詳細情報
【2025年最新】令和7年度エイジフレンドリー補助金とは?
日本の労働人口における高齢者の割合は年々増加しており、それに伴い高年齢労働者の労働災害も増加傾向にあります。特に転倒や墜落、腰痛といった災害は、加齢による身体機能の低下が要因となるケースが多く、企業には高齢者が安全に、そして安心して働き続けられる環境整備が求められています。
このような背景から、厚生労働省は「令和7年度(2025年度)エイジフレンドリー補助金」を実施しています。この補助金は、60歳以上の高年齢労働者を雇用する中小企業が、労働災害を防止するための職場環境改善や専門家による指導を受ける際の経費の一部を支援する制度です。最大100万円の補助が受けられ、企業の安全投資を強力に後押しします。
本記事では、令和7年度エイジフレンドリー補助金の概要、4つのコースの詳細、対象となる事業者、申請の流れや注意点について、誰にでも分かりやすく徹底解説します。
エイジフレンドリー補助金(令和7年度)のポイント
- 目的: 高年齢労働者(60歳以上)が安全に働ける職場環境の整備
- 対象: 中小企業事業者(60歳以上の労働者を1名以上雇用など要件あり)
- 補助額: 最大100万円(コースにより上限額・補助率が異なる)
- 申請期間: 令和7年5月15日 ~ 令和7年10月31日(当日消印有効)
- 注意点: 予算額に達した場合、期間中でも受付を終了します。
エイジフレンドリー補助金の4つのコースを徹底解説
令和7年度のエイジフレンドリー補助金には、企業の課題やニーズに合わせて選べる4つのコースが用意されています。複数のコースを同時に申請することはできないため、自社に最も適したコースを1つ選んで申請する必要があります。
| コース名 | 補助率 | 上限額 | 主な内容 |
|---|---|---|---|
| Ⅰ 総合対策コース | 4/5 | 100万円 | 専門家によるリスクアセスメントと、その結果に基づく労災防止対策(設備導入等) |
| Ⅱ 職場環境改善コース | 1/2 | 100万円 | 高齢者の身体機能を補う設備・装置の導入(手すり設置、熱中症対策等) |
| Ⅲ 転倒防止・腰痛予防のための運動指導コース | 3/4 | 100万円 | 専門家による身体機能チェックと運動指導 ※受付終了 |
| Ⅳ コラボヘルスコース | 3/4 | 30万円 | 事業所カルテ等を活用した健康保持増進の取組 |
※注意:転倒防止・腰痛予防のための運動指導コースは、予算額に達したため申請受付を終了しています。
Ⅰ 総合対策コース
「自社のどこに危険が潜んでいるか分からない」「専門家の視点で効果的な対策をしたい」という企業におすすめのコースです。労働安全衛生の専門家によるリスクアセスメント実施費用と、その評価結果に基づいた優先度の高い労働災害防止対策(機器の導入や工事など)の費用が補助対象となります。補助率が4/5と最も高いのが特徴です。
Ⅱ 職場環境改善コース
具体的な改善策が決まっている場合に活用しやすいコースです。高齢者の身体機能の低下を補うための設備・装置の導入が対象となります。
- 転倒・墜落防止: 床の段差解消、手すりの設置、滑り止め床材の導入など
- 重量物取扱い・介護作業の負担軽減: パワーアシストスーツ、リフト、作業台の導入など
- 熱中症予防対策: スポットクーラー、体温を下げる機能のある服、WBGT指数計の導入など
- その他: 業務用車両への踏み間違い防止装置の導入など
Ⅳ コラボヘルスコース
従業員の健康増進を通じて、労働災害の防止や生産性向上を目指す企業向けのコースです。医療保険者(協会けんぽ等)から提供される「事業所カルテ」や「健康スコアリングレポート」を活用し、従業員の健康保持増進のための取組を行う費用が補助されます。
- 健康教育・研修: 禁煙指導、メンタルヘルス対策などの研修実施費用
- システム導入: 健康診断結果などを管理し、コラボヘルスを推進するシステムの導入初期費用
- 栄養・保健指導: 専門家による栄養指導や保健指導の実施費用
補助対象となる事業者(申請要件)
この補助金は、以下の要件を満たす中小企業事業者が対象です。
- 中小企業基本法の定義に該当する事業者であること(下表参照)
- 労災保険に加入していること
- 1年以上事業を実施していること
- (総合対策コース・職場環境改善コースの場合)60歳以上の高年齢労働者を常時1名以上雇用していること
- (転倒防止・腰痛予防コース、コラボヘルスコースの場合)労災保険適用の労働者を常時1名以上雇用していること
中小企業事業者の範囲
| 業種 | 常時使用する労働者数 | 資本金または出資の総額 |
|---|---|---|
| 小売業 | 50人以下 | 5,000万円以下 |
| サービス業 | 100人以下 | 5,000万円以下 |
| 卸売業 | 100人以下 | 1億円以下 |
| その他の業種(製造業、建設業等) | 300人以下 | 3億円以下 |
※労働者数または資本金のいずれかの条件を満たせば対象となります。
申請の流れと重要な注意点
補助金の申請から受給までの大まかな流れは以下の通りです。特に注意すべきは、必ず「交付決定」の通知を受けてから事業(発注・契約・購入など)を開始しなければならない点です。交付決定前に着手したものは補助対象外となるため、絶対にフライングしないようにしましょう。
申請から交付までのステップ
- 交付申請: 公式サイトから申請書類をダウンロードし、必要事項を記入して事務センターへ郵送します。(申請期限:令和7年10月31日)
- 審査: 事務センターにて申請内容が審査されます。(審査期間は約2ヶ月)
- 交付決定: 審査に通ると「交付決定通知書」が郵送されます。
- 事業の実施: 交付決定通知書を受け取った後、計画していた対策(機器の購入、工事の発注など)を開始します。
- 事業完了・支払い: 対策がすべて完了したら、業者へ代金を支払います。
- 実績報告・支払請求: 事業完了後、実績報告書や支払いを証明する書類などを事務センターへ郵送します。(支払請求期限:令和8年1月31日)
- 補助金交付: 書類確認後、補助金額が確定し、指定の口座に振り込まれます。
⚠️ 申請における最重要注意点
- ■ 交付決定前の発注・購入は絶対NG!
交付決定通知書が手元に届く前に発注・契約・購入した経費は、すべて補助対象外となります。 - ■ 予算に限りあり!早めの申請を!
申請期間中であっても、予算の上限に達した時点で受付が締め切られます。検討している場合は、早めに準備を進めましょう。 - ■ 申請は1年度に1回・1コースのみ!
複数のコースを併用して申請することはできません。
まとめ
エイジフレンドリー補助金は、コストを抑えながら高齢者が安全に働ける職場環境を整備できる、中小企業にとって非常に有益な制度です。労働災害を未然に防ぐことは、従業員の安全を守るだけでなく、企業の生産性維持や人材確保、企業イメージの向上にも繋がります。
ベテラン社員が持つ知識や経験は企業の貴重な財産です。この補助金を活用し、誰もが長く安心して働き続けられる「エイジフレンドリー」な職場づくりを推進してみてはいかがでしょうか。申請には準備が必要ですので、まずは公式サイトで詳細を確認し、早めに行動を開始することをおすすめします。