小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者の販路開拓や生産性向上の取り組みを支援する、非常に人気の高い補助金です。本記事では、最新の公募情報(第18回)を基に、制度の概要から対象者、補助額、申請の流れまで、専門家が分かりやすく徹底解説します。
小規模事業者持続化補助金とは?
小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者が自社の経営を見直し、持続的な経営に向けた経営計画を作成した上で行う販路開拓や生産性向上の取組を支援する制度です。地域の商工会・商工会議所のサポートを受けながら事業計画を立て、実行していくのが特徴です。
この補助金の3つの魅力
- 幅広い経費が対象:チラシ作成やウェブサイト制作、店舗改装、展示会出展など、販路開拓に必要な様々な経費が対象になります。
- 使いやすい補助金額:通常枠で最大50万円、特別枠では最大200万円(インボイス特例でさらに50万円上乗せ)と、小規模事業者の取り組みに最適な規模感です。
- 手厚いサポート:地域の商工会・商工会議所が計画策定から事業実施まで伴走支援してくれるため、初めて補助金を申請する方でも安心です。
補助対象者
この補助金の対象となるのは、以下の要件を満たす「小規模事業者」です。ご自身の事業が該当するか確認しましょう。
業種 | 常時使用する従業員の数 |
---|---|
商業・サービス業(宿泊業・娯楽業除く) | 5人以下 |
宿泊業・娯楽業 | 20人以下 |
製造業その他 | 20人以下 |
注意点
- 「常時使用する従業員」には、会社役員や個人事業主本人、一定条件を満たすパートタイム労働者は含みません。
- 法人、個人事業主、特定非営利活動法人が対象です。
- 資本金5億円以上の法人に100%株式保有されている事業者や、申請時点で開業していない創業予定者などは対象外となります。
補助額・補助率・申請枠
申請する事業内容に応じて、複数の「枠」が用意されています。ご自身の計画に最も適した枠を選びましょう。
申請枠 | 補助上限額 | 補助率 | 概要 |
---|---|---|---|
通常枠 | 50万円 | 2/3 | 基本的な販路開拓等の取り組みを支援 |
賃金引上げ枠 | 200万円 | 2/3 (赤字事業者は3/4) |
事業場内最低賃金の引き上げに取り組む事業者 |
卒業枠 | 200万円 | 2/3 | 雇用を増やし小規模事業者の規模を超える事業者 |
後継者支援枠 | 200万円 | 2/3 | アトツギ甲子園のファイナリスト等 |
創業枠 | 200万円 | 2/3 | 特定創業支援等事業の支援を受けた創業者 |
インボイス特例でさらに上乗せ!
2021年9月30日から2023年9月30日の間に免税事業者であった事業者が、適格請求書発行事業者(インボイス事業者)に登録した場合、全ての枠で補助上限額が一律50万円上乗せされます。これにより、最大で250万円の補助が受けられます。
補助対象となる経費
販路開拓や業務効率化につながる幅広い経費が補助対象となります。主な経費項目と活用事例は以下の通りです。
- ① 機械装置等費:事業に必要な製造装置や什器などの購入費用
(例:新しいオーブンの導入、顧客用の椅子やテーブルの購入) - ② 広報費:新サービスを紹介するチラシ作成や看板設置などの費用
(例:パンフレット作成、新聞折込チラシ、看板の設置) - ③ ウェブサイト関連費:ウェブサイトやECサイトの開発、更新、運用費用
(例:ネットショップの構築、ホームページのリニューアル、Web広告の出稿) - ④ 展示会等出展費:国内外の展示会や商談会への出展料など
(例:食品見本市への出展料、ブース装飾費用) - ⑤ 旅費:販路開拓のための出張費用(交通費・宿泊費)
(例:展示会会場への往復交通費、遠隔地の取引先との商談のための宿泊費) - ⑥ 開発費:新商品の試作品開発やパッケージデザインにかかる費用
(例:新メニューの試作材料費、商品パッケージのデザイン委託料) - ⑦ 資料購入費:補助事業に関連する資料や図書の購入費用
(例:新商品開発に必要な専門書籍の購入) - ⑧ 雑役務費:補助事業のために臨時雇用したアルバイト等の費用
(例:チラシのポスティングのためのアルバイト代) - ⑨ 借料:事業に必要な機器・設備のリース・レンタル料
(例:イベント用の機材レンタル費用) - ⑩ 設備処分費:新サービスのためのスペース確保を目的とした設備処分費用
(例:古い棚を処分して新しい陳列スペースを作るための費用) - ⑪ 委託・外注費:自社で実施困難な業務を第三者に依頼する費用
(例:店舗の改装工事、インボイス対応のための専門家への相談費用)
経費の注意点
- ウェブサイト関連費は、補助金申請額の1/4(最大50万円)が上限です。また、ウェブサイト関連費のみでの申請はできません。
- パソコンや車など、汎用性が高く目的外使用になりえるものは対象外です。
- 経費の支払いは原則として銀行振込です。10万円を超える現金払いは対象外となる場合があります。
申請から補助金入金までの流れ
申請から補助金の受け取りまでは、以下の10ステップで進みます。計画的に準備を進めましょう。
- 申請の準備:公募要領を熟読し、経営計画書・補助事業計画書を作成します。
- 商工会/商工会議所への相談:作成した計画書を持参し、地域の商工会・商工会議所に相談。「事業支援計画書(様式4)」の作成を依頼します。
- 申請手続き:原則として電子申請システム「Jグランツ」で申請します。
- 申請内容の審査:外部有識者等により、計画内容が審査されます。
- 採択・交付決定:審査を通過すると「採択通知」が届き、その後「交付決定通知書」が送付されます。この通知書の日付以降に発注・契約した経費が補助対象となります。
- 補助事業の実施:交付決定後、計画に沿って販路開拓等の取り組みを実施します。
- 実績報告書の提出:事業完了後、30日以内または提出期限までに、かかった経費の証拠書類とともに実績報告書を提出します。
- 確定検査・補助金額の確定:事務局が報告書と証拠書類を検査し、補助金額が最終的に確定します。
- 補助金の請求:確定した金額を事務局に請求します。
- 補助金の入金:請求後、指定の口座に補助金が振り込まれます。
- 事業効果報告:補助事業完了から1年後に、事業効果などを報告する必要があります。
【第18回公募】申請スケジュール
最新の公募スケジュールは以下の通りです。締切に余裕を持って準備を進めましょう。
第18回公募スケジュール | |
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申請受付開始日 | 2025年 10月3日(金) |
事業支援計画書(様式4)発行の受付締切 | 2025年 11月18日(火) |
申請受付締切日 | 2025年 11月28日(金) 17:00 |
まとめ
小規模事業者持続化補助金は、販路開拓を目指すすべての小規模事業者にとって力強い味方となる制度です。計画書の作成は大変ですが、自社の経営を見つめ直す良い機会にもなります。この記事を参考に、ぜひ補助金活用にチャレンジしてみてください。
公式情報・お問い合わせ先
公式サイト:
小規模事業者持続化補助金<一般型>
お問い合わせ(商工会議所地区):
電話番号:03-6632-1502
受付時間:9:00~12:00、13:00~17:00(土日祝日、年末年始除く)
お問い合わせ(商工会地区):
お近くの都道府県商工会連合会へお問い合わせください。連絡先は公式サイトで確認できます。