兵庫県で新たな事業展開や工場新設、本社移転をご検討中の経営者・担当者の皆様へ。兵庫県では「産業立地条例」に基づき、県内への企業立地を強力に後押しする手厚い支援制度を用意しています。最大10%の設備投資補助や税制優遇など、事業の初期投資を大幅に軽減できるチャンスです。この記事では、複雑な制度を分かりやすく整理し、申請の流れまでプロが徹底解説します。
兵庫県「産業立地条例」に基づく立地支援とは?
兵庫県の「産業立地条例」は、県内への産業立地を促進し、産業の活性化と新たな雇用創出を図ることを目的とした制度です。企業の事業内容や立地場所、規模に応じて、設備投資補助、雇用補助、賃料補助、税制優遇といった多角的な支援メニューが用意されています。令和5年4月には、成長産業のさらなる誘致を目指して制度が大幅に拡充されました。
この制度の3つのメリット
- 手厚い補助金: 設備投資額の最大10%、雇用1人あたり最大60万円など、直接的な資金支援が受けられます。
- 大幅な税制優遇: 法人事業税と不動産取得税が最大5年間、1/2に軽減され、ランニングコストを削減できます。
- 幅広い対象事業: 次世代成長産業からサプライチェーン強化、本社機能移転まで、多様な事業モデルに対応した支援区分が設けられています。
あなたの事業はどれ?支援パターンを徹底解説
支援内容は、事業内容や立地場所によって大きく5つのパターンに分類されます。自社がどの区分に該当するか確認しましょう。
① 次世代成長産業(全県対象)- 最も手厚い支援
経済成長や社会課題解決の担い手となる特定5分野の製造業が対象です。設備補助率が最も高く設定されています。
- 対象事業 (5分野): 新エネルギー・環境、航空、ロボット、健康医療、半導体関連産業
- 特に水素関連事業は設備補助率が10%に優遇されます。
区分 | 設備補助 | 雇用補助 | 賃料補助 | 税軽減 |
---|---|---|---|---|
大企業 | 7% | 60万円/人 | 1/2 (3年) | 1/2 (5年) |
中小企業 | 7% | 60万円/人 | 1/2 (3年) | 1/2 (5年) |
② 投資促進地域(ベイエリア・多自然地域)
特定の地域に立地する場合、支援内容が拡充されます。
- 特定臨海地域 (ベイエリア): 神戸市、姫路市など14市2町
- 多自然地域: 豊岡市、丹波市など9市6町
区分 | 設備補助 | 雇用補助 | 賃料補助 | 税軽減 |
---|---|---|---|---|
大企業 | 5% | 60万円/人 | 1/2 (3年) | 1/2 (5年) |
中小企業 | 5% | 60万円/人 | 1/2 (3年) | 1/2 (5年) |
③〜⑤ サプライチェーン強化・本社機能移転・研究施設(全県対象)
サプライチェーンの国内回帰や強化、首都圏等からの本社機能移転、研究施設の設置を行う場合も、上記「② 投資促進地域」と同等の手厚い支援が受けられます。
⑥ 上記以外の場合(基本的な支援)
上記のいずれにも該当しない場合でも、基本的な支援メニューが適用されます。
区分 | 設備補助 | 雇用補助 | 賃料補助 | 税軽減 |
---|---|---|---|---|
大企業 | 3% | 30万円/人 | 1/2 (3年) | 1/3 (5年) |
中小企業 | 3% | 30万円/人 | 1/2 (3年) | 1/3 (5年) |
申請から補助金交付までの流れ
申請は計画段階から早めに動き出すことが重要です。大まかな流れを把握しておきましょう。
- 1事前確認申請: まずは「事前確認シート」を作成し、進出予定の市役所・町役場を通じて提出します。
- 2事業確認申請: 事前確認後、正式な事業確認の申請を行います。この確認日以降の投資・雇用が支援対象となります。
- 3工場等の建築・操業開始: 事業確認を受けたら、計画に沿って設備投資や雇用を進めます。
- 4補助金交付申請: 操業開始後、実績に基づいて補助金の交付申請を行います。
- 5交付決定・支払い: 県の審査を経て交付が決定され、補助金が支払われます。
⚠️ 最重要ポイント
補助の対象となるのは、県の「事業確認」を受けた後に行った契約や発注、雇用のみです。立地を検討し始めたら、契約や工事着手の前に、必ず兵庫県または進出先市町へ相談を開始してください。
よくある質問 (Q&A)
Q. 中小企業ですが、非正規の従業員も雇用補助の対象になりますか?
A. はい、中小企業に限り、非正規従業員も1人あたり30万円の雇用補助の対象となります(正規従業員は60万円/人)。
Q. 賃貸でオフィスや工場に入居する場合、税制優遇は受けられますか?
A. はい、賃貸で物件に入居する場合は、法人事業税軽減の投資額要件が免除される特例があります。不動産取得税は対象外ですが、法人事業税の軽減は受けやすくなっています。
Q. 申請書類の押印は必要ですか?
A. いいえ、令和3年4月1日より、各種申請書類への押印は不要となっています。
お問い合わせ・公式情報
制度の詳細や申請に関するご相談は、下記の担当部署までお問い合わせください。公式サイトでは、最新のリーフレットや申請様式もダウンロードできます。
部署名: 兵庫県 産業労働部 地域産業立地課
電話: 078-362-4154
FAX: 078-362-3801
Eメール: chiikisangyorichi@pref.hyogo.lg.jp