秋田市の豊かな森林資源を未来へつなぐため、再造林に取り組む林業経営体を力強くサポートする「再造林対策事業(再造林経費補助)」が実施されています。この記事では、補助金の目的から対象事業、補助率、申請方法まで、専門家が分かりやすく徹底解説します。森林の持つ多面的な機能を発揮させ、持続可能な林業経営を目指す方は必見です。
秋田市 再造林対策事業補助金の概要
本事業は、森林資源の循環利用を促進し、森林が持つ水源かん養や国土保全といった多面的な機能の維持・向上を図ることを目的としています。特に、林業経営体が森林所有者に代わって植林から保育管理までを一括して担う取り組みを支援することで、再造林面積の拡大を目指します。
項目 | 内容 |
---|---|
補助対象者 | 市内に住所を有する林業経営体等 |
補助対象事業 | 1. 再造林およびその後の保育管理 2. 上記に必要な作業道の修繕 |
補助率・上限額 | 【再造林・保育】 県標準経費の1/10以内(上限15万円/ha) 【作業道修繕】 事業費の1/2以内(上限25万円/事業体) |
申請期間 | 2025年4月1日〜(予算の範囲内で随時受付) |
実施機関 | 秋田市 |
補助対象事業の詳細
本補助金は、大きく分けて2つの事業が対象となります。それぞれの要件をしっかり確認しましょう。
(1) 再造林および保育管理への補助
植林から下刈り、間伐といった一連の再造林・保育作業にかかる経費を補助します。
- 対象森林: 秋田市森林整備計画に定められている民有林で、以下の条件を満たすもの。
- 施行地面積が0.1ha以上
- 林業経営体の自己所有地、または森林所有者と10年間の造林保育管理契約を締結した森林
- 対象経費: 植林、下刈、除伐、枝打、保育間伐費
- 補助率: 秋田県造林補助事業の標準経費の10分の1以内
- 上限額: 150,000円/ha
(2) 作業道修繕への補助
再造林や保育管理を効率的かつ安全に行うために不可欠な、作業道の修繕経費を補助します。
- 対象経費: 作業道修繕費
- 補助率: 事業費の2分の1以内
- 上限額: 250,000円/事業体
背景:なぜ今、秋田で再造林が重要なのか?
この補助金の背景には、秋田県の森林が直面する深刻な課題があります。秋田県はスギ人工林の面積・蓄積ともに全国1位を誇る林業県ですが、その多くが利用期を迎えています。
秋田県の森林の現状
県の資料によると、民有林のスギ人工林の約60%が11齢級(51年生以上)以上と高齢化が進んでいます。一方で、7齢級(35年生以下)の若い林分はわずか8%に留まり、世代交代が進んでいないのが現状です。「伐って、使って、植えて、育てる」という森林資源の循環を確立するため、皆伐後の再造林が急務となっています。
しかし、森林所有者の高齢化や後継者不足、経済的な負担感から再造林は進みにくい状況でした。そこで、本補助金のように行政が林業経営体の取り組みを支援し、森林所有者の不安や負担を解消しながら再造林を推進する仕組みが求められているのです。
申請の流れと必要書類
補助金交付までの大まかな流れは以下の通りです。事前にしっかりと準備を進めましょう。
- 事前相談(推奨)
計画している事業が補助対象になるか、秋田市農地森林整備課へ事前に相談することをおすすめします。 - 申請書類の準備・提出
公式サイトから様式をダウンロードし、必要事項を記入の上、添付書類とともに提出します。 - 交付決定通知
市による審査後、補助金の交付が決定されると通知が届きます。(注:事業着手は交付決定後となります) - 事業の実施
計画に沿って再造林や作業道修繕の事業を実施します。 - 実績報告書の提出
事業完了後、実績報告書を作成し、証拠書類(写真、領収書等)を添えて市に提出します。 - 補助金額の確定・交付
実績報告書の内容が審査され、補助金額が確定した後、指定の口座に補助金が振り込まれます。
重要:申請時の注意点
- 補助金の交付は市の予算の範囲内で行われます。申請額が予算を超えた場合、満額交付されない可能性があります。
- 申請書類は公式サイトからダウンロードできますが、PDF形式のため閲覧にはAdobe Reader等が必要です。
- 森林所有者と契約を結ぶ場合は、その契約内容が補助要件を満たしているか事前に確認してください。
申請・問い合わせ先
本事業に関するご相談や申請書類の提出は、以下の担当課までお願いします。