詳細情報
重症心身障害児や医療的ケア児を在宅で介護するご家族にとって、休息時間は非常に重要です。東京都では、そのようなご家族を支援するため、「重症心身障害児等在宅レスパイト・就労等支援事業」を実施しています。この事業を利用することで、看護師による医療的ケアを自宅で受けられ、介護者の負担を軽減し、リフレッシュや就労を支援します。最大288時間まで利用可能で、ご家族の状況に合わせて柔軟に活用できます。
東京都重症心身障害児等在宅レスパイト・就労等支援事業の概要
正式名称:東京都重症心身障害児等在宅レスパイト・就労等支援事業
実施組織:東京都(事業は社会福祉法人全国重症心身障害児(者)を守る会に委託)
目的・背景:在宅で重症心身障害児や医療的ケア児を介護する家族の介護負担を軽減し、家族の一時的な休息(レスパイト)や就労を支援することを目的としています。高齢化や核家族化が進む現代において、在宅介護の負担は増大しており、介護者の心身の健康を維持するためにも、このような支援が不可欠です。
対象者の詳細:東京都内在住で、在宅で介護を受けている重症心身障害児(者)または医療的ケア児が対象です。年齢や障害の程度によって条件が異なりますので、詳細は後述の「対象者・条件」をご確認ください。
事業内容
- 在宅重症心身障害児(者)等訪問事業:看護師が自宅を訪問し、看護技術の指導や療育相談を行います。必要に応じて専門医による訪問健康診査も実施されます。
- 在宅療育相談事業:在宅療育支援員が、入院中の重症心身障害児(者)のご家族との面談や相談支援を行います。退院後の療育環境を整えるための病院スタッフや保健師との連携も行います。
- 訪問看護師等育成研修事業:重症心身障害児及び医療的ケア児の訪問看護人材育成のため、訪問看護ステーション等の看護師を対象に研修会や訪問実習を実施します。
- 在宅療育支援地域連携事業:在宅で生活する重症心身障害児(者)及び医療的ケア児の療育環境向上のため、支援に関わる関係機関の連携を推進します。
助成金額・補助率
この事業は、利用時間に応じて助成が行われます。具体的な金額は、お住まいの自治体や所得状況によって異なりますが、訪問看護サービスの利用料の一部が助成される形となります。
利用時間:1年度あたり最大288時間まで
利用時間単位:1回あたり2時間~4時間(30分単位で調整可能)
注意:具体的な助成金額や補助率については、お住まいの区市町村の障害福祉課にお問い合わせください。
対象者・条件
以下の条件をすべて満たす方が対象となります。
- 東京都内に住所を有すること
- 在宅で家族等による介護を受けて生活していること
- 訪問看護サービスによる医療的ケアを受けて生活していること
- 以下のいずれかに該当すること
- 18歳未満:医療的ケアが必要な児童(詳細は後述)
- 18歳以上:18歳までに重度の知的障害(愛の手帳1・2度程度)と重度の肢体不自由(身体障害者手帳1・2級程度で自ら歩行ができない)を有するに至った障害者
医療的ケアの定義:
- 人工呼吸器管理
- 気管内挿管、気管切開
- 鼻咽頭エアウェイ
- 酸素吸入
- 6回/日以上の頻回の吸引
- ネブライザー6回/日以上又は継続使用
- 中心静脈栄養(IVH)
- 経管(経鼻・胃ろう含む)
- 腸ろう・腸管栄養
- 継続する透析(腹膜灌流を含む)
- 定期導尿(3回/日以上)
- 人工肛門
補助対象経費
補助対象となるのは、訪問看護ステーションから派遣される看護師による医療的ケア等の費用です。具体的には、以下のものが含まれます。
- 呼吸管理
- 栄養管理
- 排泄管理
- 体位交換
- その他、療養上の世話
対象外経費:調理、洗濯などの家事援助や、入浴、外出に伴う介護は対象外となります。
申請方法・手順
申請は、お住まいの区市町村の障害福祉課で行います。以下の手順で申請を進めてください。
- 事前相談:まずはお住まいの区市町村の障害福祉課に電話または窓口で相談し、事業の概要や申請に必要な書類について確認してください。
- 申請書類の準備:以下の書類を準備します。
- 申請書(区市町村の窓口で入手)
- 医師の指示書(訪問看護指示書の写しなど)
- 身体障害者手帳または愛の手帳の写し
- その他、区市町村が指定する書類
- 申請:必要書類を揃えて、区市町村の障害福祉課に申請します。
- 審査:区市町村が申請内容を審査し、利用の可否を決定します。
- 利用決定:利用が決定した場合、利用決定通知書が送付されます。
- 訪問看護ステーションとの契約:利用決定通知書を持って、利用を希望する訪問看護ステーションと契約を結びます。
- サービス利用開始:契約した訪問看護ステーションから看護師が派遣され、サービスが開始されます。
申請期限:申請は随時受け付けていますが、年度ごとに利用時間の上限が設定されているため、早めの申請をおすすめします。
採択のポイント
この事業は、対象要件を満たしていれば基本的に利用できますが、申請書類の不備や情報不足があると、審査に時間がかかったり、利用開始が遅れることがあります。以下の点に注意して申請書類を作成しましょう。
- 申請書は正確に記入し、漏れがないようにする
- 医師の指示書は最新のものを用意する
- 身体障害者手帳または愛の手帳の写しは、有効期限内のものを用意する
- その他、区市町村が指定する書類は、指示に従って準備する
よくある質問(FAQ)
- Q:利用できる訪問看護ステーションはどこですか?
A:お住まいの区市町村と協定を結んでいる訪問看護ステーションが利用できます。詳細は、区市町村の障害福祉課にお問い合わせください。 - Q:利用料金はいくらですか?
A:利用料金は、所得状況に応じて異なります。詳細は、区市町村の障害福祉課にお問い合わせください。 - Q:申請から利用開始までどれくらい時間がかかりますか?
A:申請から利用開始まで、通常1~2週間程度かかります。ただし、申請書類の不備や審査状況によっては、さらに時間がかかる場合があります。 - Q:利用時間を途中で変更できますか?
A:利用時間の変更は可能ですが、訪問看護ステーションとの調整が必要となります。早めに訪問看護ステーションにご相談ください。 - Q:レスパイト以外の目的でも利用できますか?
A:この事業は、レスパイト(休息)だけでなく、介護者の就労支援も目的としています。就労のために利用することも可能です。
まとめ・行動喚起
東京都重症心身障害児等在宅レスパイト・就労等支援事業は、在宅で重症心身障害児や医療的ケア児を介護するご家族にとって、非常に心強い支援制度です。この事業を活用することで、介護負担を軽減し、ご自身の時間や健康を大切にすることができます。まずは、お住まいの区市町村の障害福祉課に相談し、申請手続きを進めてみましょう。
問い合わせ先:お住まいの区市町村の障害福祉課