① 導入：東京圏から地方へ！最大100万円の移住支援金を活用しよう
「都会の喧騒から離れて、地方で新しい生活を始めたい」「自然豊かな環境で子育てがしたい」そうお考えではありませんか？しかし、移住には引越し費用や当面の生活費など、経済的な負担が伴います。そんなあなたの力強い味方となるのが、国が主導する「地方創生移住支援事業」です。この制度を活用すれば、東京23区や東京圏から地方へ移住する際に、単身で60万円、世帯なら100万円の支援金を受け取れる可能性があります。さらに、18歳未満のお子さんがいる世帯には、お子さん一人あたり最大100万円が加算される自治体も多く、移住のハードルを大きく下げることができます。この記事では、地方創生移住支援金の詳しい内容から、対象者の条件、申請方法、採択されるためのポイントまで、どこよりも分かりやすく徹底的に解説します。あなたの移住計画を具体的に進めるための第一歩として、ぜひ最後までご覧ください。
② 移住支援金の概要
制度の正式名称と目的
この制度の正式名称は「地方創生移住支援事業」です。過度に集中した東京一極集中の是正と、地方における担い手不足の解消を目的として、内閣府が中心となって推進しています。具体的には、東京圏から地方へ移住し、中小企業への就業やテレワーク、または起業を行う方々に対して、各都道府県と市町村が連携して支援金を支給する仕組みです。
ポイント：この支援金は、国、都道府県、市町村が費用を負担し合って実施されています。そのため、基本的なルールは国が定めていますが、細かな要件や申請手続きは移住先の自治体によって異なる場合があります。必ず移住を検討している自治体の公式サイトで最新情報を確認しましょう。
実施組織
- 主導： 内閣府（地方創生推進事務局）
- 実施： 全国の都道府県および市町村（本事業に参加している自治体）
③ 支援金額・補助率
支援金の額は、移住する世帯の状況によって大きく異なります。基本となる金額と、特に注目すべき子育て加算について詳しく見ていきましょう。
基本支給額
基本となる支給額は全国的に共通しており、以下の通りです。
| 世帯の状況 | 支給額 |
|---|---|
| 2人以上の世帯での移住 | 100万円 |
| 単身での移住 | 60万円 |
【重要】子育て世帯への手厚い加算
多くの子育て世帯にとって最大の魅力となるのが、18歳未満の世帯員を帯同して移住する場合の加算措置です。多くの自治体で、子ども1人につき100万円が加算されます。
計算例：夫婦と18歳未満の子ども2人で移住する場合
基本額（世帯）100万円 ＋ 子育て加算（100万円 × 2人）＝ 合計 300万円
この加算により、移住後の生活設計に大きな余裕が生まれます。例えば、愛知県岩倉市や新潟県柏崎市、千葉県館山市など、多くの自治体でこの加算制度が導入されています。
④ 対象者・条件
支援金を受け取るためには、いくつかの要件をすべて満たす必要があります。大きく分けて「移住元に関する要件」と「移住先・仕事に関する要件」があります。非常に重要な部分ですので、ご自身が該当するかどうか、じっくり確認してください。
【STEP1】移住元に関する要件（東京圏での居住・通勤歴）
まず、移住する前の状況に関する要件です。以下の両方を満たす必要があります。
- 期間要件（5年以上）：住民票を移す直前の10年間のうち、通算5年以上、東京23区に在住していた、または、東京圏（東京都・埼玉県・千葉県・神奈川県）の条件不利地域以外の地域に在住し、東京23区へ通勤していたこと。
- 直前要件（1年以上）：住民票を移す直前に、連続して1年以上、東京23区に在住していた、または、東京圏の条件不利地域以外の地域に在住し、東京23区へ通勤していたこと。
※通勤の場合は、雇用保険の被保険者としての通勤に限られます。
※東京圏在住で23区内の大学等へ通学し、そのまま23区内の企業へ就職した場合は、その通学期間も対象期間に含めることができる特例があります。
【STEP2】移住先・仕事に関する要件（いずれか1つを満たす）
移住元要件を満たした上で、移住先で以下のいずれかの働き方を実現することが求められます。また、移住先の自治体に5年以上継続して居住する意思があることも共通の要件です。
| パターン | 主な要件 |
|---|---|
| ① 就業 | 都道府県が運営するマッチングサイト（例：あいちUIJターン支援センター）に掲載された「移住支援金対象」の求人に応募し、新規に就業すること。週20時間以上の無期雇用契約が基本です。 |
| ② テレワーク | 所属先企業等からの命令ではなく、自己の意思により移住し、移住前の業務を引き続きテレワークで行うこと。※千葉県館山市のように、テレワーク要件を受け付けていない自治体もあるため注意が必要です。 |
| ③ 起業 | 移住先の都道府県が実施する「地域課題解決型起業支援事業」等の補助金（起業支援金）の交付決定を1年以内に受けていること。 |
| ④ 関係人口など （自治体独自） |
一部の自治体では独自の要件が設定されています。例として、新潟県柏崎市では市の移住セミナー参加者やファンクラブ会員、愛知県北名古屋市では市内で新規に農業に従事する者などが対象となる場合があります。 |
⑤ 補助対象経費
この制度は、特定の経費（例：引越し費用、家賃）を補助するものではありません。要件を満たした移住者に対して、移住後の生活を支えるための支援金として定額が支給されます。そのため、使途は限定されておらず、新しい生活の立ち上げ資金として自由に活用することができます。領収書の提出なども原則不要です。
⑥ 申請方法・手順
申請手続きは移住先の市町村役場で行います。一般的な流れと必要書類を把握しておきましょう。
申請のステップ
- 移住・転入：計画している自治体へ住民票を移します。
- 就業・起業等：仕事に関する要件を満たします。（例：対象企業に就職し、3ヶ月以上継続勤務する）
- 申請書類の準備：下記の必要書類を揃えます。
- 申請：移住先の市町村の担当窓口（商工観光課など）に書類を提出します。申請期間は「転入後3ヶ月以上1年以内」と定められている場合がほとんどです。
- 審査・交付決定：自治体による要件確認が行われ、交付が決定されると通知が届きます。
- 支援金の受給：指定した口座に支援金が振り込まれます。
主な必要書類リスト
自治体により異なりますが、一般的に以下の書類が必要となります。
- 交付申請書兼実績報告書
- 誓約書、個人情報の取扱いに関する同意書
- 本人確認書類の写し（マイナンバーカード、運転免許証など）
- 移住先の住民票の写し（世帯全員分）
- 移住元の住民票除票の写し（世帯全員分、東京圏の在住履歴がわかるもの）
- 納税証明書（未納がないことの証明）
- 振込先口座の通帳の写し
- 【就業の場合】就業証明書（勤務先企業に発行を依頼）
- 【テレワークの場合】就業証明書（テレワーク用）
- 【起業の場合】起業支援金の交付決定通知書の写し
- 【東京圏から通勤していた場合】東京23区で勤務していたことを証明する書類（企業の就業証明書、離職票、開業届など）
⑦ 採択のポイントと注意点
この支援金は、事業計画を審査するタイプの補助金とは異なり、定められた要件をすべて満たしているかが採択のすべてです。しかし、いくつか注意すべき重要なポイントがあります。
最重要ポイント：予算には上限がある！
多くの自治体で「予算の上限に達し次第、受け付けを終了します」と明記されています。新潟県柏崎市のように、申請多数の場合は待機リストに登録されるケースもあります。移住を決めたら、できるだけ早く自治体の担当窓口に事前相談し、申請の準備を進めることが非常に重要です。
よくある不採択・失敗理由
- 移住元要件の勘違い：「通算5年」や「連続1年」の期間がわずかに足りていなかった。
- 対象外の求人：マッチングサイトに掲載されていても「移住支援金対象」の記載がない求人に応募してしまった。
- 申請期間の徒過：転入後1年を過ぎてしまい、申請資格を失った。
- 書類の不備：移住元の住民票除票で在住期間が証明できないなど、必要書類が揃えられなかった。
返還要件について
支援金を受け取った後も、一定期間は以下の義務が生じます。違反した場合は、支援金の全額または半額を返還しなければならないため、注意が必要です。
- 虚偽の申請等が発覚した場合（全額返還）
- 申請日から3年未満で移住先の市町村から転出した場合（全額返還）
- 申請日から1年以内に対象の職を辞した場合（全額返還）
- 申請日から3年以上5年以内に移住先の市町村から転出した場合（半額返還）
⑧ よくある質問（FAQ）
- Q1. 移住前に仕事を決めておく必要がありますか？
- A1. 「就業」の要件で申請する場合、基本的には移住支援金の対象求人への就職が決定している必要があります。ただし、申請自体は就職後3ヶ月経過してからになるため、移住と就職のタイミングは柔軟に計画できます。まずは移住先の自治体やUIJターン支援センターに相談することをおすすめします。
- Q2. 夫婦共働きの場合、それぞれ申請できますか？
- A2. 申請は1世帯につき1回限りです。夫婦のどちらか一方が申請者となり、世帯向けの100万円を受給する形になります。
- Q3. フリーランスでもテレワーク要件で申請できますか？
- A3. テレワーク要件は「所属先企業等」との「無期雇用契約」や「雇用保険の被保険者」であることが条件となっている場合がほとんどです。そのため、個人事業主であるフリーランスは対象外となる可能性が高いです。ただし、起業要件で申請できる場合がありますので、ご自身の事業計画と合わせて検討してみてください。
- Q4. どの自治体がこの制度を実施しているか知りたいです。
- A4. 内閣府地方創生推進事務局の公式サイトや、各都道府県が運営する移住ポータルサイトで実施自治体の一覧を確認できます。「（都道府県名） 移住支援金」などで検索してみてください。
- Q5. 支援金の申請に年齢制限はありますか？
- A5. 国の制度としては年齢制限はありませんが、自治体によっては独自の要件を設けている場合があります。例えば、愛知県北名古屋市では就業の場合「転入日時点で満50歳以下」、新潟県柏崎市では関係人口要件で「住民登録時点で50歳以下」といった制限があります。必ず移住先の要綱を確認してください。
⑨ まとめ・次にとるべきアクション
地方創生移住支援事業は、東京圏から地方への移住を強力に後押しする、非常に魅力的な制度です。最後に、あなたが次にとるべきアクションをまとめます。
- 自身の要件確認：まず、ご自身の職歴や居住歴から「移住元要件」を満たしているかを確認しましょう。
- 移住先のリサーチ：移住したい都道府県・市町村が支援金制度を実施しているか、公式サイトで確認します。子育て加算の有無や、独自の要件（テレワークの可否など）もチェックしましょう。
- 仕事を探す：「就業」を目指すなら、都道府県のマッチングサイトで「移住支援金対象」の求人を探し始めましょう。「起業」なら起業支援金の情報を集めます。
- 自治体への事前相談：移住先の候補が固まったら、必ず市の担当窓口に電話やメールで事前相談を行ってください。予算の状況や、手続きの詳細について最新の情報を得ることができます。
移住は人生の大きな決断です。この支援金制度を賢く活用し、経済的な不安を解消して、理想のライフスタイルを実現してください。あなたの新しい一歩を応援しています。
