詳細情報
埼玉県加須市で水稲や大豆を栽培されている農業者の皆様へ朗報です。近年、全国的に問題となっているカメムシ等の害虫による収穫量の減少や品質低下は、農業経営における深刻な課題の一つです。この問題に対し、加須市では農業者の安定経営を支援するため、害虫防除にかかる費用の一部を補助する「加須市カメムシ等防除支援交付金」を実施しています。この記事では、最大5万円が交付される本制度について、対象者や条件、申請方法から採択されるためのポイントまで、どこよりも詳しく、そして分かりやすく解説します。大切な作物を守り、経営の安定化を図るために、この機会をぜひご活用ください。
この補助金のポイント
- 対象者: 加須市内の水稲・大豆農家(個人・法人)
- 支援金額: 最大50,000円
- 対象経費: 薬剤購入費、薬剤散布の委託料など
- 申請期間: 令和7年7月1日(火)~ 令和7年12月26日(金)
① 加須市カメムシ等防除支援交付金の概要
まずは、本交付金制度の全体像を把握しましょう。どのような目的で、誰が実施しているのかを理解することが、的確な申請への第一歩です。
正式名称と実施組織
- 正式名称: 加須市カメムシ等防除支援交付金
- 実施組織: 埼玉県加須市
目的・背景
この交付金は、水稲や大豆の品質低下および収量減少の大きな要因となっているカメムシ等の害虫防除を徹底することを目的としています。害虫被害による経済的損失を軽減し、市内の農業者が安心して営農を継続できる環境を整えることで、農業経営の安定化と地域農業の維持・発展を図るための重要な支援策です。
② 交付金額・上限額
交付される金額は、薬剤を散布した面積によって変動します。ご自身の営農規模に合わせて、受け取れる金額を確認しましょう。
| 薬剤散布面積 | 上限金額 |
|---|---|
| 30a以上 5ha未満 | 10a当たり1,000円 |
| 5ha以上 | 一律 50,000円 |
【重要】交付額の決定方法
実際の交付額は、「実際にかかった対象経費」と上記の「面積当たりの上限額」を比較して、いずれか低い方の額となります。また、算出された合計金額のうち、1,000円未満は切り捨てられる点にご注意ください。
計算例
具体的な計算方法を見てみましょう。
- 例1:散布面積が4ha(400a)で、薬剤購入費が35,000円だった場合
- 上限額の計算: 1,000円/10a × 400a = 40,000円
- 比較: 実際にかかった経費(35,000円) < 上限額(40,000円)
- 交付額: 35,000円
- 例2:散布面積が6ha(600a)で、散布委託料が65,000円だった場合
- 上限額の計算: 5ha以上なので一律 50,000円
- 比較: 実際にかかった経費(65,000円) > 上限額(50,000円)
- 交付額: 50,000円
- 例3:散布面積が1.5ha(150a)で、薬剤購入費が12,800円だった場合
- 上限額の計算: 1,000円/10a × 150a = 15,000円
- 比較: 実際にかかった経費(12,800円) < 上限額(15,000円)
- 交付額の決定: 12,800円 → 1,000円未満切り捨て
- 最終交付額: 12,000円
③ 対象者・条件
交付金を受け取るためには、以下のすべての要件を満たす必要があります。申請前に必ずご自身が対象となるかを確認してください。
- 加須市内に住所を有する個人、または市内に本店・主たる事務所を有する法人であること。
- 営農計画書に記載されている水稲・大豆の実利用面積が合計で30a(3,000平方メートル)以上であること。
- かつ、薬剤の散布面積が合計で30a以上であること。
- 令和7年度の営農計画書を、定められた期日までに提出していること。
- 自ら薬剤を購入して散布した、またはJA・薬剤散布事業者等に委託して散布した者であること。
④ 補助対象経費
どのような費用が補助の対象になるのかを正確に理解し、適切な領収書等を保管しておくことが重要です。
対象となる経費
- 薬剤購入料金: カメムシ等の防除を目的とした殺虫剤の購入費用。
- 空中散布委託料: ドローンやヘリコプターなどによる空中散布を事業者に委託した場合の費用。
- 薬剤散布委託料: 地上からの散布をJAや専門業者に委託した場合の費用。
対象外となる経費の例
以下の経費は補助の対象となりませんのでご注意ください。
- 散布作業にかかる人件費(自己散布の場合)
- 散布用機械の購入費、レンタル料、燃料費
- 殺虫剤以外の薬剤(殺菌剤、除草剤など)の購入費
- 送料や振込手数料などの諸経費
⑤ 申請方法・手順
申請は、定められた期間内に必要書類を揃えて窓口に提出する必要があります。以下のステップに沿って、計画的に準備を進めましょう。
申請受付期間: 令和7年7月1日(火曜日)から令和7年12月26日(金曜日)まで
期間が長めに設定されていますが、年末は窓口が混み合う可能性があるため、早めの申請をおすすめします。
申請ステップ
- 薬剤散布の実施と証拠書類の保管: 令和7年1月1日以降に薬剤を購入・散布し、領収書や委託契約書などを必ず保管しておきます。
- 申請書類の入手: 加須市の公式サイトから申請様式(様式第1号~第3号)をダウンロードするか、各担当窓口で入手します。
- 申請書類の作成: 公式サイトにある記入例を参考に、必要事項を正確に記入します。特に面積や金額の計算間違いに注意しましょう。
- 添付書類の準備: 下記の「必要書類一覧」を参考に、漏れがないように準備します。
- 窓口へ提出: すべての書類が揃ったら、お住まいの地域を管轄する窓口へ持参し、提出します。
必要書類一覧
- カメムシ等防除支援交付金申請書兼請求書(様式第1号)
- 同意書(様式第2号)
- 薬剤散布の実施一覧(様式第3号)
- 申請者名義の振込口座通帳等の写し(金融機関名、支店名、口座番号、口座名義人がわかるページ)
- 【自己散布の場合】令和7年1月1日以降に薬剤を購入したことがわかる書類(領収書等の写し)
- 【委託散布の場合】令和7年産水稲・大豆に薬剤を散布したことがわかる書類(散布事業者名、委託料金、散布面積がわかる領収書等の写し)
申請先・お問い合わせ先
申請はお住まいの地域によって窓口が異なります。
| 地域 | 担当窓口 | 電話番号 |
|---|---|---|
| 加須地域 | 加須市 経済部 農業振興課 | 0480-62-1111(代表) |
| 騎西地域 | 騎西総合支所 農政建設課 | 0480-73-1111(代表) |
| 北川辺地域 | 北川辺総合支所 農政建設課 | 0280-61-1206(直通) |
| 大利根地域 | 大利根総合支所 農政建設課 | 0480-72-1321(直通) |
⑥ 採択のポイント
本交付金は、要件を満たしていれば基本的に交付されるものですが、書類の不備や記入ミスで手続きが遅れたり、最悪の場合不採択となったりすることもあります。スムーズに交付を受けるために、以下のポイントを押さえておきましょう。
申請書作成のコツ
- 記入例を徹底的に確認する: 市の公式サイトで公開されている記入例を必ず確認し、その通りに記入しましょう。特に押印箇所や日付の記入漏れに注意が必要です。
- 数字は正確に: 散布面積や経費の金額は、領収書や営農計画書と相違がないように正確に転記してください。計算ミスがないか、提出前に複数回確認しましょう。
- 添付書類を完璧に揃える: 領収書の写しや通帳の写しなど、必要な添付書類がすべて揃っているか、提出前にチェックリストを作成して確認することをおすすめします。
よくある不採択・差戻し理由
- 申請期間を過ぎてからの提出
- 対象面積(30a以上)の要件を満たしていない
- 令和7年度の営農計画書を提出していない、または期日に遅れている
- 領収書の日付が対象期間外(令和7年1月1日より前)
- 領収書に購入品目や散布面積などの必要情報が記載されていない
- 振込先口座が申請者本人名義ではない
⑦ よくある質問(FAQ)
Q1. 同じほ場に複数回薬剤を散布した場合、面積は合算されますか?
A1. いいえ、合算されません。同じほ場に複数回散布した場合でも、面積は1回分として扱われます。交付金の対象となる面積は、営農計画書に記載された実利用面積が上限となります。
Q2. ドローンによる薬剤散布も対象になりますか?
A2. はい、対象になります。「空中散布委託料」として、ドローン散布を事業者に委託した費用も補助対象経費に含まれます。
Q3. どんな殺虫剤でも対象になりますか?
A3. 水稲・大豆のカメムシ等害虫防除を目的とした殺虫剤であれば対象となります。ただし、最終的な判断は市の担当部署が行いますので、不明な場合は事前に問い合わせることをお勧めします。
Q4. 申請書類はどこで手に入りますか?
A4. 加須市の公式ウェブサイトからダウンロードできます。また、各地域の担当窓口(農業振興課、各総合支所農政建設課)でも配布しています。
Q5. 交付金はいつ頃振り込まれますか?
A5. 申請書を審査し、交付が決定された後に指定の口座へ振り込まれます。具体的な時期については、申請のタイミングや審査状況によりますので、市の担当窓口にご確認ください。
⑧ まとめ
今回は、埼玉県加須市が実施する「カメムシ等防除支援交付金」について詳しく解説しました。最後に重要なポイントを再確認しましょう。
- 目的: 水稲・大豆のカメムシ等害虫防除費用を支援し、農業経営の安定を図る。
- 対象: 加須市内で30a以上の水稲・大豆を栽培する農業者(個人・法人)。
- 金額: 散布面積に応じて最大50,000円。
- 期限: 令和7年12月26日(金曜日)まで。
- 注意点: 営農計画書の提出が必須。書類不備に注意し、早めに申請する。
害虫対策は、作物の品質と収量を守るための重要な投資です。この交付金を有効活用することで、コスト負担を軽減し、より効果的な防除対策を講じることが可能になります。申請手続きで不明な点があれば、決して自己判断せず、早めに市の担当窓口へ相談しましょう。この記事が、加須市の農業者の皆様の一助となれば幸いです。