東京都江東区で事業を営む中小企業の皆様へ朗報です。業務の効率化や生産性向上のためにITツールやソフトウェア、関連機器の導入を検討しているなら、「ICT等導入支援事業」の活用がおすすめです。専門家による無料相談支援に加え、導入経費の最大50万円が補助されます。この記事では、制度の概要から申請方法、注意点までをプロが徹底解説します。
江東区ICT等導入支援事業の概要
まずは、本事業の重要なポイントを一覧表で確認しましょう。
| 補助上限額 | 最大50万円 |
|---|---|
| 補助率 | 補助対象経費の2分の1以内 |
| 対象者 | 江東区内に本店または主たる事業所を持つ中小企業者(創業予定者含む) |
| 対象経費 | ソフトウェア、IoT機器、キャッシュレス端末、テレワーク関連機器の導入費用など |
| 申請の前提条件 | 専門支援員による事前の相談支援が必須 |
| 申請方法 | 郵送、窓口、メール |
| 実施機関 | 江東区 経済課 産業振興係 |
⚠️ 最重要ポイント:必ず導入前に相談を!
この補助金の最大の注意点は、ITツール等の導入(支払い)に着手する前に、必ず区の相談支援を受け、事業計画の確認を得る必要があることです。支援員による事業計画の確認前に支払った経費は一切補助対象外となりますので、絶対に順番を間違えないようにしてください。
補助対象となる方(対象要件)
本事業の支援対象となるのは、以下の要件をすべて満たす方です。
- 中小企業基本法第2条に定める中小企業者であること(創業予定者も対象です)。
- 江東区内に本店(個人事業主の場合は主たる事業所)及びICT等を導入する事業所を有すること。
- 直近の法人住民税および法人事業税(個人の場合は住民税および個人事業税)を滞納していないこと。
- 申請日の属する年度の直近2か年度において、本補助金の交付を受けていないこと。
補助対象事業と経費
補助対象となる事業例
事業の効率化や生産性向上を目的とした、以下のようなITツール・機器の導入が対象となります。
ソフトウェアの導入
会計ソフト、顧客管理システム(CRM)、勤怠管理システムなど。クラウドサービスやサブスクリプション型も対象です。
IoT機器の導入
OCRスキャナーによる伝票入力の自動化、センサーによる在庫管理など、データ収集・活用を目的とした機器が対象です。
キャッシュレス端末の導入
POSレジシステムやカードリーダーなど、キャッシュレス決済に対応するための機器が対象です。
テレワーク関連機器の導入
Web会議用の高機能なカメラ、マイク、スピーカーなど、テレワーク環境を整備するための周辺機器が対象です。
補助対象経費の詳細
以下の経費が補助の対象となります。
- ソフトウェアの購入代金、ライセンス料金(1年分が上限)
- ソフトウェアの初期設定、カスタマイズ料金
- IoT機器、キャッシュレス端末、テレワーク関連機器の購入・賃借料金
- ソフトウェア導入に伴い最低限必要となるパソコン等の汎用機器の購入・賃借料金
💡 パソコン等の「汎用機器」の取り扱いについて
パソコン、タブレット、プリンターなどの汎用機器は、単体での購入は対象外です。しかし、特定のソフトウェアを導入する上で最低限必要となる場合は補助対象となります。ただし、汎用機器の経費は総額20万円を上限として補助対象経費に算入できます(補助額としては最大10万円)。
補助対象外となるケース
以下の場合は補助対象外となるためご注意ください。
- 既に導入済みのITツール・機器の増設、改修、入れ替え(例:ライセンス数の追加、バージョンアップ)。
- パソコン、タブレット等の汎用機器のみの導入・買い替え。
- 国や東京都など、他の団体から同種の補助金を受ける事業。
申請から補助金交付までの流れ
本事業は、申請から補助金受け取りまで、大きく分けて5つのステップで進みます。
-
1
専門家による相談支援(必須)
まずは「ICT等導入支援申込書」等の必要書類を区に提出します。後日、指定された専門支援員(ITコーディネーター等)が事業所を訪問し、課題のヒアリングや導入計画の策定支援を無料で行います。
-
2
補助金交付申請
支援員と共に作成し、確認を受けた「事業計画書」と「補助金交付申請書」、見積書などを区に提出します。審査後、交付決定通知が郵送されます。
-
3
ICTツール等の導入・支払い
交付決定後、事業計画に基づいてITツール等の発注、導入、支払いを完了させます。支払いは必ず申請者名義(法人名義 or 個人事業主名義)で行ってください。
-
4
実績報告
導入完了後、期限内(交付申請年度内かつ事業計画確認から1年以内)に「実績報告書」と領収書などの支払いを証明する書類を提出します。
-
5
補助金交付
実績報告の審査後、交付額確定通知が届きます。その後、指定の口座に補助金が振り込まれます。申請から振込までは全体で3か月程度が目安です。
よくある質問(Q&A)
Q. 中古品を購入しても対象になりますか?
A. はい、補助対象となります。ただし、価格変動が起きやすい点にご注意ください。価格が上がった場合は事業計画変更の手続きが必要です。
Q. クレジットカードでの支払いは可能ですか?
A. はい、申請者名義のクレジットカードであれば対象です。(法人は法人カード、個人は本人名義のカード)
Q. 自宅兼事業所の場合、訪問ヒアリングはどうなりますか?
A. ご自宅に訪問させていただきます。事業所の実在確認が必須のため、ご協力をお願いします。
Q. 創業したばかりで納税証明書が発行できません。
A. 法人が未決算の場合など、納税証明書の添付を省略できる場合があります。事前に担当係へお問い合わせください。
まとめ:専門家と相談して賢くIT化を進めよう
江東区の「ICT等導入支援事業」は、単なる経費補助だけでなく、専門家による無料の導入コンサルティングを受けられる点が大きな魅力です。「何から手をつければ良いか分からない」という方でも、自社の課題に合った最適なITツールを見つける手助けをしてもらえます。
業務効率化や生産性向上は、多くの中小企業にとって重要な経営課題です。この機会に本事業を有効活用し、事業の成長を加速させてみてはいかがでしょうか。
お問い合わせ先
江東区 地域振興部 経済課 産業振興係
〒135-8383 東京都江東区東陽4丁目11番28号(区役所本庁舎4階29番窓口)
メール: sangyou-k@city.koto.lg.jp
対象者・対象事業
江東区内に本店または主たる事業所を持つ中小企業者(創業予定者含む)。直近の税金を滞納していないこと。過去2か年度に本補助金の交付を受けていないこと。
必要書類(詳細)
【相談支援申込時】
・江東区ICT等導入支援申込書
・登記事項証明書(法人の場合)または住民票(個人の場合)
・開業届出書の写し等(個人の場合)
・納税証明書
【補助金交付申請時】
・江東区ICT等導入支援補助金交付申請書
・支援員の確認を受けた事業計画書
・補助対象経費の見積書等
対象経費(詳細)
ソフトウェア購入・ライセンス料、初期設定・カスタマイズ料、IoT機器、キャッシュレス端末、テレワーク関連機器の購入・賃借料。ソフトウェア導入に伴い最低限必要なパソコン等の汎用機器(上限20万円まで経費算入可)。