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2025年度の「商用車電動化促進事業(トラック)」は、運送業界の脱炭素化を強力に後押しする重要な補助金です。EV・FCVトラックや充電設備の導入に最大3/4という高い補助率が設定されており、燃料費高騰や環境規制強化に直面する事業者にとって大きなチャンスとなります。この記事では、制度の概要から対象者、補助金額、申請方法、採択のポイントまで、専門家が分かりやすく徹底解説します。
商用車電動化促進事業(トラック)とは?
「商用車電動化促進事業」は、環境省が主導する、運輸部門のCO2排出量削減を目的とした国家プロジェクトです。特にCO2排出量の多いトラック分野の電動化を加速させるため、令和6年度補正予算で約295億円(トラック分)という大規模な予算が確保されています。
この事業は、EV(電気自動車)トラックやFCV(燃料電池自動車)トラックの導入時に、同クラスのディーゼル車との価格差の一部を補助することで、事業者の初期投資負担を大幅に軽減します。同時に、充電・水素充填設備の整備も支援し、電動トラックが円滑に運行できる環境づくりも目指しています。
補助対象者|誰が利用できる?
本事業の対象者は、日本国内でトラックを事業に利用する幅広い事業者です。具体的には、以下のような法人・個人が対象となります。
- トラック運送事業者(一般貨物自動車運送事業、特定貨物自動車運送事業など)
- 自家用トラックを保有・使用する法人(メーカー、卸売業、小売業、建設業など)
- 個人事業主(赤帽などの軽貨物運送事業者を含む)
- リース事業者(導入した車両を上記の事業者にリースする場合)
補助対象となる車両・設備
補助の対象となるのは、環境性能に優れた電動トラックと、その運用に不可欠なインフラ設備です。
1. 対象車両
補助対象となるのは、新規登録される以下の車両です。
- EVトラック(電気自動車トラック):小型、中型、大型の各クラス
- FCVトラック(燃料電池自動車トラック):主に大型クラスが対象
※中古車は対象外です。また、事業の公式サイトで公表される補助対象車両リストに掲載されている必要があります。
2. 対象設備
車両と同時に申請することで、以下の設備も補助対象となります。
- 充電設備:普通充電器、急速充電器(V2H充放電設備含む)
- 水素充填設備:オンサイト型、オフサイト型
- エネルギーマネジメントシステム(EMS):複数の充電器を効率的に制御するシステム
- 外部給電器:車両から電気を取り出すための装置
補助金額と補助率|いくらもらえる?
補助金額は、導入する車両や設備、事業者の規模によって異なります。補助率が高く設定されているのが本事業の大きな特徴です。
| 対象 | 補助率 | 備考 |
|---|---|---|
| EV・FCVトラック | 車両価格と基準価格の差額の最大3/4 | 中小企業は3/4、大企業は2/3。車両サイズにより上限額あり。 |
| 充電設備 | 導入費用の最大1/2 | 設備本体価格および設置工事費が対象。 |
| 水素充填設備 | 導入費用の最大2/3 | FCVトラックと同時導入の場合に限る。 |
※「基準価格」とは、補助対象車両と最も仕様が近いディーゼル車の価格を指します。
申請期間とスケジュール
2025年度の申請期間は、例年春頃から開始されます。予算規模が大きいため期間は比較的長いですが、予算上限に達し次第、予告なく公募が終了する可能性があるため、早期の申請が重要です。
- 申請期間(予定):2025年4月頃 〜 2025年10月26日
【申請から交付までの流れ】
- 公募開始・申請受付
- 事務局による審査
- 交付決定通知
- 車両・設備の発注・契約(※交付決定後に行うこと)
- 車両登録・設備設置・支払い完了
- 実績報告書の提出
- 補助金額の確定・交付
申請のポイントと注意点
採択されるためのポイント
- 事業計画の具体性:導入する車両の具体的な走行ルート、充電計画、CO2削減効果などを数値で示すことが重要です。
- 費用対効果:補助金を活用することで、どれだけの環境改善効果や経済的メリット(燃料費削減など)が見込めるかを明確にアピールしましょう。
- 早期の電動化計画:複数台の導入計画や、将来的な全車両の電動化に向けたロードマップを示すと、評価が高まる傾向にあります。
申請時の注意点
- 交付決定前の契約はNG:補助金の交付決定通知を受け取る前に、車両や設備の売買契約・発注を行うと補助対象外となります。
- 財産処分制限:補助金を受けて導入した車両や設備は、一定期間(通常5〜8年程度)、事務局の承認なしに売却や廃棄ができません。
- 他の国庫補助金との併用不可:同一の車両・設備に対して、他の国の補助金と重複して受給することはできません。
まとめ
「商用車電動化促進事業(トラック)」は、運送業界が直面する課題を解決し、持続可能な経営を実現するための強力な支援策です。高い補助率を活かせば、最新のEV・FCVトラックを最小限の自己負担で導入できます。公募開始に向けて、ディーラーとの情報交換や事業計画の策定など、今から準備を進めることを強くお勧めします。この機会を最大限に活用し、環境性能と経済性を両立する次世代の輸送体制を構築しましょう。