詳細情報
「年金の収入だけでは、日々の生活が少し心もとない…」と感じている年金受給者の方へ。そのお悩みをサポートするため、国は「年金生活者支援給付金」という制度を設けています。これは、消費税率引き上げ分を活用し、所得が一定基準以下の方の年金に現金を上乗せして支給する、非常に心強い制度です。対象となる方には、月額最大6,813円が支給され、生活の大きな助けとなります。この記事では、ご自身が対象になるかの確認方法から、驚くほど簡単な申請手続き、注意点まで、どこよりも分かりやすく徹底的に解説します。この記事を読めば、年金生活者支援給付金のすべてが分かり、ご自身の暮らしに安心をプラスできます。
この記事のポイント
- 年金生活者支援給付金の3つの種類と対象者がわかる
- ご自身がいくらもらえるのか、具体的な金額と計算方法がわかる
- ハガキ1枚で完了する簡単な申請手続きの流れがわかる
- 給付金を受け取る上での注意点やよくある質問がわかる
年金生活者支援給付金とは?制度の概要をわかりやすく解説
まずは、年金生活者支援給付金がどのような制度なのか、基本的な部分から確認していきましょう。
制度の目的と背景
年金生活者支援給付金は、2019年10月1日の消費税率引き上げ(8%→10%)にあわせて開始された制度です。引き上げ分の税収を活用し、公的年金等の収入や所得額が一定基準額以下の年金受給者の生活を支援することを目的としています。つまり、年金だけでは生活が厳しい方を経済的にサポートするために、普段受け取っている年金にプラスして支給されるお金です。
実施組織
この制度は、厚生労働省が所管し、実際の支給手続きなどは日本年金機構が行っています。国が責任を持って運営している公的な制度なので、安心して利用できます。
3つの給付金の種類
年金生活者支援給付金は、受け取っている基礎年金の種類に応じて、以下の3つに分かれています。ご自身がどの年金を受け取っているかによって、対象となる給付金が決まります。
- 老齢年金生活者支援給付金:老齢基礎年金を受給している方向け
- 障害年金生活者支援給付金:障害基礎年金を受給している方向け
- 遺族年金生活者支援給付金:遺族基礎年金を受給している方向け
給付金額はいくら?種類別の支給額と計算方法
最も気になるのが「いくらもらえるのか」という点でしょう。ここでは、3つの給付金それぞれの金額と計算方法を詳しく見ていきます。(金額は令和7年10月時点のものです)
1. 老齢年金生活者支援給付金
老齢年金生活者支援給付金の額は、月額5,450円を基準として、国民年金の保険料を納めた期間に応じて計算されます。具体的には、以下の(1)と(2)の合計額となります。
(1) 保険料納付済期間に基づく額(月額) = 5,450円 × (保険料納付済期間 ÷ 480月)
(2) 保険料免除期間に基づく額(月額) = 11,551円 × (保険料免除期間 ÷ 480月)
【計算例】保険料を40年間(480月)すべて納付済みの方の場合
- (1) 5,450円 × (480月 ÷ 480月) = 5,450円
- (2) 11,551円 × (0月 ÷ 480月) = 0円
- 合計:月額 5,450円
ご自身の保険料納付期間は、年金証書や「ねんきんネット」で確認できます。また、所得が一定額を超える方には、所得の逆転が生じないように調整された「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給される場合があります。
2. 障害年金生活者支援給付金
障害年金生活者支援給付金は、障害基礎年金の等級に応じて金額が決まっています。
| 障害等級 | 給付額(月額) |
|---|---|
| 障害等級1級 | 6,813円 |
| 障害等級2級 | 5,450円 |
3. 遺族年金生活者支援給付金
遺族年金生活者支援給付金は、月額5,450円です。
【重要】ただし、遺族基礎年金を受け取っているお子さんが2人以上いる場合は、5,450円をお子さんの人数で割った金額が、それぞれに支給されます。
例:お子さん2人で受給する場合 → 5,450円 ÷ 2人 = 1人あたり 2,725円(月額)
あなたは対象?給付金を受け取れる人の詳細な条件
給付金を受け取るには、いくつかの要件をすべて満たす必要があります。ここでは、種類ごとに具体的な条件を見ていきましょう。
1. 老齢年金生活者支援給付金の支給要件
以下の3つの条件をすべて満たす必要があります。
- (1) 65歳以上の老齢基礎年金の受給者であること
- (2) 同一世帯の全員が市町村民税非課税であること
- (3) 前年の公的年金等の収入金額とその他の所得との合計額が一定額以下であること
– 昭和31年4月2日以後に生まれた方:909,000円以下
– 昭和31年4月1日以前に生まれた方:906,700円以下
2. 障害年金生活者支援給付金の支給要件
以下の2つの条件をすべて満たす必要があります。
- (1) 障害基礎年金の受給者であること
- (2) 前年の所得が4,794,000円以下であること(扶養親族の数に応じて増額されます)
3. 遺族年金生活者支援給付金の支給要件
以下の2つの条件をすべて満たす必要があります。
- (1) 遺族基礎年金の受給者であること
- (2) 前年の所得が4,794,000円以下であること(扶養親族の数に応じて増額されます)
【所得計算のポイント】
障害年金や遺族年金は非課税収入のため、この給付金の支給要件を判定する際の所得には含まれません。そのため、障害年金や遺族年金を受け取っている多くの方が対象となる可能性があります。
給付金の使い道について
この給付金は、特定の経費を補助する「補助金」とは異なり、年金受給者の生活を支援するための「給付金」です。そのため、使い道に制限はありません。食費、水道光熱費、家賃、医療費、趣味や交際費など、日々の生活の中で必要なことに自由に使うことができます。
申請はハガキ1枚で完了!簡単な手続きの流れ
年金生活者支援給付金の最大の魅力の一つは、手続きが非常に簡単であることです。複雑な書類作成は一切不要です。
ステップ1:日本年金機構から封筒が届く
新たに支給対象となる方には、日本年金機構から緑色の封筒で「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」が送られてきます。ご自身で「自分は対象かもしれない」と申請する必要はありません。まずはこの封筒が届くのを待ちましょう。(例年、9月頃から順次発送されます)
ステップ2:請求書(はがき型)に記入する
封筒の中に入っているはがき型の請求書を取り出します。記入するのは、お名前、請求日、電話番号など、わずか数カ所です。あらかじめ印字されている内容に間違いがないか確認し、必要事項を記入します。
ステップ3:ポストに投函する
記入が終わったら、はがきに切手を貼って、そのままポストに投函するだけです。これで申請手続きは完了です。
2年目以降の手続きは原則不要!
一度この手続きを行えば、翌年以降も引き続き支給要件を満たしている限り、自動的に支給が継続されます。毎年申請する必要がないので、とても便利です。
給付金を受け取るための重要ポイントと注意点
スムーズに給付金を受け取るために、いくつか知っておきたいポイントと注意点があります。
請求書が届いたら速やかに手続きを!
給付金は、原則として請求手続きを行った月の翌月分から支給が開始されます。手続きが遅れると、その分受け取れる総額が減ってしまう可能性があります。請求書が届いたら、忘れないうちにすぐに手続きを済ませましょう。
支給が停止されるケース
以下のいずれかに該当した場合、給付金は支給されません。該当する場合は届出が必要になることもあるため、年金事務所に相談してください。
- 日本国内に住所がないとき
- 年金(老齢・障害・遺族基礎年金)が全額支給停止になっているとき
- 刑事施設等に拘禁されているとき
「年金生活者支援給付金」をかたる詐欺に注意!
非常に重要な注意点です。厚生労働省や日本年金機構の職員を名乗り、「給付金の手続きで必要」などと言って、電話で口座番号や暗証番号を聞き出したり、手数料の振込を要求したりする悪質な詐欺が発生しています。
公的機関が電話で口座番号や暗証番号を聞いたり、手数料を求めることは絶対にありません。不審な電話や訪問があった場合は、すぐに相手にせず、警察相談専用電話(#9110)や最寄りの年金事務所に相談してください。
よくある質問(FAQ)
Q1: 給付金の対象になるか自分で確認する方法はありますか?
A1: 最も確実なのは、日本年金機構から請求書が届くかどうかで判断することです。もしご自身で確認したい場合は、この記事で紹介した「支給要件」と、ご自身の世帯の課税状況や前年の所得額を照らし合わせてみてください。不明な点は、給付金専用ダイヤルに問い合わせることも可能です。
Q2: 請求書(はがき)をなくしてしまいました。どうすればいいですか?
A2: 給付金専用ダイヤルまたはお近くの年金事務所にご連絡ください。再発行の手続きについて案内してもらえます。
Q3: 給付金はいつ振り込まれますか?
A3: 給付金は、年金の支払と同じタイミングで、同じ口座に振り込まれます。年金は偶数月の15日に前月までの2ヶ月分が支払われるため、給付金も同様に2ヶ月分がまとめて振り込まれます。
Q4: 途中で所得が増えて要件を満たさなくなったらどうなりますか?
A4: 毎年の所得情報に基づき、支給要件の判定が行われます。所得が増えるなどして要件を満たさなくなった場合は、給付金の支給は止まります。その際には、日本年金機構から「年金生活者支援給付金不該当通知書」が送付されます。
Q5: 自分で字が書けないのですが、代理で申請できますか?
A5: はい、可能です。病気や障害などでご本人が自筆で記入することが困難な場合は、ご家族などが代筆して手続きを行うことができます。
Q6: この給付金は課税対象ですか?
A6: いいえ、年金生活者支援給付金は非課税です。所得税や住民税の対象にはなりませんので、ご安心ください。
まとめ:対象の方は忘れずに手続きを
今回は、年金受給者の生活を支える「年金生活者支援給付金」について詳しく解説しました。
【重要ポイントの再確認】
- 老齢・障害・遺族基礎年金の受給者で、所得などの要件を満たす方が対象。
- 給付額は月額5,450円が基準(障害1級は6,813円)。
- 対象者には日本年金機構から請求書(はがき)が自動で送られてくる。
- 手続きは、届いたはがきに記入してポストに投函するだけと非常に簡単。
- 手続きが遅れると支給開始も遅れるため、請求書が届いたら速やかに提出する。
この制度は、対象となる方にとっては、申請しないと損をしてしまう貴重な支援です。ご自身やご家族が対象になる可能性がある場合は、日本年金機構からのお知らせを見逃さないようにしましょう。もし請求書が届いたら、それはあなたが給付金を受け取る権利があるというサインです。忘れずに手続きを行い、日々の暮らしに役立ててください。
お問い合わせ先
ご不明な点があれば、下記までお問い合わせください。
給付金専用ダイヤル
ナビダイヤル: 0570-05-4092
050から始まる電話でおかけになる場合: (東京) 03-5539-2216