詳細情報
「新しい製品やサービスを開発したが、どうやって販路を広げればいいかわからない…」「展示会に出展してみたいけど、費用が高くて手が出せない…」そんなお悩みをお持ちの中小企業の経営者様、必見です。全国の自治体では、販路開拓の強力な武器となる「展示会出展補助金」が用意されています。この制度を活用すれば、出展料やブース設営費などの経費の一部が補助され、コストを抑えながら効果的に自社の技術や製品をアピールできます。本記事では、2025年度(令和7年度)の最新情報に基づき、東京都、大阪府、京都府などの具体的な事例を交えながら、展示会出展補助金の概要から申請方法、採択されるためのポイントまで、専門家が徹底的に解説します。この記事を読めば、あなたの会社の成長を加速させるチャンスを掴むことができるでしょう。
この記事のポイント
✓ 全国の展示会出展補助金の最新情報がわかる
✓ 最大150万円など、具体的な補助金額や補助率がわかる
✓ 申請に必要な書類や手順、注意点がわかる
✓ 審査で有利になる事業計画書の書き方や採択のコツがわかる
展示会出展補助金・助成金の概要
制度の目的と背景
展示会出展補助金は、主に地方自治体やその外郭団体(中小企業振興公社など)が実施する支援制度です。その主な目的は、地域の中小企業が持つ優れた製品、技術、サービスを広くPRし、新たな販路を開拓したり、企業間のビジネスマッチングを促進したりすることにあります。特に、BtoB(企業間取引)においては、展示会は新規顧客を獲得するための非常に重要な機会です。しかし、出展には小間料(出展スペース代)やブースの装飾費、輸送費など多額の費用がかかるため、資金力に乏しい中小企業にとっては大きな負担となります。この経済的なハードルを下げ、企業の積極的な事業展開を後押しするために、本補助金制度が設けられています。
実施組織と対象者
実施組織は、都道府県や市区町村の産業振興課、あるいは東京都中小企業振興公社のような公的支援機関が中心です。そのため、対象となる事業者は、その自治体の区域内に本社や主たる事業所を構えている中小企業であることが基本的な要件となります。自社の所在地を管轄する自治体で同様の制度がないか、まずは確認してみましょう。
補助金額・補助率【全国の事例比較】
補助金額や補助率は、実施する自治体によって大きく異なります。ここでは、入力データとしていただいた全国の事例を比較表にまとめました。自社の規模や出展したい展示会の費用感と照らし合わせて参考にしてください。
| 実施団体 | 補助上限額 | 補助率 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 東京都中小企業振興公社 | 150万円 | 2/3以内 | BtoBの展示会が対象。補助額が大きい。 |
| 大阪府豊中市 | 15万円 | 1/2 | オンライン開催も対象。出展料10万円超が条件。 |
| 京都府宇治市 | 40万円 | 1/2 | 情報関連産業や製造業など対象業種に指定あり。 |
| 香川県三豊市 | 20万円 | 2/3以内 | 広告宣伝費も対象。よろず支援拠点の活用を推奨。 |
| 富山県 | 20万円 | 1/2 | タイ・ベトナム・インドでの海外展示会が対象。旅費もOK。 |
計算例:
例えば、東京都の制度を利用して、対象経費が240万円かかった場合。
補助金額 = 240万円 × 補助率(2/3) = 160万円
しかし、補助上限額が150万円のため、実際に交付される金額は150万円となります。自己負担は90万円です。
対象者・申請条件の詳細
補助金の対象となるためには、いくつかの共通した条件を満たす必要があります。申請前に必ず自社が該当するか確認しましょう。
- 事業所の所在地: 補助金を実施する市区町村や都道府県内に、本店または主たる事業所を有していること。
- 企業規模: 中小企業基本法に定められる「中小企業者」であること。(大企業が実質的に経営に関与する「みなし大企業」は対象外となる場合が多い)
- 納税状況: 法人住民税や事業税など、所在地の地方税を滞納していないこと。「完納証明書」や「未納のない証明書」の提出が求められます。
- 対象業種: 多くの場合は業種を問いませんが、宇治市の例のように製造業や情報関連産業などに限定されるケースもあります。
- その他: 暴力団関係者でないこと、風俗営業等を営んでいないことなど、公的資金の支援先として社会通念上適切であることが求められます。
補助対象となる経費・ならない経費
「どこまでが補助金の対象になるの?」という点は、申請者にとって最も気になるポイントの一つです。ここでは、一般的に対象となる経費とならない経費を具体的に解説します。
【対象となる経費の例】
- 出展料(小間料): 展示スペースを借りるための基本的な費用。ほとんどの制度で主要な対象経費となります。
- 展示装飾費・工事費: ブースのデザイン、設営、撤去にかかる費用。
- 備品使用料・リース代: 展示に必要な机、椅子、モニター、照明などのレンタル費用。
- 展示品輸送費: 製品やパネルなどを会場まで運ぶための輸送費。
- 広告宣伝費: 展示会で配布するパンフレットやチラシの制作費。(三豊市の例など、制度による)
- 旅費・宿泊費: 海外展示会に出展する際の渡航費や宿泊費。(富山県の例など、制度による)
【対象外となる経費の例】
- 人件費: 説明員など、自社スタッフの人件費。
- 飲食費・接待交際費: スタッフの食費や、取引先との会食費用。
- 汎用性のある物品の購入費: パソコンやプリンターなど、展示会後も事業で使える備品の購入費用。
- 消費税および地方消費税: 経費の税抜価格が補助対象となります。
- その他: 名刺、会社案内パンフレット(汎用的なもの)、ノベルティグッズ制作費などは対象外となることが多いです。
申請方法と手順(ステップ・バイ・ステップ)
補助金の申請は、正しい手順を踏むことが非常に重要です。一般的な流れを6つのステップで解説します。
- STEP1: 募集要項の熟読と事前相談
まずは公式サイトから「募集要項」や「手引き」をダウンロードし、隅々まで読み込みます。対象条件や経費、スケジュールを正確に把握しましょう。不明点があれば、予算状況の確認も兼ねて、早めに担当課へ電話で問い合わせるのがおすすめです。 - STEP2: 必要書類の準備
申請には多くの書類が必要です。直前に慌てないよう、リストアップして計画的に準備しましょう。
【主な必要書類リスト】- 交付申請書、事業計画書(指定様式)
- 会社概要がわかるもの(パンフレット等)
- 法人の登記簿謄本、個人事業主の場合は住民票
- 直近の決算書(貸借対照表、損益計算書など)
- 市税の完納証明書(取得に数日かかる場合あり)
- 出展する展示会の概要がわかる資料(パンフレット等)
- 対象経費の見積書や請求書
- STEP3: 申請手続き
申請方法は自治体により異なります。東京都のように国(デジタル庁)の「Jグランツ」による電子申請が必須の場合もあれば、豊中市のように持参・郵送・メールでの提出が可能な場合もあります。Jグランツ利用の注意点:
Jグランツでの申請には「gBizIDプライムアカウント」が必須です。このIDの発行には2~3週間程度かかるため、申請受付期間を見越して、早めに取得手続きを済ませておきましょう。 - STEP4: 審査と交付決定
提出された書類をもとに審査が行われます。審査を通過すると「交付決定通知書」が届きます。この通知を受け取ってから、正式に補助事業を開始(契約・発注)するのが原則です。 - STEP5: 事業の実施(展示会出展)
計画通りに展示会に出展します。経費の支払いに関する書類(領収書、振込明細書など)や、活動内容がわかる証拠(当日の写真など)は、すべて保管しておきましょう。 - STEP6: 実績報告と補助金の受領
展示会終了後、定められた期間内に「実績報告書」と経費の証拠書類一式を提出します。報告書の内容が審査され、補助金額が確定すると、指定した口座に補助金が振り込まれます。
採択率を上げるための3つのポイント
人気の補助金は、申請しても必ず採択されるとは限りません。審査員の心に響く申請書を作成し、採択の可能性を高めるための3つの重要なポイントをご紹介します。
1. 補助金の目的と自社の目標をリンクさせる
事業計画書では、単に「展示会に出たい」と書くだけでは不十分です。この補助金の目的が「中小企業の販路開拓支援」であることを理解し、「なぜこの展示会に出展する必要があるのか」「出展を通じて、どのように販路を拡大し、会社の成長と地域経済に貢献するのか」というストーリーを具体的に記述しましょう。審査員は、税金を投入する価値のある事業かを見ています。
2. 数値目標を明確に設定する
説得力のある計画書にするためには、定性的な目標だけでなく、定量的な目標(数値目標)を盛り込むことが不可欠です。「頑張ります」ではなく、「会期3日間で名刺交換300枚、有効商談50件を獲得し、そのうち10件を半年以内の受注につなげ、売上を〇〇万円増加させる」といった具体的な数字を掲げましょう。目標達成のための具体的なアクションプランも併記すると、より計画の実現性が高まります。
3. 書類の不備をなくし、専門家を活用する
意外と多い不採択理由が、単純な書類の不備や記入漏れです。提出前には、募集要項のチェックリストと照らし合わせ、何度も確認しましょう。また、香川県三豊市が推奨しているように、地域の「よろず支援拠点」や商工会議所など、中小企業の経営相談に乗ってくれる専門家に出展計画や申請書の内容を事前に相談するのも非常に有効です。客観的な視点からのアドバイスは、計画のブラッシュアップに繋がります。
よくある質問(FAQ)
- Q1. 複数の展示会に出展予定です。すべて対象になりますか?
- A1. 多くの制度では「1事業者あたり年度内1回限り」と定められています。複数の展示会に出展予定の場合は、最も補助効果の高いものを選んで申請するのが一般的です。詳細は各自治体の募集要項をご確認ください。
- Q2. 交付決定前に支払った経費は対象になりますか?
- A2. 原則として「交付決定日以降に契約・発注・支払いを行った経費」が対象となる場合が多いです。ただし、豊中市の例のように「開催日が期間内であれば支払いが期間前でも対象」となるケースもあります。このような遡及適用の可否は非常に重要なポイントなので、必ず募集要項で確認してください。
- Q3. オンラインで開催される展示会も対象ですか?
- A3. はい、近年はオンライン展示会を対象に含める自治体が増えています。例えば、大阪府豊中市の制度では「オンライン開催を含む」と明記されています。自社が出展を検討しているオンライン展示会が対象になるか、事前に担当課へ確認することをおすすめします。
- Q4. 国の「小規模事業者持続化補助金」など、他の補助金との併用は可能ですか?
- A4. 同一の経費に対して、国や他の公共団体から補助金を受ける場合、この補助金の対象外となるのが一般的です。二重で補助を受けることはできませんのでご注意ください。
- Q5. 申請期間内であれば、いつでも申請できますか?
- A5. 申請は先着順で受け付け、予算の上限に達した時点で受付を締め切る制度がほとんどです。申請を検討している場合は、期間の終盤ではなく、できるだけ早めに手続きを進めることが重要です。申請前に予算状況を問い合わせることも有効です。
まとめ:今すぐ行動を起こそう!
展示会出展補助金は、中小企業が新たなビジネスチャンスを掴むための強力な支援策です。この記事で解説したポイントを押さえ、自社に最適な制度を見つけて活用することで、費用負担を大幅に軽減しながら効果的な販路開拓を実現できます。
あなたの次のアクションは以下の通りです。
- 1. 自社の所在地の「市町村名+展示会 補助金」で検索する。
- 2. 該当する制度の公式サイトで最新の募集要項を確認する。
- 3. Jグランツを利用する場合は、すぐにgBizIDプライムアカウントの取得手続きを始める。
多くの補助金は予算がなくなり次第終了となります。このチャンスを逃さず、ぜひ積極的にチャレンジして、事業の飛躍に繋げてください。