詳細情報
「年金の収入だけでは、日々の生活が少し厳しい…」と感じていらっしゃる方はいませんか?そんな年金受給者の生活を支えるために、国が設けているのが「年金生活者支援給付金」制度です。これは、普段受け取っている年金に上乗せして支給される給付金で、生活の大きな助けとなります。対象となる方には、障害等級に応じて最大で月額6,813円が支給される可能性があります。
この制度の大きな特徴は、手続きが非常に簡単なこと。対象となる方には日本年金機構から案内が届き、同封されている請求書(はがき)を返送するだけで手続きが完了します。この記事では、年金生活者支援給付金の対象者、具体的な金額、申請方法から注意点まで、どこよりも分かりやすく徹底的に解説します。ご自身が対象かどうかを確認し、大切な支援を受け取るための一歩を踏み出しましょう。
この記事でわかること
- 年金生活者支援給付金の3つの種類と目的
- あなたが給付金の対象者かどうかを確認する方法
- 具体的な給付金額と計算方法
- はがき1枚で完了する簡単な申請手順
- よくある質問と、知っておくべき注意点
年金生活者支援給付金の概要
まずは、年金生活者支援給付金がどのような制度なのか、基本から確認していきましょう。
| 制度概要 | |
|---|---|
| 正式名称 | 年金生活者支援給付金 |
| 実施組織 | 厚生労働省、日本年金機構 |
| 目的・背景 | 消費税率引き上げ分を活用し、公的年金等の収入や所得が一定基準額以下の年金受給者の生活を支援することを目的として、年金に上乗せして支給されます。 |
| 対象者の概要 | 老齢基礎年金、障害基礎年金、遺族基礎年金のいずれかを受給している方で、所得などの支給要件をすべて満たしている方。 |
3種類の給付金
年金生活者支援給付金は、受給している基礎年金の種類によって、以下の3つに分かれています。それぞれ支給要件や金額が異なります。
- 老齢年金生活者支援給付金:老齢基礎年金を受給している方向け
- 障害年金生活者支援給付金:障害基礎年金を受給している方向け
- 遺族年金生活者支援給付金:遺族基礎年金を受給している方向け
給付金額と計算方法
ここでは、それぞれの給付金でいくら受け取れるのか、具体的な金額と計算方法を詳しく見ていきましょう。金額は令和7年10月時点のものです。
1. 老齢年金生活者支援給付金
老齢基礎年金を受給している方の給付額は、月額5,450円を基準として、保険料の納付状況に応じて計算されます。具体的には、以下の(1)と(2)の合計額となります。
| 項目 | 計算式(月額) |
|---|---|
| (1) 保険料納付済期間に基づく額 | 5,450円 × 保険料納付済期間 ÷ 480月 |
| (2) 保険料免除期間に基づく額 | 11,551円 × 保険料免除期間 ÷ 480月 |
【計算例】保険料を40年間(480月)すべて納付済みの方の場合
(1) 5,450円 × 480月 ÷ 480月 = 5,450円
(2) 11,551円 × 0月 ÷ 480月 = 0円
合計:月額 5,450円
また、所得の逆転が生じないよう、所得が一定額を超える方には「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給される仕組みもあります。
2. 障害年金生活者支援給付金
障害基礎年金を受給している方の給付額は、障害等級によって決まります。
| 障害等級 | 給付額(月額) |
|---|---|
| 障害等級1級 | 6,813円 |
| 障害等級2級 | 5,450円 |
3. 遺族年金生活者支援給付金
遺族基礎年金を受給している方の給付額は、原則として月額5,450円です。ただし、2人以上の子が遺族基礎年金を受給している場合は、5,450円を子の人数で割った金額がそれぞれに支払われます。
【計算例】3人の子が遺族基礎年金を受給している場合(1人あたり)
5,450円 ÷ 3人 = 1,817円(月額)
対象者・条件(支給要件)
この給付金を受け取るためには、いくつかの要件をすべて満たす必要があります。ご自身が当てはまるか、ここでしっかりと確認してください。
1. 老齢年金生活者支援給付金の対象者
- 65歳以上で、老齢基礎年金を受給していること。
- 同一世帯の全員が、市町村民税非課税であること。
- 前年の公的年金等の収入金額とその他の所得との合計額が、以下の基準額以下であること。
- 昭和31年4月2日以後に生まれた方:909,000円以下
- 昭和31年4月1日以前に生まれた方:906,700円以下
2. 障害年金生活者支援給付金の対象者
- 障害基礎年金を受給していること。
- 前年の所得が4,794,000円以下であること。(扶養親族等の数に応じて増額されます)
3. 遺族年金生活者支援給付金の対象者
- 遺族基礎年金を受給していること。
- 前年の所得が4,794,000円以下であること。(扶養親族等の数に応じて増額されます)
【重要ポイント】所得計算の注意点
所得の判定において、障害年金や遺族年金などの非課税収入は含まれません。課税対象となる所得のみで計算されますので、ご注意ください。
申請方法・手順
年金生活者支援給付金の申請は、驚くほど簡単です。複雑な書類作成は一切ありません。
かんたん3ステップ申請
Step 1:封筒が届く
新たに支給対象となる方には、毎年9月頃から順次、日本年金機構から緑色の封筒で請求手続きのご案内が送付されます。
▼
Step 2:記入する
同封されている「年金生活者支援給付金請求書」(はがき型)に、氏名など必要事項を記入します。記入箇所はわずかです。
▼
Step 3:投函する
記入したはがきに切手を貼り、ポストに投函すれば手続きは完了です。
手続きのポイント
・原則として、お手続きいただいた月の翌月分から支給対象となります。案内が届いたら、なるべく早く手続きをしましょう。
・一度手続きをして受給が決定すれば、翌年以降も支給要件を満たしている限り、再度の手続きは原則不要です。
受給のポイントと注意点
確実に給付金を受け取るために、知っておきたいポイントと注意点をまとめました。
確実に受給するためのポイント
- 日本年金機構からの通知を見逃さない:毎年9月頃に届く案内が手続きのスタートです。郵便物は必ず確認しましょう。
- 請求書は速やかに提出する:提出が遅れると、その分受け取れる給付金の総額が減ってしまいます。
- 所得の申告を正しく行う:給付金の判定は市区町村に申告された所得情報に基づきます。住民税の申告などは正しく行っておきましょう。
給付金が支給されないケース
支給要件を満たしていても、以下のいずれかに該当する場合は給付金は支給されません。
- 日本国内に住所がないとき
- 年金が全額支給停止のとき
- 刑事施設等に拘禁されているとき
「給付金詐欺」にご注意ください!
重要:日本年金機構や厚生労働省の職員が、電話で家族構成や金融機関の口座番号・暗証番号を聞いたり、手数料などの金銭を要求したりすることは絶対にありません。不審な電話や訪問があった場合は、すぐに警察相談専用電話(#9110)や最寄りの年金事務所に連絡してください。
よくある質問(FAQ)
Q1. 私は対象になりますか?
A1. まずは、ご自身が「老齢基礎年金」「障害基礎年金」「遺族基礎年金」のいずれかを受給しているかをご確認ください。その上で、この記事の「対象者・条件」セクションで解説した所得や世帯の要件を満たしているかを確認します。最終的には日本年金機構が所得情報等をもとに判定し、対象となる方へ請求書を送付しますので、まずは案内が届くかどうかが一つの目安となります。
Q2. 給付金はいつ、どのように振り込まれますか?
A2. 給付金は、年金の支払いと同じく偶数月(2月、4月、6月、8月、10月、12月)の15日に、年金を受け取っているのと同じ口座に振り込まれます。年金とは別に振り込まれますが、同じ日に振り込まれると覚えておくと良いでしょう。
Q3. 請求書が届きません。どうすればいいですか?
A3. 請求書が届かない場合、前年の所得が基準額を超えているなど、支給要件を満たしていない可能性があります。ご自身の状況が不明な場合や、対象と思われるのに届かない場合は、下記の「給付金専用ダイヤル」またはお近くの年金事務所にお問い合わせください。
Q4. 去年はもらえましたが、今年は「不該当通知書」が届きました。なぜですか?
A4. 給付金の支給判定は毎年行われます。前年に比べてご自身の所得が増えたり、世帯員の所得状況が変わったりして支給要件を満たさなくなった場合、給付金は支給されなくなり、「不該当通知書」が送付されます。例えば、世帯に所得のあるお子さんが同居された場合などが考えられます。
Q5. 自分で字を書くのが難しいのですが、手続きはできますか?
A5. はい、可能です。ご病気や障害などで自筆での記入が困難な場合は、ご家族などが代筆することができます。ご本人の状況に合わせて、周りの方のサポートを受けながら手続きを進めてください。
まとめ:通知を見逃さず、速やかな手続きを
年金生活者支援給付金は、所得が一定基準以下の年金受給者の生活を支える、非常に重要な制度です。最後に、この記事の重要ポイントを振り返りましょう。
- 目的:所得の低い年金受給者の生活を支援するため、年金に上乗せして支給される。
- 対象者:老齢・障害・遺族の各基礎年金受給者で、所得などの要件を満たす方。
- 金額:老齢・遺族は月額5,450円が基準、障害は等級により月額5,450円または6,813円。
- 手続き:対象者には日本年金機構から案内が届くので、同封のはがきを返送するだけ。
ご自身が対象になるかもしれないと感じた方は、まずは日本年金機構からのお知らせを見逃さないようにしましょう。そして、請求書が届いたら、忘れないうちにすぐ手続きをすることが大切です。この制度を活用し、少しでもゆとりのある生活を送るための一助としてください。
お問い合わせ先
ご不明な点があれば、下記までお問い合わせください。
給付金専用ダイヤル(ナビダイヤル)
0570-05-4092
050から始まる電話でおかけになる場合は (東京) 03-5539-2216
<受付時間>
月曜日:午前8時30分~午後7時00分
火~金曜日:午前8時30分~午後5時15分
第2土曜日:午前9時30分~午後4時00分