詳細情報
富山県内で事業を営む小規模事業者の皆様、「従業員の給与を上げたいけれど、設備投資も必要で経営が厳しい…」とお悩みではありませんか?物価高騰が続くなか、従業員の生活を守り、優秀な人材を確保するための賃上げは喫緊の課題です。そんな経営者の皆様を力強く後押しするため、富山県が独自の補助金制度を開始しました。それが「富山県賃上げサポート補助金」です。
この補助金の最大の特徴は、国の「業務改善助成金」に採択された事業者を対象に、県がさらに最大60万円を上乗せ支援する点です。つまり、国の支援と県の支援をダブルで受けることができ、生産性向上と賃上げをよりスムーズに実現できます。この記事では、富山県賃上げサポート補助金の制度概要から、対象者の詳細な条件、具体的な申請手順、採択されるためのポイントまで、どこよりも詳しく解説します。
富山県賃上げサポート補助金とは?
制度の目的と背景
「富山県賃上げサポート補助金」は、富山県内の中小企業、特に小規模事業者の継続的な賃上げを促進することを目的とした制度です。昨今の物価上昇に対応し、従業員の待遇を改善することは、人材の確保・定着に不可欠です。しかし、体力に乏しい小規模事業者にとって、賃上げは大きな経営負担となり得ます。
そこで富山県は、国の「業務改善助成金」と連携する形で、この補助金を創設しました。業務改善助成金は、生産性を向上させるための設備投資を行い、事業場内の最低賃金を引き上げた場合に、その設備投資費用の一部を助成する国の制度です。この国の制度に県が独自の上乗せ補助を行うことで、事業者の負担をさらに軽減し、賃上げしやすい環境を整えることを目指しています。
補助金の概要
本補助金のポイントを以下の表にまとめました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式名称 | 富山県賃上げサポート補助金 |
| 実施組織 | 富山県(商工労働部 多様な人材活躍推進室 人材確保推進課) |
| 対象者 | 国の「業務改善助成金」の交付決定を受け、事業場規模30人未満の事業者 |
| 補助率 | 業務改善助成金の対象経費支出済額の10分の1 |
| 補助上限額 | 最大60万円(国の助成上限額の10分の1) |
| 申請期間 | 令和8年2月27日(金曜日)まで ※予算に達し次第終了 |
補助金額・補助率の詳細
本補助金の補助額は、国の業務改善助成金の対象となった経費の10分の1です。上限額は、国の業務改善助成金の上限額に応じて変動します。国の制度は、引き上げる賃金額や対象労働者数によって複数のコースに分かれており、それぞれ上限額が異なります。それに連動して、富山県の上乗せ額も変わります。
国の業務改善助成金と県の上乗せ額一覧
以下は、国の業務改善助成金のコースと、それに対応する富山県賃上げサポート補助金の上限額の一覧です。(※国の助成率は事業場内最低賃金により変動しますが、ここでは一般的な3/4で計算しています)
| 賃金引上額コース | 国の助成上限額 | 富山県の上乗せ上限額 |
|---|---|---|
| 30円コース | 30万円 | 3万円 |
| 45円コース | 45万円 | 4.5万円 |
| 60円コース | 60万円 | 6万円 |
| 90円コース | 90万円 | 9万円 |
| 90円以上(対象労働者数等で変動) | 最大600万円 | 最大60万円 |
【具体例】計算シミュレーション
ケース:富山市の飲食店(従業員15名)
- 課題:手作業での注文管理に時間がかかり、ミスも発生。スタッフの時給も上げたい。
- 対策:タブレットオーダーシステムを導入(設備投資額:80万円)。パート従業員5名の時給を60円引き上げる。
■ 国の業務改善助成金(60円コース、助成率3/4と仮定)
80万円 × 3/4 = 60万円
上限額が60万円なので、国から60万円が助成されます。
■ 富山県賃上げサポート補助金
対象経費80万円 × 1/10 = 8万円
上限額が6万円なので、富山県から6万円が上乗せで補助されます。
合計支援額:60万円(国) + 6万円(県) = 66万円
実質的な自己負担は、80万円 – 66万円 = 14万円となり、大幅に負担を軽減できます。
対象者・条件
本補助金の対象となるには、以下の3つの主要な条件をすべて満たす必要があります。
- 条件1:国の「業務改善助成金」の交付決定を受けていること
これが大前提です。まだ申請していない、または審査中の事業者は対象外です。国の助成金の交付額が確定した後に、本補助金に申請します。 - 条件2:事業場規模が30人未満であること
国の業務改善助成金を申請した「事業場」の労働者数が30人未満である必要があります。企業全体の従業員数ではなく、事業場単位での判断となります。 - 条件3:富山県内に事業場を有すること
補助金の対象となる事業場が富山県内に所在している必要があります。
補助対象経費
補助の対象となる経費は、国の業務改善助成金の対象となった経費と同一です。具体的には、生産性向上に直接的に貢献する設備投資などが該当します。
対象となる経費の例
- 機械設備・POSシステム等の導入:自動調理器、新しい製造機械、顧客管理システム、POSレジ、勤怠管理システムなど
- コンサルティング導入:専門家による業務フロー改善指導、マーケティング戦略立案支援など
- 人材育成・教育訓練:従業員のスキルアップのための研修費用など
- その他:業務効率化に資する什器や備品の導入など
対象外となる経費の例
- パソコン、スマートフォン、タブレットなど汎用性が高いもの
- 自動車やバイクなど(作業用車両は対象となる場合あり)
- 事務所の家賃や光熱費などの経常的な経費
- 中古品(一定の要件を満たす場合は対象となる可能性あり)
申請方法・手順
申請は、国の業務改善助成金の手続きが完了した後に行います。全体の流れを理解することが重要です。
【重要】全体の流れ
- 【国】業務改善助成金の交付申請 → 交付決定
- 事業計画に基づき、設備投資と賃金引上げを実施
- 【国】業務改善助成金の実績報告 → 交付額確定通知
- 【富山県】賃上げサポート補助金の交付申請 ← ここが今回の手続きです!
申請期間
申請期間は令和8年2月27日(金曜日)までです。ただし、県の予算がなくなり次第、期間内でも受付が終了となる可能性があります。国の助成金の交付額が確定したら、速やかに申請手続きを進めましょう。
必要書類
申請には以下の書類が必要です。様式は富山県の公式サイトからダウンロードできます。
- 補助金交付申請書兼実績報告書(様式第1号)
- 申請総括表(様式第2号)
- 業務改善助成金交付決定通知書の写し(国から交付決定された際の通知書)
- 業務改善助成金交付額確定通知書の写し(国から助成金額が確定した際の通知書)
- 業務改善助成金実績報告書に添付した国庫補助金精算書(別紙1)、事業実施結果報告(別紙2)の写し(国に提出した実績報告書類の一部)
- その他知事が必要と認める書類
申請先・方法
申請は、郵送、電子メール、または電子申請システムを利用して行います。
【申請書類提出先】
富山県商工労働部多様な人材活躍推進室人材確保推進課
〒930-8501 富山市新総曲輪1-7
TEL: 076-444-8897
E-mail: atayonajinzai@pref.toyama.lg.jp
電子申請は富山県の公式サイトにあるリンクからアクセスできます。書類の不備を防ぎ、受付状況を確認しやすいため、可能な限り電子申請の利用をおすすめします。
採択のポイント
富山県賃上げサポート補助金は、国の業務改善助成金の交付額確定が前提となるため、要件を満たしていれば基本的に採択されると考えられます。したがって、最も重要なポイントは以下の2点です。
- 1. 国の業務改善助成金に確実に採択されること
国の助成金審査では、生産性向上と賃上げの関連性、事業計画の具体性や実現可能性が厳しく見られます。「なぜこの設備投資で生産性が上がり、その結果として賃上げが可能になるのか」というストーリーを明確に描くことが重要です。 - 2. 県への申請書類に不備がないこと
要件を満たしていても、申請書類に不備があれば審査が遅れたり、最悪の場合不受理となったりする可能性があります。特に、国から発行された通知書や実績報告書の写しなど、添付書類に漏れがないか、提出前に何度も確認しましょう。
よくある質問(FAQ)
Q1. 国の業務改善助成金をこれから申請するのですが、同時に申請できますか?
A1. できません。本補助金は、国の業務改善助成金の交付額が確定した後に申請する制度です。まずは富山労働局に業務改善助成金の申請を行い、交付額確定通知書を受け取ってから、富山県へ本補助金の申請を行ってください。
Q2. 従業員が35人いるのですが、対象になりますか?
A2. 残念ながら対象外です。本補助金は、事業の継続的な発展と雇用の安定を図る観点から、特に経営基盤が脆弱な小規模事業者を重点的に支援するため、対象を事業場規模30人未満の事業者に限定しています。
Q3. 補助金はいつ頃振り込まれますか?
A3. 富山県への申請後、書類審査が行われ、交付決定通知が送付されます。その後、指定した口座に補助金が振り込まれます。通常、申請から振込まで1〜2ヶ月程度かかることが多いですが、申請の混雑状況によって変動します。
Q4. 複数の事業場があります。A事業場は20人、B事業場は40人です。A事業場で業務改善助成金を受けた場合、対象になりますか?
A4. はい、対象になります。本補助金は企業全体ではなく「事業場」単位で判断します。ご質問のケースでは、業務改善助成金の対象となったA事業場の労働者数が20人と30人未満の要件を満たしているため、申請が可能です。
Q5. 予算がなくなったら本当に終了しますか?
A5. はい。公式サイトにも明記されている通り、申請額が予算総額に達した場合は、申請期間満了前に受付を終了します。国の交付額確定通知を受け取ったら、できるだけ早く申請手続きを行うことを強くお勧めします。
まとめ:国の制度とセットで賢く活用しよう
今回は、「富山県賃上げサポート補助金」について詳しく解説しました。最後に重要なポイントを振り返ります。
- 国の「業務改善助成金」への上乗せ補助で、ダブルで支援が受けられる。
- 対象は富山県内の事業場規模30人未満の事業者。
- 補助率は対象経費の10分の1、上限額は最大60万円。
- 申請には国の「交付額確定通知書」が必須。
- 申請期限は令和8年2月27日までだが、予算上限による早期終了に注意。
この補助金は、賃上げと生産性向上の両立を目指す富山県の小規模事業者にとって、非常に強力な味方となる制度です。まずは国の業務改善助成金の活用を検討し、採択された際には忘れずにこの賃上げサポート補助金を申請しましょう。ご不明な点があれば、富山県の担当窓口へ気軽に相談してみてください。