詳細情報
北九州市にお住まいで、倒壊の恐れがある古い空き家にお困りではありませんか?「解体したいけれど、費用が高額で手が出せない…」そんな悩みを抱える所有者の方に朗報です。北九州市では、危険な空き家の解体費用の一部を補助する「老朽空き家等除却促進事業」を実施しています。この制度を活用すれば、最大30万円の補助金を受け取ることが可能です。この記事では、制度の対象者や条件、複雑な申請手順、採択されるためのポイントまで、どこよりも詳しく、そして分かりやすく解説します。大切な資産を安全に整理し、地域の住環境改善に貢献するための一歩を、この記事と共に踏み出しましょう。
この補助金の重要ポイント
- 補助金額: 最大30万円
- 対象者: 北九州市内の危険な老朽空き家の所有者など
- 必須条件: 解体工事の契約・着手前に市の「判定」と「交付決定」を受けること
- 申請期間: 令和7年5月19日(月)から令和7年12月26日(金)まで(予算に達し次第終了)
① 北九州市老朽空き家等除却促進事業の概要
まずは、この補助金制度がどのようなものなのか、全体像を把握しましょう。
| 制度概要 | |
|---|---|
| 正式名称 | 北九州市老朽空き家等除却促進事業 |
| 実施組織 | 北九州市 都市戦略局 空き家活用推進課 |
| 目的 | 市場での流通が困難で、倒壊や部材落下の恐れがある危険な空き家の除却(解体)を促進し、市民の安全・安心な居住環境を確保すること。 |
| 公式サイト | 北九州市公式サイト |
② 補助金額と補助率について
気になる補助金額ですが、計算方法が少し複雑です。以下の2つの金額を比較し、いずれか低い方の額の3分の1以内が補助され、上限は30万円となります。
- 金額A: 実際に解体業者に支払った除却費用(税抜き)
- 金額B: 市が定める基準額(延床面積 × 面積基準単価)
市の面積基準単価
金額Bを計算する際に使用する単価は、解体方法によって異なります。
- 重機解体: 1平方メートルあたり 15,000円
- 手壊し解体: 1平方メートルあたり 24,000円
計算例
延床面積80㎡の木造家屋を、重機解体で120万円(税抜)かけて解体した場合
- 金額A(実際の費用): 120万円
- 金額B(市の基準額): 80㎡ × 15,000円/㎡ = 120万円
- 比較: 金額Aと金額Bが同額なので、120万円を基準とします。
- 補助額の計算: 120万円 × 1/3 = 40万円
- 最終的な補助金額: 上限が30万円のため、30万円となります。
③ 補助の対象となる人・建物
誰でも申請できるわけではありません。対象者と対象となる空き家の両方の条件を満たす必要があります。
対象者(申請者)の要件
- 老朽空き家等の所有者、またはその相続人
- 上記の方から同意を得た者
- 市税を滞納していないこと
- 暴力団員またはその関係者でないこと
対象空き家の要件
建物には、以下のすべての要件を満たす必要があります。
- 原則として、昭和56年5月以前に建築された空き家であること。
- 市の判定により「市場流通が困難」と判断されること。(例:接道がなく再建築できない、地盤沈下が見られるなど)
- 市の判定により「一定の危険度」が認められること。(例:基礎にひび割れがある、屋根が変形しているなど)
- 所有権以外の権利(抵当権など)が設定されていないこと。(権利者全員の同意があれば可)
- 公共事業の補償対象になっていないこと。
重要:「市場流通が困難」と「危険度」は、申請前に市が現地調査を行って判定します。自己判断で解体を進めないでください。
④ 補助対象となる経費・ならない経費
補助金の対象となるのは、純粋な建物の解体費用です。付随する費用は対象外となることが多いので注意が必要です。
| 項目 | 対象可否 |
|---|---|
| 老朽空き家本体の解体・撤去・処分費用 | 〇 対象 |
| 家財道具、家電、ごみなどの処分費用 | × 対象外 |
| 敷地内の樹木、庭石、門、塀、浄化槽などの撤去費用 | × 対象外 |
| 消費税及び地方消費税 | × 対象外 |
解体業者に見積もりを依頼する際は、補助対象となる工事と対象外の工事を明確に分けて記載してもらうようにしましょう。
⑤ 申請方法・手順(非常に重要)
北九州市の制度は、いきなり補助金申請ができるわけではありません。「判定依頼」という事前手続きが必須です。この流れを間違えると補助金は受け取れませんので、慎重に進めましょう。
ステップ1:判定依頼申出書の提出
まず、自分の所有する空き家が補助対象になるかどうかの判定を市に依頼します。以下の書類を揃えて、空き家活用推進課に提出します(持参、郵送、電子申出が可能)。
- 判定依頼申出書(様式第1号)
- 位置図(地図のコピーなど)
- 空き家の外観写真(建物全体がわかるもの)
- 土地・家屋の固定資産税納税通知書(最新分)のコピー
- (借地の場合)借地契約書のコピーなど
ステップ2:市による現地調査と判定結果の通知
申出書が受理されると、市の職員が現地を調査し、「市場での流通可能性」と「危険度」を判定します。後日、その結果が書面で通知されます。「補助対象」と通知された方のみ、次のステップに進めます。
ステップ3:補助金交付申請
「補助対象」の通知を受けたら、いよいよ補助金の交付申請です。この時点で、北九州市内の解体業者から見積書を取得しておく必要があります。
- 補助金交付申請書(様式第2号ほか)
- 解体工事の見積書の写し(市内業者のもの)
- 所有者であることがわかる書類(登記事項証明書など)
- その他、市が指定する書類
ステップ4:補助金交付決定通知書の受領
市が申請内容を審査し、問題がなければ「補助金交付決定通知書」が郵送されます。この通知書を受け取るまでは、絶対に解体工事の契約や着工をしてはいけません。
ステップ5:解体工事の契約・着手
交付決定通知書を受け取ったら、正式に解体業者と契約し、工事を開始できます。
ステップ6:完了報告と補助金の請求
工事が完了したら、完了日から20日以内または当該年度の2月10日のいずれか早い日までに、完了報告書を提出します。その後、市から「補助金額確定通知書」が届いたら、請求書を提出し、指定口座に補助金が振り込まれます。
⑥ 採択されるためのポイントと注意点
採択のポイント
- 早めに相談・申請する: 補助金には予算枠があり、年度途中で受付が終了することがあります。早めに市の窓口に相談し、判定依頼を提出しましょう。
- 書類は正確に: 提出書類に不備があると、審査が遅れたり、受付されなかったりする原因になります。記入例をよく確認し、正確に作成しましょう。
- 危険度が高いものが優先される可能性: 予算枠を超えた場合、危険度の高い空き家から優先的に交付されることがあります。空き家の危険な状態を写真などで正確に伝えることが重要です。
重要な注意点
- フライングは厳禁: 交付決定前に工事に着手した場合は、いかなる理由があっても補助金は交付されません。
- 固定資産税の変動: 建物を取り壊すと、土地に対する固定資産税の住宅用地特例が適用されなくなり、翌年度から税額が上がることがあります。事前に資産税課に確認することをおすすめします。
- 解体業者は市内業者限定: 見積もり取得や契約は、必ず北九州市内に本店を持つ法人か、市内の個人事業者に行ってください。
- 跡地の適正管理: 解体後の土地は、雑草が繁茂するなどして近隣の迷惑にならないよう、適切に管理する責務があります。
⑦ よくある質問(FAQ)
- Q1. 代理受領制度とは何ですか?
- A1. 申請者が解体業者に委任することで、市が補助金を直接解体業者に支払う制度です。これにより、申請者は当初、解体費用総額から補助金額を差し引いた額だけを用意すればよくなり、初期費用の負担を軽減できます。
- Q2. 相続登記が済んでいないのですが、申請できますか?
- A2. 相続人であれば申請可能です。ただし、他の相続人全員の同意が必要になる場合があります。戸籍謄本などで相続関係を証明する必要がありますので、事前に市役所に相談してください。
- Q3. 倉庫や車庫だけを解体したいのですが、対象になりますか?
- A3. この制度は、原則として敷地内の老朽化した建物をすべて除却することが条件です。母屋を残して倉庫だけを解体するような場合は対象外となる可能性が高いです。詳細は市にご確認ください。
- Q4. なぜ解体業者が市内業者に限定されているのですか?
- A4. 地域経済の活性化を目的の一つとしているためです。補助金を市内で循環させる狙いがあります。
- Q5. 判定依頼をすれば、必ず補助金をもらえますか?
- A5. いいえ、もらえません。判定依頼はあくまで補助対象になるかどうかを判断するための第一歩です。判定の結果「補助対象外」となることもありますし、「補助対象」となっても、その後の交付申請で予算が上限に達していれば交付されない場合もあります。
⑧ まとめと問い合わせ先
北九州市の老朽空き家等除却促進事業は、危険な空き家の解体費用負担を軽減してくれる非常に有効な制度です。しかし、「①判定依頼→②交付申請→③交付決定→④工事着手」という厳格な手順を守る必要があります。特に、交付決定前のフライング着工は絶対に避けてください。
ご自身の空き家が対象になるか少しでも気になった方は、まずは第一歩として、市の担当窓口に相談し、「判定依頼申出書」を提出することから始めましょう。
お問い合わせ先
北九州市役所 都市戦略局 空き家活用推進課
- 住所: 〒803-8501 北九州市小倉北区城内1番1号 本庁舎13階
- 電話番号: 093-582-2777
- 受付時間: 月曜日から金曜日の8時30分から17時15分まで(祝日・年末年始を除く)