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「自宅の古いブロック塀が地震で倒れないか心配…」「撤去したいけど費用が高くて…」そんなお悩みをお持ちではありませんか?実は、多くの自治体で、危険なブロック塀の撤去費用を補助する制度が用意されています。この制度を活用すれば、数十万円かかることもある撤去費用を大幅に抑えることが可能です。この記事では、2025年度のブロック塀撤去補助金について、対象条件や補助金額、申請の具体的なステップ、さらには採択されるためのポイントまで、専門家がどこよりも分かりやすく解説します。あなたと、そして地域全体の安全を守るための一歩を、この補助金で踏み出しましょう。
この記事のポイント
- ブロック塀撤去補助金の目的と概要がわかる
- 補助金額の計算方法と自治体ごとの事例がわかる
- 補助対象となる塀の条件や対象者が明確になる
- 申請から補助金受給までの具体的な流れをステップで理解できる
- 申請時の注意点や採択率を上げるコツがわかる
ブロック塀撤去補助金とは?
制度の目的と背景
ブロック塀撤去補助金は、地震発生時にブロック塀が倒壊することによる人的被害や、避難・救助活動の妨げになる事態を防ぐことを目的とした制度です。2018年の大阪府北部地震では、ブロック塀の倒壊により尊い命が失われるという痛ましい事故が発生しました。これを受け、国や各自治体は危険なブロック塀の安全対策を強化しており、その一環として所有者が撤去や改修を行う際の経済的負担を軽減するために本補助金が設けられています。
この制度を利用することで、安全な住環境を実現し、災害に強いまちづくりに貢献することができます。
実施組織
この補助金は、国からの支援を受け、主に各市区町村が主体となって実施しています。そのため、制度の名称、補助金額、対象条件、申請期間などの詳細は自治体によって異なります。申請を検討する際は、必ずお住まいの市区町村の担当部署(建築指導課、都市計画課、防災課など)に確認することが重要です。
補助金額・補助率について
補助金額は、自治体ごとに定められた計算方法に基づいて算出されます。一般的には、以下の2つの金額を比較し、いずれか少ない方の金額に補助率(例:1/2や2/3)を乗じて算出され、さらに上限額が設定されています。
- ① 実際に撤去工事にかかる費用(業者からの見積額)
- ② 自治体が定める基準額(例:撤去する塀の長さ1mあたり〇〇円)
計算例(岡山市の場合)
岡山市の制度を例に、具体的な計算方法を見てみましょう。
- 条件:塀の長さ30m、工事見積額50万円
- 基準額:1mあたり9,000円
- 補助率:2/3
- 上限額:15万円
ステップ1:比較する金額の算出
(1) 工事見積額:500,000円
(2) 基準額に基づく金額:30m × 9,000円/m = 270,000円
ステップ2:補助対象経費の決定
(1)と(2)を比較し、少ない方の金額を採用します。この場合、270,000円が補助対象経費となります。
ステップ3:補助金額の算出
補助対象経費に補助率を乗じます。
270,000円 × 2/3 = 180,000円
ステップ4:上限額との比較
算出された金額(180,000円)と上限額(150,000円)を比較します。上限額を超えるため、最終的な補助金額は150,000円となります。
主要都市の補助制度比較表
自治体によって補助内容が大きく異なることがわかります。特に、浜松市や国分寺市のように、撤去後のフェンス等の新設費用も補助対象となる場合があります。
| 自治体 | 補助率 | 上限額(撤去) | 上限額(新設) | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| 岡山市 | 2/3 | 15万円 | 対象外 | 基準額 9,000円/m |
| 新潟市 | 1/2 | 15万円 | 対象外 | 基準額 17,400円/m |
| 浜松市 | 2/3 | 20万円 | 25万円 | 基準額 撤去14,000円/m, 新設38,400円/m |
| 名古屋市 | 1/2 | 10万円 | 対象外 | 基準額 6,000円/m |
| 国分寺市 | 実費(上限あり) | 実費(上限あり) | 実費(上限あり) | 基準額 撤去6,000円/m, 設置4,000円/m |
※上記は2024-2025年度の情報に基づいています。最新の情報は各自治体の公式サイトでご確認ください。
補助の対象となる条件
対象者(申請できる方)
補助を申請できるのは、基本的に以下のすべての要件を満たす方です。
- 補助対象となるブロック塀等の所有者であること(個人・法人問わず)
- 市税(住民税、固定資産税など)をすべて完納していること
- 暴力団関係者でないこと
対象となるブロック塀
補助の対象となるのは、コンクリートブロック塀、石塀、レンガ塀などで、以下の要件をすべて満たすものです。
- 自治体内に存在すること
- 道路や避難路、通学路、公園などに面していること(不特定多数の人が通行する私道を含む場合も)
- 道路面からの高さが一定以上であること(例:80cm以上、1m以上など)
- 自治体による点検の結果、「危険である」と判断されたもの(ひび割れ、傾き、鉄筋の有無など)
【危険なブロック塀のチェック項目例】
ご自身の塀が対象になるか、まずはセルフチェックしてみましょう。一つでも当てはまれば補助対象の可能性があります。
- 塀の高さが高すぎる(2.2m超)
- 塀が傾いている、ひび割れている
- 控え壁がない(高さ1.2m超の場合)
- 鉄筋が入っているか不明、または錆びている
- 基礎(土台)がない、または不十分
補助対象となる工事
原則として、危険なブロック塀等をすべて撤去する工事が対象です。一部を撤去して安全な高さ(例:60cm以下)にする工事も対象となる場合があります。また、前述の通り、自治体によっては撤去後にフェンスなどを新設する工事も補助対象に含まれます。
申請方法と手順(7ステップ)
補助金の申請は、正しい手順を踏むことが非常に重要です。特に、市の交付決定前に工事契約や着工をしてしまうと補助対象外となるため、絶対に避けてください。
- 事前相談・現地調査
まずはお住まいの自治体の担当窓口に相談します。塀の状況がわかる写真や図面を持参すると話がスムーズです。職員による現地調査が行われ、補助対象になるかどうかが判断されます。 - 施工業者の選定・見積取得
自治体への相談と並行して、撤去工事を依頼する業者を探し、見積書を取得します。複数の業者から見積もりを取る「相見積もり」をおすすめします。 - 補助金交付申請
必要書類を揃えて、自治体に補助金の交付申請を行います。申請期間は4月頃から秋口までが多いですが、予算がなくなり次第終了となるため、早めの申請が肝心です。 - 交付決定通知の受領
申請内容が審査され、問題がなければ市から「交付決定通知書」が郵送されます。通常、申請から2週間~1ヶ月程度かかります。 - 工事契約・着工
必ず交付決定通知書を受け取った後に、施工業者と正式に工事契約を結び、工事を開始してください。 - 工事完了・実績報告
工事が完了したら、領収書の写しや工事後の写真などを添えて「完了実績報告書」を自治体に提出します。提出期限(年度末など)が定められているので注意が必要です。 - 補助金の請求・受領
実績報告書が受理されると、補助金額が確定します。その後、「補助金交付請求書」を提出し、指定した口座に補助金が振り込まれます。振込までには1ヶ月程度かかる場合があります。
申請に必要な書類一覧
自治体により異なりますが、一般的に以下の書類が必要となります。
- 補助金交付申請書
- 工事費の見積書の写し
- 撤去前の現況写真(全景、高さ、ひび割れ箇所など)
- 案内図(場所がわかる地図)
- 配置図(敷地内の塀の位置や長さがわかる図面)
- ブロック塀等点検表(自己または業者がチェックしたもの)
- 納税証明書
- 【法人の場合】登記事項証明書など
- 委任状(手続きを業者に代行してもらう場合)
採択されるためのポイントと注意点
早めの行動が鍵!先着順の罠
この補助金は、ほとんどの自治体で予算の上限が定められており、受付は先着順です。人気の制度であるため、募集期間の終盤を待たずに締め切られてしまうケースが少なくありません。補助金の利用を考え始めたら、まずは年度の初め(4月~5月頃)に自治体の窓口へ相談に行くなど、早めに行動を開始することが最も重要なポイントです。
代理受領制度の活用で初期費用を軽減
通常、補助金は工事費用の支払いが完了した後に振り込まれるため、申請者は一時的に工事費全額を立て替える必要があります。しかし、自治体によっては「代理受領制度」を導入している場合があります。これは、補助金分を市から直接施工業者へ支払ってもらう制度で、申請者は自己負担分のみを用意すればよいため、初期費用を大幅に軽減できます。利用可能かどうか、事前に確認してみましょう。
最重要注意点:交付決定前の契約・着工は絶対にNG!
何度も繰り返しますが、これは最もよくある不採択理由です。市の「補助金を出します」というお墨付き(交付決定)をもらう前に業者と契約したり、工事を始めたりすると、手続きの順序が違うとして補助金は一切受け取れません。焦る気持ちはわかりますが、必ず「交付決定通知書」が手元に届いてから次のステップに進んでください。
よくある質問(FAQ)
- Q1. 隣地との境界にある塀も対象になりますか?
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A1. 自治体によって対応が異なります。名古屋市のように「道路に面する部分のみ」と限定している場合もあれば、国分寺市のように「隣地に面して設置された塀」も対象に含む場合があります。お住まいの自治体の要綱を必ず確認してください。また、隣地所有者の同意が必要になるケースもあります。
- Q2. 自分で撤去した場合でも補助金はもらえますか?
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A2. ほとんどの場合、補助対象外となります。補助金は、市内の業者に工事を発注することが条件となっていることが多く、安全な施工を確保する観点からも専門業者への依頼が前提です。見積書や領収書の発行も必須となります。
- Q3. 賃貸物件のブロック塀でも申請できますか?
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A3. 申請者は原則としてブロック塀の「所有者」です。賃貸物件の場合、所有者(大家さん)が申請者となります。もしお住まいの賃貸物件に危険なブロック塀がある場合は、まず所有者や管理会社に相談してみてください。
- Q4. 補助金の申請手続きは難しいですか?業者に代行してもらえますか?
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A4. 書類作成など手間はかかりますが、自治体の窓口で丁寧に教えてくれるので、ご自身で申請することも十分可能です。ただし、多忙な場合や手続きに不安がある場合は、委任状を提出することで施工業者に申請を代行してもらえることがほとんどです。多くの業者は手続きに慣れているので、相談してみると良いでしょう。
- Q5. 補助金は課税対象になりますか?
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A5. 個人が受け取るブロック塀撤去補助金は、所得税法上「一時所得」に該当する可能性があります。ただし、一時所得には50万円の特別控除があるため、他に一時所得がなければ、この補助金だけで確定申告が必要になるケースは少ないと考えられます。詳しくは所轄の税務署にご確認ください。
まとめ:まずは自治体への相談から始めよう
危険なブロック塀の撤去は、あなたやご家族、そして地域住民の命を守るための重要な地震対策です。費用面で躊躇していた方も、この補助金制度を上手に活用すれば、負担を大きく減らすことができます。
この記事で解説したポイントをまとめます。
- 目的:地震時の倒壊被害を防ぎ、安全なまちづくりを進めるため。
- 補助額:自治体により様々だが、撤去費用で10万円~20万円程度の上限が多い。新設費用も対象になる場合がある。
- 対象:道路や避難路に面した、一定の高さ以上の危険なブロック塀。
- 最重要ルール:必ず「交付決定後」に「契約・着工」する。
- 成功の鍵:予算は先着順。年度初めにすぐ行動を開始する。
制度の詳細は自治体ごとに異なります。少しでも関心を持たれたら、まずはお住まいの市区町村のウェブサイトを確認するか、建築指導課などの担当窓口に電話で問い合わせてみることから始めてみましょう。安全な未来への第一歩を、ぜひ今日から踏み出してください。