詳細情報
令和7年度(2025年度)から、高齢者を対象とした新型コロナウイルスワクチン接種は、インフルエンザワクチンと同様に、法律に基づく「定期接種」へと移行し、原則として費用が有料となります。しかし、重症化予防という大切な目的のため、多くの方が接種を受けやすいよう、自己負担額を軽減する費用助成制度が各自治体で実施されます。特に、住民税非課税世帯の方や生活保護を受給されている方は、費用が全額免除(無料)になる場合があります。この記事では、令和7年度の高齢者向け新型コロナワクチン定期接種の対象者、費用、そして自己負担が無料になる条件や手続きについて、国の情報や各自治体の具体例を交えながら、誰にでも分かりやすく徹底解説します。ご自身やご家族が対象となるかを確認し、安心して接種を受けるための準備を進めましょう。
制度の概要|令和7年度 高齢者コロナワクチン定期接種とは?
これまで特例臨時接種として無料で実施されてきた新型コロナワクチン接種は、令和7年度から新たなステージに入ります。ここでは、制度の基本的な内容について確認しましょう。
正式名称と実施組織
- 制度名称: 予防接種法に基づく定期接種(B類疾病)
 - 実施組織: 皆様がお住まいの各市区町村(制度設計は国(厚生労働省)が行います)
 
目的と背景
この定期接種の主な目的は、個人の重症化を予防することです。新型コロナウイルス感染症は、特に高齢者や基礎疾患をお持ちの方が感染すると重症化するリスクが高いとされています。ワクチンを接種することで、入院や死亡に至るリスクを大幅に低減させる効果が国内外の研究で報告されています。令和7年度からは、季節性インフルエンザワクチンと同様の位置づけとなり、秋冬の流行期に備えて接種が推奨されます。
重要:接種は強制ではありません。ワクチンの効果と副反応について十分に理解した上で、ご自身の意思で接種を判断することが大切です。
接種費用と自己負担免除制度
令和7年度からの定期接種は原則有料となります。しかし、経済的な負担を軽減するための免除制度が設けられています。ここでは、具体的な費用と無料になる条件について詳しく見ていきましょう。
自己負担金額
自己負担額は、お住まいの市区町村によって異なります。接種費用の総額から公費による補助を差し引いた金額を、医療機関の窓口で支払うことになります。
| 自治体名 | 自己負担金額(税込) | 
|---|---|
| 名古屋市 | 7,700円 | 
| 横浜市 | 7,000円 | 
| 香美町(兵庫県) | 3,500円 | 
このように、自治体によって設定金額に幅があります。ご自身の地域の正確な金額は、必ず市区町村のウェブサイトや広報誌でご確認ください。
【重要】自己負担金の免除制度(無料になるケース)
対象者の方で、以下のいずれかに該当する場合は、接種費用が無料になります。接種当日に医療機関の窓口で証明書類を提示する必要があります。
- 生活保護世帯に属する方
 - 市民税非課税世帯に属する方(ご本人を含む世帯全員が非課税である必要があります)
 - 中国残留邦人等に対する支援給付の受給者の方
 
注意点:証明書類は接種時に提出する必要があります。接種後に提出しても返金されない場合がほとんどですので、必ず事前に準備してください。
対象者と接種期間
ご自身が定期接種の対象となるか、いつまでに受ければよいのかを正確に把握しましょう。
対象となる方
お住まいの市区町村に住民登録があり、自らの意思で接種を希望する方で、以下のいずれかに該当する方が対象です。
- 接種日において満65歳以上の方
 - 接種日において満60歳から満64歳の方で、心臓、腎臓、呼吸器の機能、またはヒト免疫不全ウイルス(HIV)による免疫の機能に重い障害(身体障害者手帳1級相当)を有する方
 
実施期間と接種回数
- 実施期間: 令和7年10月15日頃から令和8年2月28日まで(多くの自治体で秋冬に設定されます)
 - 接種回数: 期間内に1回
 
※開始時期や終了日は自治体によって若干異なる場合があります。必ずお住まいの自治体の情報をご確認ください。
接種までの流れと必要書類
接種を受けるための具体的な手順と、当日必要なものをまとめました。スムーズに接種できるよう、事前に準備しておきましょう。
ステップ1:接種場所を探して予約する
接種は、お住まいの市区町村が指定する医療機関(病院・クリニック)で受けることができます。多くの自治体では、ウェブサイトに「協力医療機関名簿」などを掲載しています。多くの医療機関では予約が必要となりますので、接種を希望する医療機関へ直接電話などでお問い合わせください。
接種券について:これまでの特例臨時接種とは異なり、自治体から接種券(クーポン券)は送付されないのが一般的です。インフルエンザワクチンと同様に、医療機関に備え付けの予診票を使って接種します。
ステップ2:必要書類を準備する
接種当日に持参するものを事前に確認し、忘れ物がないようにしましょう。
- 【全員必須】本人確認書類: 運転免許証、マイナンバーカード、健康保険証、介護保険被保険者証など、住所・氏名・年齢が確認できるもの。
 - 【60~64歳で対象の方】: 身体障害者手帳の写し、または医師の診断書(原本)。
 - 【費用免除を希望する方】: 下記のいずれかの証明書類。
– 生活保護世帯の方:「休日・夜間等診療依頼証」や「生活保護受給証明書」など。
– 市民税非課税世帯の方:「介護保険料額決定通知書(保険料段階が低いもの)」や、事前に区役所等で発行される「自己負担免除対象者確認書」など。
– 中国残留邦人等支援給付受給者の方:「本人確認証」の写しなど。 
※免除に必要な書類は自治体によって名称や種類が異なります。横浜市の例では「介護保険負担限度額認定証」や「後期高齢者医療資格確認書」のコピーも対象となります。必ずお住まいの自治体のウェブサイトで確認してください。
ステップ3:医療機関で接種を受ける
予約した日時に医療機関へ行き、受付で必要書類を提示します。医師による問診の後、接種を受けます。接種後は、医療機関の指示に従い、15分~30分程度、体調に変化がないか様子を見てから帰宅します。自己負担がある場合は、会計時に支払いを行います。
ワクチンの種類と安全性について
接種するワクチンの種類や、気になる副反応についても知っておきましょう。
使用されるワクチン
国が有効性や安全性を確認し、薬事承認したワクチンが使用されます。令和7年度は、その時点での流行株(JN.1系統変異株など)に対応したワクチンが供給される予定です。どのメーカーのワクチンを接種できるかは医療機関によって異なりますので、予約時や接種時にご確認ください。
| メーカー | ワクチン種類 | 対応する抗原(予定) | 
|---|---|---|
| ファイザー | mRNAワクチン | オミクロン株LP.8.1など | 
| モデルナ | mRNAワクチン | オミクロン株LP.8.1など | 
| 第一三共 | mRNAワクチン | オミクロン株XECなど | 
| MeijiSeikaファルマ | mRNAワクチン(レプリコン) | オミクロン株XECなど | 
| 武田薬品工業 | 組み換えタンパクワクチン | オミクロン株LP.8.1など | 
主な副反応と相談窓口
主な副反応として、接種部位の痛み、疲労、頭痛、筋肉痛、発熱などがあります。これらの症状は、接種後数日以内に回復することがほとんどです。稀に、アナフィラキシーや心筋炎・心膜炎などの重い副反応が報告されています。接種後に気になる症状が続く場合は、接種した医療機関やかかりつけ医にご相談ください。また、予防接種による健康被害が生じた場合には、国による「予防接種健康被害救済制度」が適用されます。
よくある質問(FAQ)
- Q1. インフルエンザワクチンと同時に接種できますか?
 - 
A1. はい、医師が特に必要と認めた場合には同時接種が可能です。また、他のワクチンとの接種間隔に制限はありません。
 - Q2. 費用免除の申請はどこですればよいですか?
 - 
A2. 接種当日に医療機関で証明書を提示すれば、手続きは完了します。ただし、横浜市のように「自己負担免除対象者確認書」が必要な場合は、事前に区役所の窓口などで発行手続きが必要です。お住まいの自治体のルールをご確認ください。
 - Q3. 住民票がある市町村以外で接種を受けたいのですが。
 - 
A3. やむを得ない事情がある場合、事前に住民票のある自治体に申請することで、市町村外でも接種できる「広域予防接種事業」などの制度があります。希望する場合は、必ず接種前に自治体の担当課(健康課など)にお問い合わせください。申請せずに接種すると全額自己負担となる場合があります。
 - Q4. 対象者ですが、接種したくない場合はどうすればよいですか?
 - 
A4. 接種は任意です。接種を希望しない場合は、何もしなくて問題ありません。誰かに接種を強制されることはありません。
 - Q5. 期間中に2回接種してしまったらどうなりますか?
 - 
A5. 定期接種として費用助成の対象となるのは、期間中に1回のみです。誤って2回接種した場合、2回目は全額自己負担(任意接種扱い)となりますのでご注意ください。
 
まとめと次のアクション
今回は、令和7年度から始まる高齢者向け新型コロナワクチン定期接種の費用助成制度について解説しました。最後に重要なポイントを振り返ります。
- 対象者: 65歳以上の方、および60~64歳で特定の障害を持つ方。
 - 期間: 令和7年秋冬(10月頃~2月末頃)。
 - 費用: 原則有料(自己負担額は自治体による)。
 - 無料になる方: 生活保護世帯、住民税非課税世帯の方など(要証明書)。
 - 手続き: 接種券の送付はなし。医療機関へ直接予約。
 
ご自身やご家族の健康を守るための大切な選択肢の一つです。まずは、お住まいの市区町村のウェブサイトで最新情報を確認し、かかりつけ医に相談することから始めましょう。費用免除の対象となる可能性のある方は、必要な書類についても早めに確認しておくことをお勧めします。
お問い合わせ先:
制度全般に関するご質問は、厚生労働省の相談窓口へ。
具体的な手続きや費用、接種場所については、お住まいの市区町村の保健センターや健康課へお問い合わせください。