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「急な離職で収入が途絶え、今の家賃が払えない…」「もっと家賃の安い家に引っ越したいけど、初期費用がなくて動けない…」そんな深刻な悩みを抱えていませんか?
この記事では、そんな経済的に困窮している方々の再スタートを支援するための公的制度「住居確保給付金(転居費用補助)」について、どこよりも詳しく、そして分かりやすく解説します。この制度は、家計を立て直すために転居が必要な場合に、礼金や仲介手数料、引越し代などの費用を補助してくれる、非常に心強い味方です。あなたが対象になるか、どうすれば申請できるのか、この記事を読めば全てわかります。ぜひ最後までお読みいただき、新たな一歩を踏み出すきっかけにしてください。
この記事のポイント
- 住居確保給付金(転居費用補助)の全体像がわかる
- 自分が対象者かどうかをチェックできる
- 具体的な補助金額や対象経費がわかる
- 相談から支給までの具体的な手順がわかる
- 申請に必要な書類や注意点がわかる
① 住居確保給付金(転居費用補助)の概要
まずは、この制度がどのようなものなのか、基本から押さえていきましょう。
制度の正式名称と目的
この制度の正式名称は「住居確保給付金(転居費用補助)」です。生活困窮者自立支援法という法律に基づいており、国(厚生労働省)が管轄し、実際の窓口業務は各市区町村の自立相談支援機関が担っています。
その目的は、離職や収入減少によって経済的に困窮し、住まいを失った、または失うおそれのある方に対し、家計の改善に繋がる転居を支援することです。単にお金を支給するだけでなく、専門の支援員による「家計改善支援」とセットになっているのが大きな特徴です。これにより、根本的な生活の立て直しを目指します。
【重要】従来の「家賃補助」との違い
「住居確保給付金」には、以前からある「家賃補助」の制度もあります。これは、現在の住まいの家賃を原則3ヶ月(最長9ヶ月)補助するものです。今回解説する「転居費用補助」は、そこからさらに一歩進んで、引っ越しそのものにかかる費用を補助する、比較的新しい支援です。どちらが適切かは状況によりますので、まずは相談窓口で現状を話すことが大切です。
② 支給額はいくら?上限と計算方法
最も気になるのが「いくら支給されるのか」という点でしょう。支給額は、実際に転居にかかった費用のうち、対象となる経費の実費が支払われます。ただし、上限額が設定されています。
支給上限額は自治体と世帯人数で決まる
支給上限額は、全国一律ではありません。「転居先の自治体」と「世帯の人数」によって大きく異なります。これは、生活保護制度の「住宅扶助基準額」という基準を基に算出されるためです(具体的には、住宅扶助基準額の3倍が上限)。
以下に、いくつかの自治体の例を挙げます。あくまで一例であり、ご自身の転居先の自治体の正確な金額は必ず窓口で確認してください。
| 世帯人数 | 千葉県鎌ケ谷市(例) | 福岡県太宰府市(例) | 東京都中野区(例) |
|---|---|---|---|
| 単身世帯 | 159,000円 | 96,000円 | 279,200円 |
| 2人世帯 | 171,000円 | 114,000円 | 300,000円 |
| 3人世帯 | 186,000円 | 123,300円 | 324,000円 |
※上記はあくまで参考情報です。最新の情報は各自治体にご確認ください。
③ 対象者・条件は?収入と資産の要件をチェック
この給付金を受けるには、いくつかの要件をすべて満たす必要があります。特に重要なのが「収入」と「資産」の要件です。
主な支給要件リスト
- 収入減少の状況:離職・廃業から2年以内、または自己の責任や都合によらない休業等で収入が著しく減少していること。
- 生計維持者:申請月に、世帯の生計を主として維持していること。
- 収入要件:申請月の世帯全員の収入合計額が、自治体の定める「収入基準額」以下であること。
- 資産要件:申請日の世帯全員の金融資産(預貯金、現金等)の合計額が、自治体の定める「資産上限額」以下であること。
- 家計改善の必要性:自立相談支援機関の「家計改善支援」を受け、転居することが家計の改善に必要不可欠であり、その費用を捻出するのが困難であると認められること。
- その他:申請者および世帯員が暴力団員でないこと。また、国や自治体から類似の給付を受けていないこと。
収入・資産要件の目安(神奈川県座間市の例)
収入と資産の基準額も自治体によって異なります。ここでは神奈川県座間市の例を見てみましょう。
| 世帯人数 | 収入基準額(月収上限) | 資産上限額 |
|---|---|---|
| 単身世帯 | 125,000円 | 504,000円 |
| 2人世帯 | 179,000円 | 780,000円 |
| 3人世帯 | 225,000円 | 1,000,000円 |
※収入基準額は「基準額+家賃上限額」で計算されます。※あくまで一例です。
④ 補助対象となる経費・ならない経費
引っ越しには様々な費用がかかりますが、この給付金で補助される経費には限りがあります。何が対象で、何が対象外なのかをしっかり把握しておきましょう。
⭕ 支給対象となる経費
- 礼金
- 仲介手数料
- 家賃債務保証料
- 住宅保険料
- 鍵交換費用
- 家財の運搬費用(引越し代)
- 原状回復費用(ハウスクリーニング代など)
❌ 支給対象とならない経費
- 敷金(退去時に返還される可能性があるため)
- 契約時の家賃(前家賃)
- 家財や設備の購入費(エアコン、照明器具など)
⑤ 申請方法・手順をステップ解説
この給付金は、いきなり市役所に行って書類を出せばもらえるものではありません。専門の支援員との相談が必須です。以下のステップで進めるのが一般的です。
Step 1: 自立相談支援機関への相談
まず、お住まいの市区町村にある「自立相談支援機関」に電話などで連絡し、相談の予約をします。「生活の困りごと相談窓口」などの名称の場合もあります。全国の窓口はこちらの一覧から探せます。
Step 2: 家計改善支援を受ける
支援員と面談し、現在の収入や支出、家族構成などを詳しく話します。支援員はあなたの状況を整理し、家計を立て直すためのプラン(支援プラン)を一緒に作成します。この過程で、転居が家計改善に本当に必要かどうかを判断します。
Step 3: 「要転居証明書」の発行
家計改善支援の結果、転居が必要だと判断されると、支援機関から「住居確保給付金要転居証明書」という書類が発行されます。これが申請に必須の書類となります。
Step 4: 必要書類の準備と申請
証明書が発行されたら、その他の必要書類を揃えて正式に申請します。必要な書類は多岐にわたるため、支援員の指示に従って漏れなく準備しましょう。
Step 5: 審査と支給決定
提出された書類を基に、自治体が審査を行います。要件を満たしていることが確認されれば、支給が決定されます。
Step 6: 給付金の支給
給付金は、原則として申請者本人にではなく、自治体から不動産会社や引越し業者などの口座へ直接振り込まれます(代理納付)。
申請に必要な書類リスト
自治体によって若干異なりますが、一般的に以下の書類が必要となります。
- 住居確保給付金支給申請書、申請時確認書
- 本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカードなど)
- 離職や収入減少がわかる書類(離職票、給与明細書など)
- 世帯全員の収入がわかる書類(給与明細書、年金通知書など)
- 世帯全員の金融資産がわかる書類(預貯金通帳の写しなど)
- 住居確保給付金要転居証明書(支援機関が発行)
- 入居予定住宅に関する状況通知書(不動産会社に記入を依頼)
- 転居費用の見積書(引越し業者など)
⑥ スムーズに受給するためのポイント
この制度は要件を満たせば支給される可能性が高いですが、いくつか押さえておくべきポイントがあります。
ポイント1:とにかく早めに相談する
最大のポイントはこれです。相談から家計改善支援、書類準備、申請、審査を経て支給されるまでには、1ヶ月から2ヶ月以上かかることも珍しくありません。「もうお金がない」というギリギリの状況になる前に、「このままだと危ないかも」と感じた段階で、すぐに自立相談支援機関に連絡しましょう。
ポイント2:家計改善への意欲を正直に伝える
この制度は、単なるお金の支給ではなく、生活再建の支援です。支援員との面談では、隠し事をせず、現在の苦しい状況や「これからどうやって生活を立て直していきたいか」という意欲を正直に話すことが重要です。真摯な姿勢が、スムーズな支援に繋がります。
ポイント3:書類は不備なく丁寧に準備する
申請には多くの書類が必要です。特に、不動産会社や前の大家さんに記入してもらう書類もあります。支援員の指示をよく聞き、不備や記入漏れがないように丁寧に準備しましょう。書類の不備は、審査の遅れに直結します。
⑦ よくある質問(FAQ)
Q1. 申請してからどれくらいで支給されますか?
A1. 自治体や申請状況によりますが、全ての書類を提出してから振込までに1ヶ月~1ヶ月半程度かかる場合があります。相談開始から考えると、さらに長い期間が必要です。余裕を持ったスケジュールで動くことが非常に重要です。
Q2. 現在無職ですが、申請できますか?
A2. はい、離職後2年以内などの要件を満たせば申請可能です。この制度は、生活を立て直すための転居を支援するものですので、無職であること自体が不支給の理由にはなりません。
Q3. 貯金がいくらまでなら対象になりますか?
A3. 資産の上限額は自治体や世帯人数によって異なります。目安として、単身世帯で50万円前後、2人世帯で80万円弱、3人以上で100万円が上限となっている場合が多いです。正確な金額は必ずお住まいの地域の窓口にご確認ください。
Q4. 家賃が今より高くなる引っ越しでも対象になりますか?
A4. 原則として家賃が下がり家計の支出が削減されることが求められます。しかし、例外的に家賃が多少上がっても、例えば「職場や病院に近くなり交通費が大幅に削減できる」など、家計全体の支出が削減されると認められれば対象になる可能性があります。これも支援員との相談次第です。
Q5. 生活保護との併用はできますか?
A5. いいえ、生活保護を受給している方はこの給付金の対象外となります。生活保護制度の中で、住宅に関する扶助(住宅扶助)や転居費用(一時扶助)が支給されるためです。
⑧ まとめ:まずは一歩、相談から始めよう
今回は、経済的に困窮している方のための「住居確保給付金(転居費用補助)」について詳しく解説しました。
重要ポイントの再確認
- 離職や減収で家賃の支払いが困難な場合に、家計改善のための転居費用を補助する制度。
- 支給額は自治体や世帯人数で異なり、礼金や仲介手数料、引越し代などが対象。
- 利用するには収入・資産要件を満たし、自立相談支援機関の家計改善支援を受けることが必須。
- 申請から支給まで時間がかかるため、「困ったな」と思ったらすぐに相談することが何より大切。
経済的な困難は、誰にでも起こりうることです。一人で抱え込まず、公的な支援制度を積極的に活用してください。この記事が、あなたの再スタートの助けになれば幸いです。
あなたの次の一歩は、お住まいの地域の自立相談支援機関に電話をかけることです。勇気を出して、まずは相談してみてください。