詳細情報
東日本大震災から長い年月が経過しましたが、今なお事業再建の途上にある事業者様も少なくありません。特に、様々な事情で施設の復旧に着手できなかった方々にとって、資金調達は大きな課題です。この記事では、岩手県が実施する「中小企業等グループ復興事業計画(グループ補助金)」の第34次公募について、その詳細と申請のポイントを徹底解説します。今回の公募は、岩手県における本事業の最終公募となります。事業再建に向けた最後のチャンスを逃さないためにも、本記事を最後までお読みいただき、申請準備にお役立てください。
【重要】本公募は最終回です
岩手県による「中小企業等グループ復興事業計画」の公募は、この第34次公募をもって最後となります。これまで申請を見送られていた事業者様、あるいは復旧の目処が立たなかった事業者様は、この機会を絶対に逃さないようご注意ください。
岩手県グループ補助金(第34次)の概要
まずは、本補助金の基本的な情報について確認しましょう。どのような目的で、誰が実施している制度なのかを理解することが、申請の第一歩です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式名称 | 岩手県中小企業等復旧・復興支援補助事業(中小企業等グループ復興事業計画) |
| 実施組織 | 岩手県 |
| 目的・背景 | 東日本大震災で甚大な被害を受けた地域において、中小企業等グループの復興事業計画を国・県が支援することで、「産業活力の復活」「被災地域の復興」「コミュニティの再生」「雇用の維持」を図り、県内産業の復旧・復興を促進する。 |
| 公募回 | 第34次公募(最終公募) |
事業の目的と重要性
この補助金は、単に個々の企業の施設・設備復旧を支援するだけではありません。複数の企業が連携する「グループ」での申請を基本とすることで、サプライチェーンの再構築や地域経済全体の活性化を目指しています。被災地域の産業基盤を立て直し、持続可能なコミュニティを再生することが大きな目的です。最終公募となる今回は、復興の総仕上げに向けた重要な支援策と言えるでしょう。
補助金額・補助率
補助金の申請を検討する上で最も気になるのが、補助される金額や補助率です。本事業では、具体的な上限額や補助率が一律に定められているわけではありません。
- 補助金額:提出された復興事業計画の内容に基づき、県の復興事業計画審査会が審査し、県の予算の範囲内で決定されます。
- 補助率:こちらも計画内容によって変動します。
重要なのは、申請した金額が満額交付されるとは限らないという点です。審査の結果、補助金申請予定額が減額されたり、計画自体が認定されなかったりする場合もあります。そのため、実現可能で説得力のある事業計画を作成することが極めて重要になります。
対象者・条件
本補助金の対象者は非常に限定的です。以下の要件をすべて満たす必要がありますので、自社が該当するかを慎重に確認してください。
1. 中小企業等グループであること
単独の企業ではなく、複数の中小企業者から構成される「グループ」として申請する必要があります。グループの形態には、以下の4つの類型があります。
- サプライチェーン型:製品の部品供給や製造・販売などで連携している企業グループ
- 経済・雇用効果大型:地域経済や雇用への貢献度が特に大きい企業グループ
- 基幹産業型:地域の基幹産業を支える重要な企業グループ
- 商店街型:商店街の復興を目指す店舗等のグループ
2. 対象地域
補助対象となるのは、津波浸水地域を含む市町村に事業所等がある事業者のみです。内陸地域は対象外となりますのでご注意ください。
3. 最も重要な要件:「事業者の責に帰さない事由」
今回の最終公募では、対象者がさらに限定されています。具体的には、「事業者の責に帰さない事由によりこれまで復旧を行うことができなかった事業者」に限られます。
「事業者の責に帰さない事由」の具体例
・事業所の再建予定地で、海岸保全工事や区画整理事業などが長期間行われていたため、工事に着手できなかった。
・サプライチェーンの核となる取引先企業の復旧が遅れ、それに伴い自社の復旧計画も立てられなかった。
・その他、公的機関の事業等の影響で、自社の意思だけでは復旧を進められなかった場合など。
この「事由」については、後述する公募説明会で具体的に説明する必要があります。なぜこれまで復旧できなかったのか、その客観的な理由を明確に準備しておくことが不可欠です。
4. 公募説明会への参加
応募を希望する事業者は、原則として公募説明会への出席が必須となります。説明会の日時や申込方法は、岩手県の公式サイトで必ず確認してください。
補助対象経費
この補助金で対象となるのは、主に東日本大震災で被災した施設や設備の復旧にかかる費用です。
- 施設・建物の復旧費用:被災した工場、店舗、事務所などの修繕、建て替え費用
- 機械装置・設備の購入費用:被災により損壊・流失した生産設備、業務用機器などの購入・修繕費用
- 新分野需要開拓等事業:復興を機に、新たな分野への進出や需要開拓を目指す取り組みにかかる経費(別途計画書の提出が必要)
対象外となる経費の例
- 土地の取得費用
- 汎用性が高く、他の目的にも使用できるもの(パソコン、スマートフォン、車両など)の購入費用
- 消費税および地方消費税
- 従業員の人件費、旅費
※詳細は必ず公募要領でご確認ください。
申請方法・手順
申請は、定められた期間内に必要書類を提出することで行います。スケジュールが非常に重要ですので、締切日を厳守してください。
申請スケジュール
| 項目 | 期間・日時 |
|---|---|
| 公募期間全体 | 令和7年4月7日(月)~10月31日(金) |
| 第一次締切 | 令和7年6月6日(金)17時(必着)※受付終了 |
| 第二次締切 | 令和7年10月31日(金)17時(必着) |
必要書類一覧
提出書類は多岐にわたります。漏れがないよう、チェックリストを活用して準備を進めましょう。
- 中小企業等グループ復興事業計画認定申請書(様式第1号)
- 中小企業等グループ復興事業計画書(別紙1)
- 構成員別事業計画書(別紙2)※構成員ごとに作成
- 決算書(直近3期分)の写し
- 納税証明書(直近1年分:個人事業税、法人県民税・法人事業税)の写し
- 会社案内(提出可能な場合)
- 罹災証明書の写し(取得済みの場合)
- 見積書の写し等事業費の根拠を証する書類
- 被災前に施設・設備を所有していたことを証する書類(固定資産台帳など)
- 【商店街型の場合】商店街型事業計画書(別紙3)、所在市町村からの同意書
- 【新分野需要開拓等事業の場合】新分野需要開拓等事業計画書(別紙4)、認定経営革新等支援機関の確認書
提出方法
提出方法は、紙または電子ファイルです。押印は不要ですが、本人確認が行われます。
- 紙で提出する場合:一部の書類は電子ファイルでも提出が必要です。
- 電子ファイルで提出する場合:メール本文に事業者名、連絡先、書類名称を明記します。3営業日以内に受領連絡がなければ問い合わせが必要です。
提出先:
岩手県 商工労働観光部 経営支援課
〒020-8570 岩手県盛岡市内丸10-1
電子メールアドレス: AE0002@pref.iwate.jp
採択のポイント
最終公募であり、予算にも限りがあるため、審査は厳格に行われることが予想されます。以下のポイントを押さえた事業計画を作成しましょう。
1. 「責に帰さない事由」の明確な説明
なぜ今までの公募で申請できず、この最終公募で申請するに至ったのか。その理由(海岸保全工事の影響など)を、客観的な証拠(公的機関からの通知など)を交えて、誰が読んでも納得できるように具体的に記述することが最も重要です。
2. 復興事業計画の具体性と実現可能性
「何を」「いつまでに」「どのように」復旧・復興させるのかを具体的に示します。必要な資金計画、スケジュール、復旧後の事業見通しなどを詳細に記載し、計画が絵に描いた餅ではないことを証明する必要があります。見積書など、経費の根拠資料も重要です。
3. グループとしての連携と地域への貢献
なぜこのグループでなければならないのか、グループが一体となって復興することでどのような相乗効果が生まれるのかをアピールします。また、計画の実現が、地域の「産業活力の復活」「雇用の維持」にどう貢献するのかを明確に示しましょう。
よくある不採択理由
・対象要件(特に「責に帰さない事由」)を満たしていない。
・事業計画が曖昧で、具体性に欠ける。
・経費の積算根拠が不明確(見積書がない、内容が不十分など)。
・グループとしての連携の必要性が説明できていない。
・提出書類に不備や漏れがある。
よくある質問(FAQ)
Q1. 内陸部で被災した企業は対象になりますか?
A1. いいえ、対象となりません。本補助金の対象地域は、津波浸水地域を含む市町村のみに限定されています。
Q2. これまで復旧に着手できたのに申請していなかった場合、対象になりますか?
A2. いいえ、対象外となる可能性が高いです。今回は「事業者の責に帰さない事由によりこれまで復旧を行うことができなかった事業者」に限定されています。自己都合で申請していなかった場合は対象となりません。
Q3. 公募説明会への参加は必須ですか?
A3. はい、原則として出席が必須です。応募を検討している場合は、必ず日程を確認し、参加申し込みを行ってください。
Q4. 申請書類の押印は必要ですか?
A4. いいえ、不要です。ただし、提出時に身分証明書による確認や、電話による本人確認が行われます。
Q5. これが本当に最後の公募ですか?
A5. はい。岩手県の発表によると、第34次公募をもって、県における当該事業の公募は最後となります。
まとめ・行動喚起
今回は、岩手県の中小企業等グループ復興事業計画(グループ補助金)第34次公募について解説しました。これが事業再建に向けた最後の公的支援となる可能性がある事業者様も多いはずです。
重要ポイントの再確認
1. 今回が最終公募であること。
2. 対象者は「事業者の責に帰さない事由」がある場合に限られること。
3. 津波浸水地域の事業者のみが対象であること。
4. 公募説明会への参加が原則必須であること。
5. 第二次締切は令和7年10月31日(金)17時必着であること。
対象要件に合致する可能性のある事業者様は、まずは岩手県の公式サイトで公募説明会の詳細を確認し、参加することから始めてください。そして、県の担当課や商工団体など専門家の支援も受けながら、万全の準備で申請に臨みましょう。この最後のチャンスを活かし、事業復興への道を切り拓いてください。
お問い合わせ先
岩手県 商工労働観光部 経営支援課
〒020-8570 岩手県盛岡市内丸10-1
電話番号:019-629-5548
ファクス番号:019-629-5549
電子メールアドレス: AE0002@pref.iwate.jp