対象となる方
- ご自宅または里帰り先から、最も近い分娩施設までの移動に概ね60分以上かかる妊婦の方
- 医学的な理由で、遠方の周産期母子医療センターで出産する必要がある妊婦の方
- 本事業を実施している市区町村に住民登録がある方(詳細は自治体にご確認ください)
申請手順
| ステップ | 内容 |
|---|---|
| STEP 1 | お住まいの市区町村の担当窓口(母子保健担当課など)へ事前相談(推奨) |
| STEP 2 | 出産に伴い交通機関や宿泊施設を利用し、領収書(原本)を必ず保管 |
| STEP 3 | 出産後、申請期間内(出産日の翌日から1年以内)に必要書類を揃えて申請 |
| STEP 4 | 自治体による審査後、交付決定通知が届き、指定口座へ補助金が振り込まれる |
補助金額・補助率
本補助金は、出産のために遠方の分娩施設へ移動する際の「交通費」と、出産前に近隣施設へ宿泊する際の「宿泊費」の2種類が対象です。補助額の算出方法は自治体により若干異なりますが、国の基準に基づき以下の通り定められています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 交通費(最大1往復分) | 移動に要した費用の8割を助成(自己負担2割)。 ・タクシー:実費額 × 0.8 ・自家用車:走行距離(km) × 37円 × 0.8 ・その他公共交通機関:運賃等の実費額 × 0.8 |
| 宿泊費(最大14泊分) | 1泊あたりの実費額から2,000円を控除した額を助成。 ・補助額 = 実費額 – 2,000円 ・1泊あたりの補助上限額:10,000円~11,100円程度(自治体により異なる) |
計算例:
・タクシーで往復20,000円かかった場合 → 20,000円 × 0.8 = 16,000円の補助
・1泊9,000円のホテルに宿泊した場合 → 9,000円 – 2,000円 = 7,000円の補助
対象者・申請要件
対象となる方
- 申請日および出産日において、事業を実施している市区町村に住所を有する妊婦の方。
- 以下のいずれかの条件を満たす方:
1. 地理的条件に該当する方: ご自宅(里帰り中の場合は里帰り先)から最も近い分娩取扱施設までの標準的な移動時間が、概ね60分以上を要する場合。
2. 医学的理由に該当する方: ハイリスク妊娠などの医学的な理由により、医師から遠方の周産期母子医療センター等で分娩する必要があると判断され、その施設までの移動に概ね60分以上を要する場合。
主な要件の詳細
- 「概ね60分以上」の定義: 自家用車や公共交通機関など、一般的な移動手段を用いた場合の標準的な所要時間です。自治体によっては「概ね30km以上の移動距離」と読み替える場合もあります。
- 宿泊の要件: 宿泊費の補助を受けるには、産科医等との相談の上で、出産入院前の待機(前泊)が必要と判断された場合に限ります。自己判断による宿泊は対象外です。
- 里帰り出産: 里帰り先のご住所を基準として、上記の地理的条件を満たす場合は対象となります。
補助対象経費
| 経費区分 | 詳細 | 対象可否 |
|---|---|---|
| 交通費 | 自宅または里帰り先から分娩施設(または前泊する宿泊施設)までの移動費用(最大1往復分)。タクシー代、自家用車のガソリン代・有料道路料金、電車・バス運賃などが対象。 | ○ |
| 宿泊費 | 出産入院前に、分娩施設の近隣で待機するために宿泊した際の費用(最大14泊分)。ホテル、旅館、ウィークリーマンションなどが対象。 | ○ |
| 妊婦健診の費用 | 定期的な妊婦健診のための交通費や宿泊費。 | × |
| 付添人の費用 | 夫や家族など、付添人の交通費や宿泊費。 | × |
| 食事代等 | 宿泊に伴う食事代やサービス料など、宿泊費以外の費用。 | × |
重要: 補助対象となるのは、分娩(出産)のための移動・宿泊に限られます。妊婦健診のための費用は対象外ですのでご注意ください。(一部自治体では健診費用を対象とする類似制度がある場合があります)
必要書類一覧
申請に必要な書類は自治体によって異なります。以下は一般的な例です。必ず事前にお住まいの市区町村にご確認ください。
| No. | 書類名 | 備考 |
|---|---|---|
| 1 | 補助金交付申請書兼請求書 | 自治体の公式サイトからダウンロードまたは窓口で入手 |
| 2 | 母子健康手帳の写し | 表紙、および出生届出済証明のページのコピー |
| 3 | 交通費の領収書(原本) | 利用日、区間、金額が明記されたもの。ETC利用明細書など。 |
| 4 | 宿泊費の領収書(原本) | 宿泊日、宿泊者名(妊婦本人)、金額が明記されたもの。 |
| 5 | 振込先口座が確認できるもの | 通帳やキャッシュカードの写し |
申請時の注意点
円滑な申請のためのポイント
- 領収書の確実な保管: 交通費・宿泊費ともに領収書(原則として原本)が必須です。宛名(妊婦本人名)、日付、金額、利用内容が明記されているか確認し、紛失しないよう大切に保管してください。
- 申請期限の遵守: 多くの自治体で申請期限は「出産日の翌日から1年以内」と定められています。期限を過ぎると申請できなくなるため、産後の落ち着いた時期に早めに手続きを進めましょう。
- 宿泊の必要性の確認: 宿泊費を申請する場合、医師等との相談に基づき前泊が必要であったことが前提となります。自己判断での宿泊は対象外となるため、事前に医療機関とよく相談してください。
- 事前相談の推奨: ご自身が対象になるか、どのような書類が必要かなど、不明な点があれば、出産前に一度お住まいの市区町村の担当窓口に相談することをお勧めします。
よくある質問
Q1: 妊婦健診のために遠方の病院へ通う交通費は対象になりますか?
A: いいえ、この制度は原則として出産時の移動・宿泊を対象としており、妊婦健診のための費用は対象外です。ただし、自治体によっては別途、妊婦健診の交通費を助成する制度を設けている場合がありますので、お住まいの自治体にご確認ください。
Q2: 里帰り出産を予定していますが、補助の対象になりますか?
A: はい、対象となる可能性があります。その場合、里帰り先のご住所を起点として、最も近い分娩施設までの移動時間が概ね60分以上かかるかどうかが判断基準となります。申請先は、住民票のある市区町村になります。
Q3: 宿泊費の対象となる「前泊」とは具体的にどのようなケースですか?
A: 例えば、計画分娩日が決まっており、遠方のため前日からの入院待機が必要な場合や、前駆陣痛があり受診したものの入院にはならず、自宅に戻らず近隣で待機するよう医師から指示された場合などが想定されます。いずれも医師等との相談・判断が前提となります。
Q4: 自家用車で移動した場合、ガソリン代の領収書は必要ですか?
A: 自家用車の場合、多くの自治体では「走行距離 × 規定単価」で交通費を算出するため、ガソリン代の領収書は不要な場合が多いです。ただし、有料道路を利用した場合は、その領収書や利用証明書が必要になります。詳細は申請先の自治体にご確認ください。
制度の概要・背景
本制度は、こども家庭庁が推進する「妊婦に対する遠方の分娩取扱施設への交通費及び宿泊費支援事業」に基づき、各市区町村が実施するものです。地域の医療体制の変化に伴い、分娩を取り扱う施設が集約化・重点化される傾向にあります。これにより、一部の地域では、妊婦の方がお住まいの場所から分娩施設まで長時間の移動を要するケースが増えています。
この補助金は、そうした妊婦の方々の経済的・身体的負担を軽減し、居住地にかかわらず誰もが安全・安心に出産できる環境を整備することを目的としています。安心して出産に臨めるよう、対象となる方は本制度の活用をご検討ください。
まとめ・お問い合わせ先
遠方の分娩施設での出産を予定されている妊婦の方にとって、交通費や宿泊費の負担を軽減できる重要な支援制度です。ご自身が対象となるかを確認し、計画的に準備を進めることが大切です。申請には領収書原本が必要となるため、出産前から意識して保管するよう心がけましょう。
お問い合わせ先
本制度に関するお問い合わせや申請手続きは、お住まいの市区町村が窓口となります。
担当部署: こども家庭課、健康課、母子保健係など(自治体により名称が異なります)
公式サイト: こども家庭庁 妊娠・出産に関する支援