対象となる方
- 制度を実施する自治体内に住所を有する個人(年齢要件がある場合も)
- 制度を実施する自治体内に事業所を有する中小企業・個人事業主
- 従業員のリスキリング、DX推進を目指す事業者
- ITパスポート試験に合格し、受験料等を負担した方
申請手順(一般的な流れ)
自治体により申請フローは異なりますが、一般的な手順は以下の通りです。申請前に必ず各自治体の公式情報をご確認ください。
| ステップ | 内容 |
|---|---|
| STEP 1 | ITパスポート試験を受験し、合格する |
| STEP 2 | 必要書類(申請書、合格証書の写し、領収書等)を準備する |
| STEP 3 | 指定された期間内にオンラインまたは窓口で申請を行う |
| STEP 4 | 審査後、交付決定通知を受領し、請求書を提出。指定口座に補助金が振り込まれる |
主要自治体の制度比較
ITパスポート取得支援補助金は、全国の多くの自治体で実施されています。ここでは、代表的な4市の制度を比較します。お住まいやお勤めの自治体でも同様の制度があるか、ご確認ください。
| 自治体名 | 対象者 | 補助上限額 | 補助率 | 主な対象経費 |
|---|---|---|---|---|
| 三重県伊勢市 | 市民(個人) | 5,000円 | 2/3 | 受験手数料 |
| 栃木県宇都宮市 | 市内中小企業 | 3,750円/人・回 | 1/2 | 受験手数料(企業負担分) |
| 愛媛県松山市 | 市民(15~24歳) | 50,000円 | 1/2 | 受験料、講座受講料、教材費 |
| 香川県高松市 | 市内中小企業 | 200,000円/社 | 10/10 | 受験手数料、対策講座受講料 |
対象者・申請要件
対象者は、個人を対象とする制度と、法人(中小企業)を対象とする制度に大別されます。共通する要件として、市税の滞納がないことが挙げられます。
個人を対象とする場合の主な要件(伊勢市、松山市の例)
- 申請時に当該市内に住民登録があること
- 市税を滞納していないこと
- 指定された期間内にITパスポート試験に合格していること
- 過去に同一の補助金の交付を受けていないこと
- (松山市の場合)合格証明日時点で15歳から24歳であること
法人を対象とする場合の主な要件(宇都宮市、高松市の例)
- 中小企業基本法に定める中小企業者であること
- 当該市内に本社または事業所を有すること
- 雇用保険の適用事業所であること
- 市税を滞納していないこと
- 暴力団等との関係がないこと
- 補助対象となる従業員が市内に勤務していること
補助対象経費
補助対象となる経費は、主にITパスポート試験の受験手数料です。しかし、自治体によっては対策講座の受講料や教材費まで幅広く認める場合があります。
| 経費区分 | 詳細 | 対象可否 |
|---|---|---|
| 受験手数料 | ITパスポート試験の受験にかかる手数料(7,500円 ※2024年時点) | ○ |
| 対策講座受講料 | 合格に向けたe-ラーニング、オンライン講座、対面講座等の受講費用(松山市、高松市などで対象) | △ |
| 教材購入費 | 参考書や問題集などの購入費用(松山市などで対象) | △ |
| パソコン等購入費 | 学習用のパソコンやタブレット等の汎用性が高い機器の購入費用 | × |
※対象可否の△は、自治体によって対象となる場合があることを示します。
重要: 補助対象経費は、申請者(個人または法人)が負担した費用に限られます。領収書等の支払いを証明する書類が必須となりますので、必ず保管してください。
必要書類一覧(一般的な例)
| No. | 書類名 | 備考 |
|---|---|---|
| 1 | 交付申請書 | 各自治体の公式サイトよりダウンロード |
| 2 | 合格証書または合格証明書の写し | 試験実施団体(IPA)のサイトから取得 |
| 3 | 経費の支払を証明する書類の写し | 領収書、クレジットカード利用明細など |
| 4 | 本人確認書類(個人の場合) | 住民票の写し、マイナンバーカードの写し等 |
| 5 | 市税の滞納がないことを証する書類 | 完納証明書、納税証明書など |
| 6 | 法人・従業員に関する書類(法人の場合) | 履歴事項全部証明書、労働者名簿など |
| 7 | 請求書・口座振込依頼書 | 交付決定後に提出する場合が多い |
審査基準・採択のポイント
この種の補助金は、事業計画の優劣を競うものではなく、要件を満たしているかどうかが審査の主眼となります。したがって、採択率を高めるためには、以下の点が重要です。
採択率を高めるポイント
- 公募要領の熟読: 対象者、対象経費、申請期間などの要件を正確に把握する。
- 書類の不備防止: 申請書への記入漏れや、必要書類の添付漏れがないよう、提出前に複数回確認する。
- 期限の厳守: 申請期間は厳格に定められています。多くは試験合格後6ヶ月以内など期限があるため、合格後は速やかに手続きを進める。
- 予算上限の確認: 補助金は予算の上限に達し次第、年度途中で受付を終了する場合があります(先着順)。早めの申請を心がける。
よくある質問
Q1: 試験に不合格だった場合も補助金の対象になりますか?
A: 多くの自治体では合格が要件となっていますが、宇都宮市のように合否を問わない制度もあります。複数回受験した場合、合格するまで複数回の申請が可能な場合もあります。詳細は各自治体の要綱をご確認ください。
Q2: 会社が受験料を負担した場合、個人で申請できますか?
A: いいえ、できません。補助金は経費を負担した主体(個人または法人)が申請する必要があります。会社が費用を負担した場合は、法人向けの制度を利用して会社が申請します。
Q3: 申請から補助金振込までどのくらいかかりますか?
A: 自治体や申請時期によりますが、一般的に申請から1ヶ月~2ヶ月程度で交付決定通知が届き、その後の請求手続きを経て振り込まれます。
Q4: 派遣社員やアルバイトは対象になりますか?
A: 法人向け制度の場合、対象となる従業員の範囲は自治体によって異なります。宇都宮市の例では、正社員、契約社員、パート、アルバイト等が含まれますが、派遣社員は対象外です。申請前に必ず確認が必要です。
制度の概要・背景
本補助金は、社会全体のデジタルトランスフォーメーション(DX)が進展する中で、地域におけるIT人材の育成と確保を目的として、多くの地方自治体が実施している支援制度です。ITパスポートは、ITに関する基礎的な知識を証明する国家試験であり、全ての社会人が備えるべき共通リテラシーとして位置づけられています。
近年、労働力不足や生産性向上が地域企業の喫緊の課題となる中、デジタル技術の活用は不可欠です。本補助金は、個人や企業がITパスポート取得に取り組む際の経済的負担を軽減することで、地域全体のデジタル化への意識向上と、リスキリング(学び直し)の促進を図ることを目指しています。
まとめ・お問い合わせ先
ITパスポート取得支援補助金は、個人のスキルアップや企業のDX推進を後押しする有効な制度です。対象者や補助内容は自治体によって多様なため、ご自身の状況に合った制度を探し、活用を検討してください。申請には期限が設けられているため、合格後は速やかに手続きを進めることをお勧めします。
お問い合わせ先(記事掲載例)
伊勢市 商工労政課
電話: 0596-21-5512
公式サイト: https://www.city.ise.mie.jp/sangyo/koyou/roudou/1003023.html
宇都宮市 商工振興課 労政グループ
電話: 028-632-2444
公式サイト: https://www.city.utsunomiya.lg.jp/sangyo/sangyo/chushokigyo/1035619.html
松山市 ふるさと納税・経営支援課 労政雇用担当
電話: 089-948-6548
公式サイト: https://www.city.matsuyama.ehime.jp/kurashi/sangyo/koyou/itpassport.html
高松市 産業振興課
電話: 087-839-2411
公式サイト: https://www.city.takamatsu.kagawa.jp/smph/jigyosha/sangyou/shoukougyou/seityousokushin/ITpass.html