小規模事業者持続化補助金<一般型>完全ガイド
販路開拓や生産性向上を目指す小規模事業者様を強力に支援する、最も人気のある補助金の一つです。本記事では、最新の公募情報(第17回)を基に、制度の概要から申請のコツまで、専門家が分かりやすく解説します。
小規模事業者持続化補助金とは?
小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者が自社の経営を見直し、持続的な経営に向けた経営計画を策定した上で行う「販路開拓」や「生産性向上」の取り組みを支援する制度です。チラシ作成やネット広告、店舗改装、新しい機械の導入など、幅広い経費が対象となるため、非常に使い勝手が良いのが特徴です。
💡 こんな事業者様におすすめです!
- 新しい顧客を獲得するためにチラシやホームページを作りたい
- ネットショップ(ECサイト)を立ち上げて、全国に商品を販売したい
- 店舗を改装して、お客様が入りやすい魅力的なお店にしたい
- 新しい機械を導入して、作業効率を上げたい(生産性を向上させたい)
- インボイス制度への対応や、従業員の賃上げを考えている
補助金の概要(第17回公募情報)
まずは制度の全体像を把握しましょう。主要な項目を以下の表にまとめました。
項目 | 内容 |
---|---|
補助上限額 | 通常枠: 50万円 特例適用で最大250万円(詳細は後述) |
補助率 | 原則 2/3 (賃金引上げ特例の赤字事業者は 3/4) |
対象者 | 常時使用する従業員数が一定以下の小規模事業者・個人事業主など |
申請受付締切 | 第17回公募:2025年6月13日(金)17:00 |
申請方法 | 電子申請システム「Jグランツ」による申請(GビズIDプライムアカウントが必須) |
補助対象者の詳細
「小規模事業者」の定義は、業種ごとに常時使用する従業員の数で決まります。
- 商業・サービス業(宿泊・娯楽業除く): 従業員 5人 以下
- サービス業のうち宿泊・娯楽業: 従業員 20人 以下
- 製造業その他: 従業員 20人 以下
※「常時使用する従業員」には、会社役員、個人事業主本人、一定条件を満たすパートタイム労働者は含まれません。
最大250万円!補助上限額が引き上がる特例措置
特定の要件を満たすことで、通常枠の50万円に加えて補助上限額が上乗せされます。
特例の種類 | 上乗せ額 | 主な要件 |
---|---|---|
賃金引上げ特例 | +150万円 | 事業場内最低賃金を地域別最低賃金より+50円以上にする等。 |
インボイス特例 | +50万円 | 免税事業者からインボイス発行事業者に転換した事業者。 |
両方の特例要件を満たす場合、50万円 + 150万円 + 50万円 = 最大250万円の補助上限額となります。
何に使える?補助対象経費の具体例
補助対象となる経費は幅広く、販路開拓や業務効率化に繋がる様々な取り組みに活用できます。
経費区分 | 具体例 |
---|---|
①機械装置等費 | 製造業の新型機械、飲食店の業務用オーブン、サービスの効率化を図るソフトウェアなど |
②広報費 | チラシ・パンフレットの作成、新聞・雑誌への広告掲載、看板の作成・設置など |
③ウェブサイト関連費 | ホームページ作成・改修、ECサイト構築、ネット広告、SEO対策、動画作成など ※補助金申請額の1/4が上限 |
④展示会等出展費 | 国内外の展示会や商談会への出展料、関連する運搬費など |
⑤旅費 | 展示会への出展や、新商品開発のための調査等に係る交通費・宿泊費 |
⑥新商品開発費 | 試作品開発のための原材料費、パッケージデザイン費用など |
⑦借料 | 事業遂行に必要な機器・設備のリース・レンタル料 |
⑧委託・外注費 | 店舗改装工事、専門家へのコンサルティング依頼など |
⚠️ 対象外経費の注意点
パソコン・タブレット・自動車など汎用性が高く目的外使用になりえるもの、文房具などの消耗品費、水道光熱費、通信費などは原則として補助対象外です。詳細は公募要領を必ずご確認ください。
申請から補助金受給までの流れ
申請手続きは計画的に進めることが重要です。大まかな流れを理解しておきましょう。
- STEP 1: GビズIDプライムの取得
電子申請に必須のアカウントです。取得に2〜3週間かかる場合があるため、最初に手続きしましょう。 - STEP 2: 経営計画書・補助事業計画書の作成
自社の強みや課題を分析し、販路開拓の具体的な計画を作成します。最も重要な書類です。 - STEP 3: 商工会・商工会議所への相談と「事業支援計画書」の交付依頼
作成した計画書を持参し、地域の商工会・商工会議所に相談します。内容の確認後、「事業支援計画書(様式4)」が発行されます。締切の1週間前までには依頼しましょう。 - STEP 4: Jグランツで電子申請
全ての必要書類を揃え、受付期間内にJグランツから電子申請を行います。 - STEP 5: 採択発表・交付決定
審査を経て、採択結果が通知されます。その後、「交付決定通知書」が届いたら事業を開始できます。 - STEP 6: 補助事業の実施
交付決定日以降に、計画書に沿って発注・契約・支払いを行います。交付決定前の経費は対象外です。 - STEP 7: 実績報告と補助金の受給
事業完了後、期限内に実績報告書と経費の証拠書類を提出します。審査を経て補助金額が確定し、指定口座に振り込まれます(精算払い)。
🚨 最重要注意点
- 補助金は後払いです。事業実施期間中は自己資金での立て替えが必要です。
- 審査があるため、申請すれば必ず採択されるわけではありません。
- 事業計画は事業者自身が主体となって作成する必要があります。高額なコンサルティング料を請求する悪質な業者にはご注意ください。
- 申請書類に不備があると不採択となります。公募要領を熟読し、時間に余裕をもって準備しましょう。
まとめと公式情報
小規模事業者持続化補助金は、事業の成長を目指す多くの事業者にとって強力な味方となります。自社の未来を描く経営計画をしっかりと練り上げ、この機会を最大限に活用しましょう。
申請にあたっては、必ず公式サイトで最新の公募要領をご確認ください。ご不明な点は、管轄の商工会・商工会議所へ早めに相談することをおすすめします。