詳細情報
福岡県内で観光施設や商業施設を運営されている事業者様へ朗報です。施設の魅力を格段にアップさせ、国内外からの観光客を惹きつける絶好のチャンスが到来しました。福岡県が実施する「令和7年度 『福岡の伝統工芸品』魅力発信事業費補助金」は、博多織や久留米絣といった福岡が誇る伝統工芸品を施設の空間デザインに取り入れる取り組みを強力に支援する制度です。この補助金を活用すれば、内装工事や工芸品の設置にかかる費用の一部、最大で1,000万円もの補助を受けることが可能です。この記事では、補助金の概要から対象者、申請方法、そして採択されるためのポイントまで、専門家がどこよりも詳しく、そして分かりやすく解説します。あなたの施設を、福岡の文化が薫る特別な空間へと生まれ変わらせましょう。
この記事のポイント
- 福岡県の伝統工芸品を活用した施設の内装工事や備品設置に活用できる補助金
- 補助率は対象経費の1/2、補助上限額は最大1,000万円
- 観光施設、商業施設、ホテル、オフィスビルなど集客力の高い民間施設が対象
- 申請は事業内容により2つの締切(令和7年9月5日 / 11月28日)があるので注意が必要
- 申請には産地組合等が発行する「証明書」の事前確認が必須
1.「福岡の伝統工芸品」魅力発信事業費補助金とは?
補助金の目的
この補助金は、多くの人が訪れる観光施設や商業施設、ホテルのロビー、オフィスのエントランスなどに、福岡県が誇る「伝統工芸品」を導入することを支援する制度です。具体的には、内装や建材に伝統工芸品の技術を取り入れたり、工芸品そのものを展示・設置したりする取り組みが対象となります。これにより、施設を訪れる観光客やビジネス客に福岡の伝統工芸の魅力を直接伝え、認知度向上を図ります。さらに、その施設が持つ情報発信力を活かして、工芸品の産地そのものへ人々を誘う「きっかけ作り」をすることも大きな目的としています。
実施組織
福岡県 商工部 観光局 観光政策課 物産振興係
2.補助金額・補助率|3つの事業タイプ
この補助金は、実施したい事業の内容によって3つのタイプに分かれており、それぞれ補助率と上限額が異なります。自社の計画がどれに該当するか、しっかり確認しましょう。
【重要】タイプ(1)または(2)の事業を実施する場合、必ずタイプ(3)の「情報発信の体制整備」も併せて実施する必要があります。
| 事業タイプ | 補助率 | 補助金額 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| (1) 建物等の内装等への導入 | 1/2以内 | 上限 1,000万円 | 壁材、床材、照明、建具などに工芸品やその技術を活用する大規模な改修。審査会による審査あり。 |
| (2) 伝統工芸品の購入・設置 | 1/2以内 | 下限 50万円 上限 100万円 |
工芸品そのものや二次製品、展示用什器の購入・設置。予算がなくなり次第終了。 |
| (3) 産地への誘客情報発信 | 1/2以内 | 上限 50万円 | パンフレット作成、Webサイト改修、案内板設置など。予算がなくなり次第終了。 |
3.対象者・対象施設
補助対象者
下記の「補助対象施設」において、補助対象事業を自らの費用負担で実施する事業者が対象です。法人格の有無や規模は問われませんので、中小企業や個人事業主も対象となります。
ただし、以下のいずれかに該当する場合は対象外となります。
- 国、都道府県、市町村等の地方公共団体
- 宗教法人が管理または運営するもの
- 福岡県税に滞納がある者
- 暴力団、暴力団員、またはそれらと密接な関係を有する者
補助対象施設
ブランド力や集客力が高く、多くの人の目に触れる機会のある施設が対象です。伝統工芸品の魅力を発信し、産地への誘客につながる効果が期待できる施設である必要があります。
【対象施設の例】
- ホテル、旅館などの宿泊施設
- 百貨店、ショッピングモールなどの商業施設
- オフィスビルのエントランスホール
- 空港、駅などの交通拠点(民間運営部分)
- レストラン、カフェなどの飲食店
- 劇場、美術館などの文化施設(民間運営)
ただし、国や地方公共団体が所有、管理、運営する施設(指定管理施設を含む)は対象外です。
4.補助対象経費
補助金の対象となる経費は、事業タイプごとに定められています。以下に主な例を挙げます。
- 建物等の内装等への導入
伝統工芸品またはその技術を活用した部材(壁紙、床材、タイル、照明器具、建具など)の購入費、設計費、施工・工事費など - 伝統工芸品の購入・設置
伝統工芸品(博多人形、小石原焼の壺など)や二次製品(博多織のクッション、久留米絣のタペストリーなど)の購入費、展示用の什器(棚、ケース、台座など)の購入費、設置にかかる費用など - 産地への誘客情報発信
パンフレット・リーフレット等の印刷製本費、Webサイトの制作・改修費、デジタルサイネージ用コンテンツ制作費、案内板・解説パネルの制作設置費、広報にかかる広告掲載料など
※人件費や不動産取得費、汎用性の高い備品(パソコン、プリンター等)の購入費などは対象外となります。詳細は必ず公募要領でご確認ください。
5.申請方法とスケジュール
申請期間
申請期間は事業タイプによって異なります。特に、上限額が大きい「内装導入」は期間が短いので注意が必要です。
- (1) 建物等の内装等への導入
令和7年8月7日(木)~ 令和7年9月5日(金)まで - (2) 伝統工芸品の購入・設置
令和7年8月1日(金)~ 令和7年11月28日(金)まで - (3) 産地への誘客情報発信
令和7年8月1日(金)~ 令和7年11月28日(金)まで
※(2)と(3)は、申請期間中であっても予算がなくなり次第、募集を終了します。早めの申請をおすすめします。
申請手順のステップ・バイ・ステップ
- 事前確認:導入したい伝統工芸品の産地組合等に連絡し、実績報告時に「『福岡の伝統工芸品』証明書」が発行可能か必ず確認します。これが最も重要なステップです。
- 書類準備:福岡県の公式サイトから申請書類一式をダウンロードし、事業計画書や収支予算書などを作成します。施工業者や購入先からの見積書も取得します。
- 申請:作成した書類を郵送とメールの両方で提出します。押印等が必要な書類は郵送、それ以外はデータで送付します。
- 審査:福岡県にて書類審査が行われます。特に「内装導入」の場合は、別途設置される審査会でプレゼンテーション等が求められる可能性があります。
- 交付決定:審査を通過すると、県から「交付決定通知書」が届きます。事業の開始(契約・発注)は必ずこの通知書を受け取った後に行ってください。
- 事業実施:計画に沿って事業を実施します。事業完了期限は令和8年2月28日です。支払いもこの日までに完了させる必要があります。
- 実績報告:事業完了後、実績報告書や経費の証拠書類(領収書等)、そして「『福岡の伝統工芸品』証明書」を提出します。
- 補助金交付:実績報告書の内容が認められると、補助金額が確定し、指定の口座に振り込まれます。
必要書類
申請には以下の書類が必要です。公式サイトの記入例を参考に、漏れなく準備しましょう。
- 交付申請書(様式第1号)
- 事業計画書
- 収支予算書
- 事業実施場所の位置図、平面図、現況写真
- 導入する伝統工芸品の概要がわかるもの(カタログ等)
- 経費の内訳がわかる見積書の写し
- 県税の納税証明書
- 誓約書
- (法人の場合)履歴事項全部証明書
- (個人事業主の場合)開業届の写し等
6.採択されるための3つのポイント
この補助金、特に審査会が設けられる「内装導入」事業で採択を勝ち取るためには、計画の具体性と説得力が鍵となります。
ポイント1:事業の「公益性」と「波及効果」をアピールする
単に「自社の施設がおしゃれになる」というだけでなく、この事業を通じて「いかに福岡の伝統工芸の振興に貢献できるか」という視点が重要です。事業計画書には、施設の集客力(具体的な来客数など)を示し、どれだけ多くの人に工芸品の魅力が伝わるかを具体的に記述しましょう。また、設置した工芸品をきっかけに、産地への周遊を促す具体的な情報発信計画(マップの設置、Webでの特集記事など)を盛り込むと評価が高まります。
ポイント2:計画の実現可能性と具体性を示す
「博多織を壁に飾りたい」といった漠然とした計画ではなく、「どのメーカーの、どの柄の博多織を、どのくらいのサイズで、どの壁面に、どのような方法で設置するのか」まで具体的に計画を練りましょう。施工業者や工芸品の制作者と事前に打ち合わせを行い、現実的なスケジュールと正確な見積もりを提出することが、計画の実現可能性を示す上で不可欠です。完成後のイメージが伝わるパース図やデザイン案を添付するのも有効です。
ポイント3:「福岡の伝統工芸品」証明書の事前確認を徹底する
これは採択の前提条件とも言える最重要項目です。申請前に必ず、使用したい工芸品の産地組合等に連絡を取り、「この製品は補助金の実績報告に必要な証明書を発行できますか?」と確認してください。この確認を怠ると、採択されて事業を完了しても補助金が交付されないという最悪の事態になりかねません。申請書に「〇〇組合に確認済み」と一筆添えておくと、審査員に安心感を与えることができます。
7.対象となる「福岡の伝統工芸品」一覧
本補助金の対象となるのは、国が指定する7品目と、県が指定する37品目の合計44品目です。代表的なものを以下にご紹介します。
経済産業大臣指定伝統的工芸品(全7品目)
博多織、博多人形、久留米絣、小石原焼、上野焼、八女福島仏壇、八女提灯
福岡県知事指定特産民工芸品(全37品目・一部抜粋)
籃胎漆器、城島鬼瓦、八女手漉和紙、八女石灯ろう、大川総桐箪笥、大川彫刻、大川組子、柳川まり、小倉織、高取焼 など
8.よくある質問(FAQ)
Q1. 個人事業主でも申請できますか?
A1. はい、対象となります。対象者の要件に法人格の有無は問われていませんので、個人事業主の方も申請可能です。その際は、開業届の写しなどを提出する必要があります。
Q2. 複数の伝統工芸品を組み合わせて申請することは可能ですか?
A2. はい、可能です。例えば、「壁面に大川組子を使い、エントランスに小石原焼の壺を置く」といった複合的な計画でも申請できます。その場合、それぞれの工芸品について証明書が発行可能か事前確認が必要です。
Q3. すでに設置済みの工芸品について、情報発信の事業(タイプ3)のみを申請することはできますか?
A3. はい、可能です。公募要領には「既に、補助対象施設において内装等における『福岡の伝統工芸品』の導入又は『福岡の伝統工芸品』の設置等若しくはその両方を実施している場合は、(3)のみを実施することができます」と明記されています。
Q4. 交付決定前に発注してしまった場合、補助金の対象になりますか?
A4. いいえ、対象外となります。補助対象となるのは、必ず県の「交付決定通知書」を受け取った日以降に契約・発注した経費のみです。これを「事前着手の禁止」といい、多くの補助金で共通のルールですのでご注意ください。
Q5. 申請について相談したい場合、どこに連絡すればよいですか?
A5. 福岡県の観光政策課 物産振興係が担当窓口です。不明な点があれば、申請前に電話やメールで問い合わせることをお勧めします。連絡先は下記の「まとめ」に記載しています。
9.まとめ|福岡の文化を発信する空間づくりへ
「福岡の伝統工芸品」魅力発信事業費補助金は、単なる設備投資の支援にとどまりません。福岡の歴史と文化を体現する工芸品を自社の空間に取り入れることで、施設のブランド価値を高め、他にはないユニークな魅力を創出するための制度です。最大1,000万円という手厚い支援は、これまでコスト面でためらっていた大規模なリニューアルを実現する大きな後押しとなるでしょう。
重要なのは、計画性を持って早めに準備を始めることです。特に、産地組合への証明書発行の確認や、精度の高い事業計画書の作成には時間がかかります。申請締切は事業内容によって異なりますので、自社の計画に合ったスケジュールを立て、まずは公式サイトで公募要領を熟読することから始めてみてください。
お問い合わせ先
福岡県 商工部 観光局 観光政策課 物産振興係
住所: 〒812-8577 福岡市博多区東公園7-7(7階)
電話: 092-643-3454
メール: bussan-shinkou@pref.fukuoka.lg.jp
公式サイト: https://www.pref.fukuoka.lg.jp/contents/r7miryokuhasshin-hojo.html