詳細情報
埼玉県久喜市で、管理に困っている古い空き家をお持ちではありませんか?倒壊の危険性、衛生上の問題、景観の悪化など、空き家が引き起こす問題は所有者様にとって大きな悩みです。その解決策として、久喜市では危険な空き家の解体費用を支援する「久喜市空家等除却(解体)補助金」制度を実施しています。この制度を活用すれば、最大30万円の補助を受けて、費用の負担を大幅に軽減することが可能です。この記事では、補助金の対象となる条件、具体的な金額、申請から受給までの詳しい手順、そして採択されるためのポイントまで、誰にでも分かりやすく徹底的に解説します。この機会に補助金を活用し、空き家の問題を解決への一歩を踏み出しましょう。
この補助金のポイント
- 最大30万円の解体費用を補助
- 倒壊の恐れなどがある「不良空家等」が対象
- 申請には事前診断が必要
- 工事は久喜市内の事業者に依頼する必要あり
- 交付決定前の工事着手は補助対象外となるため注意が必要
① 久喜市空家等除却(解体)補助金の概要
まずは、この補助金がどのような制度なのか、全体像を把握しましょう。
制度の目的
「久喜市空家等除却(解体)補助金」は、防災、衛生、景観などの観点から、地域住民の生活環境に深刻な影響を及ぼしている空き家や、活用が難しい空き家の解体(除却)を促進することを目的としています。これにより、市民が安全で安心して暮らせるまちづくりを目指しています。
実施組織と問い合わせ先
- 実施組織: 埼玉県久喜市
- 担当部署: 市民部 交通住宅課 住宅係
- 住所: 〒346-8501 久喜市下早見85番地の3
- 電話番号: 0480-22-1111
- 公式サイト: 久喜市空家等除却(解体)補助金ページ
② 補助金額と補助率について
この補助金でいくら受け取れるのか、具体的な計算方法を見ていきましょう。
補助金額の計算方法
補助金額は、以下の3つのうち、最も低い額が適用され、その上限は30万円です。
| 項目 | 計算方法 |
|---|---|
| ① 工事費用に基づく額 | 補助対象となる解体工事費用の 5分の4 に相当する額 |
| ② 延べ床面積に基づく額 | 補助対象空き家の延べ床面積に 27,000円/㎡ を乗じた額 |
| ③ 上限額 | 300,000円 |
【計算例】
解体工事費用が120万円、延べ床面積が80㎡の木造住宅の場合
- ① 工事費用に基づく額:120万円 × 4/5 = 96万円
- ② 延べ床面積に基づく額:80㎡ × 27,000円/㎡ = 216万円
- ③ 上限額:30万円
この場合、3つのうち最も低い額は「③ 上限額」の30万円となるため、補助金額は30万円となります。
③ 補助の対象者と対象となる空き家の条件
補助金を利用するには、申請者と対象となる空き家の両方が、定められた条件を満たす必要があります。
補助の対象となる方(申請者)
以下のすべてに該当する個人の方が対象です。
- 対象となる空き家の所有者、またはその相続人であること。
- 所有者や相続人が複数いる場合は、全員の同意を得た代表者であること。
- 市税を滞納していないこと。
- 久喜市暴力団排除条例に規定する暴力団員でないこと。
- 空家等対策の推進に関する特別措置法に基づく命令を受けていないこと。
補助の対象となる空き家
以下の条件を満たす木造の住宅(兼用住宅含む)が対象です。
- 久喜市内に所在していること。
- おおむね1年以上、居住やその他の使用がされていない状態であること。
- 市の事前診断により「不良空家等」に該当すると判定されたものであること。
- 所有権以外の権利(抵当権など)が設定されていないこと。
- 公共事業による移転や補償の対象となっていないこと。
「不良空家等」とは?
補助金の対象となるには、市の事前診断で「不良空家等」と判定される必要があります。これは、以下のいずれかの状態にあると認められる空き家を指します。
- そのまま放置すれば倒壊等、著しく保安上危険となるおそれのある状態
- 著しく衛生上有害となるおそれのある状態
- 著しく景観を損なっている状態
- その他、放置することが不適切である状態
市のウェブサイトで公開されている「空家等に係るセルフチェックシート」で自己採点し、評点が100点以上になる場合、不良空家等に該当する可能性が高いです。
④ 補助対象となる経費(工事)
どのような工事が補助の対象になるのか、また対象外の費用についても確認しておきましょう。
対象となる工事
以下のすべての条件を満たす解体工事が対象です。
- 市の補助金交付決定通知を受けた後に契約し、開始する工事であること。
- 久喜市内に本店または営業所を有する事業者が施工する工事であること。
- 建設業法や建設リサイクル法に基づく許可や登録を受けた事業者が行う工事であること。
- 建物や敷地内の塀などをすべて解体し、その土地を更地にする工事であること。
- 令和7年(2025年)12月31日頃までに完了する工事であること。
対象外となる経費の例
以下の費用は補助の対象となりませんのでご注意ください。
- 家財道具や不用品の処分費用
- 建物の一部のみを解体する工事費用
- 建て替えを目的とした解体工事
- 庭木や庭石の撤去、処分費用
- その他、補助金の趣旨に合わないと判断される費用
⑤ 申請方法と手続きの流れ
補助金の申請は、いくつかのステップを踏む必要があります。順を追って解説します。
申請期間:令和7年(2025年)12月1日(月曜日)まで
※予算の上限に達した場合、期間内でも受付を終了することがあります。
Step 1:事前相談・事前診断の依頼
まずは市の交通住宅課に相談し、「空家等に係るセルフチェックシート」で自己診断を行います。評点が100点以上になったら、以下の書類を提出して市の職員による現地調査(事前診断)を依頼します。
- 不良空家等の事前診断依頼書
- 空き家の全部事項証明書 または 直近の納税通知書・課税明細書の写し
- 空家等に係るセルフチェックシート
Step 2:補助金交付申請
事前診断の結果、補助対象となると通知されたら、解体を依頼する市内業者から見積もりを取得し、以下の書類を揃えて補助金の交付申請を行います。
- 空家等除却補助金交付申請書
- 空き家の位置図、現況写真
- 解体工事の見積書の写し
- 除却に係る同意書(所有者等が複数いる場合)
- 1年以上空き家であったことを確認できる書類
- 事前診断結果通知書の写し
- 施工業者の資格を証明する書類
Step 3:交付決定通知
市が申請書類を審査し、内容が適正と認められると「交付決定通知書」が送付されます。この通知書を受け取る前に、工事の契約や着工を絶対に行わないでください。
Step 4:工事契約・着工
交付決定通知書を受け取ったら、正式に解体業者と工事請負契約を締結し、工事を開始します。
Step 5:完了実績報告
工事が完了し、業者への支払いも済ませたら、市に完了実績報告書を提出します。
- 家等除却補助金実績報告書
- 工事請負契約書の写し
- 工事費用の領収書の写し
- 工事費用の内訳がわかる書類
- 工事完了後の写真
Step 6:補助金の請求と受領
実績報告書の内容が審査され、補助金額が確定すると「額の確定通知書」が届きます。その後、「空家等除却補助金交付請求書」を提出すると、指定した口座に補助金が振り込まれます。
⑥ 採択されるための重要ポイント
補助金を確実に受給するために、押さえておくべき重要なポイントをまとめました。
最重要:事前着工は絶対にNG!
最もよくある不採択の理由が「交付決定前の工事契約・着工」です。必ず市の「交付決定通知書」が手元に届いてから、業者との契約や工事の開始を進めてください。焦って手続きを進めると、補助金が一切受け取れなくなってしまいます。
- 早めに市役所に相談する: 手続きが複雑なため、まずは市の担当窓口に相談することから始めましょう。不明点を解消し、スムーズに手続きを進めることができます。
- 市内業者を早めに見つける: 補助金の対象となるのは久喜市内の業者です。複数の業者から見積もりを取り、比較検討する時間も考慮して、早めに業者探しを始めましょう。
- 書類は不備なく丁寧に作成する: 申請書類に不備があると、審査が遅れたり、最悪の場合、申請が受理されないこともあります。提出前には必ず見直しを行いましょう。
- 予算には限りがあることを意識する: 補助金は市の予算に基づいており、上限に達すると受付が終了します。解体を決めたら、できるだけ早く申請準備に取り掛かることをお勧めします。
⑦ よくある質問(FAQ)
Q1. 相続したばかりで、まだ登記名義が変更できていません。申請できますか?
A1. 戸籍謄本などで相続人であることが証明できれば申請可能です。ただし、相続人が複数いる場合は、解体について全員の同意を得て、代表者が申請する必要があります。詳しくは市の窓口にご相談ください。
Q2. 建物の一部だけを解体したいのですが、対象になりますか?
A2. いいえ、対象外です。この補助金は、建物や敷地内の塀などをすべて解体し、更地にする工事が対象となります。
Q3. 市外の解体業者に依頼しても補助金はもらえますか?
A3. いいえ、対象外です。久喜市内に本店または営業所を有する事業者が施工する工事である必要があります。
Q4. 解体後の土地の固定資産税はどうなりますか?
A4. 住宅がなくなるため、土地に対する固定資産税の「住宅用地の特例」が適用されなくなり、税額が上がる可能性があります。ただし、久喜市には「老朽化した空家等の除却後の土地の固定資産税を減免する制度」もありますので、解体前に市の税務課に相談することをおすすめします。
Q5. 申請すれば必ず補助金を受け取れますか?
A5. いいえ、必ず受け取れるわけではありません。事前診断で「不良空家等」と判定されること、書類審査を通過すること、そして市の予算枠内であることが条件となります。そのため、早めの行動が重要です。
⑧ まとめ:まずは久喜市役所へ相談を
今回は、久喜市の空き家解体を支援する「久喜市空家等除却(解体)補助金」について詳しく解説しました。
重要ポイントの再確認
- 補助額: 最大30万円
- 対象: 市の診断で不良空家等と判定された木造住宅
- 工事条件: 市内業者が施工する全面解体工事
- 申請期限: 令和7年12月1日まで(予算に達し次第終了)
- 注意点: 交付決定前の事前着工は絶対禁止
手続きには事前診断が必要など、いくつかのステップがありますが、最大30万円の補助は解体費用の大きな助けになります。危険な空き家を放置することは、ご自身だけでなく、近隣住民にとってもリスクとなります。
この制度に興味を持たれた方は、まずは市のウェブサイトで「セルフチェックシート」を試してみて、久喜市役所の交通住宅課へ相談することから始めてみてください。専門の職員が、あなたの状況に合わせたアドバイスをしてくれるはずです。