詳細情報
「最近、帯状疱疹という言葉をよく聞くけど、自分もなる可能性があるのかな?」「ワクチンが良いと聞くけど、費用が高そうで…」そんなお悩みをお持ちではありませんか? 2025年度(令和7年度)から、ついに帯状疱疹ワクチンが国の定期接種の対象となり、費用の一部が公費で補助されることになりました。これは、特に発症リスクが高いとされる高齢者の方々にとって大変重要なニュースです。帯状疱疹は、単なる皮膚の病気ではなく、激しい痛みを伴い、失明や難聴、さらには「帯状疱疹後神経痛(PHN)」という長期にわたる後遺症に苦しむことも少なくありません。この記事では、2025年度から始まる帯状疱疹ワクチンの定期接種について、対象者、自己負担額、申請方法、そして2種類のワクチンの違いまで、どこよりも詳しく、そして分かりやすく解説します。ご自身やご家族の健康を守るために、ぜひ最後までご覧ください。
帯状疱疹ワクチン定期接種の概要
まずは、2025年度からスタートする帯状疱疹ワクチン定期接種の全体像を把握しましょう。これまで任意接種(全額自己負担)だったワクチンが、公的なサポートを受けられるようになります。
制度の目的と背景
帯状疱疹は、日本人の50歳以上の約3人に1人が発症すると言われるほど身近な病気です。加齢とともに免疫力が低下することで、子供の頃にかかった水ぼうそうのウイルスが再活性化して発症します。特に高齢者は重症化しやすく、日常生活に大きな支障をきたす「帯状疱疹後神経痛(PHN)」に移行するリスクも高まります。この国民の健康課題に対応するため、国は予防接種法を改正し、帯状疱疹ワクチンを定期接種(B類疾病)に位置づけました。これにより、個人の接種努力義務はないものの、市区町村が主体となって接種機会を提供し、費用の一部を公費で負担することで、接種を促進し、国民の健康寿命の延伸を図ることを目的としています。
実施組織
- 主導: 厚生労働省(国)
- 実施主体: 各市区町村
国の定めた方針に基づき、お住まいの市区町村が具体的な事業(対象者への通知、協力医療機関の確保、自己負担額の設定など)を行います。そのため、詳細な手続きはお住まいの自治体の情報を確認することが重要です。
自己負担額(接種費用)とワクチンの種類
定期接種では、接種費用の一部が公費で補助されるため、自己負担額が大幅に軽減されます。ただし、自己負担額は全国一律ではなく、お住まいの市区町村によって異なります。また、接種できるワクチンは2種類あり、どちらかを選択します。
重要:助成を受けられるのは、2種類のワクチンのうち、どちらか一方のみ、生涯で1回限りです。両方のワクチンで助成を受けることはできません。
| ワクチンの種類 | 特徴 | 接種回数 | 自己負担額の目安 |
|---|---|---|---|
| 生ワクチン (ビケンなど) |
従来からあるワクチン。1回の接種で完了する。免疫機能が低下している方は接種できない。 | 1回 | 4,000円 程度 |
| 不活化ワクチン (シングリックス) |
比較的新しいワクチン。予防効果が非常に高く、持続期間も長い。免疫機能が低下している方でも接種可能。 | 2回 | 10,000円~11,000円 / 回 (合計 20,000円~22,000円 程度) |
※上記はあくまで目安です。実際の自己負担額は、お住まいの市区町村の公式発表をご確認ください。
※生活保護受給世帯や住民税非課税世帯の方は、自己負担額が免除される場合があります。これも自治体の制度によりますので、必ず確認しましょう。
対象者と接種期間
定期接種の対象となる方
接種日時点で市区町村に住民登録があり、過去に帯状疱疹ワクチンの定期接種を受けたことがない方で、以下のいずれかに該当する方が対象です。
- 原則対象者:その年度内に65歳を迎える方
- 特例対象者:60歳から64歳までの方で、心臓、腎臓、呼吸器の機能またはヒト免疫不全ウイルス(HIV)による免疫機能に障害があり、身体障害者手帳1級をお持ちの方
【重要】5年間の経過措置について
制度開始から5年間(2025年度~2029年度)は、より多くの方に接種機会を提供するため、特別な経過措置が設けられます。以下の年齢になる方も、その年度に限り定期接種の対象となります。
- 70歳、75歳、80歳、85歳、90歳、95歳、100歳になる年度の方
- 【初年度限定】2025年度(令和7年度)に限り、100歳以上の方は全員対象となります。
接種期間
原則として、対象となる年度の4月1日から翌年3月31日までです。例えば、2025年度(令和7年度)の対象者は、2026年3月31日までに接種を完了する必要があります。この期間を過ぎると定期接種(公費補助)の対象外となり、全額自己負担となるため注意が必要です。
申請方法と接種までの流れ
接種までの基本的な流れは以下の通りです。自治体によって細部が異なる場合があるため、必ずお住まいの市区町村からの案内をご確認ください。
- STEP1: 予診票を受け取る
対象となる年度の開始前(例:2025年度なら4月下旬頃)に、市区町村から予診票や案内が郵送されます。これが接種に必ず必要な書類です。 - STEP2: 医療機関を探して予約する
市区町村のホームページなどで、定期接種に対応している「協力医療機関」のリストを確認します。かかりつけ医が対応しているか確認するのも良いでしょう。接種を希望する医療機関に直接電話などで予約をします。その際、「帯状疱疹ワクチンの定期接種を受けたい」と伝えましょう。 - STEP3: ワクチンを選択する
生ワクチンと不活化ワクチンのどちらを接種するか決めます。それぞれの特徴(効果、回数、費用、副反応など)を理解し、かかりつけ医とよく相談して決めましょう。医療機関によっては、取り扱っているワクチンが限られる場合もあります。 - STEP4: 接種当日に持参するもの
接種日には、以下のものを忘れずに持参してください。- 郵送された予診票(必要事項を記入しておく)
- 本人確認書類(健康保険証、運転免許証、マイナンバーカードなど)
- 自己負担額分の費用
- (お持ちの方)お薬手帳
- STEP5: 接種と支払い
医師の問診を受けた後、ワクチンを接種します。会計時に、定められた自己負担額を支払います。 - STEP6: (不活化ワクチンの場合) 2回目の接種
不活化ワクチンを選択した場合は、1回目の接種から原則2ヶ月後に2回目の接種が必要です。忘れずに予約し、接種を受けてください。
予診票が届かない・紛失した場合
転入してきたばかりの方や、予診票を紛失してしまった場合は、市区町村の保健所や担当課(感染症対策課など)に連絡すれば再発行してもらえます。電子申請や電話、窓口で手続きが可能です。
スムーズに接種を受けるためのポイント
この制度は条件を満たせば誰でも利用できますが、いくつか注意点があります。スムーズに接種を受けるためのポイントを押さえておきましょう。
ポイント1:かかりつけ医への事前相談
特に持病がある方や、免疫機能に影響のある治療を受けている方は、ワクチンを接種しても問題ないか、どちらのワクチンが適しているかなどを、必ずかかりつけ医に相談してください。安全に接種を受けるための最も重要なステップです。
ポイント2:自己負担免除制度の確認
住民税非課税世帯や生活保護受給世帯の方は、自己負担が免除される可能性があります。多くの場合、接種前に別途申請が必要です。介護保険料額決定通知書や生活保護受給証明書などの書類が必要になるため、事前に市区町村の窓口で手続きについて確認しておきましょう。
ポイント3:市区町村外での接種について
入院や施設入所などのやむを得ない事情で、住民票のある市区町村以外で接種を希望する場合、「予防接種実施依頼書」という書類の事前申請が必要になることがあります。この手続きをしないと全額自己負担になる可能性があるため、必ず事前に住民票のある市区町村に相談してください。
よくある質問(FAQ)
- Q1. 過去に帯状疱疹にかかったことがありますが、ワクチンを接種できますか?
- はい、接種できます。帯状疱疹は再発することがあるため、接種が推奨されています。定期接種の対象にもなります。
- Q2. 以前に自費で帯状疱疹ワクチンを接種したことがありますが、定期接種の対象になりますか?
- 原則として、過去に帯状疱疹ワクチン(生ワクチン・不活化ワクチン問わず)の接種を完了している方は、定期接種の対象外となります。ただし、不活化ワクチンを1回だけ接種している場合など、自治体によって対応が異なる可能性があるため、お住まいの市区町村にお問い合わせください。
- Q3. 生ワクチンと不活化ワクチン、どちらが良いのでしょうか?
- それぞれにメリット・デメリットがあります。不活化ワクチンは予防効果が非常に高く長持ちしますが、費用が高く2回の接種が必要です。生ワクチンは1回で済み費用も安いですが、効果や持続期間は不活化ワクチンに劣り、免疫が低下している方は接種できません。ご自身の健康状態やライフスタイル、費用などを考慮し、医師とよく相談して決めることが大切です。
- Q4. 接種後に副反応はありますか?
- はい、他のワクチンと同様に副反応が起こる可能性があります。主な副反応は、接種部位の痛み、赤み、腫れなどです。特に不活化ワクチンは、筋肉痛、疲労感、頭痛などの全身性の副反応が出やすいとされていますが、多くは数日で改善します。気になる症状があれば、接種した医療機関に相談してください。
- Q5. 65歳になるのを待たずに、50代で接種したい場合はどうなりますか?
- 定期接種の対象年齢でない方が接種する場合は、これまで通り任意接種となり、原則全額自己負担です。ただし、一部の自治体では独自に50歳以上を対象とした任意接種の費用助成事業を行っている場合があります(例:東京都大田区、愛知県江南市など)。お住まいの市区町村に独自の助成制度がないか確認してみることをお勧めします。
まとめと次のアクション
2025年度から始まる帯状疱疹ワクチンの定期接種は、高齢者の健康を守るための画期的な制度です。つらい痛みや後遺症のリスクを大幅に減らすことができるこの機会を、ぜひ有効に活用してください。
あなたが今すぐやるべきこと
- 対象者か確認する:ご自身やご家族が、65歳や経過措置の対象年齢に該当するか確認しましょう。
- 市区町村の情報をチェックする:お住まいの市区町村の広報誌やホームページで、帯状疱疹ワクチンに関する情報が公開されていないか確認しましょう。
- かかりつけ医に相談する:接種について不安な点や、どちらのワクチンが良いかなど、かかりつけ医に相談する準備をしておきましょう。
ご自身の健康は、何物にも代えがたい財産です。この制度をきっかけに、帯状疱疹の予防について考え、適切な行動をとることで、健やかな毎日を守りましょう。