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「将来子どもは欲しいけど、今はキャリアに集中したい」「パートナーはいないけど、いつかのために備えておきたい」そんな風に考える女性が増えています。将来の妊娠・出産に備える選択肢の一つとして注目されているのが「卵子凍結」です。しかし、その費用は決して安くはありません。そこで心強い味方となるのが、各自治体が実施している卵子凍結費用の助成金制度です。この記事では、東京都や姫路市などを例に、2025年最新の卵子凍結助成金について、対象者、金額、申請方法から注意点まで、どこよりも詳しく、そして分かりやすく解説します。ご自身のライフプランを考える上で、非常に重要な情報となりますので、ぜひ最後までご覧ください。
卵子凍結費用助成事業とは?
卵子凍結費用助成事業は、加齢などによる妊娠機能の低下を懸念する女性が、将来の妊娠に備えて未受精卵子を凍結保存する際にかかる費用の一部を、地方自治体が助成する制度です。女性の社会進出が進む中で、キャリア形成と妊娠・出産のタイミングに悩む女性を支援し、多様なライフプランの選択を後押しすることを目的としています。近年、東京都をはじめ、全国の自治体で同様の制度が導入され始めており、大きな注目を集めています。
制度の目的と背景
この制度は、単なる費用補助に留まりません。プレコンセプションケア(将来の妊娠を考えながら、女性やカップルが自分たちの生活や健康に向き合うこと)の推進という側面も持っています。説明会の参加を義務付けたり、関連動画の視聴を要件にしたりすることで、女性が自身の身体や将来のライフプランについて正しく理解し、考えるきっかけを提供しています。あくまで将来の妊娠を保証するものではありませんが、妊娠の可能性を未来に残すための一つの選択肢を経済的に支援する、重要な事業です。
助成金額・補助率|自治体ごとの比較
助成金額は自治体によって大きく異なります。ここでは、主要な自治体の助成内容を比較してみましょう。
| 自治体 | 凍結時の助成額 | 保管時の助成額 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 東京都 | 上限20万円 | 年額2万円(最大5年間) | 合計で最大30万円の助成 |
| 兵庫県姫路市 | 上限40万円 | なし(初年度保管料は対象) | 採卵したが凍結に至らない場合も対象 |
| 大阪府池田市 | 上限20万円 | 年額2万円(最大5回) | 初年度の保管料も凍結費用に含まれる |
| 東京都港区 | 上限10万円 | なし | 東京都の助成に上乗せ(合計最大30万円) |
| 東京都千代田区 | 上限10万円 | なし | 東京都の助成に上乗せ(合計最大30万円) |
このように、お住まいの自治体によって助成内容が異なります。特に港区や千代田区のように、東京都の制度に上乗せして手厚い支援を行っている区もありますので、必ずご自身の住民票がある自治体の制度を確認しましょう。
対象者・条件の詳細
助成を受けるためには、いくつかの要件をすべて満たす必要があります。多くの自治体で共通する主な要件は以下の通りです。
- 年齢要件:採卵を実施した日において、18歳以上39歳以下(または40歳未満)であること。
- 居住要件:申請期間中、継続してその自治体に住民登録があること。
- 制度への理解:自治体が指定する説明会への参加や、啓発動画の視聴が必須である場合が多い。(例:東京都)
- 調査への協力:助成事業の一環として行われる追跡調査に協力すること。
- 回数制限:助成を受けられるのは、1人1回限りであること。
【重要】対象外となるケース
以下の場合は、この助成金の対象外となるため注意が必要です。
- すでに不妊症の診断を受けており、不妊治療を目的として採卵・卵子凍結を行う場合。
- がん治療などにより妊孕性(妊娠するための力)が低下する可能性があるため、治療前に卵子を凍結する「妊孕性温存療法」に該当する場合。(別途、専用の助成制度があります)
- 凍結した卵子を第三者に提供したり、売買したり、海外へ移送したりすること。
補助対象となる経費
助成の対象となるのは、卵子凍結に至るまでの一連の医療行為にかかる費用です。具体的には以下のようなものが含まれます。
対象経費の例
- 採卵準備のための診察、検査、投薬費用
- 採卵手術にかかる費用
- 採取した卵子の凍結処理費用
- 凍結した卵子の保管料(初年度分など、自治体により範囲が異なる)
対象外経費の例
- 入院時の差額ベッド代
- 食事代
- 助成金申請に必要な文書作成料
- 凍結卵子を実際に使用する際の融解・移植費用(別途助成制度がある場合も)
申請方法・手順(東京都の例)
申請フローは自治体によって異なりますが、ここでは手続きが詳細に定められている東京都の例をステップバイステップで解説します。他の自治体でも基本的な流れは似ていますが、必ずご自身の自治体の公式サイトをご確認ください。
ステップ1:対象者向けオンライン説明会への参加
まず最初に、東京都が開催するオンライン説明会への参加が必須です。LoGoフォームという電子申請システムから申し込みます。定員があり先着順なので、早めに予約しましょう。この説明会に参加した日から1年以内に医療行為を開始する必要があります。
ステップ2:調査事業への協力申請
説明会参加後、助成を希望する場合は「調査事業への協力申請」を行います。これもLoGoフォームから行い、住民票の写しや自署した誓約書などのデータを添付します。審査には1ヶ月〜1ヶ月半ほどかかり、承認されると「協力承認決定通知書」が届きます。
ステップ3:登録医療機関で卵子凍結を実施
協力承認決定通知書を受け取った後、東京都が指定する登録医療機関を受診し、医師と相談の上で卵子凍結を実施します。原則として、説明会参加後、かつ協力申請後に医療行為を開始する必要があります。
ステップ4:アンケート回答と助成金(上限20万円)の申請
卵子凍結に係る医療行為が終了したら、いよいよ助成金の申請です。医療機関に「受診等証明書」を記入してもらい、領収書や住民票などと共にLoGoフォームから申請します。同時に、指定のアンケートにも回答します。
申請期限に要注意!
東京都の助成金申請には厳格な期限が設けられています。期限は「卵子凍結に係る医療行為が終了した日」によって決まります。例えば、令和7年4月1日〜12月31日に終了した場合は、令和8年3月31日が申請期限です。期限を過ぎるといかなる理由でも受け付けられないため、早めの申請を心がけましょう。
ステップ5:助成金受給と継続調査
書類審査(約3ヶ月)を経て承認されると、決定通知書が届き、その約1ヶ月後に指定口座に助成金が振り込まれます。その後も、凍結卵子を保管している限り、翌年度以降も継続調査に回答する必要があり、回答すると保管費用として年額2万円が助成されます。
スムーズに受給するためのポイント・注意点
この助成金は要件を満たせば受給できるものですが、手続きが複雑なため、いくつか注意すべき点があります。
- 手順を厳守する:特に東京都の場合、「説明会参加」が全てのスタートです。説明会に参加する前に開始した医療行為は原則対象外となるため、必ず手順を守りましょう。
- 申請期限を確認・厳守する:自治体ごとに申請期限の考え方(医療行為終了日から、年度末まで、など)が異なります。公式サイトで正確な期限を確認し、余裕を持って準備を進めましょう。
- 書類の不備をなくす:住民票はマイナンバー記載なしのもの、3ヶ月以内に発行されたものなど、書類には細かい規定があります。提出前に何度も確認し、不備による手戻りを防ぎましょう。
- 領収書や証明書は大切に保管:申請時にデータで提出した書類の原本も、後から確認が必要になる場合があります。助成金を受け取った後も、関連書類はすべて大切に保管しておきましょう。
よくある質問(FAQ)
- Q1. すでに不妊治療を受けていますが、この助成金は使えますか?
- A1. いいえ、使えません。この制度は、加齢などを懸念し、将来の妊娠に備えるための卵子凍結(ノンメディカルな卵子凍結)を対象としています。不妊治療の一環として行う場合は対象外です。
- Q2. 東京都の助成金で、説明会参加前に治療を開始してしまいました。もう対象外ですか?
- A2. 原則として対象外ですが、「協力承認決定通知書の受領を待っていると年齢要件を満たせなくなる」など、やむを得ない場合は対象となる可能性があります。ただし、その場合でも説明会への参加は必須です。自己判断で進めず、まずは東京都に問い合わせて確認することをお勧めします。
- Q3. 採卵したものの、質の良い卵子が採れず凍結できませんでした。この場合、費用は助成されますか?
- A3. 自治体によります。例えば姫路市では、採卵したが凍結に至らなかった場合も上限40万円で助成対象となります。東京都の場合は、アンケートの回答フォームが分かれており、状況に応じた対応がなされます。ご自身の自治体の規定を確認してください。
- Q4. 助成金を受けた後に、他の市区町村へ引っ越した場合はどうなりますか?
- A4. 住所変更などがあった場合は、速やかに自治体へ変更届を提出する必要があります。東京都の場合、都外へ転出しても、その後の継続調査への回答義務や保管費用の助成は継続されます。
- Q5. 港区在住です。東京都と港区の両方に申請が必要ですか?
- A5. はい、必要です。港区や千代田区の上乗せ助成は、東京都の助成承認決定を受けていることが前提条件です。まず東京都の制度に申請し、承認決定通知書を受け取った後に、区の制度に申請するという流れになります。
まとめと次のアクション
卵子凍結費用の助成金は、女性が自分らしいライフプランを築くための強力なサポート制度です。しかし、自治体ごとに制度の内容や手続きが大きく異なるため、正確な情報を得ることが何よりも重要です。
この記事を読んで卵子凍結や助成金に興味を持った方が、次にとるべきアクションは以下の通りです。
- ご自身の住民票がある自治体の公式サイトを確認する:「〇〇市 卵子凍結 助成金」などで検索し、制度の有無、詳細な要件、申請期限などを確認しましょう。
- (東京都民の場合)オンライン説明会に申し込む:助成を希望する場合、これが第一歩です。東京都福祉局のホームページから早めに申し込みを済ませましょう。
- 医療機関に相談する:助成金の対象となる登録医療機関などに相談し、卵子凍結のメリット・デメリット、費用、スケジュールについて詳しい説明を受けましょう。
この助成金を活用することで、経済的な負担を軽減し、未来への選択肢を広げることができます。ぜひ、ご自身のライフプランニングに役立ててください。