【2025年度版】東京都のマンション防災力強化を支援!「東京とどまるマンション」関連補助金を徹底解説
東京都では、災害による停電時でも自宅での生活を継続できるマンションを「東京とどまるマンション」として登録し、その普及を促進しています。この制度に登録したマンションを対象に、防災対策を強力に後押しする複数の補助金が用意されています。この記事では、2025年度(令和7年度)に実施される「東京とどまるマンション」関連の補助金について、防災備蓄品の購入から非常用電源の設置まで、その内容、補助額、申請方法を分かりやすく解説します。
この記事のポイント
- 「東京とどまるマンション」登録が補助金活用の前提条件
- 簡易トイレや発電機などの防災備蓄品購入に最大100万円を補助
- 非常用電源や太陽光発電設備の大規模な設備導入に最大3,000万円を補助
- 事業ごとに申請期間や要件が異なるため注意が必要
- マンションの防災力を高め、資産価値向上にも繋がるチャンス
そもそも「東京とどまるマンション」とは?
補助金の詳細を見る前に、まず前提となる「東京とどまるマンション情報登録・閲覧制度」について理解しておく必要があります。これは、災害時にライフラインが停止しても、住民が自宅での生活を続けられるように対策を講じたマンションを東京都が登録・公表する制度です。
登録には、以下の2つの基準(片方または両方)を満たす必要があります。
- ハード対策:停電時でも給水ポンプやエレベーターを動かせる非常用電源(発電機、蓄電池など)が設置されていること。
- ソフト対策:防災マニュアルを策定し、防災訓練の実施や備蓄品の確保などの防災活動を行っていること。
今回ご紹介する補助金は、この「東京とどまるマンション」に登録していることが申請の必須条件となります。まだ登録されていないマンションは、まず登録申請から始めましょう。
補助金は大きく分けて2種類!目的別に解説
「東京とどまるマンション」向けの補助金は、大きく分けて以下の2つの事業に分類されます。
- 普及促進事業:簡易トイレや発電機など、防災備蓄資器材の購入を支援
- 導入促進事業:非常用電源や浸水対策設備など、大規模な設備の設置を支援
それぞれの詳細を見ていきましょう。
1. 東京とどまるマンション普及促進事業(防災備蓄品の購入)
こちらは、比較的導入しやすい防災備蓄資器材の購入費用を補助する制度です。災害時の生活継続に不可欠なアイテムを揃える絶好の機会です。
補助対象者
「東京とどまるマンション」に登録している分譲マンションの管理組合や賃貸マンションの所有者等。
補助額と補助率
この事業には「通常分」と、より手厚い支援が受けられる「地域連携分」があります。
| 区分 | 補助率 | 上限額 | 主な要件 |
|---|---|---|---|
| 通常分 | 2/3 | 66万円 | 購入した資器材を活用した防災訓練の実施 |
| 地域連携分 | 10/10 | 100万円 | 町会等と連携し、合同防災訓練を実施すること |
※消費税、地方消費税、送料は補助対象外です。
対象となる防災備蓄資器材
補助の対象となるのは、初期消火、救出・救護、情報連絡、生活継続に必要な資器材です。以下に主な例を挙げます。
- スタンドパイプ
- 階段避難車
- 救急セット
- AED
- ヘルメット
- トランシーバー
- ラジオ
- 簡易トイレ
- エレベーター用防災キャビネット
- 給水タンク
- 炊き出し器
- 発電機(ポータブル等)
- 蓄電池(ポータブル等)
- 投光器
- 太陽光パネル(蓄電池用)
※1品あたりの単価が税抜き1,000円未満のものは対象外です。
※設置工事を伴う据置型の発電機、蓄電池、太陽光パネルは対象外(後述の導入促進事業の対象となります)。
2. 設備導入促進事業(非常用電源・浸水対策)
こちらは、マンション全体の防災機能を抜本的に向上させるための、より大規模な設備導入を支援する制度です。既存マンションが対象で、新築は除きます。
A. 非常用電源・太陽光発電設備及びV2X設備導入促進事業
停電時でもエレベーターや給水ポンプを稼働させるための強力な電源設備導入を支援します。
| 設備の種類 | 補助率 | 上限額 |
|---|---|---|
| 発電機 | 1/2 | 1,500万円 |
| 蓄電池 | 3/4 | 18.8万円/kWh または 1,316万円のいずれか小さい方 |
| 太陽光発電設備・V2X設備 | 3/4 | 合計で3,000万円 |
B. 浸水対策設備導入促進事業
浸水想定区域等にあるマンションが、非常用電源などを水害から守るための設備改修を支援します。
- 補助率: 1/2
- 上限額: 75万円(改修費用と調査・企画費用の合計)
- 対象設備: 止水板、防水扉、防水シャッター、逆流防止弁など
申請期間と手続きの流れ
各事業で申請期間が異なりますので、十分ご注意ください。予算額に達した時点で受付終了となるため、早めの準備が重要です。
重要:申請前の注意点
交付決定通知を受け取る前に購入・契約した物品や工事は、補助の対象外となります。必ず申請を行い、都からの交付決定通知書が届いてから事業に着手してください。
申請受付期間
- 普及促進事業(防災備蓄品)
- 通常の場合:令和7年5月7日(水)~ 令和7年12月25日(木)
- 町会等と連携する場合:令和7年5月7日(水)~ 令和7年12月15日(月)
- 導入促進事業(設備導入)
- 令和7年7月1日(火)~ 令和8年1月15日(木)
申請方法
申請は以下のいずれかの方法で行います。詳細は必ず公式の「手引き」をご確認ください。
- 電子メール
- 郵送
- 窓口持参
【申請・問い合わせ先】
東京とどまるマンション 補助金受付事務局
(公益財団法人 東京都防災・建築まちづくりセンター)
〒160-8353 東京都新宿区西新宿七丁目7番30号 小田急西新宿O-PLACE 2階
TEL: 03-5989-1547
まとめ
東京都の「東京とどまるマンション」関連補助金は、マンションの防災対策を経済的に支援する非常に有効な制度です。備蓄品の充実はもちろん、非常用電源の導入といった大規模な改修まで、幅広いニーズに対応しています。
まずはご自身のマンションが「東京とどまるマンション」に登録されているかを確認し、未登録であれば登録手続きを進めましょう。その上で、管理組合内で必要な対策を検討し、これらの補助金を最大限に活用して、災害に強く、安心・安全な住環境を実現してください。
対象者・対象事業
「東京とどまるマンション」に登録している分譲マンションの管理組合や賃貸マンションの所有者等
必要書類(詳細)
【普及促進事業】
・補助金交付申請書(第1号様式)
・合同防災訓練計画書(第2号様式)※地域連携分の場合
・委任状(参考様式)※該当する場合
・その他、手引きに記載の添付書類
【設備導入促進事業】
・補助金交付申請書(第1号様式)
・確認書(第6号様式)
・委任状(参考様式)※該当する場合
・その他、要綱の別表に定める添付書類
対象経費(詳細)
【普及促進事業】
防災備蓄資器材の購入費(スタンドパイプ、階段避難車、救急セット、AED、簡易トイレ、エレベーター用防災キャビネット、発電機、蓄電池など)
【設備導入促進事業】
・非常用電源(発電機、蓄電池)、太陽光発電設備、V2X設備の設置にかかる費用(製品購入費、工事費等)
・浸水対策設備(止水板、防水扉等)の設置にかかる費用(製品購入費、原材料費、運搬費、工事費)および調査・企画費用