詳細情報
2024年6月から始まった「定額減税」ですが、「納税額が少なく、4万円分の減税を全額受けられない」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。そんな方々を支援するために設けられたのが「定額減税補足給付金(調整給付金)」です。特に、2024年夏頃に一度給付を受けた方でも、その後の所得状況の変化で不足額が生じた場合、2025年に追加で給付(不足額給付)が行われます。この記事では、2025年に実施される「不足額給付」に焦点を当て、誰が対象で、いくらもらえて、どうやって申請するのかを、初心者にも分かりやすく徹底解説します。ご自身が対象になるか、ぜひチェックしてみてください。
この記事のポイント
- 定額減税で4万円を引ききれない方向けの給付金制度
- 2025年に支給されるのは、当初の給付額との「不足額」を追加で補うもの
- 所得が減った方や扶養家族が増えた方、事業専従者などが対象になる可能性
- 手続きは市区町村からの「お知らせ」や「確認書」が基本
- 申請期限は自治体ごとに異なるため、通知を見逃さないことが重要
① 調整給付金(不足額給付)の概要
まずは、この制度の全体像を理解しましょう。少し複雑に感じるかもしれませんが、ポイントを押さえれば簡単です。
正式名称と実施組織
- 正式名称: 定額減税補足給付金(一般的に「調整給付金」や「不足額給付」と呼ばれます)
- 制度設計: 内閣官房(国)
- 実施組織: 実際に給付手続きを行うのは、お住まいの市区町村です。
目的・背景:なぜ「不足額給付」があるのか?
2024年に行われた定額減税は、納税者本人と扶養親族1人あたり合計4万円(所得税3万円、住民税1万円)が減税される制度です。しかし、年間の納税額が4万円に満たない方は、減税額を全額使い切ることができません。
この「減税しきれない額」を補うために支給されるのが「調整給付金」です。調整給付は2段階に分かれています。
- 当初給付(2024年夏頃に実施済み): 2023年(令和5年)の所得情報をもとに「おそらくこれくらい減税しきれないだろう」という見込み額が給付されました。
- 不足額給付(2025年に実施): 2024年(令和6年)の所得が確定した後、当初給付額と「本当に給付すべきだった額」を比較し、もし不足があればその差額が追加で給付されます。この記事で解説するのは、この2番目の「不足額給付」です。
② 給付金額はいくら?
給付額は、対象者のパターンによって異なります。大きく分けて2つのタイプがあります。
| 対象者タイプ | 給付額 |
|---|---|
| 【不足額給付1】 当初給付額に不足が生じた方 |
「本来の給付額」と「当初給付額」の差額(1万円単位で切り上げ) |
| 【不足額給付2】 定額減税も低所得者向け給付も対象外だった方 |
原則4万円 |
計算例:【不足額給付1】の場合
例:令和6年中に子どもが1人生まれ、扶養親族が増えたAさんの場合
- 当初給付時(扶養親族1人):定額減税可能額は本人と合わせて8万円。Aさんの納税額が5万円だったため、減税しきれない3万円が当初給付として支給された。
- 不足額給付時(扶養親族2人):定額減税可能額は本人と合わせて12万円に増加。Aさんの納税額5万円を引くと、本来減税しきれない額は7万円だったことが確定。
- 支給される不足額:7万円(本来の給付額) – 3万円(当初給付額) = 4万円
③ 対象者・条件は?あなたはもらえる?
ここが最も重要なポイントです。ご自身がどのパターンに当てはまるか確認してみましょう。
共通の注意点:合計所得金額が1,805万円を超える方(給与収入のみの場合、年収2,000万円超に相当)は、定額減税および調整給付金の対象外です。
【不足額給付1】の対象となる可能性が高い方
2024年夏頃の当初給付額が、2024年の実績に基づいて計算した結果、少なかった方が対象です。具体的には以下のようなケースが考えられます。
- 令和6年の所得が令和5年より減少した方: 退職、休職、事業不振などで年間の納税額が当初の見込みより少なくなった場合。
- 令和6年中に扶養親族が増えた方: 子どもが生まれた、親を扶養に入れるなどして、定額減税の対象人数が増えた場合。
- 令和5年は無所得だったが令和6年に就職した方: 学生から社会人になった場合など。
- 修正申告等で令和6年度の住民税額が減少した方: 税金の計算が変わり、減税しきれない額が増えた場合。
【不足額給付2】の対象となる可能性が高い方
制度の狭間で、定額減税の恩恵も、低所得者向けの給付金の恩恵も受けられなかった方が対象です。
- 事業専従者(青色・白色)の方: 家族の事業を手伝っている方で、自身の所得税・住民税所得割が0円、かつ扶養にも入っていないケース。
- 合計所得金額が48万円超で税額が0円の方: 一定の所得はあるものの、各種控除(医療費控除など)を適用した結果、納税額が0円になり、かつ扶養にも入っていないケース。
④ 申請方法・手順
手続きは、お住まいの市区町村が主導で行います。基本的には「待つ」姿勢で問題ありませんが、ご自身の状況によって対応が異なります。
ステップ1:市区町村からの通知を待つ(2025年夏頃~)
対象となる可能性のある方には、お住まいの市区町村から以下のいずれかの通知が届きます。
- 「支給のお知らせ」(はがき等): 過去の給付金などで振込口座を市区町村が把握している場合に届きます。記載内容に間違いがなければ、手続き不要で自動的に振り込まれます。
- 「確認書」(封筒): 市区町村が振込口座を把握していない場合や、記載内容の確認が必要な場合に届きます。こちらは返送が必要です。
ステップ2:「確認書」が届いた場合の手続き
- 確認書に記載されている氏名、給付額などを確認します。
- 振込を希望する金融機関口座情報を記入します。
- 必要書類を同封して、返信用封筒で郵送します。自治体によってはオンライン申請も可能です。
必要書類リスト
- 確認書(市区町村から送付されたもの)
- 本人確認書類のコピー: 運転免許証、マイナンバーカード(表面)、健康保険証など
- 振込先口座確認書類のコピー: 通帳やキャッシュカードの、金融機関名・支店名・口座番号・口座名義人がわかる部分
申請期限と支給時期
- 申請期限: 市区町村によって異なりますが、2025年9月~11月頃に設定されることが多いです。必ず通知書で期限を確認してください。
- 支給時期: 「支給のお知らせ」が届いた方は通知に記載の日に振り込まれます。「確認書」を返送した場合は、市区町村が受理してから4週間~8週間後が目安です。
ご自身での申請が必要なケースも!
以下に該当する方は、市区町村が対象者として把握できず、通知が届かない場合があります。その場合は、ご自身で市区町村のコールセンター等に問い合わせ、申請が必要になることがあります。
- 令和6年1月2日以降に現在の市区町村へ転入してきた方
- 【不足額給付2】の対象者(事業専従者など)で、市区町村が情報を把握できない方
- DV等で避難しており、住民票と居住地が異なる方
「自分は対象のはずなのに通知が来ない…」という場合は、諦めずに市区町村へ連絡してみましょう。
⑤ 支給を受けるためのチェックポイント
この給付金は、要件を満たせば基本的に支給されるものですが、手続き漏れで受け取れない事態は避けたいものです。以下の点に注意しましょう。
- 郵便物を必ず確認する: 2025年夏以降、市区町村からの郵便物には特に注意しましょう。他の郵便物に紛れて捨ててしまわないように気をつけてください。
- 申請期限を厳守する: 確認書の返送や自己申請には期限があります。期限を過ぎると辞退したとみなされるため、早めに手続きを済ませましょう。
- 引っ越しをした場合は要注意: 令和7年1月1日時点の住所地の市区町村が給付手続きを行います。年の途中で引っ越しをした方は、どの自治体から通知が来るか注意が必要です。
⑥ よくある質問(FAQ)
Q1. いつ、どこから支給されますか?
A1. 2025年夏以降に、令和7年1月1日時点でお住まいの市区町村から支給されます。具体的な時期は自治体によって異なります。
Q2. 住宅ローン控除を受けていても対象になりますか?
A2. はい、対象になります。住宅ローン控除などの税額控除を適用した「後」の所得税額・住民税所得割額を基準に、定額減税で引ききれない額が計算され、給付の対象となります。
Q3. この給付金は課税対象ですか?差押えの対象になりますか?
A3. いいえ。この給付金は所得税や住民税の課税対象外であり、法律により差押えも禁止されています。また、生活保護の収入認定もされません。
Q4. 納税者本人が亡くなった場合、給付金はどうなりますか?
A4. 納税者本人が確認書の返送など「給付金を受け取る」という意思表示をした後に亡くなった場合は、相続財産として相続人が受け取れます。意思表示をする前に亡くなった場合は、原則として支給されません。
Q5. 「給付金があるのでATMへ」という電話がありましたが、本当ですか?
A5. それは詐欺です。市区町村や国の職員がATMの操作をお願いしたり、手数料の振込みを求めたり、キャッシュカードの暗証番号を聞いたりすることは絶対にありません。怪しい電話やメール、訪問があった場合は、すぐに警察(#9110)やお住まいの市区町村に相談してください。
⑦ まとめと次のアクション
今回は、2025年に支給される「定額減税補足給付金(不足額給付)」について詳しく解説しました。
重要ポイントの再確認
- 目的: 定額減税を十分に受けられない方を補うための制度。
- 対象者: 当初給付額に不足があった方(所得減、扶養増など)や、制度の狭間にいた方(事業専従者など)。
- 金額: 不足額(1万円単位切り上げ)または原則4万円。
- 手続き: 2025年夏以降に市区町村から届く「お知らせ」または「確認書」に従う。通知が来ない場合は要問い合わせ。
あなたが次に行うべきアクションは、まず「2025年夏以降に市区町村からの通知を見逃さないこと」です。そして、ご自身が対象になるか不確かな場合は、お住まいの市区町村のウェブサイトを確認したり、開設される予定のコールセンターに問い合わせてみましょう。
この給付金は、物価高騰が続く中での貴重な支援策です。正しい情報を得て、忘れずに手続きを行いましょう。
問い合わせ先
詳細については、お住まいの市区町村の給付金担当窓口やコールセンターへお問い合わせください。多くの自治体で、2025年初夏頃に専用のウェブページやコールセンターが開設される見込みです。