この記事のポイント
- 概要: 東京都が中小企業の資金調達を支援する「東京都中小企業制度融資」の2025年度(令和7年度)最新情報を解説。
- 多様なメニュー: DX推進、女性活躍、HTT・ゼロエミッション、スタートアップ支援など、都の政策課題に対応した豊富な融資メニューを紹介。
- メリット: 低金利での資金調達に加え、信用保証料の補助や利率優遇など、事業者負担を軽減する手厚い支援が特徴。
- 対象者: 東京都内に事業所を持つ中小企業者や組合が対象。各メニューごとの詳細な要件も一覧で確認可能。
東京都中小企業制度融資とは?
「東京都中小企業制度融資」とは、東京都内の中小企業者が事業に必要な資金を円滑に調達できるよう、東京都、東京信用保証協会、指定金融機関の三者が協調して提供する融資制度です。単なる融資にとどまらず、信用保証料の補助や利率の優遇といった実質的な支援が含まれており、多くの事業者にとって心強い味方となります。
特に、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進、女性活躍、HTT(電力をⒽ減らす・Ⓣ創る・Ⓣ蓄める)への取組など、現代的な経営課題に対応したメニューが充実しているのが大きな特徴です。
【2025年度/令和7年度】主な拡充・変更点
令和7年度は、中小企業の多様な取り組みをさらに強力に後押しするため、以下の点が拡充・変更されました。
- DX・イノベ・産業育成支援の対象拡大: 国の「DX認定」取得企業や「パートナーシップ構築宣言」公表企業も対象に追加されました。
- 女性活躍推進融資の対象拡大: 国の「えるぼし認定」取得企業や、国のデータベースに登録した中小企業も対象に含まれます。
- 働き方改革支援の拡充: 賃上げを行い、生産性向上に取り組む事業者が新たに対象となりました。
- スタートアップ支援の拡充: 既存の「創業融資」を利用している事業者も対象となり、支援の幅が広がりました。
主要な融資メニューと対象事業一覧
本制度には多岐にわたるメニューが用意されています。ここでは、主要なカテゴリ別に代表的な対象事業をご紹介します。
1. DX・イノベーション・産業育成支援
デジタル技術の活用や新たな事業展開を支援するメニューです。信用保証料は小規模企業者に対して1/2が補助されます。
| 事業名/取組名 | 対象となる取り組み(例) |
|---|---|
| DX認定 | 国の「DX認定制度」の認定を取得している。 |
| パートナーシップ構築宣言 | 「パートナーシップ構築宣言」ポータルサイトに登録・公表している。 |
| 中小企業デジタルツール導入促進支援事業 | 東京都中小企業振興公社の同事業を利用し、助成金交付決定を受けている。 |
| サプライチェーン強化等に向けた企業変革促進事業 | 東京都中小企業振興公社の同事業による支援を受けている。 |
2. 女性活躍推進支援
女性の活躍や育業支援など、働きやすい環境づくりを後押しします。信用保証料は全事業者に対して2/3が補助され、さらに働き方改革支援の利率から0.4%優遇されます。
| 事業名/取組名 | 対象となる取り組み(例) |
|---|---|
| えるぼし認定/プラチナえるぼし認定 | 国の「えるぼし認定(1段階目以上)」または「プラチナえるぼし認定」を取得している。 |
| TOKYOパパ育業促進企業 | 男性育休取得達成企業として登録・掲載されている。 |
| 育業中スキルアップ支援事業 | 同事業の交付決定を受けている。 |
3. HTT・ゼロエミッション支援
脱炭素化や省エネルギーへの取り組みを資金面からサポートします。信用保証料は全事業者に対して2/3が補助されます。さらに、特定の取組には最大0.6%の利率優遇があります。
| 事業名/取組名 | 対象となる取り組み(例) |
|---|---|
| HTT取組推進宣言企業 | 「HTT取組推進宣言企業」の登録を受けている。 |
| LED照明等節電促進助成金 | 同助成金の交付決定を受けている。 |
| ゼロエミッション化に向けた省エネ設備導入・運用改善支援事業 | 同事業の交付決定を受けている。 |
| EVバス・EVトラック導入促進事業 | 同事業の助成金交付決定を受けている。 |
4. スタートアップ支援
創業期や成長期のスタートアップを強力に支援します。信用保証料は全事業者に対して2/3が補助されます。
| 事業名/取組名 | 対象となる取り組み(例) |
|---|---|
| TOKYO STARTUP GATEWAY | 同プログラムのセミファイナリストである。 |
| キングサーモンプロジェクト | 同プロジェクトに採択されている。 |
| NEXs Tokyo | アクセラレーションプログラムの受講生として採択されている。 |
融資条件の概要
- 融資限度額: 最大2億8,000万円(組合は4億8,000万円)※メニューにより異なります。
- 融資期間: 最長15年以内(据置期間含む)※メニューにより異なります。
- 融資利率: 固定金利・変動金利があり、メニューや期間によって異なります。政策課題対応資金は優遇されています。(例:7年以内1.85%以内)
- 信用保証料補助: メニューに応じて、信用保証料の1/2〜4/5を都が補助します。
- 保証人・担保: 原則として法人代表者以外の連帯保証人は不要です。また、一定の要件を満たすことで経営者保証自体を不要とすることも可能です。担保は8,000万円以下の場合は原則不要です。
申請の流れと相談窓口
制度融資の利用を検討する場合、まずは取扱指定金融機関の窓口に相談することから始まります。
- 事前相談: 取扱指定金融機関や東京信用保証協会に相談します。
- 融資申込: 必要書類を揃え、取扱指定金融機関に申し込みます。
- 審査: 金融機関および東京信用保証協会による審査が行われます。
- 融資実行: 審査通過後、融資が実行されます。
どのメニューが自社に合うか分からない場合や、制度について詳しく知りたい場合は、下記の窓口に相談することも可能です。
【相談窓口】
東京都 産業労働局金融部金融課
電話番号: 03-5320-4877
まとめ
東京都中小企業制度融資は、都内事業者の多様なニーズに応える強力な資金調達手段です。特にDX、女性活躍、脱炭素といった現代の重要課題に取り組む企業には、手厚い優遇措置が用意されています。自社の事業計画や課題に合わせて最適なメニューを選択し、事業の成長・安定化にぜひお役立てください。まずは最寄りの取扱金融機関や専門窓口へ相談してみましょう。