東京都内でカーシェアリングやレンタカー事業を運営されている事業者様へ朗報です。東京都では、環境に配慮した電気自動車(EV)や燃料電池自動車(FCV)などのZEV(ゼロエミッションビークル)導入にかかる費用を大幅に補助する「シェアリング・レンタル用車両ZEV化促進事業」を実施しています。この記事では、制度の概要から補助金額、申請方法まで、専門家が分かりやすく徹底解説します。
シェアリング・レンタル用車両ZEV化促進事業とは?
本事業は、東京都が自動車から排出される二酸化炭素の削減を目的として、カーシェアリング・レンタカー事業者がEV、PHEV、FCV、電動バイクを導入する際の車両購入費用の一部を助成する制度です。国の補助金では対象外となることが多い「車両本体の購入費」が対象となる、非常に魅力的な補助金です。
補助金概要(早見表)
項目 | 内容 |
---|---|
補助対象者 | 都内に事業所を持つカーシェア・レンタカー事業者、リース事業者など |
補助対象車両 | 電気自動車(EV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)、燃料電池自動車(FCV)、電動バイク |
補助額 | 最大215万円(FCV、R7/4/1以降登録分) ※車種や給電機能の有無、メーカー等により変動 |
申請期限 | 【わナンバー】令和8年3月31日(火) 17:00 【わナンバー以外】令和7年12月31日(水) 17:00 |
実施機関 | 公益財団法人東京都環境公社(クール・ネット東京) |
【重要】令和6年度からの変更点
令和6年4月1日以降に新規登録されるリース車両の申請者が、リース会社(所有者)から車両の使用者(ユーザー)に変更されました。これにより、レンタカー事業者様が直接申請を行う形となりますのでご注意ください。(令和6年3月31日以前の登録車両は従来通りリース会社が申請者です)
補助対象者と車両の要件
対象となる事業者
- 東京都内に事務所・事業所を有する法人・個人事業主
- 東京都内の区市町村
- 道路運送法におけるカーシェアリング事業者又はレンタカー事業者
- バイクシェアリング事業者、レンタルバイク事業者
- 上記事業者とリース契約を締結しているリース事業者(※ただし、令和6年4月1日以降登録車両はリース借主からの申請のみ)
対象となる車両の主な要件
- 初度登録日において、経済産業省の「クリーンエネルギー自動車導入促進補助金(CEV補助金)」の対象であること。
- 車検証の「使用の本拠の位置」が東京都内であること。
- カーシェアリング、レンタカー、バイクシェアリング、レンタルバイク事業用の車両であること。
- (わナンバー以外の場合)助成対象車両を2台以上導入すること。
気になる補助金額の詳細
補助額は、車両の種類や機能、メーカー、登録年度によって細かく設定されています。ここではその算出方法を解説します。
(1) 基本補助額(車両)
給電機能(外部へ電力を供給できる機能)の有無で補助額が変わります。
令和7年度助成(令和7年4月1日以降の登録分)
車両区分 | 給電機能 有り | 給電機能 無し |
---|---|---|
EV・PHEV | 50万円 | 40万円 |
FCV | 215万円 | 205万円 |
※令和6年度(R7/3/31までの登録分)の補助額は異なります。詳細は公式サイトをご確認ください。
(2) 自動車メーカー別の上乗せ補助額
特定の自動車メーカーの車両を導入する場合、基本補助額に最大10万円が上乗せされます。対象メーカーには、トヨタ、日産、三菱、テスラ、フォルクスワーゲンなどが含まれます。
(3) 充電設備導入による上乗せ
車両導入に合わせて、都の別の補助金を利用して充電設備等を導入する場合、車両1台につき最大10万円がさらに上乗せされます。(車両登録日が令和6年4月1日以降の場合のみ)
設置する設備 | 上乗せ額 |
---|---|
充放電設備(V2B) | 10万円 |
公共用急速充電設備 | 10万円 |
公共用普通充電設備 | 5万円 |
(4) 高額車両の場合
車両本体価格(税抜)が840万円以上の高額車両については、上記(1)~(3)の合計額に0.8を乗じた額が最終的な補助額となります。
申請手続きの流れと注意点
申請方法は「わナンバー」と「わナンバー以外」で大きく異なります。特に注意が必要なのは、「わナンバー以外」の車両は車両購入・契約前の事前申請が必須である点です。
申請フロー(わナンバー以外の場合)
- Step 1: 交付申請
車両を発注する前に、オンラインまたは郵送で申請書類を提出します。 - Step 2: 交付決定
クール・ネット東京による審査後、「交付決定通知書」が届きます。 - Step 3: 車両の発注・購入・登録
交付決定を受けてから、車両の発注、購入、初度登録を行います。 - Step 4: 実績報告
初度登録完了後、30日以内に実績報告書を提出します。 - Step 5: 補助金受領
実績報告の審査後、「交付額確定通知書」が届き、指定口座に補助金が振り込まれます。
申請はオンライン申請が推奨されています。Grafferアカウントを作成すると、申請内容の一時保存などが可能になり便利です。
よくある質問 (Q&A)
Q1. 国の補助金(CEV補助金など)と併用できますか?
はい、国のCEV補助金と併用可能です。ただし、他の東京都が実施する同種の補助金(車両本体を対象とするもの)との重複受給はできません。
Q2. 補助金で中古車は購入できますか?
いいえ、対象は新車のみです。中古車や新古車は対象外となります。
Q3. 補助金を受けた車両は、すぐに売却できますか?
いいえ、補助金を受けた車両には処分制限期間(普通車4年、軽自動車・バイク3年)が設けられています。この期間内に売却や廃車などを行う場合は、事前の承認と経過期間に応じた補助金の返還が必要になる場合があります。
まとめ
東京都の「シェアリング・レンタル用車両ZEV化促進事業」は、レンタカーやカーシェア事業者が環境対応車両を導入する上で、非常に強力な支援制度です。国の補助金と併用することで、導入コストを大幅に削減し、事業の競争力強化と脱炭素化を同時に実現できます。
特に「わナンバー以外」の車両は購入前の事前申請が必須となるため、計画的な準備が成功のカギとなります。申請期限を確認し、早めに準備を進めましょう。