埼玉県行田市で水稲や大豆を栽培されている農業者の皆様へ朗報です。近年、全国的に問題となっているカメムシ類やジャンボタニシによる農作物への被害。その防除にかかる経済的負担を軽減するため、行田市では「農産物等病害虫防除対策費補助金」制度を実施しています。この制度を活用すれば、薬剤の購入費用や散布の委託料などに対して最大50,000円の補助を受けることが可能です。大切な農作物を害虫から守り、安定した農業経営を続けるための強力なサポートとなります。この記事では、補助金の対象者、金額、申請方法から採択されるためのポイントまで、どこよりも詳しく、そして分かりやすく解説します。申請期間は令和7年7月1日から12月26日までとなっていますので、対象となる方はぜひ最後までご覧いただき、準備を進めてください。

この補助金のポイント

  • 行田市内の水稲・大豆栽培農家が対象
  • カメムシ類、ジャンボタニシの防除費用(薬剤購入費・散布委託料)を補助
  • 補助上限額は最大50,000円
  • 申請期間は2025年7月1日~12月26日
  • JAほくさいへの委託者は手続きが簡略化される場合も

2025年度 行田市農産物等病害虫防除対策費補助金とは?

補助金の目的と背景

この補助金は、行田市内の農業者が直面する病害虫による被害リスクを低減し、農業経営の安定化を図ることを目的としています。特に、近年の気候変動の影響で発生が増加傾向にあるカメムシ類は、水稲の品質を著しく低下させる「斑点米」の原因となり、収益に大きな打撃を与えます。また、ジャンボタニシ(スクミリンゴガイ)は、田植え直後の若い稲を食害し、収量減に直結する深刻な被害をもたらします。これらの害虫対策は必須ですが、防除には薬剤費や散布委託料など、相応のコストがかかります。そこで行田市が費用の一部を補助することで、農業者の負担を軽くし、積極的な防除活動を後押ししています。

制度の概要

補助金の基本的な情報を以下の表にまとめました。申請前に必ずご確認ください。

項目 内容
正式名称 行田市農産物等病害虫防除対策費補助金
実施機関 埼玉県行田市
申請受付期間 令和7年7月1日(火曜日)から令和7年12月26日(金曜日)まで
対象農作物 水稲、大豆
対象害虫 カメムシ類、ジャンボタニシ
公式サイト 行田市公式ウェブサイト
問い合わせ先 行田市 農政課 (電話: 048-580-3013)

補助金の詳細:いくら、誰が、何に使える?

補助金額と上限

補助金額は、防除を実施した作付面積によって決まります。計算方法が2段階に分かれているため、ご自身の面積を確認しましょう。

  • 作付面積が5ha未満の場合: 10a(アール)当たり1,000円が補助されます。ただし、計算後の合計金額が1,000円未満の場合は切り捨てとなります。
  • 作付面積が5ha以上の場合: 一律で50,000円が補助されます。

【重要】 補助金の額は、「実際にかかった対象経費」と「面積から計算した上限額」のいずれか低い方の金額となります。また、同じほ場に複数回散布した場合でも、補助対象となる面積は1回分として計算される点にご注意ください。

【計算例】

例1:水稲を3.5ha(=350a)作付けし、薬剤購入と散布委託で合計40,000円かかった場合

面積当たりの上限額: 1,000円/10a × 350a = 35,000円
実際にかかった経費は40,000円ですが、上限額の35,000円の方が低いため、補助金額は35,000円となります。

例2:大豆を6ha作付けし、空中散布委託で65,000円かかった場合

面積が5ha以上なので、上限額は一律50,000円です。
実際にかかった経費は65,000円ですが、上限額の50,000円の方が低いため、補助金額は50,000円となります。

対象となる農業者(対象要件)

この補助金を受け取るためには、以下の3つの要件をすべて満たす必要があります。

  • 行田市在住の個人または市内に事業所を持つ法人であること:
    個人の場合は行田市に住所があること、法人の場合は本店または主たる事務所が行田市内にあることが条件です。
  • 令和7年度営農計画書を行田市農業再生協議会に提出していること:
    農業経営の基盤となる営農計画書を、定められた期間内に提出していることが必須です。未提出の場合は対象外となりますのでご注意ください。
  • 自ら防除を実施、または業者に委託した者であること:
    自分で薬剤を購入して散布した場合、またはJAや民間の薬剤散布事業者などに作業を委託した場合のどちらも対象となります。

対象となる経費

補助の対象となるのは、カメムシ類およびジャンボタニシの防除に直接かかった以下の費用です。

  • 薬剤購入料金:防除に使用した殺虫剤や殺貝剤の購入費用。
  • 空中散布委託料:ドローンやヘリコプターなどによる空中散布をJAや専門業者に依頼した際の費用。
  • 薬剤散布委託料:地上からの薬剤散布を業者に依頼した際の費用。

一方で、防除機具の購入費や修理費、ご自身の作業に対する人件費(労賃)、燃料費などは対象外となりますのでご注意ください。

申請手続きの完全ガイド

申請期間と重要な注意点

申請受付期間は 令和7年7月1日(火曜日)から令和7年12月26日(金曜日)までです。期間が長めに設定されていますが、重要な注意点があります。

【最重要】申請は年度内に1回のみ!
この補助金の申請は、1人の申請者につき1回限りです。水稲と大豆の両方を栽培している方や、複数回に分けて防除作業を行う方は、その年の対象となる全ての防除作業が完了してから、まとめて申請してください。
例えば、水稲の防除が10月、大豆の防除が11月に終わる場合、11月以降に両方の作業分をまとめて申請する必要があります。

必要書類一覧と入手方法

申請には以下の書類が必要です。申請様式は行田市の公式ウェブサイトからダウンロードできるほか、農政課窓口、JAほくさい行田中央支店・行田中部支店でも配布されています。

  1. 行田市農産物等病害虫防除対策費補助金申請書兼請求書(様式第1号)
  2. 薬剤散布の実施一覧(様式第2号)
    いつ、どのほ場で、何の薬剤を、どれくらいの面積に散布したかを記入する書類です。
  3. 申請者名義の振込口座通帳等の写し
    金融機関名、支店名、口座種別、口座番号、口座名義(カナ)が確認できるページのコピーが必要です。
  4. 経費を証明する書類(領収書等の写し)
    以下のいずれか、または両方が必要です。
    • 自分で薬剤を購入した場合:令和7年1月1日以降に購入したことがわかる領収書の写し(購入者名、購入日、品名、金額が明記されているもの)。
    • 業者に散布を委託した場合:散布事業者名、委託料金、散布面積、作業内容がわかる領収書や請求明細書の写し。

【特例】JAほくさいに防除を委託した場合の手続き簡略化

カメムシ類の防除をすべてJAほくさいに委託している場合は、手続きが大幅に簡略化されます。指定の「委任状」を提出することで、上記必要書類のうち「2. 薬剤散布の実施一覧」と「4. 経費を証明する書類」の提出が不要になります。この場合、提出するのは以下の3点のみです。

  • 申請書兼請求書(様式第1号)
  • 振込口座通帳等の写し
  • 委任状

この特例は、JAほくさいに空中散布等を依頼している多くの農家にとって非常に便利な制度です。ご自身が該当するかどうか、JAにご確認ください。

採択率を高めるための3つの重要ポイント

この補助金は要件を満たしていれば基本的に交付されますが、書類の不備などで手続きが滞るケースもあります。スムーズに補助金を受け取るために、以下の3つのポイントを必ず押さえておきましょう。

ポイント1:書類の正確性と完全性

申請書や実施一覧の記入漏れ、押印忘れ、添付書類の不足は、最も多い不備のパターンです。提出前には、市のウェブサイトで公開されている記入例とご自身の書類を照らし合わせ、すべての項目が正しく埋められているか、必要な書類がすべて揃っているかをダブルチェックしましょう。

ポイント2:証拠書類(領収書等)の適切な管理

薬剤の購入や作業委託を証明する領収書は、補助金申請の根幹をなす重要な書類です。レシートではなく、「申請者名(宛名)」「購入・作業日」「品名・作業内容」「金額」が明確に記載された領収書を必ず発行してもらい、大切に保管してください。これらの情報が不明瞭だと、経費として認められない可能性があります。

ポイント3:申請タイミングの遵守

前述の通り、申請は「年度内に1回のみ」で、「全ての防除作業が完了してから」行う必要があります。焦って一部の作業が終わった段階で申請してしまうと、その後の作業分は補助の対象外となってしまいます。ご自身の年間の防除スケジュールを把握し、最適なタイミングで申請するように計画を立てましょう。

よくある質問(FAQ)

Q1. 1つのほ場にカメムシ対策とジャンボタニシ対策を両方行った場合、補助金はどうなりますか?
A1. 補助対象面積は1回分として計算されます。例えば、10aのほ場に2回散布しても、補助額の計算基礎となる面積は10aです。ただし、かかった経費(薬剤費など)は合算して申請できますので、領収書はすべて保管しておいてください。
Q2. 申請はいつ頃するのがベストですか?
A2. その年の対象農作物(水稲・大豆)の防除がすべて完了してから申請してください。一般的に、水稲の場合は稲刈りが終わる10月以降、大豆の場合は11月以降が目安となります。申請期限は12月26日ですので、忘れずに手続きしましょう。
Q3. 営農計画書を提出したか覚えていません。どこで確認できますか?
A3. 営農計画書の提出先である「行田市農業再生協議会」にお問い合わせください。事務局は行田市農政課内にあります。
Q4. 家族名義の口座に振り込んでもらえますか?
A4. いいえ、補助金の振込先は申請者本人名義の口座に限られます。申請書に記載する名義と、通帳の写しの名義が一致していることを確認してください。
Q5. 昨年(令和6年)に購入した薬剤の残りを今年使った場合、その費用は対象になりますか?
A5. いいえ、対象になりません。補助対象となるのは、令和7年1月1日以降に購入した薬剤の費用です。領収書の日付が重要になります。

まとめ:計画的な防除と申請で、賢く補助金を活用しよう

今回は、埼玉県行田市の農業者を支援する「農産物等病害虫防除対策費補助金」について詳しく解説しました。

重要ポイントの再確認

  • 対象者:行田市内の農業者で、営農計画書を提出している方。
  • 対象経費:水稲・大豆のカメムシ、ジャンボタニシ対策にかかる薬剤購入費・散布委託料。
  • 補助額:5ha未満は10aあたり1,000円、5ha以上は一律5万円が上限。
  • 申請期間:令和7年7月1日~12月26日。
  • 注意点:申請は年度内に1回のみ。全ての防除作業完了後にまとめて申請すること。

病害虫対策は、農作物の品質と収量を守るために不可欠な作業です。この補助金を有効に活用することで、コスト負担を抑えながら適切な防除を実施することができます。申請に必要な書類や領収書を今から準備・管理し、申請期間になったら速やかに手続きを進めましょう。ご不明な点があれば、行田市農政課へ早めに相談することをお勧めします。