広島県トラック運送事業者の人手不足対策加速事業支援金とは?
広島県では、物価高騰や深刻な人手不足に直面する県内の中小トラック運送事業者を支援するため、「トラック運送事業者の人手不足対策加速事業支援金」制度を創設しました。2024年問題や改正物流法への対応に不可欠なDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進し、賃上げ原資となる適正運賃の確保や物流の効率化を目指す事業者を後押しします。この記事では、制度の概要から対象システム、申請方法までを分かりやすく解説します。
支援金の概要
まずは支援金のポイントが一目でわかるように、概要を表にまとめました。
| 制度名 | トラック運送事業者の人手不足対策加速事業支援金 |
|---|---|
| 実施団体 | 広島県 |
| 対象者 | 広島県内に事業所を置く中小トラック運送事業者 |
| 支援金額 | 単独型:最大150万円 複数者連携型:最大360万円/グループ |
| 補助率 | 1/3、1/2、2/3(申請形態による) |
| 申請期間 | 令和7年8月1日(金) ~ 令和8年1月30日(金) 必着 |
| 公式サイト | 広島県トラック協会 特設サイト |
※申請は予算の上限に達し次第、受付終了となります。最新の申請状況は公式サイトでご確認ください。
誰が対象?支援対象者の詳細
本支援金の対象となるのは、以下の条件を満たす事業者です。
- 広島県内に本社、支社、本店、支店又は営業所等を置く中小トラック運送事業者。
- 一般貨物自動車運送事業及び特定貨物自動車運送事業の営業許可を受けていること。
- 資本金の額又は出資の総額が3億円以下、又は常時使用する従業員の数が300人以下であること。
- 主に、広島県内に登録している営業用貨物自動車保有台数が50両以下の事業者。
- 保有台数が51両以上の事業者については、50両以下の事業者とグループでDX推進を行う場合に限り対象となります。
どんな経費が対象?支援内容と対象システム
適正な運賃の収受や物流の効率化など、改正物流法への対応を目的として導入するDX関連システムの経費が支援対象です。具体的には以下の4つの事業に該当するシステム導入が対象となります。
対象となる事業内容
- 経営の可視化:原価管理、労務管理、運行別の売上・粗利分析など、データを可視化し荷主交渉や経営改善に繋げるシステム。
- 下請構造の可視化:実運送体制管理簿の作成に必要な情報(請負階層など)を適切に管理するシステム。
- 輸配送の効率化:協力会社と連携した輸送網の集約や共同配送などを実現するシステム。
- その他:上記以外で、協会が改正物流法への対応に必要と認めたシステム。
対象経費の詳細
- システム導入費:ソフトウェア、情報システムの購入・構築・利用料。デジタル式運行記録計(デジタコ)やサーバー等のハードウェアも、専らDX推進に使用される場合に限り対象です。
- 導入関連費:初期設定、運用・保守サポート費用、クラウドサービス利用料、ルーター使用料、プロバイダ契約料、通信料(当年度分に限る)など、システム導入に伴う付随的経費。
いくらもらえる?支援金額と補助率
支援金額は、事業者が単独で導入するか、複数者で連携して導入するかによって異なります。
1. 1者単独で導入する場合(単独型)
- 補助率:導入経費(税抜)の1/3
- 支援上限額:最大100万円
- 特例:デジタル式運行記録計等の車載器を21台以上導入する場合、最大150万円まで上限が引き上げられます。(30台以上で150万円)
2. 複数事業者のグループで導入する場合(複数者連携型)
- 支援上限額:1グループあたり最大360万円(導入経費の上限540万円)
- 補助率:
- 車両保有台数50両以下の事業者:導入経費(税抜)の2/3
- 車両保有台数51両以上の事業者:導入経費(税抜)の1/2
申請のための6つの必須条件
本支援金を受給するには、以下の6つの条件をすべて満たす必要があります。
- 令和7年7月に開催された「物流DX推進セミナー」を受講していること。
※注意:公式サイトによると、本セミナーは全会場で定員に達し、受付を終了しています。申請には受講証明書が必須となります。 - DX推進に係る「システム導入計画書」を策定すること。
- 広島県求人情報サイト「ひろしまワークス」に求人情報を掲載すること。
- 広島県が今後実施するトラック運送事業者支援策に関するアンケート調査に協力すること。
- 上記アンケート調査の結果及び支援対象事業の実績の公開に承諾すること。
- システムの契約・発注が令和7年4月以降であること。
申請手続きと必要書類
申請は郵送にて行います。期間内に必着となるよう、余裕をもって準備を進めましょう。
- 受付期間:令和7年8月1日(金) ~ 令和8年1月30日(金) 必着
- 申請方法:郵送
- 主な必要書類:
- 支援金交付申請書兼誓約書(別記様式第1号)
- システム導入計画書(別紙1)
- システム導入内訳書(別紙2)
- デジタル式運行記録計等の車載器導入内訳書(別紙2-2 ※該当する場合)
- 物流DX推進セミナーの受講証明書
- 書類ダウンロード:申請書類は公式サイトからダウンロードできます。
導入システムの具体例(セミナー紹介製品)
「どんなシステムを導入すれば良いかわからない」という方のために、物流DX推進セミナーで紹介された製品の一部をご紹介します。
| 企業名 | 主な製品・サービス |
|---|---|
| 株式会社TUMIX | 勤怠労務管理「TUMIXコンプラ」、配車請求管理「TUMIX配車計画」 |
| 株式会社 NPシステム開発 | デジタコ・運行管理システム「Web地球号®」、AI点呼システム™ |
| 株式会社タイガー | スマホ日報「モバレポ」、総合管理システム「トラックメイトPro5」 |
| 株式会社デンソーソリューション | クラウド型運行支援サービス「ITP-webserviceV3」、自動点呼システム「BSS」 |
| メルコモビリティーソリューションズ株式会社 | デジタル式運行記録計、クラウド型運行支援サービス |
| 株式会社東計電算 | 運行管理システム「TRUSTAR」、販売管理システム「轟」 |
| 株式会社ナブアシスト | クラウド型点呼支援システム「点呼+」 |
まとめ
「トラック運送事業者の人手不足対策加速事業支援金」は、広島県の運送事業者が直面する課題をDXの力で乗り越えるための強力な支援策です。申請にはセミナー受講が必須条件となっている点に注意が必要ですが、条件を満たす事業者にとっては、経営改善と競争力強化の大きなチャンスとなります。申請期間は令和8年1月30日までですが、予算には限りがあるため、早めの情報収集と計画策定をおすすめします。まずは公式サイトで詳細を確認し、自社の課題解決に繋がるDX導入を検討してみてはいかがでしょうか。
お問い合わせ先
トラック運送事業者の人手不足対策加速事業支援金センター
〒733-0032 広島市西区東観音町1-24 P&P平和大通りビル2F
電話: (082)232-3380 / FAX: (082)297-7751
対象者・対象事業
広島県内に本社、支社、本店、支店又は営業所等を置く中小トラック運送事業者(資本金3億円以下又は従業員300人以下)。主に営業用貨物自動車保有台数50両以下の事業者。51両以上の事業者は、50両以下の事業者とグループでDX推進を行う場合に限り対象。
必要書類(詳細)
・支援金交付申請書兼誓約書(別記様式第1号)
・システム導入計画書(別紙1)
・システム導入内訳書(別紙2)
・デジタル式運行記録計等の車載器導入内訳書(別紙2-2 ※該当する場合)
・物流DX推進セミナーの受講証明書
※その他、要綱で定められた書類が必要になる場合があります。
対象経費(詳細)
改正物流法への対応のために導入するシステムに要する経費(システム導入費及び導入関連費)。
【システム導入費】専用ソフトウェア・情報システム等の購入・構築・利用費、DX推進に専ら使用されるハードウェア(デジタコ、サーバー等)購入費。
【導入関連費】初期設定、運用・保守サポート費、クラウドサービス利用料、ルーター使用料、プロバイダ契約料、通信料(当年度分に限る)等。