詳細情報
地域の自然環境を守り、育む活動に取り組むNPO法人、企業、地方自治体の皆様へ朗報です。環境省が主導する「令和7年度 生物多様性保全推進交付金(生物多様性保全推進支援事業)」の二次公募が開始されました。この交付金は、自然共生社会の実現を目指す「ネイチャーポジティブ」な活動を力強く後押しするもので、最大250万円の支援が受けられる可能性があります。里山の保全、希少種の保護、自然共生サイトの認定を目指す活動など、幅広い取り組みが対象となります。この記事では、制度の概要から具体的な申請手順、審査を通過するためのポイントまで、専門家が徹底的に解説します。この機会を最大限に活用し、あなたの活動をさらに前進させましょう。
この交付金のポイント
- ネイチャーポジティブ(自然再興)の実現に向けた活動を支援
- NPO、企業、自治体など多様な主体が対象
- 最大250万円の交付金(定額または補助率1/2)
- 二次公募の申請期限は2025年11月28日(金)12時まで
- 月単位での審査・採択でスピーディーな対応
生物多様性保全推進交付金の概要
まずは、この交付金制度の全体像を把握しましょう。どのような目的で、誰が実施しているのかを理解することが、申請への第一歩です。
正式名称
令和7年度 生物多様性保全推進交付金(生物多様性保全推進支援事業)
実施組織
本事業は環境省が所管しており、令和7年度の交付金交付事務(公募・審査・交付)は、執行団体として選定された株式会社マイファームが担当しています。
目的・背景
この交付金は、「生物多様性国家戦略2023-2030」や「地域生物多様性増進法」に基づき、自然を回復軌道に乗せる「ネイチャーポジティブ」の実現を目的としています。これまで国が主導してきた保護活動に加え、地域に根差した多様な主体(地方公共団体、企業、NPO、地域住民など)が連携・協働して行う生物多様性の保全・再生活動を経済的に支援することで、全国各地での取り組みを加速させることが狙いです。
特に令和7年度からは、企業や市町村が作成する「増進活動実施計画」や、民間の取り組みで生物多様性保全が図られている区域を国が認定する「自然共生サイト」に関する活動への支援が拡充されています。
助成金額・補助率
支援内容は6つの事業メニューに分かれており、それぞれで助成金額や補助率、事業期間が異なります。ご自身の活動がどれに該当するか、以下の表でご確認ください。
| 事業メニュー | 主な活動内容 | 助成金額・補助率 | 事業期間 |
|---|---|---|---|
| ① 生物多様性増進活動の基盤整備 | 増進活動実施計画の作成、自然共生サイトの活動 | 交付率 1/2 | 原則2年以内 |
| ② 生物多様性増進活動の活動基盤強化 | 増進活動実施計画の作成、自然共生サイトの活動 | 定額(上限150万円) | 原則2年以内 |
| ③ 重要地域の保全・再生 | 国立公園など保護地域での保全活動 | 交付率 1/2 | 原則2年以内 |
| ④ 動植物園等による生息域外保全 | 希少種の飼育・繁殖、普及啓発活動 | 定額(上限200万円) | 原則3年以内 |
| ⑤ 国内希少種の生息環境改善 | 希少種の生息・生育地の環境改善活動 | 定額(上限250万円 or 150万円) | 原則3年以内 |
| ⑥ 重要里地里山等における活動 | 里地里山での社会経済・環境課題の統合的解決 | 交付率 1/2 | 原則2年以内 |
計算例
- 交付率1/2の場合:総事業費が300万円の活動を実施した場合、その1/2である150万円が交付されます。
- 定額(上限150万円)の場合:総事業費が120万円であれば120万円、総事業費が200万円であれば上限の150万円が交付されます。
対象者・条件
本交付金は、非常に幅広い団体・組織が対象となるのが特徴です。自団体が該当するかどうか、以下の例を参考にしてください。
- 地方公共団体:都道府県、市区町村
- 民間事業者:株式会社、合同会社などの企業全般
- 民間団体:特定非営利活動法人(NPO法人)、一般社団法人、財団法人、任意団体など
- その他:大学、研究機関、地域住民で構成される協議会など
対象となる活動の具体例
以下のような活動を計画している場合、本交付金の対象となる可能性があります。
- 企業の敷地内(社有林など)を「自然共生サイト」として認定申請するための調査や計画策定
- 地域のNPOが主体となり、荒廃した里山を整備してビオトープを再生する活動
- 市町村が中心となり、地域住民や専門家と連携して希少な動植物の保護計画を策定する
- 動物園が、絶滅危惧種の繁殖プロジェクトを立ち上げ、その生態を一般に公開する普及啓発イベントを実施する
- 地域の協議会が、外来種の駆除活動や、在来種の植樹活動を行う
補助対象経費
交付金の対象となるのは、事業の実施に直接必要な経費です。申請の際は、経費の内訳を明確にする必要があります。
対象となる経費の例
- 人件費・謝金:事業に直接従事するスタッフの人件費、専門家への謝礼など
- 旅費交通費:現地調査や会議参加のための交通費、宿泊費など
- 消耗品費:事務用品、活動に必要な資材(苗木、土、観察用具など)の購入費
- 備品購入費:活動に必要な機材(カメラ、GPS、草刈り機など)の購入費
- 印刷製本費:報告書、パンフレット、看板などの作成費用
- 通信運搬費:郵便代、荷物の送料など
- 委託費:専門的な分析や設計、作業などを外部の業者に委託するための費用
対象外となる経費の例
- 団体の事務所家賃や光熱費など、経常的な運営費
- 土地や建物の取得・造成費用
- 交付決定前に発生した経費
- 飲食・接待費
申請方法・手順
申請は以下のステップで進めます。特に期限管理が重要ですので、スケジュールをしっかり確認しましょう。
Step 1: 公募要領・申請書類のダウンロード
まずは執行団体である株式会社マイファームの公式サイトから、公募要領と申請様式一式をダウンロードします。制度の詳細やルールが記載されているため、公募要領は必ず熟読してください。
Step 2: 事業計画書・申請書の作成
ダウンロードした様式に従い、申請書を作成します。特に事業計画書(様式2、様式3)は審査の核となる重要な書類です。事業の目的、内容、スケジュール、期待される効果、経費の内訳などを具体的かつ明確に記述しましょう。
Step 3: メールでの提出
作成した申請書類一式を、指定のメールアドレスに送付します。
提出先メールアドレス: biodiversity-enter@myfarm.co.jp
申請期限・スケジュール
二次公募期間は 2025年8月1日(金)から2025年11月28日(金)12時(必着)です。原則として月単位で応募案件が取りまとめられ、審査が行われます。早めに申請すれば、その分早く結果が通知され、事業開始も早めることができます。
| とりまとめ日 | 審査結果通知(予定) |
|---|---|
| 8月29日(金)12時まで | 9月下旬 |
| 9月30日(火)12時まで | 10月下旬 |
| 10月31日(金)12時まで | 11月下旬 |
| 11月28日(金)12時まで(最終締切) | 12月下旬 |
注意:予算上限額に達した場合、期間内であっても公募が終了することがあります。申請を検討している方は、早めの準備と提出をおすすめします。
必要書類リスト
- 令和7年度応募申請書 様式1(新規事業者用または継続事業者用)
- 令和7年度応募申請書 様式2(事業計画書)
- 令和7年度応募申請書 様式3(経費内訳)
- その他、団体の定款や活動実績がわかる資料など、公募要領で指定された書類
採択のポイント
多くの申請の中から採択されるためには、審査員の視点を意識した申請書作成が不可欠です。ここでは、採択率を高めるための3つのポイントを解説します。
1. 事業目的との整合性を示す
申請する事業が、この交付金の目的である「ネイチャーポジティブの実現」や「地域の生物多様性保全」にどう貢献するのかを明確に示しましょう。「なぜこの活動に公的な資金が必要なのか」という点を、社会的背景や地域の課題と結びつけて説明することが重要です。
2. 計画の具体性と実現可能性をアピールする
「何を」「いつまでに」「誰が」「どのように」実施するのか、5W1Hを意識して具体的に記述します。曖昧な表現は避け、数値目標(例:〇〇ヘクタールの森林を整備する、〇〇人を対象に観察会を実施する)を設定すると説得力が増します。また、事業実施体制やスケジュールに無理がないか、実現可能な計画であることを示しましょう。
3. 予算の妥当性を丁寧に説明する
計上する経費が、なぜその金額になるのか、積算根拠を明確に示します。例えば、備品購入費であれば相見積もりを取る、人件費であれば単価と時間を明記するなど、客観的に見て妥当な予算計画であることが重要です。「とりあえず上限額で申請する」のではなく、事業内容に見合った適切な金額を積み上げましょう。
よくある質問(FAQ)
Q1. 申請は初めてですが、何か不利になりますか?
A1. 不利になることはありません。申請書様式が「新規事業者用」と「継続事業者用」に分かれているので、該当するものを使用してください。初めて申請する場合は、団体の活動実績や事業実施能力を丁寧に説明することが大切です。
Q2. 申請前に事業内容について相談できますか?
A2. はい、可能です。執行団体である株式会社マイファームが問い合わせ窓口を設けています。計画内容に不安がある場合や、制度について不明な点がある場合は、事前に問い合わせフォームから相談することをおすすめします。
Q3. 複数の事業メニューに同時に申請することはできますか?
A3. 複数の活動を計画している場合、それぞれの活動がどのメニューに該当するかを整理し、申請する必要があります。ただし、1つの団体が複数の採択を受けることは審査上難しくなる可能性もあります。最も注力したい事業に絞って申請するか、事前に問い合わせ窓口に相談するのが賢明です。
Q4. 過去の採択事例を見ることはできますか?
A4. はい、環境省のウェブサイトで過去の採択事業一覧や概要が公開されています。どのような団体が、どのような活動で採択されているかを確認することは、申請書作成の大きなヒントになります。ぜひ参考にしてください。
【参考】過去の採択事業一覧・概要: https://www.biodic.go.jp/biodiversity/activity/local_gov/hozen/detail.html
Q5. 今年度の事業終了日はいつですか?
A5. 令和7年度事業の終了日は、令和8年2月28日(土)までです。最終締切(11月28日)に応募する場合、活動実施期間が非常に短くなるため、事業計画を立てる際には注意が必要です。必要に応じて、計画の前倒しなどを検討しましょう。
まとめ・行動喚起
今回は、令和7年度「生物多様性保全推進交付金」の二次公募について詳しく解説しました。最後に重要なポイントを再確認しましょう。
- 目的:地域の生物多様性を保全・再生する「ネイチャーポジティブ」な活動を支援。
- 対象:NPO、企業、自治体など幅広い団体。
- 金額:最大250万円(定額または補助率1/2)。
- 期限:最終締切は2025年11月28日(金)12時。月ごとの締切あり。
- 申請:株式会社マイファームへメールで提出。
この交付金は、地域の自然を守る貴重な活動を資金面で支える大きなチャンスです。申請を検討されている方は、まずは公式サイトから公募要領をダウンロードし、ご自身の活動が対象になるかを確認することから始めてください。不明な点があれば、積極的に問い合わせ窓口を活用しましょう。
公式情報・お問い合わせ先
公式サイト(二次公募案内):
https://myfarm.co.jp/news/r7nen_seibutsutayoueseihozenjigyou_2/
お問い合わせ先:
株式会社マイファーム(担当:玉置)
お問い合わせフォーム: https://tayori.com/f/biodiversity-inquiry/
緊急連絡先:050-5527-2841(平日:10:00~16:00)