詳細情報
「老後の生活、年金だけでは少し不安…」「もう少し生活にゆとりが欲しい」そうお考えの年金受給者の方も多いのではないでしょうか。そんな方々の生活を支援するため、年金に上乗せして支給される「年金生活者支援給付金」という制度があるのをご存知ですか?これは、消費税率引き上げ分を活用し、所得が一定基準以下の方の生活を支えるための大切な制度です。この記事では、年金生活者支援給付金の3つの種類(老齢・障害・遺族)について、対象となる方の条件、もらえる金額、簡単な申請手続きまで、どこよりも分かりやすく徹底的に解説します。ご自身が対象になるか確認し、大切な権利をしっかり活用しましょう。
この記事のポイント
- 年金生活者支援給付金の制度概要と3つの種類がわかる
- 自分が給付金の対象になるかの条件をチェックできる
- 給付金の具体的な金額と計算方法がわかる
- 簡単な申請手続きの流れを理解できる
- 受給するための注意点やよくある質問で疑問が解消する
① 年金生活者支援給付金の概要
まずは、年金生活者支援給付金がどのような制度なのか、基本的なところから確認していきましょう。
制度の目的と背景
年金生活者支援給付金は、2019年10月の消費税率10%への引き上げに合わせて始まった制度です。引き上げ分の税収を活用し、公的年金(老齢・障害・遺族基礎年金)の収入やその他の所得が一定基準額以下の方々の生活を支援することを目的としています。つまり、いつもの年金にプラスして受け取れる、生活応援のためのお金です。
実施組織
この制度は厚生労働省が所管し、実際の支給手続きなどの事務は日本年金機構が行っています。そのため、お知らせや手続きの書類は日本年金機構から届きます。
給付金の3つの種類
年金生活者支援給付金は、受け取っている基礎年金の種類に応じて、以下の3つに分かれています。
- 老齢年金生活者支援給付金:老齢基礎年金を受給している方向け
- 障害年金生活者支援給付金:障害基礎年金を受給している方向け
- 遺族年金生活者支援給付金:遺族基礎年金を受給している方向け
ご自身がどの基礎年金を受け取っているかによって、対象となる給付金や条件が異なります。次から、それぞれの詳細を見ていきましょう。
② 対象者・条件
給付金を受け取るためには、いくつかの要件をすべて満たす必要があります。ここでは、3つの給付金それぞれの対象者と条件を詳しく解説します。
1. 老齢年金生活者支援給付金
老齢基礎年金を受給している方は、以下の3つの要件をすべて満たす必要があります。
- 65歳以上で、老齢基礎年金の受給者であること
- 同一世帯の全員が市町村民税非課税であること
- 前年の公的年金等の収入金額とその他の所得との合計額が909,000円以下であること(※生年月日により基準額が若干異なります)
注意点:所得の計算には、障害年金や遺族年金などの非課税収入は含まれません。また、所得が基準額をわずかに超える方のために、所得の逆転が生じないようにする「補足的老齢年金生活者支援給付金」という仕組みもあります。
2. 障害年金生活者支援給付金
障害基礎年金を受給している方は、以下の2つの要件をすべて満たす必要があります。
- 障害基礎年金の受給者であること
- 前年の所得が4,794,000円以下であること(※扶養親族の数に応じて増額されます)
3. 遺族年金生活者支援給付金
遺族基礎年金を受給している方は、以下の2つの要件をすべて満たす必要があります。
- 遺族基礎年金の受給者であること
- 前年の所得が4,794,000円以下であること(※扶養親族の数に応じて増額されます)
③ 給付金額・計算方法
対象となる場合、一体いくら受け取れるのでしょうか。給付金の金額は種類によって異なります。ここでは、それぞれの金額と計算方法を具体的に見ていきましょう。(金額は令和7年10月時点のものです)
| 給付金の種類 | 給付額(月額) | 備考 |
|---|---|---|
| 老齢年金生活者支援給付金 | 5,450円を基準に計算 | 保険料の納付状況に応じて変動します。 |
| 障害年金生活者支援給付金 | 障害等級1級:6,813円 障害等級2級:5,450円 |
等級に応じた定額が支給されます。 |
| 遺族年金生活者支援給付金 | 5,450円 | 子が複数いる場合は、この金額を人数で割ります。 |
老齢年金生活者支援給付金の計算方法(詳細)
老齢の給付金は、これまでの保険料の納付状況によって金額が変わるため、少し複雑です。以下の2つの合計額で決まります。
- (1)保険料納付済期間に基づく額: 5,450円 × (納付済期間の月数) / 480月
- (2)保険料免除期間に基づく額: 11,551円 × (免除期間の月数) / 480月
計算例:保険料を40年間(480月)すべて納付した方の場合
(1)5,450円 × 480月 / 480月 = 5,450円
(2)11,551円 × 0月 / 480月 = 0円
合計:月額 5,450円
このように、満額の老齢基礎年金を受け取っている方は、基準額である5,450円が支給されます。ご自身の納付状況は「ねんきん定期便」や年金証書で確認できます。
④ 申請方法・手順
「手続きが難しそう…」と心配されるかもしれませんが、ご安心ください。年金生活者支援給付金の申請はとても簡単です。
かんたん3ステップ!
- 【ステップ1】封筒が届く
新たに支給対象となる方には、日本年金機構から緑色の封筒で「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」が送られてきます。(例年9月頃から順次発送) - 【ステップ2】記入する
届いた請求書(はがき)に、氏名などの必要事項を記入します。記入箇所は少なく、とてもシンプルです。 - 【ステップ3】投函する
記入したはがきに切手を貼り、ポストに投函すれば手続きは完了です。
重要:すでに給付金を受給している方は、翌年以降も引き続き支給要件を満たしていれば、新たな手続きは原則不要です。自動的に支給が継続されます。
必要書類
原則として、送られてくる「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」のみで、課税証明書などの添付書類は不要です。日本年金機構が市町村から所得情報などの提供を受けて判定するためです。ただし、所得情報が確認できない場合など、まれに書類の提出をお願いされることがあります。
⑤ 確実に受給するためのポイントと注意点
この給付金は、助成金のような審査や採択があるわけではなく、要件を満たしていれば支給されます。しかし、確実に受け取るためにはいくつかのポイントがあります。
ポイント1:請求書が届いたら速やかに提出!
給付金は、原則として請求手続きをした月の翌月分から支給が始まります。提出が遅れると、その分受け取れる総額が減ってしまいます。請求書が届いたら、後回しにせず、すぐに記入して投函しましょう。
ポイント2:支給要件から外れた場合
所得が増えたり、世帯の状況が変わったりして支給要件を満たさなくなった場合、給付金は支給されなくなります。その際は、日本年金機構から「年金生活者支援給付金不該当通知書」が送られてきます。
ポイント3:「かたり詐欺」に要注意!
「年金生活者支援給付金」をかたった詐欺にご注意ください。日本年金機構や厚生労働省の職員が、電話で口座番号や暗証番号を聞いたり、手数料を請求したりすることは絶対にありません。不審な電話や訪問があった場合は、すぐに警察相談専用電話(#9110)や最寄りの年金事務所に連絡してください。
⑥ よくある質問(FAQ)
Q1. 給付金はいつ、どのように支払われますか?
A1. 原則として、年金の支払いと同じ日(偶数月の15日)に、年金を受け取っているのと同じ口座に振り込まれます。年金とは別に「ネンキンセイカツシャシエンキュウフキン」などの名義で振り込まれるため、通帳で確認できます。
Q2. 毎年申請が必要ですか?
A2. いいえ、一度認定されれば、毎年の手続きは原則不要です。日本年金機構が毎年、所得情報などを確認し、引き続き対象となるかを自動で判定します。
Q3. 請求書(はがき)をなくしてしまいました。どうすればいいですか?
A3. すぐに下記の「給付金専用ダイヤル」またはお近くの年金事務所にご相談ください。再発行などの手続きについて案内してもらえます。
Q4. 給付金の金額は毎年同じですか?
A4. 給付額は、毎年度、物価の変動に応じて改定(物価スライド改定)されることがあります。金額が変わる場合は、「年金生活者支援給付金支給金額改定通知書」でお知らせが届きます。
Q5. 自分で書くのが難しい場合はどうすればいいですか?
A5. ご病気や障害などでご自身で書類を書くことが困難な場合は、ご家族などが代筆することも可能です。不明な点があれば、年金事務所にご相談ください。
⑦ まとめ・お問い合わせ先
年金生活者支援給付金は、対象となる方の生活を支えるための非常に重要な制度です。ご自身が対象になるか、またご家族や周りの方で対象になりそうな方がいないか、ぜひ一度この記事の内容を確認してみてください。
重要なのは、日本年金機構から請求書が届いたら、忘れずに、そして速やかに手続きをすることです。この一手間で、年間の生活に数万円のゆとりが生まれるかもしれません。
制度についてご不明な点や、手続きでお困りのことがあれば、下記の専用ダイヤルへお気軽にお問い合わせください。
お問い合わせ先:給付金専用ダイヤル
ナビダイヤル: 0570-05-4092
050から始まる電話でおかけになる場合: (東京) 03-5539-2216
<受付時間>
月曜日:午前8時30分~午後7時00分
火~金曜日:午前8時30分~午後5時15分
第2土曜日:午前9時30分~午後4時00分
※祝日(第2土曜日を除く)、12月29日~1月3日はご利用いただけません。