この記事では、全国の地方自治体で実施されている「農作物鳥獣被害対策補助金」について、岐阜県恵那市や島根県浜田市の事例を基に解説します。補助額や要件は自治体によって異なるため、申請を検討される方は、必ずお住まいの市町村の担当窓口にご確認ください。
対象となる方
- 野生鳥獣による農作物被害に悩む農業者の方
- 3戸以上の農業者で組織される集落・団体
- 事業対象地域(市内など)に農地を有し、農作物を出荷している方
- 市税等を滞納していない方
申請手順
| ステップ | 内容 |
|---|---|
| STEP 1 | 市町村の担当窓口へ事前相談(設置計画、見積書を持参) |
| STEP 2 | 必要書類を準備し、補助金交付申請書を提出 |
| STEP 3 | 審査 → 交付決定通知の受領 |
| STEP 4 | 資材の購入・設置 → 事業完了後、実績報告書を提出 → 補助金振込 |
補助金額・補助率
申請の準備はできていますか?
申請チェックリストを確認する補助金額や補助率は、実施する自治体や事業内容(防護柵、捕獲檻など)によって異なります。以下は島根県浜田市の例です。
| 項目 | 内容(島根県浜田市の例) |
|---|---|
| 補助上限額 | ・防護柵: 50,000円 ・捕獲檻: 80,000円 |
| 補助率 | 対象経費の2分の1以内(千円未満切捨) |
| 備考 | 岐阜県恵那市では、総資材費の3分の1以内となっています。 |
計算例(浜田市の場合): 防護柵の資材費に12万円かかった場合 → 12万円 × 補助率1/2 = 6万円。補助上限額が5万円のため、交付額は5万円となります。
対象となる事業者・団体
- 市町村内に農地を有する農業者、または農業者で組織する団体(集落など)。
- 農作物の出荷実績があること。
- 市税等の滞納がないこと。
- 集落単位で申請する場合、対象農家数が3戸以上であること(恵那市の例)。
その他要件
- 事業完了期限(例: 1月末)までに事業を完了させ、実績報告書を提出すること。
- 既設の防護柵を更新する場合、一定期間(例: 5年以上)が経過していること。
- 暴力団員等に該当しないこと。
審査基準・採択のポイント
本補助金は、要件を満たしていれば比較的採択されやすい傾向にありますが、予算に限りがあるため、計画の妥当性が重要視されます。
主な審査項目
- 計画の妥当性: 被害状況に対し、設置計画が効果的かつ現実的か。
- 事業の必要性: 野生鳥獣による農作物被害が深刻であり、対策の必要性が高いか。
- 費用対効果: 補助事業費が過大でなく、費用に見合った効果が期待できるか。
- 公共性(集落申請の場合): 集落全体での被害防止に貢献する計画か。
採択率を高めるポイント
- 農地の全面を隙間なく囲うなど、効果的な設置計画を立てる。
- 県などが策定している「防護柵設置マニュアル」を参考に、適切な設置方法を計画に盛り込む。
- 過剰な資材購入は避け、必要最小限の数量で見積もりを取得する。
- 予算がなくなり次第終了となるため、早めに申請を行う。
よくある質問
Q1: 交付決定前に購入した資材は対象になりますか?
A: いいえ、対象外です。必ず交付決定通知書を受け取った後に資材を購入してください。事前購入は補助の対象となりませんので、十分ご注意ください。
Q2: どのようなものが補助対象経費になりますか?
A: 電気柵、ワイヤーメッシュ、防獣ネット、捕獲檻などの資材購入費が主な対象です。設置にかかる人件費、工具代、配送料、テスターやソーラーパネルなどの関連機器は対象外となる場合がほとんどです。
Q3: 個人でも申請できますか?
A: 多くの自治体で個人農業者からの申請が可能です。ただし、農作物の出荷実績や市税の滞納がないことなどが要件となります。一部、集落単位での申請のみ受け付けている自治体もあります。
Q4: 申請はどこに行えばよいですか?
A: お住まいの市町村の農政担当課(農林振興課、農政課など)が申請窓口となります。申請前に一度、電話などで相談されることをお勧めします。
Q5: 防護柵はどのように設置すればよいですか?
A: 農地の全面を隙間なく囲うことが基本です。用水路や道路との境界部分に隙間ができないよう注意が必要です。島根県中山間地域研究センターなどが詳細な「防護柵設置マニュアル」を公開しており、非常に参考になります。
制度の概要・背景
農林水産省によると、令和5年度の野生鳥獣による農作物被害額は全国で164億円にのぼり、依然として高い水準で推移しています。被害は営農意欲の減退や耕作放棄地の増加など、数字に表れない深刻な影響も及ぼしています。
このような状況を受け、国は「鳥獣による農林水産業等に係る被害の防止のための特別措置に関する法律」に基づき、総合的な鳥獣被害防止対策を支援しています。各市町村が実施する本補助金は、その一環として、現場で対策に取り組む農業者を直接支援し、地域ぐるみでの被害防止活動を推進することを目的としています。
まとめ・お問い合わせ先
農作物鳥獣被害対策補助金は、被害防止に不可欠な防護柵等の設置費用を軽減する有効な制度です。予算がなくなり次第、受付を終了する自治体が多いため、申請を検討されている方は、早めに計画を立て、担当窓口へ相談することをお勧めします。
お問い合わせ先
実施機関: お住まいの市町村
担当部署: 農政課、農林振興課など
公式サイト: 農林水産省 鳥獣被害対策コーナー
(参考)
・恵那市 農政課 農業振興係 電話: 0573-26-6831
・浜田市 農林振興課 電話: 0855-25-9510