詳細情報
この記事では、令和7年度(2025年度)の最新情報に基づき、「早期再就職支援等助成金」の3つのコース(雇入れ支援・再就職支援・中途採用拡大)について、それぞれの目的、対象者、支給額、主な要件を網羅的に解説します。自社がどのコースを活用できるか、具体的な申請イメージを掴むことができます。
早期再就職支援等助成金とは?
早期再就職支援等助成金は、事業規模の縮小などにより離職を余儀なくされた労働者の再就職を促進したり、中途採用を積極的に行う事業主を支援したりするための国の制度です。労働市場の流動性を高め、労働者が円滑に新しい職場へ移行できるようサポートすることを目的としています。
この助成金は、目的別に大きく分けて以下の3つのコースが用意されており、事業主の状況に応じて最適な支援を選択できます。
- 雇入れ支援コース:離職後3ヶ月以内の労働者を無期雇用で雇い入れた事業主向け
- 再就職支援コース:離職する従業員の再就職支援を外部に委託する事業主向け
- 中途採用拡大コース:中途採用率の向上に取り組む事業主向け
令和7年4月1日から、各コースで支給要領や様式の一部が変更されていますので、最新の情報を確認することが重要です。また、電子申請には「GビズID」の取得が原則必要となります。
1. 雇入れ支援コース
「雇入れ支援コース」は、再就職援助計画などの対象となった労働者を、離職後3ヶ月以内という早期に、期間の定めのない労働者として雇い入れた事業主に対して助成金を支給する制度です。
支給対象となる事業主の主な要件
- 対象労働者を離職日の翌日から3ヶ月以内に、期間の定めのない労働者として雇い入れること。
- 対象労働者を雇用保険の一般被保険者または高年齢被保険者として雇い入れること。
- 支給決定時までに対象労働者を事業主都合で解雇していないこと。
対象となる労働者
以下のすべてに該当する方が対象です。
- 離職から3ヶ月以内に期間の定めのない労働者として雇い入れられること。
- 直前の離職時に「再就職援助計画」または「求職活動支援書」の対象者であるか、「特定受給資格者」であること。
- 元の事業所への復帰の見込みがないこと。
支給額
支給額は、雇入れの状況や人材育成の実施有無によって異なります。
| 支援内容 | 支給額(中小企業の場合) |
|---|---|
| 早期雇入れ支援(通常) | 対象者1人につき30万円 |
| 早期雇入れ支援(優遇) | 対象者1人につき40万円 |
| 人材育成支援(上乗せ) | 訓練内容に応じて賃金助成・経費助成・実施助成あり |
| 賃金上昇加算 | 前職より賃金を5%以上上昇させた場合に20万円加算 |
2. 再就職支援コース
「再就職支援コース」は、事業規模の縮小等により離職を余儀なくされる従業員に対し、手厚い再就職支援を実施する事業主をサポートする制度です。職業紹介事業者への委託、求職活動のための休暇付与、再就職のための訓練実施などが対象となります。
主な助成内容と支給額
- 職業紹介事業者への委託:再就職が実現した場合、委託費用の最大2/3(45歳以上は4/5、中小企業の場合)を助成。
- 訓練加算:再就職支援の一環で訓練を実施した場合、訓練費用を上乗せ助成(最大50万円)。
- 休暇付与支援:求職活動のための休暇を付与した場合、1日あたり8,000円(中小企業の場合)を助成。
- 職業訓練実施支援:教育訓練施設等に訓練を委託した場合、経費の3/4と賃金助成(1時間あたり960円)を支給(中小企業の場合)。
■注意点:このコースを活用するには、事前に「再就職援助計画」を作成し、管轄のハローワーク所長の認定を受ける等の手続きが必要です。
3. 中途採用拡大コース
「中途採用拡大コース」は、中途採用者の雇用管理制度を整備し、実際に中途採用を拡大した事業主に対して助成金を支給する制度です。経験豊富な人材を確保し、企業の成長を後押しすることを目的としています。
主な要件
- 中途採用者の雇用管理制度(評価・処遇制度など)を整備すること。
- 1年間の「中途採用計画」を作成し、労働局に届け出ること。
- 計画期間中に、期間の定めのない労働者を2人以上雇い入れること。
- 計画期間中の中途採用率を、計画前の3年間と比較して20ポイント以上向上させること。
支給額
| 達成目標 | 支給額 |
|---|---|
| 中途採用率の拡大 (中途採用率を20ポイント以上上昇) |
50万円 |
| 45歳以上の中途採用率の拡大 (上記に加え、45歳以上で10ポイント以上上昇させ、対象者全員の賃金を5%以上UP) |
100万円 |
申請手続きと相談窓口
申請の基本的な流れ
- 計画の作成・提出:各コースの要件に沿った計画書(再就職援助計画、中途採用計画など)を作成し、管轄の労働局やハローワークに提出します。
- 取り組みの実施:計画に沿って、対象者の雇入れや再就職支援、中途採用の拡大などを実施します。
- 支給申請:支給申請期間内に、必要な書類を揃えて管轄の窓口に支給申請を行います。
相談・申請窓口
助成金の詳細や申請手続きに関する相談は、事業所の所在地を管轄する都道府県労働局またはハローワーク(公共職業安定所)にて受け付けています。
まとめ
早期再就職支援等助成金は、企業の雇用戦略や人材活用において非常に有効な制度です。自社の状況に合わせて適切なコースを選択し、活用することで、人材の確保や円滑な事業再編を進めることができます。
各コースには詳細な要件が定められているため、申請を検討する際は、必ず厚生労働省の公式ウェブサイトで最新のパンフレットや支給要領を確認するか、専門家である社会保険労務士に相談することをおすすめします。