詳細情報
福岡県内でホテルや旅館、民泊を経営されている事業者様へ朗報です。高齢者や障がいのある方など、誰もが安心して旅行を楽しめる「ユニバーサルツーリズム」への対応を支援する、非常に魅力的な補助金が公募されています。それが「令和7年度 福岡県宿泊事業者生産性向上支援補助金(ユニバーサルツーリズム対応枠)」です。この制度を活用すれば、最大500万円の補助を受けて、施設のバリアフリー改修や備品導入が可能になります。インバウンド観光客や多様なニーズを持つお客様が増加する中、ユニバーサルツーリズムへの対応は、競合施設との差別化と顧客満足度向上に直結する重要な経営戦略です。この記事では、補助金の概要から申請の具体的なステップ、採択されるためのポイントまで、どこよりも詳しく、そして分かりやすく解説します。あなたの施設が、すべてのお客様にとって「選ばれる宿」になるための第一歩を、この補助金と共に踏み出しましょう。
この補助金のポイント
- 福岡県内(政令市除く)の宿泊事業者(ホテル・旅館・民泊)が対象
- ユニバーサルツーリズム対応の施設改修や備品導入を支援
- 補助率は対象経費の1/2、補助上限額は最大500万円
- 申請には「福岡県中小企業生産性向上支援センター」の支援が必須条件
- 第2期募集の申請締切は令和7年11月5日(水) 12時必着
① 補助金の概要
まずは、この補助金がどのような制度なのか、全体像を把握しましょう。
正式名称
令和7年度 福岡県宿泊事業者生産性向上支援補助金(第2期募集・ユニバーサルツーリズム対応枠)
実施組織
福岡県 商工部 観光局 観光政策課
目的・背景
この補助金は、福岡県が導入した「宿泊税」を財源としています。その目的は、県内の宿泊業の持続的な成長を促進し、福岡県の観光産業全体を高付加価値化することです。特に、高齢者、障がいのある方、乳幼児連れなど、誰もが気兼ねなく旅行を楽しめる環境(ユニバーサルツーリズム)の推進に力を入れており、そのための設備投資を強力に後押しする制度となっています。また、単なる設備投資だけでなく、県の専門機関である「福岡県中小企業生産性向上支援センター」のサポートを受け、生産性向上に繋がる計画的な取り組みを支援する点も大きな特徴です。
② 補助金額・補助率
事業者にとって最も気になる補助金額と補助率について、詳しく見ていきましょう。今回の募集は「ユニバーサルツーリズム対応枠」のみとなります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 補助率 | 補助対象経費の1/2以内 |
| 補助限度額(施設改修) | 500万円 |
| 補助限度額(機器導入) | 50万円 |
| 合計限度額 | 施設改修と機器導入を合わせて最大500万円 |
| 採択予定件数 | 5件程度 |
計算例
具体的なイメージを掴むために、計算例を見てみましょう。
- 例1:車いす対応トイレへの改修工事に800万円かかった場合
800万円 × 1/2 = 400万円 → 400万円が補助されます。 - 例2:エントランスのスロープ設置工事に1,200万円かかった場合
1,200万円 × 1/2 = 600万円 → 上限額が適用され、500万円が補助されます。 - 例3:筆談ボードやシャワーチェアなど、貸出用備品を80万円分購入した場合
80万円 × 1/2 = 40万円 → 40万円が補助されます。
③ 対象者・条件
この補助金を申請するには、いくつかの重要な条件を満たす必要があります。特に注意すべき点をまとめました。
- 地域の条件:福岡県内で宿泊施設を運営していること。ただし、政令指定都市である福岡市・北九州市に所在する施設は対象外です。これは、補助金の財源である宿泊税が県税であり、政令市は対象外であるためです。
- 事業者の条件:中小企業者等であること。
- 施設の条件:旅館業法に基づく「旅館・ホテル営業」または「簡易宿所営業」の許可を受けている施設、もしくは住宅宿泊事業法に基づく届出をしている施設(民泊)であること。
- 最重要条件:「福岡県中小企業生産性向上支援センター」の生産性アドバイザーによる支援を受け、生産性向上の取組を行っていること。これが申請の大前提となります。
注意:国や地方公共団体が管理・運営する施設(指定管理施設を含む)は対象外となります。
④ 補助対象経費
どのような費用が補助の対象になるのでしょうか。具体例を参考に、自社の計画と照らし合わせてみましょう。
施設改修によるユニバーサルデザイン化の整備
※旅館・ホテル・簡易宿所のみ対象
- 施設整備に必要な設計費、工事費
- 段差の解消(スロープの設置など)
- 出入口、通路、客室ドア等の拡幅
- 車いす利用者が利用しやすいトイレや浴室への改修
- フロントのローカウンター設置
- 廊下や階段、浴室への手すりの設置
- 整備事業を補完するための備品導入費
機器の導入によるユニバーサルデザイン化の整備
※旅館・ホテル・簡易宿所・民泊すべて対象
- 車いす、歩行器、筆談ボード、コミュニケーションボード等の貸出用備品
- 聴覚障がい者向けの音声案内付きテレビやフラッシュライト付きインターホン
- シャワーチェア、バスボード、浴槽内手すり等の浴室内備品
- 多言語対応の案内表示やタブレット端末
対象外経費の例
公募要領に明記はされていませんが、一般的に以下のような経費は対象外となる可能性が高いです。
- 土地の取得費や造成費
- 汎用性のあるもの(パソコン、プリンター、通常の家具など)の購入費
- 従業員の人件費、旅費
- 消費税及び地方消費税
- 補助金の申請書類作成にかかる費用
⑤ 申請方法・手順
申請は、通常の補助金とは少し異なるステップを踏む必要があります。特に「生産性向上支援センターへの申込」が先に来る点に注意してください。
- 【STEP 1】生産性向上支援センターへ支援申込
まず、補助金申請の前提条件である「福岡県中小企業生産性向上支援センター」へ支援の申込を行います。これが全てのスタートです。
申込期限:令和7年9月17日(水)12時 必着 - 【STEP 2】アドバイザーと計画書作成
申込後、センターから派遣される生産性アドバイザーと共に、自社の現状分析や課題抽出、対策の検討を行います。その結果を「生産性向上支援計画書」としてまとめます。この計画書の中に、今回申請するユニバーサルツーリズム対応の取り組みが「必要かつ効果的」と位置づけられる必要があります。(作成には1~2ヶ月程度かかります) - 【STEP 3】補助金申請書類の準備・提出
計画書が完成したら、福岡県の公式サイトから申請書類一式をダウンロードし、必要事項を記入して提出します。提出方法は原則郵送です。
申請期限:令和7年11月5日(水)12時 必着 - 【STEP 4】審査・交付決定
提出された申請書類は、有識者等で構成される審査会で審査され、採択事業者が決定します。結果は12月上旬頃に通知される予定です。 - 【STEP 5】事業の実施
交付決定通知を受け取った後に、計画していた施設改修や機器導入の契約・発注・実施を行います。支払いまですべて完了させる必要があります。
事業完了期限:令和8年3月10日 - 【STEP 6】実績報告と補助金請求
事業が完了したら、実績報告書を作成し、領収書や写真などの証拠書類と共に県へ提出します。内容が確認された後、補助金額が確定し、指定の口座に振り込まれます。
重要:補助金の交付決定日よりも前に着手(発注、契約など)した事業は、補助金の対象外となります。絶対にフライングしないように注意してください。
必要書類リスト
- 記入内容チェックリスト
- 交付申請書(様式第1号)
- 申請者調書(様式第1号の2)
- 役員名簿(様式第1号の3)
- 事業計画書(様式第1号の4)
- 生産性向上計画書(様式第1号の4別添)※センターが作成支援
- 【UT枠用】補助対象経費収支予算書(様式第1号の5)
- 暴力団排除に係る誓約書(様式第1号の6)
- 承諾書(様式第1号の7)
- 課税(免税)事業者届出書(様式第1号の8)
- 債権者登録申出書
※様式はすべて福岡県の公式サイトからダウンロードできます。
⑥ 採択のポイント
採択予定件数が「5件程度」と非常に少ないため、申請すれば誰でも採択されるわけではありません。審査を通過するための重要なポイントを解説します。
アドバイザーとの連携を密にする
この補助金の肝は「生産性向上支援計画書」です。アドバイザーに自社の課題や将来のビジョンをしっかりと伝え、説得力のある計画書を共同で作り上げることが最も重要です。なぜユニバーサルツーリズム対応が必要なのか、それによってどのような客層を呼び込み、どう生産性(売上向上や業務効率化)に繋がるのかを論理的に説明できるようにしましょう。
事業計画の具体性と実現可能性
「バリアフリー化したい」という漠然とした思いだけでは不十分です。事業計画書には、どの場所を、どのように改修し、それによってどのような効果(例:車いす利用者の予約が月5組増加、高齢者層の満足度評価が10%向上など)を見込んでいるのか、具体的な数値目標を盛り込みましょう。また、工事の見積もりや導入する機器の選定理由など、計画の実現可能性を示す根拠を明確にすることが求められます。
費用対効果をアピールする
補助金は税金から支出されるため、投資した金額に見合う、あるいはそれ以上の効果があるかが厳しく審査されます。今回の投資によって、新たな顧客層の開拓、客単価の上昇、リピート率の向上、従業員の負担軽減など、経営に与えるプラスの影響を具体的に示し、費用対効果の高さをアピールしましょう。
よくある不採択理由
- 対象地域外(福岡市・北九州市)の施設からの申請。
- 生産性向上支援センターの支援を受けずに申請している。
- 事業計画が曖昧で、生産性向上への繋がりが見えない。
- 経費の積算が不正確、または相見積もりを取っていない。
- 交付決定前に事業に着手してしまっている。
⑦ よくある質問(FAQ)
- Q1. 福岡市内でホテルを経営していますが、対象になりますか?
- A1. 残念ながら対象外です。この補助金は政令指定都市である福岡市および北九州市に所在する施設は対象となりません。
- Q2. 「中小企業生産性向上支援センター」の支援とは具体的に何ですか?
- A2. 専門家である生産性アドバイザーが無料で派遣され、経営課題の分析から具体的な改善計画(生産性向上支援計画書)の策定までをサポートしてくれる福岡県の事業です。この補助金を利用するには、まずこの支援を受けることが必須となります。
- Q3. 民泊を運営していますが、申請できますか?
- A3. はい、住宅宿泊事業(民泊)も対象です。ただし、民泊の場合は「機器の導入」のみが対象となり、「施設改修」は対象外ですのでご注意ください。
- Q4. 交付決定前に工事の見積もりを取ることはできますか?
- A4. はい、見積もりの取得は問題ありません。申請時に見積書の添付が必要になります。ただし、正式な「契約」や「発注」は必ず交付決定通知が届いた後に行ってください。
- Q5. 申請書類の書き方が難しそうです。相談できる窓口はありますか?
- A5. はい、福岡県旅館ホテル生活衛生同業組合が事前相談窓口(任意)を設けています。組合員でなくても相談可能ですので、積極的に活用することをおすすめします。(電話:092-737-5050)
⑧ まとめ・お問い合わせ先
「令和7年度 福岡県宿泊事業者生産性向上支援補助金」は、これからの観光業界で生き残るために不可欠なユニバーサルツーリズム対応を、金銭的に大きくサポートしてくれる貴重な制度です。最後に重要なポイントを再確認しましょう。
- 対象:福岡県内(福岡市・北九州市を除く)の宿泊事業者
- 内容:ユニバーサルツーリズム対応の改修・備品導入
- 金額:最大500万円(補助率1/2)
- 必須条件:生産性向上支援センターの支援を受けること
- 期限:センター申込が9/17、補助金申請が11/5
採択件数は限られていますが、専門家のアドバイスを受けながら事業計画を練り上げるプロセスは、補助金の採否に関わらず、必ずや貴社の経営力強化に繋がるはずです。まずは第一歩として、下記の「福岡県中小企業生産性向上支援センター」へ相談することから始めてみてはいかがでしょうか。
お問い合わせ先
【生産性向上支援の申込について】
福岡県中小企業生産性向上支援センター
住所: 〒812-0046 福岡市博多区吉塚本町13-50 福岡県吉塚合同庁舎1階
電話: 092-292-8890
【補助金申請について】
福岡県商工部観光局観光政策課 観光産業係
住所: 〒812-8577 福岡市博多区東公園7-7
電話: 092-643-3456