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「後継者が見つからない」「会社の将来を誰に託せばいいのか…」そんな悩みを抱える北九州市の中小企業経営者の皆様へ。大切な事業を未来へつなぐための強力な支援策「令和7年度 北九州市事業承継・M&A促進化助成金」が開始されています。この制度は、事業承継やM&Aを進める際に必要となる専門家への委託費用などを最大50万円まで助成するものです。経営者の高齢化や後継者不足という深刻な課題に対し、北九州市が具体的な金銭的支援で後押しします。この記事では、制度の概要から対象経費、申請方法、そして採択されるためのポイントまで、どこよりも詳しく、そして分かりやすく解説します。この機会を最大限に活用し、円滑な事業承継への第一歩を踏み出しましょう。
この記事のポイント
- 北九州市内の中小企業が対象の事業承継支援制度
- 事業承継計画策定やM&A仲介手数料などの経費を最大50万円、2分の1以内で助成
- 国の補助金で対象外となる50万円未満の経費も対象で利用しやすい
- 申請期間は令和7年4月1日から令和8年2月27日まで(予算上限あり)
- 専門家への委託契約締結前の申請が必須条件
令和7年度 北九州市事業承継・M&A促進化助成金とは?
本助成金は、全国的な課題である経営者の高齢化や後継者不足に対応するため、北九州市が独自に実施する支援制度です。市内の中小企業がこれまで培ってきた優れた技術や経営ノウハウ、雇用を次世代へ円滑に引き継ぎ、企業のさらなる成長と地域経済の持続的発展を促すことを目的としています。
こんなお悩みを持つ経営者におすすめです
この助成金は、以下のような課題を抱える経営者の方々に特におすすめです。
- 親族や従業員に事業を継がせたいが、何から準備すれば良いかわからない。
- 自社の企業価値がどれくらいなのか、専門家に評価してもらいたい。
- 後継者が見つからず、第三者への譲渡(M&A)を検討している。
- M&Aの仲介手数料が高額で、一歩を踏み出せないでいる。
- 事業承継に向けた具体的な計画を専門家と一緒に策定したい。
助成金の概要をチェック!金額・対象者・期間
制度を利用する上で最も重要な、助成金額、対象者、期間について詳しく見ていきましょう。
助成金額と補助率
助成金額と補助率は以下の通りです。特に、国の「事業承継・引継ぎ補助金」では対象とならない少額の経費もカバーできる点が大きな魅力です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 助成上限額 | 50万円 |
| 補助率 | 対象経費の2分の1以内 |
| 端数処理 | 千円未満の端数は切り捨て |
| 特徴 | 国の「事業承継・引継ぎ補助金」の補助下限額50万円未満の経費も対象 |
【計算例】
M&A仲介会社への着手金として80万円(税抜)を支払った場合。
対象経費80万円 × 補助率1/2 = 助成金額40万円
→ 40万円が助成されます。
対象となる事業者(助成対象者)
助成対象となるのは、中小企業基本法に定められた中小企業者で、以下の全ての要件を満たす必要があります。
- 北九州市内に本社及び事業所を有すること。
- 事業承継を行うにあたり、後継者は引き続き市内で事業を営む予定であること。
- いわゆる「みなし大企業」でないこと。(大企業が株式の1/2超を保有していないこと)
- 北九州市税を滞納していないこと。
- 暴力団関係者でないこと。
- 風俗営業等に該当する事業を行う者でないこと。
- その他、市が不適当と認める者でないこと。
【重要】M&Aの場合は、売り手側の企業のみが対象です。買い手側は対象外となりますのでご注意ください。
申請期間と事業実施期間
スケジュールは以下の通りです。予算には限りがあるため、早めの検討・申請をおすすめします。
- 申請期間:令和7年4月1日(火曜日)から令和8年2月27日(金曜日)まで
- 事業完了期限:令和8年3月31日(月曜日)までに支払いを完了する事業
※随時受付ですが、予算の都合により年度途中で受付を終了する場合があります。
何に使える?具体的な補助対象経費
この助成金は、事業承継の形態に応じて、幅広い専門家への委託費用に活用できます。大きく分けて2つの区分があります。
1. 事業承継計画の策定等(親族内・従業員承継)
親族や従業員への承継を円滑に進めるための準備費用が対象です。
- 課題分析(見える化)や経営改善(磨き上げ)等のコンサルティング委託料
- 株価など企業価値の算定委託料
- 相続税・遺産分割等の対策策定委託料
- 事業承継計画の策定委託料 など
2. M&Aの仲介委託等(第三者承継)
第三者への事業譲渡(M&A)を進める際に発生する専門家への手数料が対象です。
- M&A仲介者やFA(フィナンシャル・アドバイザー)へ支払う手数料
- 着手金
- 企業調査手数料
- 月額報酬
- 中間報酬
- 成功報酬 など
【注意】対象外となる経費
以下の経費は助成の対象となりませんので、ご注意ください。
- 消費税、振込手数料
- 専門事業者に対する顧問料、相談料等
- 官公庁等の手続き及び書類作成、個別具体的な案件に関する訴訟・トラブル対応に係る経費
申請から交付までの流れ【5ステップで解説】
申請は、専門家との契約前に完了させる必要があります。全体の流れを把握し、計画的に進めましょう。
ステップ1:事前準備と相談
まずは助成金の交付要綱や要領を公式サイトで確認し、自社が対象となるか、利用したい経費が対象になるかを確認します。不明な点があれば、北九州市の中小企業振興課へ問い合わせましょう。また、委託する専門事業者を選定し、見積書を取得します。
ステップ2:交付申請【契約締結前が必須!】
以下の必要書類を揃え、申請期間内に中小企業振興課へ提出します。専門事業者への委託契約を締結する前に申請を完了させる必要があります。
- 交付申請書(第1号様式)
- 申請企業概要(別紙1-1)
- 事業計画書(別紙1-2)
- 経費明細書(別紙1-3)
- 役員等名簿(別紙1-4)
- 暴力団排除に関する誓約書(別紙1-5)
- 株主名簿(持ち株比率がわかるもの)
- 履歴事項全部証明書(法人登記簿謄本)
- 市税の納税証明書(市税に滞納がないことの証明)
- 直近2期の決算関係書類(勘定科目内訳書を含む)
- 見積書の写し等(委託業務の金額や内容がわかるもの)
ステップ3:審査・交付決定
提出された書類に基づき、市が審査を行います。審査が完了すると、交付決定通知が届きます。
ステップ4:事業実施と支払い
交付決定後、専門事業者と正式に契約し、事業を開始します。事業に係る経費の支払いは、令和8年3月31日までに完了させる必要があります。
ステップ5:実績報告と助成金交付
事業(支払い)が完了したら、完了後20日以内に実績報告書を提出します。市が内容を確認し、助成金額が確定します。その後、精算払い請求書を提出し、受理後およそ1ヶ月で指定の口座に助成金が振り込まれます。
採択されるための3つの重要ポイント
本助成金の採択率は公表されていませんが、申請を成功させるためにはいくつかの重要なポイントがあります。
ポイント1:事業計画書の具体性
審査の核となるのが「事業計画書」です。なぜ事業承継が必要なのか(現状の課題)、この助成金を活用して何を達成したいのか(事業内容)、そして承継後にどのような成長を目指すのか(将来の展望)を、誰が読んでも理解できるように具体的に記述しましょう。説得力のあるストーリーが重要です。
ポイント2:経費の妥当性
申請する経費が、事業承継の実現に本当に必要不可欠なものであることを明確に示す必要があります。複数の専門事業者から見積もりを取得し、比較検討した上で、なぜその事業者に委託するのか、その金額は妥当なのかを説明できるようにしておきましょう。経費明細書には、詳細な内訳を記載することが求められます。
ポイント3:交付要件の絶対遵守
最も基本的ながら、最も重要なポイントです。特に「専門事業者への委託契約締結より前に申請を行うこと」という要件は絶対です。これを破ると、他の内容がどれだけ素晴らしくても不採択となります。また、納税証明書の取得や書類の不備がないかなど、提出前に何度も確認しましょう。
よくある質問(FAQ)
Q1. M&Aの買い手側でも利用できますか?
A1. いいえ、利用できません。本助成金は、M&Aの場合は売り手側の企業が対象となります。
Q2. すでに専門家と契約してしまいましたが、申請できますか?
A2. いいえ、申請できません。交付要件として「専門事業者への委託契約締結より前に申請を行うこと」が定められています。契約日より前の日付で申請する必要があります。
Q3. 国の「事業承継・引継ぎ補助金」との併用は可能ですか?
A3. いいえ、できません。国及び関係団体などから同種の補助金等の交付を受けていないことが要件となっています。
Q4. 助成金の交付は1回だけですか?
A4. はい、その通りです。助成金の交付は、年度を問わず1事業者につき1回までと定められています。
Q5. 助成金はいつもらえますか?
A5. 助成金は精算払い(後払い)です。事業を完了し、経費の支払いを終えた後に実績報告書を提出し、金額が確定してから請求手続きを行います。請求書を受理後、概ね1ヶ月で振り込まれます。
Q6. どこに相談すればよいですか?
A6. まずは北九州市産業経済局の中小企業振興課へお問い合わせください。また、北九州市では専門家による「事業承継無料相談窓口」も設置しており、具体的な相談が可能です。
まとめ:未来へ事業をつなぐ第一歩を
「令和7年度 北九州市事業承継・M&A促進化助成金」は、後継者問題に直面する市内中小企業にとって、非常に価値のある支援制度です。専門家の力を借りる際の金銭的負担を軽減し、円滑な事業承継を力強く後押しします。
重要ポイントの再確認
- 対象:北九州市内の中小企業(M&Aは売り手側)
- 金額:最大50万円(補助率1/2)
- 期限:令和8年2月27日まで(予算上限あり)
- 注意点:契約前の申請が必須!
事業承継は一朝一夕には進みません。計画的な準備が成功の鍵となります。この助成金を活用して専門家のアドバイスを受け、自社にとって最適な形で大切な事業を次世代へとつないでいきましょう。まずは公式サイトで詳細を確認し、市の担当窓口へ相談することから始めてみてください。
お問い合わせ先
北九州市 産業経済局 地域経済振興部 中小企業振興課
〒804-0003 北九州市戸畑区中原新町2番1号 北九州テクノセンタービル1階
電話:093-873-1433
FAX:093-873-1434
公式サイト:【申請受付中】令和7年度 北九州市事業承継・M&A促進化助成金