はじめに:東京都の商店街を力強くサポートする支援策
東京都では、地域経済の活性化と魅力的なまちづくりの中心である商店街を支援するため、令和7年度(2025年度)も多岐にわたる補助金・助成金メニューを用意しています。にぎわい創出のためのイベント開催から、施設の近代化、防災力強化、インバウンド対応まで、商店街が抱える様々な課題に対応する支援策が揃っています。
この記事のポイント
- 東京都が提供する10種類の主要な商店街支援事業を網羅的に解説。
- イベント、施設整備、防災、リノベーションなど、目的別に最適な補助金が見つかる。
- 補助率、上限額、対象者などの重要情報を一覧表で分かりやすく整理。
- 申請に向けた注意点や、区市町村独自の上乗せ補助の可能性にも言及。
本記事では、東京都産業労働局が公開している情報を基に、各支援事業の概要、対象者、補助内容などを詳しく解説します。あなたの商店街の未来を切り拓くための最適な支援策を見つけ、ぜひご活用ください。
令和7年度 東京都商店街支援メニュー一覧
まずは、東京都が提供する主要な10の支援メニューの全体像を把握しましょう。各事業の詳細については、後ほど詳しく解説します。
事業名 | 主な支援内容 | 都補助限度額(最大) |
---|---|---|
1. イベント・活性化事業 | イベント開催、街路灯設置、HP作成、キャッシュレス対応等 | 7,500万円 |
2. 地域連携型商店街事業 | 町会・NPO等と連携したイベント・活性化事業 | 1億円 |
3. 地域力向上事業 | 住民生活を支えるための小規模な取組 | 20万円 |
4. 未来商店街活力向上支援事業 | 専門家派遣と3年間の伴走支援による中期計画策定・実行 | 5,000万円 |
5. 地域の観光需要対応支援事業 | インバウンド対応(多言語HP作成、マップ作成等) | 3,000万円 |
6. 政策課題対応型商店街事業 | 環境、防災、福祉等の都の政策課題に対応する施設整備 | 1億2,000万円 |
7. 広域支援型商店街事業 | 複数区市町村にまたがる広域連携イベント | 2,000万円 |
8. 商店街ステップアップ応援事業 | 専門家派遣後の市場調査や活性化計画策定 | 200万円 |
9. 商店街防災力向上緊急支援事業 | 防災資機材の購入や防災訓練の実施 | 30万円/商店街 |
10. 商店街戦略的リノベーション支援事業 | 統一的なまちづくりのための方針・計画策定 | 2,000万円 |
各支援事業の詳細解説
1. イベント・活性化事業(商店街チャレンジ戦略支援事業)
商店街が行うイベントや、街路灯設置、ホームページ作成、キャッシュレス対応などの活性化事業を幅広く支援する、最も基本的なメニューです。
対象者
- 商店街及び商店街の連合会
- 商工会、商工会議所
補助率・限度額
事業内容によって細かく分かれています。主なものを抜粋します。
イベント事業 | ||
---|---|---|
事業区分 | 都補助率 | 都補助限度額 |
補助対象経費100万円超 | 1/3以内 | 300万円 |
補助対象経費100万円以下 | 1/2以内 | ― |
活性化事業 | ||
---|---|---|
事業区分 | 都補助率 | 都補助限度額 |
基本事業 | 1/3以内 | 5,000万円 |
キャッシュレス対応事業 | 1/2以内 | 5,000万円 |
こども応援事業 | 1/2以内 | 1,000万円 |
備考:申請先は各区市町村になります。新たに法人化した商店街は補助率・限度額が拡充される特例があります。
2. 地域連携型商店街事業
商店街が町会・自治会やNPOなどの地域団体と実行委員会を組織し、連携して行うイベントや活性化事業を支援します。
補助率・限度額
- イベント事業(新規): 都補助率 2/5以内(限度額 400万円)
- イベント事業(継続): 都補助率 1/3以内(限度額 333.3万円)
- 活性化事業: 都補助率 2/5以内(限度額 1億円)
申請先:各区市町村
3. 地域力向上事業
商店街が地域住民の生活を支えるために行う、比較的小規模な取り組みを支援します。
補助率・限度額
都補助率 1/3以内(限度額 20万円)
申請先:各区市町村
4. 未来商店街活力向上支援事業
専門家派遣による課題抽出から、3年後のあるべき姿を描く中期計画の策定、そしてその実行までを3年間にわたり一気通貫で伴走支援する事業です。
補助率・限度額
- ブランド化調査・実行支援: 都補助率 3/5以内(限度額 300万円)
- 3年間の伴走支援(計画実行事業): 都補助率 1/2以内(1年目限度額 1,500万円、2・3年目限度額 5,000万円)
申請先:各区市町村
5. 地域の観光需要対応支援事業
インバウンド観光客の需要に対応するための取り組みを支援します。マップ・ガイドブック作成、多言語ホームページ作成、案内表示設置などが対象です。
補助率・限度額
都補助率 2/3以内(限度額 最大3,000万円/年)
支援期間:2年間(令和6年度~令和7年度)
申請先:各区市町村
6. 政策課題対応型商店街事業
環境、防災、福祉など、東京都が直面する政策課題の解決に繋がる商店街の施設整備等を強力に支援します。高い補助率が特徴です。
対象事業(例)
- 環境:LED街路灯の設置・交換、ソーラーパネル設置など
- 防災・防犯:アーケードの耐震補強・撤去、民間交番の設置など
- 福祉:バリアフリートイレの設置、授乳スペースの設置など
- 買物弱者支援:宅配サービス、移動販売など
補助率・限度額
- 環境・買物弱者支援事業など: 9/10以内(限度額 1億2,000万円)
- 防災・福祉・国際化対応事業など: 4/5以内(限度額 1億2,000万円)
受付期間:令和7年6月2日(月)~6月16日(月) ※一部先行受付あり
申請先:各区市町村
7. 広域支援型商店街事業
複数の区市町村にまたがる広域的な連携イベントなど、単一の自治体では実施が困難な取り組みを支援します。
補助率・限度額
都補助率 2/3以内(限度額 2,000万円)
問い合わせ先:東京都商店街振興組合連合会
8. 商店街ステップアップ応援事業
無料の専門家派遣を受けた商店街が、その後の具体的な市場調査や活性化計画の策定を行う際の費用を支援します。
補助率・限度額
都補助率 2/5以内(限度額 200万円)
申請先:各区市町村
9. 商店街防災力向上緊急支援事業
首都直下地震などの災害に備え、地域の防災力向上に取り組む商店街を支援します。防災資機材の購入や防災訓練の実施などが対象です。
補助率・限度額
補助率 10/10(限度額 30万円/商店街)
主な要件
- 防災訓練を1回以上実施すること
- 災害時のルールやマニュアルを整備すること
申請受付期間:令和7年6月9日(月)~ 10月31日(金) 11月30日(日)まで延長
申請先:各区市町村(Jグランツによる電子申請も可能)
10. 商店街戦略的リノベーション支援事業
統一感のある魅力的なまちづくりを推進するため、商店街の方針・計画策定から整備までの取り組みを支援します。
補助率・限度額
都補助率 3/4以内(限度額 2,000万円)
申請受付期間:令和7年7月1日(火)~ 9月12日(金) 12月26日(金)まで延長
申請先:各区市町村
申請のポイントと注意点
申請前に必ず確認したいこと
- 申請窓口は各区市町村
多くの事業の申請窓口は、東京都ではなく、商店街が所在する区市町村の担当課となります。まずは地元の自治体に相談しましょう。 - 区市町村による上乗せ補助
目黒区や渋谷区の例のように、区市町村が都の補助金に独自の補助を上乗せしている場合があります。これにより、自己負担をさらに軽減できる可能性がありますので、必ず確認してください。 - 早めの準備と相談
事業計画書の作成など、申請には時間がかかります。特に、前年度に計画書の提出が必要な事業もあります。公募開始を待つのではなく、年間を通じて早めに区市町村へ相談することが採択への鍵となります。 - 最新情報の確認
本記事は令和7年度の案内を基に作成していますが、要綱や募集期間が変更される可能性もあります。申請前には必ず東京都や各区市町村の公式ホームページで最新の募集要領をご確認ください。
まとめ
東京都では、商店街の多様なニーズに応える手厚い支援メニューが用意されています。自らの商店街が目指す姿を明確にし、それに合った補助金を戦略的に活用することで、地域の活性化や課題解決を大きく前進させることができます。
まずは、この記事を参考に候補となる事業を絞り込み、地元の区市町村の担当課へ相談することから始めてみましょう。
【お問い合わせ(都の事業全般)】
東京都 産業労働局 商工部 地域産業振興課
電話:03-5320-4787
※個別の申請に関するご相談は、まず各区市町村の商店街振興担当課へお問い合わせください。