詳細情報
「急な残業で子どものお迎えに間に合わない…」「体調が悪くて、少しだけ子どもを見ていてほしい」「たまにはリフレッシュして、自分の時間も大切にしたい」——。子育て中の保護者なら、誰しもが一度はこのような悩みに直面するのではないでしょうか。そんな時、心強い味方となるのがベビーシッターですが、利用料金が気になって躊躇してしまう方も少なくありません。
そんな保護者の皆さんを力強くサポートするのが、東京都が実施する「ベビーシッター利用支援事業(一時預かり利用支援)」です。この制度を活用すれば、ベビーシッターの利用料が1時間あたり最大3,500円補助され、経済的な負担を大幅に軽減できます。本記事では、この魅力的な制度の概要から、対象者、申請方法、注意点まで、誰にでも分かるように徹底解説します。
東京都ベビーシッター利用支援事業(一時預かり利用支援)とは?
本事業は、保護者の多様な保育ニーズに応えるため、東京都が区市町村と連携して実施している補助金制度です。日常生活での突発的な事情やリフレッシュ、在宅ワーク中の共同保育など、幅広い目的でベビーシッターを利用する際の経済的負担を軽減し、安心して子育てができる環境を整えることを目的としています。
制度のポイント
- 幅広い利用理由:仕事、通院、冠婚葬祭、リフレッシュ、自己啓発など、利用理由は問いません。
- 保育認定不要:認可保育園の利用や保育認定の有無に関わらず、誰でも利用できます。育児休業中の方も対象です。
- 安心の認定事業者:東京都が認定した事業者のみが対象なので、安心して利用できます。
この制度は東京都が全体を統括し、実際の申請受付や補助金の支払いはお住まいの区市町村が行います。そのため、詳細な手続きや要件は自治体によって若干異なる場合がある点に注意が必要です。
補助金額と利用時間の上限
本事業の最大の魅力は、手厚い補助内容にあります。時間帯や家庭の状況に応じて、補助上限が設定されています。
時間あたりの補助上限額
利用する時間帯によって、補助される上限額が変わります。特に夜間のサポートが手厚くなっているのが特徴です。
| 利用時間帯 | 1時間あたりの補助上限額 |
|---|---|
| 日中利用(7:00~22:00) | 2,500円 |
| 夜間利用(22:00~翌7:00) | 3,500円 |
年間の利用上限時間
補助を受けられる時間には、年度(4月1日~翌年3月31日)ごとの上限が定められています。
- 原則: 児童1人につき年度あたり 144時間まで
- 拡充対象: 多胎児(ふたご・みつご等)、障害児、ひとり親家庭の場合は、児童1人につき年度あたり 288時間まで
【計算の注意点】
補助額の計算は、1ヶ月単位で行われます。その月の合計利用時間のうち、1時間に満たない端数(分単位)は切り捨てとなるのが一般的です。例えば、1ヶ月の合計利用時間が5時間45分だった場合、5時間分が補助の計算対象となります。詳細は各自治体のルールをご確認ください。
誰が対象?詳細な利用条件
対象となる保護者
以下の条件をすべて満たす方が対象です。
- 本事業を実施している東京都内の区市町村に住民票があること。
- 対象となる児童を養育していること。
- 日常生活上の突発的な事情や社会参加、リフレッシュ等で一時的に保育を必要とする、またはベビーシッターとの共同保育を必要とすること。
対象となる児童
対象となるお子様の年齢にも条件があります。
- 原則:未就学児(0歳から満6歳に達する年度の末日まで)
- 特例:障害のあるお子さんの場合、自治体によっては小学生(満12歳に達する年度の末日まで)も対象となる場合があります。(例:品川区、北区、練馬区など)
お住まいの自治体が事業を実施しているか、また、詳細な対象要件(特に障害児の年齢など)については、必ず各区市町村の公式ホームページや担当窓口で最新情報をご確認ください。
何に使える?補助の対象となる経費
補助の対象となるのは、ベビーシッター事業者へ支払う料金のうち、純然たる保育サービス提供対価(税込)のみです。オプション料金などは対象外となるため注意が必要です。
補助対象になる費用(例)
- 基本保育料
- 病児保育料
- 保育を含む送迎サービス料
- 休日や時間帯による割増料金
補助対象にならない費用(例)
- 入会金、年会費、月会費
- ベビーシッターの交通費
- キャンセル料、保険料
- 家事支援(掃除、料理など)の料金
- 英語やピアノ指導などの学習・習い事の料金
- おむつ代、ミルク代などの実費
- 送迎サービスのみの利用
簡単4ステップ!申請から補助金受け取りまでの流れ
補助金を受け取るまでの流れは、どの自治体でも概ね共通しています。事前に区市町村への登録は不要で、利用後に申請する「償還払い(後払い)」方式です。
STEP1: 対象事業者を探して契約
まずは、東京都の公式サイトに掲載されている「認定事業者一覧」から利用したいベビーシッター会社を選び、直接契約します。契約の際には、必ず「ベビーシッター利用支援事業(一時預かり利用支援)を活用したい」と伝え、本事業の対象となるベビーシッターを依頼してください。
STEP2: ベビーシッターを利用・支払い
予約した日時にベビーシッターサービスを利用し、事業者へ利用料金の全額を支払います。支払い後、申請に必要となる以下の書類を必ず事業者から受け取ってください。
- 領収書
- 利用明細書(利用日、時間、料金内訳がわかるもの)
- ベビーシッター要件証明書
STEP3: お住まいの区市町村へ補助金を申請
お住まいの区市町村のホームページから申請書様式をダウンロードし、必要事項を記入します。STEP2で受け取った書類と合わせて、指定された方法(郵送や電子申請など)で提出します。申請には期限が設けられているため、早めに手続きを行いましょう。
STEP4: 補助金の交付
提出された書類を区市町村が審査し、内容に問題がなければ交付が決定されます。その後、申請書に記載した指定の口座へ補助金が振り込まれます。振込時期は自治体によりますが、申請から1〜2ヶ月後が目安です。
申請前にチェック!必要書類一覧
申請に必要な書類は以下の通りです。様式は必ずお住まいの区市町村のものを利用してください。
- 補助金交付申請書(兼 請求書、同意書など):区市町村指定様式
- 利用内訳表:区市町村指定様式
- ベビーシッター要件証明書:事業者発行
- 領収書:事業者発行
- 利用明細書:事業者発行
- (該当者のみ)クーポン等を利用したことがわかる書類
- (該当者のみ)障害者手帳、戸籍謄本など、利用時間拡充の対象であることを証明する書類の写し
書類に不備があると、補助金の支払いが遅れたり、再提出を求められたりする場合があります。提出前には、記入漏れや添付書類の不足がないか、必ずセルフチェックを行いましょう。
よくある質問(FAQ)
Q1. 兄弟で同時に利用した場合、補助はどうなりますか?
A1. 原則として、保育は「児童1人に対しベビーシッター1人」が基準です。兄弟2人をシッター1人で保育した場合は対象外となります。ただし、保護者とベビーシッターが一緒に保育する「共同保育」の場合や、未就学児と同数のシッターを配置している場合は、兄弟それぞれが補助対象となることがあります。ルールが複雑なため、利用前に事業者やお住まいの自治体にご確認ください。
Q2. 会社の福利厚生クーポンと併用できますか?
A2. 併用可能です。ただし、補助の対象となるのは、クーポンなどを利用して割引された後の、実際に自己負担した保育サービス料です。申請時には、クーポンを利用したことがわかる書類の提出が必要になる場合があります。
Q3. 申請は毎月しないといけませんか?
A3. 多くの自治体では、数ヶ月分をまとめて申請することが可能です。ただし、年度内(4月~翌年3月利用分)の申請には最終的な提出期限が設けられています(例:翌年4月15日頃)。この期限を過ぎると申請できなくなるため、計画的に申請を行いましょう。
Q4. どのベビーシッター会社が対象ですか?
A4. 東京都福祉局のウェブサイトで公開されている「ベビーシッター利用支援事業(一時預かり利用支援)認定事業者一覧」に掲載されている事業者のみが対象です。一覧は随時更新されるため、利用前に最新の情報を確認することをおすすめします。
Q5. 里帰り出産で、住民票のある区市町村以外で利用した場合も対象になりますか?
A5. 自宅での利用が想定されていますが、対象の認定事業者かつ要件を満たすベビーシッターによる保育であれば、自宅外での利用も対象となる場合があります。ただし、申請先はあくまで住民票のある区市町村です。里帰り先での利用を検討している場合は、事前に住民票のある自治体の担当窓口へ確認することをおすすめします。
まとめ:賢く活用して子育ての選択肢を広げよう
東京都の「ベビーシッター利用支援事業(一時預かり利用支援)」は、子育て中の保護者にとって非常に心強い制度です。この制度のメリットを改めてまとめます。
- 理由を問わず利用できる柔軟性:急な用事からリフレッシュまで、様々なシーンで活用できます。
- 手厚い経済的サポート:1時間最大3,500円の補助で、ベビーシッター利用のハードルがぐっと下がります。
- 安心の利用環境:都の認定を受けた事業者なので、サービスの質も安心です。
育児は一人で抱え込む必要はありません。このような公的サポートを賢く活用することで、心に余裕が生まれ、より豊かな子育てにつながります。まずは第一歩として、お住まいの区市町村の公式ホームページで詳細を確認し、不明な点があれば担当窓口に問い合わせてみましょう。