詳細情報
東京都台東区で介護・障害福祉サービス事業所を運営されている経営者や人事担当者の皆様、職員の採用や定着にお悩みではありませんか?人材確保が業界全体の大きな課題となる中、台東区では事業者を力強く支援するため、独自の助成金制度を用意しています。それが「台東区介護・障害福祉サービス等職員宿舎借上げ支援事業」です。この制度を活用すれば、事業者が職員のために借り上げた宿舎の家賃の一部が助成され、福利厚生を大幅に向上させることが可能です。結果として、職員の満足度向上や離職率低下、そして新たな人材獲得における大きなアピールポイントとなります。本記事では、この魅力的な助成金の詳細から申請方法、採択のポイントまで、どこよりも詳しく解説します。
この記事のポイント
- 台東区の介護・障害福祉職員向け宿舎家賃補助制度の全貌がわかる
- 1戸あたり月額最大71,750円の助成内容を詳しく解説
- 対象となる法人、宿舎、職員の具体的な条件が明確になる
- 申請から受給までの流れと必要書類がわかる
- 採択率を高めるための重要なコツを伝授
① 助成金の概要
まずは、本事業の基本的な情報から確認していきましょう。どのような目的で、誰が実施している制度なのかを理解することが第一歩です。
正式名称と実施組織
- 正式名称: 台東区介護・障害福祉サービス等職員宿舎借上げ支援事業(障害福祉サービス等提供事業所対象)
- 実施組織: 東京都 台東区
目的・背景
本事業は、台東区内の介護・障害福祉サービス分野における人材の確保と定着を支援することを主な目的としています。職員の大きな負担となる住居費を事業者が支援することで、働きやすい環境を整備し、質の高い福祉サービスを安定的に提供できる体制を構築することを目指しています。特に、東京都が実施する同様の事業の対象外となる区独自のサービスを提供する事業所を支援することで、区内の福祉サービス全体を底上げする狙いがあります。また、災害時における職員の迅速な参集体制を確保するという防災上の目的も含まれています。
② 助成金額・補助率
事業者にとって最も気になるのが、具体的な助成金額でしょう。本事業は非常に手厚い内容となっています。
助成基準額と助成率
助成額は、以下の計算式に基づいて算出されます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 助成基準額 | 職員の宿舎1戸当たり 月額82,000円 |
| 助成率 | 7/8 |
計算方法:
「実際に支払った家賃等(※)」と「助成基準額82,000円」を比較し、いずれか低い方の金額に7/8を乗じた額が助成されます。
※入居者から家賃(宿舎使用料)を徴収している場合は、その額を差し引いた金額が対象となります。
具体的な計算例
例1:家賃90,000円の物件を借り上げ、職員から20,000円を徴収する場合
- 事業者の実質負担額:90,000円 – 20,000円 = 70,000円
- 助成基準額82,000円と比較し、低い方の70,000円が計算対象に。
- 助成金額:70,000円 × 7/8 = 61,250円/月
例2:家賃80,000円の物件を借り上げ、職員から10,000円を徴収する場合
- 事業者の実質負担額:80,000円 – 10,000円 = 70,000円
- 助成基準額82,000円と比較し、低い方の70,000円が計算対象に。
- 助成金額:70,000円 × 7/8 = 61,250円/月
例3:家賃100,000円の物件を借り上げ、職員から徴収しない場合
- 事業者の実質負担額:100,000円
- 助成基準額82,000円と比較し、低い方の82,000円が計算対象に。
- 助成金額:82,000円 × 7/8 = 71,750円/月(上限額)
③ 対象者・条件
助成を受けるためには、「法人」「宿舎」「入居者」のそれぞれに定められた要件をすべて満たす必要があります。一つずつ確認していきましょう。
対象となる法人
- 台東区内で障害福祉サービス等を提供する事業所を運営している法人であること。
- 東京都の宿舎借り上げ支援事業の対象サービス「以外」のサービスを提供していること。
- 事前に台東区と「災害時における安否確認等に関する覚書」を締結していること。(これが最も重要な要件です)
対象となる宿舎
- 法人が賃貸借契約を結び、借り上げている住宅であること。(職員個人が契約している物件は対象外)
- 勤務する対象事業所から半径10キロメートル以内に位置していること。
- 法人の役員が所有する物件は対象外です。
対象となる入居者(職員)
- 対象事業所に勤務し、対象宿舎に入居していること。
- 災害対策上の業務に従事する職員であること。
- 法人の役員は対象外です。
- 以下のいずれかの職種に該当すること:
- 直接支援の業務に従事する者(例:生活支援員、職業指導員など)
- 相談支援の業務に従事する者(例:相談支援専門員など)
- サービス運営責任者
- 施設管理責任者
- 同一の職員に対する助成対象期間は最長10年です。
④ 補助対象経費
どのような費用が助成の対象になるのか、具体的に見ていきましょう。対象外の経費と混同しないよう注意が必要です。
| 対象経費 | 対象外経費の例 |
|---|---|
|
|
重要: 繰り返しになりますが、入居する職員から宿舎使用料(家賃)を徴収している場合は、事業者が支出した経費からその金額を差し引いた額が助成対象経費となります。
⑤ 申請方法・手順
申請は計画的に進めることが重要です。特に、事前準備が必要な点にご注意ください。
ステップ1:災害時協定の覚書を締結【最重要】
申請の大前提として、台東区と「災害時における安否確認等に関する覚書」を締結している必要があります。まだ締結していない事業者は、まず下記問い合わせ先に連絡し、覚書の締結手続きを進めてください。この手続きには時間がかかる場合があるため、助成金の利用を検討し始めたら、真っ先に取り組むべきステップです。
ステップ2:必要書類の準備
覚書の締結後、または並行して申請書類を準備します。公式サイトから様式をダウンロードし、記入しましょう。
- 台東区 介護・障害福祉サービス等職員宿舎借上げ支援事業助成金交付申請書(第1号様式)
- その他区長が必要と認める書類
- 具体的には、賃貸借契約書の写し、対象職員の雇用が確認できる書類(雇用契約書等)、職員の住民票の写し、家賃等の支払いが確認できる書類(領収書や通帳の写し等)などが想定されます。事前に担当課に確認することをお勧めします。
ステップ3:申請書の提出
準備した書類を下記の窓口に提出します。事業内容によって提出先が異なるので注意してください。
- 障害福祉サービス提供事業所のみ運営する事業者:
障害福祉課(区役所2階 10番窓口) - 介護サービス事業所も運営する事業者:
介護保険課(区役所2階 4番窓口)
申請期限
明確な締切日は設けられていませんが、当年度の助成金予算がなくなり次第、受付終了となります。人気の制度であるため、早めの申請が推奨されます。
⑥ 採択のポイント
この助成金を確実に活用するために、押さえておくべき重要なポイントを3つご紹介します。
- 最優先で「災害時協定の覚書」を締結する: これがなければ申請の土俵にすら立てません。助成金の検討と同時に、覚書締結に向けたアクションを開始してください。
- 予算終了前の早期申請を心がける: 「先着順」の要素が強い助成金です。年度が始まったら速やかに情報収集を行い、準備が整い次第、迅速に申請しましょう。
- 書類の不備をなくす: 申請書類に不備があると、修正に時間がかかり、その間に予算が尽きてしまうリスクがあります。提出前には、記載内容に漏れや誤りがないか、添付書類はすべて揃っているか、複数人でダブルチェックすることをお勧めします。不明な点は、事前に担当課へ問い合わせて解消しておきましょう。
⑦ よくある質問(FAQ)
Q1. 新規採用の職員だけでなく、既存の職員も対象になりますか?
A1. はい、対象になります。新規採用か既存職員かは問われません。ただし、法人が新たにその職員のために宿舎を借り上げる必要があります。既に職員が個人で契約している住居を法人が借り上げる形に切り替える場合などは、事前に区の担当課へご相談ください。
Q2. 借り上げる宿舎は、台東区内でないといけませんか?
A2. いいえ、台東区内である必要はありません。職員が勤務する事業所から半径10km以内であれば、他の区や市の物件でも対象となります。
Q3. パートやアルバイトの職員は対象になりますか?
A3. 雇用形態に関する明確な規定は記載されていませんが、一般的には常勤職員を想定していることが多いです。非常勤職員が対象になるかについては、勤務時間や業務内容によりますので、必ず事前に台東区の担当課へ確認してください。
Q4. 助成金の申請は毎年必要ですか?
A4. はい、助成金は年度ごとに申請・交付決定が行われます。一度認定されても、翌年度も助成を受けたい場合は、再度申請手続きが必要となりますのでご注意ください。
Q5. 災害時協定の覚書は、どのような内容ですか?
A5. 具体的な内容は、災害発生時に区と連携し、利用者の安否確認を行ったり、職員を避難所へ派遣したりといった協力体制を定めるものです。詳細については、締結を希望する際に台東区の担当課から説明がありますので、直接お問い合わせください。
⑧ まとめ・行動喚起
「台東区介護・障害福祉サービス等職員宿舎借上げ支援事業」は、人材確保に悩む区内の事業者にとって、非常に強力なサポートとなる制度です。月額最大71,750円という手厚い家賃補助は、職員の経済的負担を大きく軽減し、働きがいと定着率の向上に直結します。
活用のための次のステップ
- 自社が対象要件を満たすか再確認する。
- 【最優先】災害時協定の覚書を締結していない場合、すぐに担当課へ連絡する。
- 公式サイトで最新の情報を確認し、申請書類をダウンロードする。
予算には限りがあります。この機会を逃さず、ぜひ制度を最大限に活用して、貴社の発展と職員の働きやすい環境づくりにお役立てください。
お問い合わせ先
- 部署名: 障害福祉課施策推進担当
- 電話番号: 03-5246-1206
- ファクス: 03-5246-1179
- 公式サイト: 台東区公式ウェブサイト