詳細情報
「電気代が高騰していて、なんとかコストを削減したい」「脱炭素経営って言うけど、何から始めればいいかわからない」そんなお悩みをお持ちの中小企業経営者・ご担当者様は多いのではないでしょうか。その解決の第一歩となるのが「省エネ診断」です。専門家が事業所のエネルギー使用状況を分析し、具体的な改善策を提案してくれます。しかし、診断にも費用がかかるのがネック。そこで活用したいのが、地方自治体が提供する「省エネ診断補助金」です。この制度を使えば、診断費用の一部、場合によっては全額が補助され、実質無料でプロの診断を受けられる可能性があります。本記事では、2025年最新の全国の省エネ診断補助金情報を網羅的にご紹介し、対象者、補助金額、申請方法から採択のポイントまで、どこよりも詳しく解説します。この記事を読めば、あなたの会社に最適な補助金を見つけ、コスト削減と環境経営への大きな一歩を踏み出すことができます。
この記事のポイント
- 全国の地方自治体が実施する省エネ診断補助金を一覧で紹介
- 診断費用の全額を補助する自治体も多数存在
- 中小企業、小規模事業者、個人事業主が対象
- 申請の具体的な流れや必要書類、採択されるコツを徹底解説
- 省エネ診断後の設備投資に繋がる補助金情報も紹介
省エネ診断補助金の概要
省エネ診断補助金は、主に地方自治体(都道府県や市区町村)が、管内の中小企業等を対象に実施している支援制度です。エネルギー価格の高騰対策や、2050年カーボンニュートラルの実現に向けた取り組みの一環として、多くの自治体で導入が進んでいます。
目的・背景
この補助金の主な目的は以下の通りです。
- エネルギーコストの削減支援:専門家の診断に基づき無駄なエネルギー消費を特定し、企業の収益改善を支援します。
- CO2排出量の削減:省エネの取り組みを促進し、地球温暖化対策に貢献します。
- 企業の競争力強化:省エネ意識の向上や、将来的な省エネ設備投資への足掛かりを作ることで、企業の持続的な成長を後押しします。
多くの企業が「何から手をつければ良いか分からない」という課題を抱えており、本補助金はその最初のステップを力強くサポートするものです。
【全国版】省エネ診断 補助金額・補助率一覧
全国の多くの自治体で省エネ診断に関する補助金が用意されています。ここでは、その一部を一覧表でご紹介します。お住まいの地域に制度がないか、ぜひご確認ください。「全額補助」となっている自治体が非常に多いのが特徴です。
ご注意:情報は記事作成時点のものです。最新の情報、詳細な要件、公募期間は必ず各自治体の公式サイトでご確認ください。
| 地方自治体 | 補助率 | 補助金額(上限) | 事業名 |
|---|---|---|---|
| 茨城県 古河市 | 全額 | 30,000円 | 中小企業向け省エネ診断等促進補助金 |
| 青森県 八戸市 | 10/10 (全額) | 30,000円 | 八戸市省エネ設備導入等促進事業補助金 |
| 北海道 釧路市 | 全額 | 21,000円 | 省エネ等設備導入補助金「エネ補助」 |
| 茨城県 日立市 | 全額 | 30,000円 | 日立市脱炭素設備導入促進事業補助金 |
| 埼玉県 戸田市 | 全額 | 21,000円 | 中小企業カーボンニュートラル促進事業費補助金 |
| 千葉県 千葉市 | 全額 | 21,000円 | 省エネ最適化診断支援事業補助金 |
| 神奈川県 大和市 | 全額 | 23,100円 | 省エネ診断支援金 |
| 滋賀県 | 全額 | ー | 中小企業の省エネ診断支援事業 |
| 兵庫県 神戸市 | 全額 | ー | 省エネ設備更新補助金 |
| 岩手県 | 1/2 | ー | 事業者向け省エネルギー対策推進事業 |
| 富山県 高岡市 | 2/3 | 300,000円 | カーボンニュートラル対策等支援補助金 |
上記以外にも多くの自治体で同様の制度が実施されています。まずは「(自社の市区町村名) 省エネ診断 補助金」で検索してみることをお勧めします。
対象者・条件
補助金の対象者は、多くの場合「中小企業基本法に定められた中小企業者・小規模企業者」です。また、事業所がその自治体内にあることが必須条件となります。
中小企業者・小規模企業者の定義
一般的な定義は以下の通りです。資本金または従業員数のどちらかが基準を満たしていれば対象となります。
| 業種 | 中小企業者(資本金または従業員数) | 小規模企業者(従業員数) |
|---|---|---|
| 製造業、建設業、運輸業など | 3億円以下 または 300人以下 | 20人以下 |
| 卸売業 | 1億円以下 または 100人以下 | 5人以下 |
| サービス業 | 5,000万円以下 または 100人以下 | 5人以下 |
| 小売業 | 5,000万円以下 または 50人以下 | 5人以下 |
自治体によっては、個人事業主や、医療法人、社会福祉法人、NPO法人なども対象となる場合があります(例:青森県八戸市)。必ず公募要領で自社が対象になるか確認しましょう。
補助対象経費
補助の対象となるのは、省エネ診断の実施に直接必要な経費(専門家への委託費用など)です。消費税は対象外となることが一般的です。
対象となる診断・支援の例
茨城県古河市の例では、以下のような診断や支援が対象となっています。
- 省エネ診断:エネルギーの専門家が現地を訪問し、エネルギー使用状況を調査・分析します。(ウォークスルー診断、省エネ最適化診断など)
- 省エネ支援:診断結果に基づき、具体的な改善策の実施を継続的にサポートします。(伴走支援など)
- カーボンニュートラル・アクションプラン策定:排出量の可視化や削減目標の設定などを支援します。
どの診断が対象になるかは自治体によって異なるため、申請前に確認が必要です。一般財団法人省エネルギーセンターや、一般社団法人環境共創イニシアチブ(SII)が実施する診断を対象としている場合が多く見られます。
申請方法・手順
申請のタイミングは自治体によって大きく2つのパターンに分かれます。これは非常に重要なポイントなので、必ず確認してください。
パターン1:事業実施「前」に申請が必要な場合(例:八戸市)
最も一般的なパターンです。診断機関との契約や診断の実施前に、事業計画書などを提出し、市の承認を得る必要があります。承認前に契約・着手してしまうと補助対象外となるため、絶対に注意してください。
- 診断機関から見積書を取得
- 市に事業計画書と見積書などを提出し、承認を受ける
- 市の承認後、診断機関と契約し、診断を実施
- 診断費用を支払う
- 市に実績報告書、領収書、診断結果報告書などを提出
- 補助金が交付される
パターン2:事業実施「後」でも申請可能な場合(例:古河市)
事業者にとって柔軟性が高いパターンです。すでに診断を受けてしまった後でも申請が可能です。
- 診断機関と契約し、診断を実施
- 診断費用を支払う
- 市に交付申請書、実績報告書、契約書、領収書、診断結果報告書などをまとめて提出
- 補助金が交付される
必要書類の例
申請に必要な書類は自治体により異なりますが、一般的には以下のものが求められます。
- 交付申請書(兼 実績報告書)
- 事業計画書
- 省エネ診断の見積書や契約書の写し
- 診断の概要がわかるパンフレットなど
- 【法人の場合】履歴事項全部証明書の写し
- 【個人事業主の場合】開業届の写しや確定申告書の写し
- 市税の納税証明書(滞納がないことの証明)
- 【実施後申請の場合】診断結果報告書の写し、領収書の写し
- 補助金振込先の通帳の写し
採択のポイント
省エネ診断補助金は、設備導入補助金などに比べて比較的採択されやすい傾向にありますが、確実に採択されるためにはいくつかのポイントがあります。
最重要ポイント:先着順に注意!
多くの自治体では、予算の上限に達し次第、受付を終了する「先着順」を採用しています。公募が開始されたら、できるだけ早く申請することが採択への一番の近道です。公募開始前から準備を進めておきましょう。
申請書作成のコツ
- 書類の不備をなくす:当たり前ですが、最も多い不採択理由です。提出前にチェックリストで何度も確認しましょう。
- 目的意識を明確に:申請書の自由記述欄などには、「なぜ省エネ診断を受けたいのか」「診断結果をどう活かしたいのか」を具体的に書きましょう。「電気代を削減し、浮いたコストで従業員の待遇改善や新たな投資に回したい」「脱炭素経営を進め、取引先からの信頼を高めたい」など、前向きな姿勢を示すことが重要です。
- 公募要領を熟読する:対象者、対象経費、申請手順など、すべてのルールが記載されています。隅々まで読み込み、要件から外れないようにしましょう。
よくある質問(FAQ)
Q1. 私の市町村に補助金制度がありません。諦めるしかないですか?
A1. 諦める必要はありません。まず、市町村だけでなく都道府県が広域で実施している補助金がないか確認しましょう。また、国の補助金(省エネルギー投資促進支援事業費補助金など)では、省エネ診断費用が設備投資費用と合わせて補助対象になる場合があります。アンテナを広く張ることが大切です。
Q2. どの診断機関に依頼すればよいかわかりません。
A2. 自治体の公募要領で推奨されている機関や、一般財団法人省エネルギーセンターの「省エネ最適化診断」などが信頼性が高いです。また、地域の商工会議所や金融機関に相談すると、地元の診断機関を紹介してもらえることもあります。
Q3. 診断を受けたら、必ず提案された設備を導入しないといけませんか?
A3. 診断を受けること自体を補助する制度なので、設備導入の義務はありません。しかし、診断結果を活かして設備投資を行う場合、八戸市の例のように、別の設備導入補助金で補助上限額が引き上げられるなどの優遇措置を受けられることがあります。診断は次のステップへの重要な布石となります。
Q4. 申請手続きは難しいですか?行政書士などにお願いすべきでしょうか?
A4. 省エネ診断補助金は、他の大規模な補助金と比較して手続きがシンプルな場合が多いです。必要書類も少なく、自社で十分に申請可能なケースがほとんどです。まずは公募要領を読み、不明点があれば自治体の担当窓口に問い合わせてみましょう。
Q5. 市内に複数の事業所がある場合、それぞれで申請できますか?
A5. 自治体の制度によります。例えば茨城県古河市では、事業所ごとに申請が可能で、最大で9万円(3種類の支援×3万円)の補助が受けられます。一方で、1事業者あたり1回限りという制度もありますので、必ず要綱を確認してください。
まとめ:まずは自社の自治体の制度をチェックしよう!
今回は、中小企業が活用できる「省エネ診断補助金」について詳しく解説しました。
重要ポイントの再確認
- メリット:診断費用が全額補助されることも多く、コスト削減の第一歩を無料で踏み出せる。
- 対象者:所在地の自治体に事業所を持つ中小企業・小規模事業者など。
- 注意点:予算が限られており「先着順」が多い。公募が始まったら即行動が鍵。
- 次のステップ:診断結果を基に、より大きな「省エネ設備導入補助金」の活用も視野に入れよう。
エネルギーコストの上昇は、今後も続くと予想されます。省エネ診断は、もはや特別な取り組みではなく、すべての企業にとって必須の経営戦略です。この機会に補助金を最大限に活用し、専門家の知見を取り入れて、持続可能な強い企業体質を築いていきましょう。
まずやるべきことは、「自社の市区町村名 + 省エネ診断 補助金」で検索し、公募情報を確認することです。あなたの会社の未来を変える、大きなチャンスがそこに眠っているかもしれません。