契約前に申請が必要」といった重要なルールも存在します。後悔しないためにも、住宅探しと並行して、できるだけ早い段階で居住予定の自治体のウェブサイトを確認し、担当窓口に相談することから始めましょう。この制度を賢く活用し、理想の住まいと安心の暮らしを手に入れてください。