昨今の電気料金の高騰は、多くの事業者様にとって深刻な経営課題となっています。特に、大規模な工場や商業施設などで「特別高圧電力」を利用されている埼玉県内の中小企業の皆様は、その影響を大きく受けているのではないでしょうか。そんな厳しい状況を乗り越えるため、埼玉県が強力な支援策を打ち出しました。それが「埼玉県特別高圧受電事業者等支援金」です。この制度は、高騰する電気料金の負担を直接的に軽減し、事業継続を後押しすることを目的としています。この記事では、令和7年7月~9月使用分を対象とする第4回支援金の全貌を、どこよりも分かりやすく徹底解説します。対象要件から具体的な交付額の計算方法、申請のステップ、採択されるためのポイントまで、必要な情報を全て網羅しました。「うちの会社も対象になるかも?」と感じた方は、ぜひ最後までご覧いただき、申請準備にお役立てください。

【第4回申請期間】令和7年10月1日(水)~ 令和7年12月25日(木)まで
対象となるのは令和7年7月~9月分の電気使用量です。期間が限られているため、早めの準備をおすすめします。

埼玉県特別高圧受電事業者等支援金とは?

制度の目的と背景

この支援金は、世界的なエネルギー価格の上昇などを背景とした電気料金の高騰が、県内産業の活動に大きな影響を及ぼしている状況に対応するための緊急的措置です。特に、契約電力が大きく、価格変動の影響を受けやすい「特別高圧電力」を利用する事業者は、コスト増が経営を直接圧迫しています。そこで埼玉県は、これらの事業者の負担を軽減し、事業活動の安定化と継続を支援することを目的として、本支援金制度を設けています。

支援金の概要(第4回)

第4回となる今回の支援金の概要を以下の表にまとめました。申請前に必ずご確認ください。

項目 内容
正式名称 埼玉県特別高圧受電事業者等支援金
実施主体 埼玉県
対象期間 令和7年(2025年)7月~9月使用分
申請受付期間 令和7年10月1日(水)~ 令和7年12月25日(木)23時59分
対象者 埼玉県内の事業所で特別高圧電力を使用する中小企業者等
申請方法 原則として専用ウェブサイトからのオンライン申請(郵送も可)

支援金額はいくら?計算方法を徹底解説

支援金の額は、事業者の電力利用形態によって2つのパターンに分かれます。自社がどちらに該当するかを確認し、計算方法を把握しましょう。

パターン1:特別高圧電力を直接受電している事業者(工場・工業団地など)

自社で電力会社と特別高圧電力の契約を結んでいる工場や、工業団地組合として一括受電している場合などが該当します。この場合は、電気使用量(kWh)に応じて支援額が決定します。

電気使用月 支援単価
令和7年7月 1.0円 / kWh
令和7年8月 1.2円 / kWh
令和7年9月 1.0円 / kWh

【計算例】
県内の製造工場で、7月に100,000kWh、8月に120,000kWh、9月に110,000kWhの電力を使用した場合
・7月分:100,000kWh × 1.0円/kWh = 100,000円
・8月分:120,000kWh × 1.2円/kWh = 144,000円
・9月分:110,000kWh × 1.0円/kWh = 110,000円
合計支援額:354,000円

パターン2:特別高圧電力の施設にテナントとして入居している事業者

ショッピングモールやオフィスビルなど、施設全体で特別高圧電力を受電しており、その施設にテナントとして入居している事業者が該当します。この場合は、賃貸借契約等に記載された床面積(㎡)に応じて支援額が決定します。「オフィス」と「店舗等」で単価が異なる点にご注意ください。

入居種別 7月・9月単価 8月単価 3か月合計単価
オフィス 18円 / ㎡ 22円 / ㎡ 58円 / ㎡
店舗等 27円 / ㎡ 32円 / ㎡ 86円 / ㎡

【計算例】
商業施設に入居している200㎡の店舗の場合
・7月分:200㎡ × 27円/㎡ = 5,400円
・8月分:200㎡ × 32円/㎡ = 6,400円
・9月分:200㎡ × 27円/㎡ = 5,400円
合計支援額:17,200円
(または、200㎡ × 86円/㎡ = 17,200円)

あなたは対象?詳細な交付対象者と要件

支援金を受け取るためには、いくつかの要件を満たす必要があります。自社が対象となるか、以下の項目でしっかり確認しましょう。

基本的な対象要件

  • 埼玉県内に支援対象となる事業所等を有していること。
  • その事業所で特別高圧電力を使用していること(直接受電またはテナントとしての利用)。
  • 中小企業基本法に定める中小企業者、またはそれに準ずる法人であること。

「中小企業者等」の具体的な定義

中小企業者に該当するかは、主たる事業の業種に応じて「資本金の額または出資の総額」または「常時使用する従業員の数」のいずれか一方を満たしているかで判断します。

業種分類 資本金の額又は出資の総額 常時使用する従業員の数
製造業、建設業、運輸業など 3億円以下 300人以下
卸売業 1億円以下 100人以下
サービス業 5,000万円以下 100人以下
小売業 5,000万円以下 50人以下

※個人事業主や、医療法人、社会福祉法人、NPO法人、学校法人などの会社以外の法人も、常時使用する従業員数が上記の基準以下であれば対象となります。

対象外となるケース(重要注意点)

以下のいずれかに該当する場合は、支援の対象外となりますのでご注意ください。

  • みなし大企業:資本金や従業員数が中小企業の範囲内でも、実質的に大企業の傘下にあるとみなされる企業。具体的には、①発行済株式の1/2以上を単一の大企業が所有、②発行済株式の2/3以上を複数の大企業が所有、③役員総数の1/2以上を大企業の役員・職員が兼任、のいずれかに該当する場合です。
  • 国、法人税法別表第一に規定する公共法人。
  • 埼玉県暴力団排除条例に規定する暴力団又は暴力団員と密接な関係を有する者。
  • 地方公共団体の設置する公の施設の指定管理を受けている場合、その当該部分。

申請手続きの完全ガイド【5ステップ】

申請は難しくありません。以下のステップに沿って進めれば、スムーズに手続きを完了できます。

ステップ1:申請期間の確認

まず最も重要なのが申請期間です。第4回の受付は令和7年10月1日(水)から12月25日(木)までです。この期間を過ぎると一切受け付けられませんので、カレンダーに登録するなどして忘れないようにしましょう。

ステップ2:必要書類の準備

申請には以下の書類が必要です。事前に準備しておくことで、申請受付開始後すぐに手続きを進められます。

  • 【全員必須】交付申請書兼請求書
  • 【全員必須】暴力団排除に関する誓約書
  • 【全員必須】支援金振込先口座の情報がわかる書類(通帳の表紙と見開き1ページ目の写しなど)
  • 【法人のみ】発行日から6か月以内の履歴事項全部証明書
  • 【パターン1:直接受電の場合】特別高圧電力の使用実績がわかる書類(対象3か月分の電気料金請求書や領収書の写しなど)
  • 【パターン2:テナントの場合】交付対象期間中に入居していること、入居期間、床面積がわかる書類(賃貸借契約書の写しなど)
  • 【パターン2:テナントの場合】入居施設が特別高圧電力を使用していることがわかる書類(※施設側が県へ提出済みの場合は不要)
  • 【該当者のみ】過去に本支援金の交付を受けたことがある場合、最も新しい交付決定通知書の写し(一部書類の提出を省略できます)

書類はスキャンまたは写真撮影してデータ化しておくと、オンライン申請がスムーズです。不鮮明な画像は再提出を求められる可能性があるため、文字がはっきり読めるように注意してください。

ステップ3:申請方法の選択(オンライン or 郵送)

申請はオンライン申請が原則です。24時間いつでも申請でき、郵送費もかからず、審査状況をウェブ上で確認できるなどメリットが多いため、ぜひご活用ください。パソコン操作が苦手な場合など、やむを得ない事情がある場合は郵送での申請も可能です。

ステップ4:申請フォームへの入力・書類の提出

オンライン申請の場合:
特設サイトの申請フォームにアクセスし、画面の指示に従って事業者情報、電気使用量や床面積、口座情報などを入力します。その後、ステップ2で準備した書類データをアップロードすれば完了です。入力内容は一時保存も可能ですが、60分の時間制限があるため、事前に情報をまとめておくと安心です。

郵送申請の場合:
特設サイトから申請様式をダウンロード・印刷し、必要事項を記入・押印します。ステップ2で準備した書類のコピーを同封し、郵便物の追跡が可能な「レターパック」や「特定記録郵便」で以下の宛先に送付します。
〒330-0844 埼玉県さいたま市大宮区下町1丁目51 木崎屋ビル7階
埼玉県特別高圧受電事業者等支援金事務局 行

ステップ5:審査・交付決定

申請が受理されると、事務局で審査が行われます。書類に不備がなければ、後日「交付決定通知書」が届き、指定した口座に支援金が振り込まれます。審査には一定の期間がかかりますので、通知が届くまでお待ちください。

採択率を上げるための3つの重要ポイント

この支援金は、事業計画の優劣を競うものではなく、要件を満たしていれば原則として交付されるものです。しかし、申請の不備によって交付が遅れたり、最悪の場合対象外と判断されたりすることもあります。確実に支援を受けるために、以下の3つのポイントを徹底しましょう。

ポイント1:公募要領・申請要領の徹底的な読み込み

公式サイトで公開されている「交付要綱」や「申請要領」には、対象者の詳細な定義、計算方法の注意点、必要書類の様式など、全てのルールが記載されています。申請前に必ず隅々まで目を通し、自社が要件を完全に満たしているか、提出書類に間違いがないかを確認してください。

ポイント2:書類の不備をゼロにする

申請で最も多い不採択・遅延理由は、単純な書類の不備です。特に「記入漏れ」「計算間違い」「必要書類の添付漏れ」「書類の有効期限切れ(履歴事項全部証明書など)」「印鑑の押し忘れ(郵送の場合)」などには細心の注意を払いましょう。提出前に、社内の別の人にダブルチェックしてもらうことを強くお勧めします。

ポイント3:申請期限の厳守と余裕を持った申請

申請期限は令和7年12月25日(木)と定められており、1分でも過ぎれば受け付けられません。期限間際は、オンライン申請サイトへのアクセス集中や、予期せぬトラブルが発生する可能性もあります。書類の準備が整い次第、できるだけ早く、余裕を持って申請を完了させましょう。

よくある質問(FAQ)

Q1. そもそも「特別高圧電力」とは何ですか?

A1. 電圧7,000ボルト超で供給される電力のことです。大規模な工場、デパート、オフィスビル、病院などで利用されています。自社の電力契約が不明な場合は、電力会社からの請求書や契約書をご確認ください。

Q2. 個人事業主でも申請できますか?

A2. はい、申請できます。個人事業主の場合、常時使用する従業員数が業種ごとの基準以下であれば対象となります。法人の場合に必要となる履歴事項全部証明書の提出は不要です。

Q3. 埼玉県内に複数の事業所がある場合、まとめて申請できますか?

A3. はい、申請者(法人または個人事業主)が同じであれば、県内にある複数の対象事業所分をまとめて1回で申請します。

Q4. 申請してからどのくらいで振り込まれますか?

A4. 申請件数や審査状況によるため、具体的な期間は公表されていません。申請内容に不備がなければ、審査完了後に交付決定通知が送付され、その後、指定口座へ振り込まれる流れとなります。オンライン申請の場合は、マイページで審査状況を確認できます。

Q5. 支援金を受け取った後、何か報告は必要ですか?

A5. 原則として、実績報告などの手続きは不要です。ただし、交付要綱により、本支援金の申請に関する書類(申請書の控え、添付書類の原本など)を、支援金を受領した年度の終了後から5年間保存する義務があります。県から要請があった際には提示できるよう、大切に保管してください。

まとめ:電気代高騰を乗り越えるために、今すぐ申請準備を!

今回は「埼玉県特別高圧受電事業者等支援金」について詳しく解説しました。最後に重要なポイントを再確認しましょう。

  • 対象者:埼玉県内で特別高圧電力を使用する中小企業者等。
  • 支援内容:令和7年7月~9月分の電気使用量や床面積に応じた支援金を交付。
  • 申請期間:令和7年10月1日(水)~12月25日(木)。期限厳守!
  • 申請方法:専用サイトからのオンライン申請が便利で推奨されています。
  • ポイント:要件をよく確認し、書類不備なく、早めに申請することが重要です。

この支援金は、厳しい経営環境にある事業者様にとって、大きな助けとなるはずです。対象になる可能性のある方は、まずは公式サイトで最新情報を確認し、必要書類の準備から始めてみてはいかがでしょうか。不明な点があれば、下記のコールセンターへ気軽に問い合わせてみましょう。

お問い合わせ先

埼玉県特別高圧受電事業者等支援金コールセンター
電話番号: 0120-917-229
受付時間: 午前9時~午後5時(土・日・祝日を除く)
開設期間: 令和7年9月30日(火)~令和8年2月27日(金)