令和7年度「被災者支援総合交付金」とは?
復興庁は、令和7年度の「被災者支援総合交付金」として、第1回配分額総額約69億円を被災3県(岩手・宮城・福島)をはじめとする38自治体および1団体に交付することを発表しました。この交付金は、東日本大震災からの復興が進む中で生じる、被災者の見守り、心身のケア、住宅・生活再建の相談支援、コミュニティ形成といった重要な課題に対応するための取り組みを総合的に支援するものです。
【重要】事業者・団体の方へ
この交付金は、国から地方自治体等へ交付されるものです。NPO法人や事業者の皆様が支援を受けるためには、各自治体がこの交付金を活用して実施する個別の補助金や委託事業に応募する必要があります。お住まいの自治体のウェブサイト等で関連事業の公募情報を必ずご確認ください。
交付金の概要
制度名 | 令和7年度 被災者支援総合交付金 |
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実施機関 | 復興庁 |
交付対象 | 被災3県(岩手県、宮城県、福島県)をはじめとする地方公共団体、および被災者支援を行うNPO法人等 |
交付額(第1回) | 総額 68.6億円 |
公募期間 | 各自治体が実施する事業ごとに設定されます。 |
支援対象となる主な事業内容
この交付金は、以下の8つの主要な事業を通じて、被災者の多様なニーズに応えます。
- ① 被災者支援総合事業 (30.8億円)
住宅・生活再建、コミュニティ形成、「心の復興」、県外避難者支援など、多岐にわたる支援を包括的に実施します。 - ② 被災者見守り・相談支援事業 (15.0億円)
相談員による日常的な見守りや相談支援体制を支援します。 - ⑤ 被災者の心のケア支援事業 (12.4億円)
専門家による個別相談や支援者へのサポートなどを通じて、被災者の心のケアを支えます。 - ⑥ 被災した子どもの健康・生活対策等総合支援事業 (8.3億円)
子育て家庭への訪問、遊び場の確保、震災で親を亡くした子どものケアなどを支援します。 - その他の事業
仮設住宅サポート、健康支援、学習支援など、復興段階に応じたきめ細やかな支援事業が含まれます。
具体的な事業例
実際に各自治体でどのような事業が展開されているか、過去の事例を見てみましょう。
コミュニティ形成支援の例
宮城県石巻市では、住民自治組織の設立や課題解決をサポートする「地域づくりアドバイザー」を派遣し、住民への助言や提言を行っています。これにより、移転後の新たなコミュニティ形成を円滑に進めることを目指します。
「心の復興」事業の例
宮城県東松島市の「花の香るまちづくり事業」では、被災者が地域住民と協働で花を植える活動を通じて、一体感や充実感を共有し、孤立化の防止や新たな友人づくりに繋げています。
県外避難者支援の例
福島県では、県外へ避難している方々が身近な場所で相談できるよう、全国26か所に「生活再建支援拠点」を設置。帰還や生活再建に向けた相談支援や、福島の復興に関する情報提供を行っています。
申請を検討する方へのステップ
被災者支援に取り組むNPO法人や事業者が、この交付金を活用した支援を受けるための一般的な流れは以下の通りです。
- Step 1: 自治体の情報収集
事業所が所在する都道府県や市町村のウェブサイト、広報誌などを定期的に確認し、「被災者支援総合交付金」を活用した補助金や委託事業の公募情報を探します。 - Step 2: 公募要領の確認
公募が見つかったら、対象となる事業内容、補助対象経費、申請要件などの詳細を公募要領で熟読します。 - Step 3: 事業計画の策定と申請
公募要領に基づき、事業計画書や必要書類を作成し、指定された期間内に申請手続きを行います。 - Step 4: 審査・採択
自治体による審査を経て、採択が決定されると事業を開始できます。
まとめ
「被災者支援総合交付金」は、被災地の復興を長期的に支えるための重要な制度です。被災者の生活再建や心のケアに貢献したいとお考えの事業者や団体の皆様は、この機会を活かすため、ぜひお住まいの自治体の公募情報にご注目ください。地域に根差したきめ細やかな支援活動が、復興をさらに前進させる力となります。