この記事のポイント
- 小規模事業者持続化補助金の最新スケジュール(第18回公募)がわかる
- 一般型と創業型の違い、補助額・補助率がわかる
- ホームページ制作やチラシ作成など、対象となる経費がわかる
- 申請から入金までの具体的な流れと、採択されるためのポイントがわかる
小規模事業者の皆様が販路開拓や生産性向上のために活用できる、非常に人気の高い「小規模事業者持続化補助金」。本記事では、制度の概要から最新の公募情報、申請の具体的な流れ、採択されるためのポイントまで、専門家が分かりやすく徹底解説します。
小規模事業者持続化補助金とは?
小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者が自社の経営を見直し、持続的な経営に向けた経営計画を作成した上で行う販路開拓や生産性向上の取組を支援する制度です。地域の商工会や商工会議所のサポートを受けながら、地道な販路開拓に取り組む経費の一部が補助されます。
補助金・助成金・給付金の違い
混同されがちなこれらの違いを理解しておきましょう。
- 補助金:審査があり、評価の高い順に採択される。事業計画の質が重要。原則後払い。(例:持続化補助金)
- 助成金:申請要件を満たせば原則受給できるものが多い。主に雇用の安定などが目的。
- 給付金:使用使途が特定されておらず、確定検査もない。特定の条件を満たした個人や事業者に支給。
【2025年最新】公募スケジュール(一般型 第18回)
現在公募中の最新スケジュールは以下の通りです。申請にはGビズIDプライムアカウントの取得が必要で、数週間かかる場合があるため、早めに準備を始めましょう。
項目 | 日程 |
---|---|
申請受付開始 | 2025年 10月3日(金) |
事業支援計画書(様式4)発行の受付締切 | 2025年 11月18日(火) |
申請受付締切 | 2025年 11月28日(金) 17:00 |
⚠️ 注意:申請先は2種類あります!
事業を営んでいる地域が「商工会」の管轄か「商工会議所」の管轄かによって、申請窓口や公式サイトが異なります。申請先を間違えると不採択となるため、必ず事前に確認してください。
補助対象者と申請要件
対象となる事業者
以下の条件を満たす法人、個人事業主、特定非営利活動法人が対象です。
業種 | 常時使用する従業員の数 |
---|---|
商業・サービス業(宿泊業・娯楽業除く) | 5人以下 |
宿泊業・娯楽業 | 20人以下 |
製造業その他 | 20人以下 |
※常時使用する従業員には、会社役員や個人事業主本人、一定条件を満たすパートタイム労働者は含みません。
その他の主な要件
- 資本金又は出資金が5億円以上の法人に100%株式保有されていないこと。
- 直近過去3年間の課税所得の年平均額が15億円を超えていないこと。
- 過去の持続化補助金で採択・交付決定を受けている場合、一定期間申請できない場合があります。
補助額と補助率【一般型・創業型】
申請する枠によって補助上限額や要件が異なります。
一般型
類型 | 補助上限 | 補助率 | 概要 |
---|---|---|---|
通常枠 | 50万円 | 2/3 | 販路開拓等の取組を支援 |
賃金引上げ枠 | 200万円 | 2/3 (赤字事業者は3/4) | 事業場内最低賃金を+30円以上引き上げる事業者 |
卒業枠 | 200万円 | 2/3 | 雇用を増やし小規模事業者の定義を超える事業者 |
後継者支援枠 | 200万円 | 2/3 | アトツギ甲子園のファイナリスト等 |
インボイス特例
免税事業者からインボイス発行事業者に転換する事業者は、上記補助上限額に一律50万円が上乗せされます。
創業枠
特定創業支援等事業の支援を受け、販路開拓に取り組む創業した小規模事業者が対象です。
- 補助上限額: 200万円
- 補助率: 2/3
- 主な要件:
- 産業競争力強化法に基づく「特定創業支援等事業」による支援を過去3か年の間に受けていること。
- 過去3か年の間に開業していること。
補助対象となる経費
販路開拓や生産性向上のための幅広い経費が対象となります。以下はその一例です。
経費科目 | 活用事例 |
---|---|
①機械装置等費 | 製造装置の購入、ショーケースの購入など |
②広報費 | チラシ作成・配布、看板設置、Web広告など |
③ウェブサイト関連費 | ウェブサイトやECサイトの開発・構築・更新など |
④展示会等出展費 | 展示会・商談会の出展料など |
⑤旅費 | 販路開拓のための交通費・宿泊費(規定あり) |
⑥開発費 | 新商品の試作品開発に伴う経費 |
⑦資料購入費 | 補助事業に関連する資料・図書など |
⑧雑役務費 | 臨時で雇用したアルバイト・派遣社員費用 |
⑨借料 | 機器・設備のリース・レンタル料 |
⑩設備処分費 | スペース確保のための設備処分など |
⑪委託・外注費 | 店舗改装など自社で困難な業務を第三者に依頼 |
⚠️ 経費の注意点
- ウェブサイト関連費は、補助金総額の1/4(最大50万円)が上限です。ウェブサイト関連費のみでの申請はできません。
- 設備処分費は、補助対象経費総額の1/2が上限です。設備処分費のみでの申請はできません。
- パソコン、スマホ、車など汎用性が高く目的外使用になりえるものは対象外です。
- 経費の支払いは原則「銀行振込」です。10万円を超える現金払いは対象外となります。
申請から入金までの流れ(10ステップ)
補助金の申請から入金までは、以下のステップで進みます。補助金は原則後払いなので、事業実施期間中の資金繰りには注意が必要です。
- 申請の準備:公募要領を確認し、経営計画書・補助事業計画書を作成します。
- 商工会/商工会議所へ相談:作成した書類を地域の商工会・商工会議所に提出し、「事業支援計画書(様式4)」の作成を依頼します。締切の1週間前までには相談しましょう。
- 申請手続き:電子申請システム「Jグランツ」で申請します。
- 審査:外部有識者等により審査が行われます。
- 採択・交付決定:採択者が公表され、「交付決定通知書」が届きます。この通知書の日付以降に発注・契約した経費が補助対象です。
- 補助事業の実施:計画に沿って販路開拓などの取組を実施します。
- 実績報告書の提出:事業完了後、期限内に実績報告書と経費の証拠書類を提出します。
- 確定検査・補助金額の確定:事務局が報告書を検査し、補助金額が確定します。
- 補助金の請求:確定通知書に基づき、補助金の請求手続きを行います。
- 補助金の入金:指定の口座に補助金が振り込まれます。
審査のポイントと加点項目
採択されるためには、審査のポイントを押さえた事業計画を作成することが重要です。
審査のポイント
- 自社の経営状況や強みを適切に把握しているか。
- 経営方針・目標が自社の強みや市場の特性を踏まえているか。
- 補助事業計画が具体的で、実現可能性が高いか。
- 補助事業計画が経営計画の達成に必要かつ有効か。
- 小規模事業者ならではの創意工夫があるか。
- ITを有効に活用する取組が見られるか。
主な加点項目
特定の要件を満たすことで、審査時に加点され、採択の可能性が高まります。
加点項目 | 概要 |
---|---|
赤字賃上げ加点 | 賃金引上げ枠に申請する赤字事業者 |
事業環境変化加点 | ウクライナ情勢や原油価格高騰等の影響を受けている事業者 |
経営力向上計画加点 | 「経営力向上計画」の認定を受けている事業者 |
事業承継加点 | 代表者が満60歳以上で、後継者候補が中心となって事業を行う場合 |
過疎地域加点 | 過疎地域に所在し、地域経済の持続的発展に繋がる取組を行う事業者 |
まとめと問い合わせ先
小規模事業者持続化補助金は、計画的な準備と質の高い事業計画書が採択の鍵となります。本記事を参考に、ぜひこの機会を活用して事業の持続的発展を目指してください。