新潟県燕市で工場や倉庫を経営されている中小企業の皆様へ。夏の厳しい暑さによる労働環境の悪化、従業員の作業効率低下、そして高騰する光熱費にお悩みではありませんか?燕市では、こうした課題を解決するため、工場等の遮熱・断熱工事費用の一部を支援する「燕市工場等遮熱断熱促進補助金」を実施しています。この制度を活用すれば、最大240万円の補助を受けながら、働きやすい職場環境の整備、省エネルギー化、そして企業の魅力向上を実現できます。本記事では、この魅力的な補助金の概要から、複雑な申請条件、具体的な手続き、採択されるためのポイントまで、どこよりも詳しく、そして分かりやすく徹底解説します。

この記事のポイント

  • 燕市が実施する工場・倉庫の遮熱断熱工事費用の補助金制度
  • 補助率は対象経費の3分の1、上限額は最大240万円
  • 「つばめ子育て応援企業」認定で補助上限額がアップ!
  • 申請には「燕市SDGs実践事業者」への登録が必須
  • 申請期間は令和7年4月1日~12月26日まで(予算上限に達し次第終了)

① 燕市工場等遮熱断熱促進補助金の概要

まずは、本補助金の基本的な情報について確認しましょう。

正式名称と実施組織

  • 正式名称: 燕市工場等遮熱断熱促進補助金
  • 実施組織: 新潟県 燕市 産業振興部 商工振興課

目的・背景

この補助金は、近年の猛暑といった異常気象を背景に、市内中小企業の労働環境改善を目的としています。工場や倉庫の屋根・壁に遮熱・断熱工事を行うことで、室温の上昇を抑制し、従業員が安全で快適に働ける環境を整備します。これにより、作業効率や従業員満足度の向上、さらには離職防止や新たな人材確保に繋げることを目指しています。また、冷房効率の向上による省エネルギー化やCO2排出量削減効果も期待されるため、企業のカーボンニュートラルへの取り組みを後押しする側面も持っています。

② 補助金額・補助率

本補助金の最大の魅力である補助金額と補助率について、詳しく見ていきましょう。補助上限額は、工事を行う面積と「つばめ子育て応援企業」の認定状況によって変動する点が大きな特徴です。

補助率

補助対象となる経費の 3分の1 です。(千円未満は切り捨て)

補助上限額

補助上限額は、以下の表の通りです。「つばめ子育て応援企業」に認定されている、またはさらに上位の「プラス」認定を受けていると、上限額が大幅に引き上げられます。

工事施工面積 子育て応援企業 子育て応援企業プラス
501平方メートル未満 100万円 120万円
501平方メートル以上 901平方メートル未満 150万円 180万円
901平方メートル以上 200万円 240万円

【重要】補助対象となるのは、補助対象経費(税抜)の合計が100万円以上の工事に限られます。

計算例

ケース:「子育て応援企業プラス」認定済み企業が、施工面積1,000㎡の工場屋根に遮熱塗装工事を実施。補助対象経費が税抜750万円だった場合。

  • 補助対象経費: 7,500,000円
  • 補助率に基づく計算額: 7,500,000円 × 1/3 = 2,500,000円
  • 適用される補助上限額: 2,400,000円(901㎡以上の子育て応援企業プラス)
  • 交付される補助金額: 2,400,000円(計算額が上限を超えるため、上限額が適用)

③ 対象者・条件

本補助金は、誰でも申請できるわけではありません。複数の要件をすべて満たす必要がありますので、自社が該当するかを慎重に確認してください。

補助対象者(以下の要件を全て満たすこと)

  • 燕市内で1年以上事業を営む中小企業者であること。
  • 常時雇用労働者が2人以上であること。(代表者の配偶者及び3親等内の親族を除く)
  • 燕市SDGs実践事業者に登録していること。
  • つばめ子育て応援企業に認定されている、または認定を受けることが確実と認められること。
  • 市税等を滞納していないこと。
  • 燕市暴力団排除条例に規定する暴力団等でないこと。
  • 過去にこの補助金の交付を受けたことがないこと。

注意点:「中小企業者」には、大企業が実質的に経営に関与している場合(みなし大企業)は含まれません。また、「つばめ子育て応援企業」に未認定の場合は、申請時に「確約書兼同意書」を提出し、実績報告時までに認定を受ける必要があります。

補助対象建物・事業

  • 対象建物:燕市内にあり、日常的に従業員が業務を行う工場または倉庫等。(居住目的の施設は対象外)
  • 対象事業:対象建物の屋根及び壁に施工する遮熱工事、断熱工事、遮熱塗装工事で、補助対象経費が100万円以上のもの。
  • 必須要件:原則として、効果が高いとされる屋根または天井への施工が必須です。外壁のみの工事は対象外となります。(既に屋根・天井に施工済みの場合は外壁も対象)
  • 完了期限:令和8年3月31日までに工事と支払いの両方が完了すること。

④ 補助対象経費

補助金の計算の基礎となる経費です。何が含まれて、何が含まれないのかを正確に把握することが重要です。

対象となる経費 対象とならない経費
  • 設計費
  • 材料費
  • 消耗品費
  • 労務費 など
  • 運搬費
  • 足場代
  • 仮設トイレ費
  • 養生費
  • 既存設備撤去費、処分費
  • 既存設備の劣化に伴う修繕費、補修費
  • 振込手数料
  • 消費税及び地方消費税

ポイント:見積書を取得する際は、補助対象経費と対象外経費を明確に分けて記載してもらうよう施工業者に依頼しましょう。特に、足場代が対象外である点に注意が必要です。

⑤ 申請方法・手順

申請は、定められた期間内に、正しい手順で、必要な書類をすべて揃えて提出する必要があります。流れをしっかり理解して、計画的に進めましょう。

申請期間

令和7年4月1日(月曜日)から 令和7年12月26日(金曜日)まで

※予算が上限に達した時点で予告なく受付を終了しますので、早めの申請をおすすめします。

申請から交付までのステップ

  1. 申請書の提出:必要書類を揃え、燕市商工振興課へ持参または郵送で提出します。
  2. 審査:市による書類審査が行われます。必要に応じて現地調査が実施されることもあります。
  3. 交付決定:審査後、交付(または不交付)決定通知書が届きます。この通知を受け取る前に、工事の契約や発注を行うことは絶対にやめてください。
  4. 事業実施:交付決定通知日以降に、施工業者と契約し、工事に着手します。
  5. 実績報告書の提出:工事完了および支払い完了後、30日以内または令和8年3月31日のいずれか早い日までに実績報告書を提出します。
  6. 交付額の確定:実績報告書の内容を市が確認し、補助金の額が最終的に確定します。
  7. 補助金の請求・交付:確定通知書を受け取った後、交付請求書を提出します。後日、指定の口座に補助金が振り込まれます。

必要書類リスト

  • □ 補助金交付申請書(様式第1号)
  • □ 建物の所有及び用途を確認できる書類(固定資産税納税通知書の写し等)
  • □ 工事見積書及び見積内訳書の写し(施工面積が明記されたもの)
  • □ 事業効果が見込まれる使用材料等のカタログ
  • □ 施工箇所が確認できる図面等
  • □ 【法人の場合】登記事項証明書
  • □ 【個人事業主の場合】直近の確定申告書の写し
  • □ 【認定済みの場合】つばめ子育て応援企業認定証の写し
  • □ 【未認定の場合】確約書兼同意書(様式第2号)
  • □ 燕市税の納税証明書 または 納税状況確認に係る同意書
  • □ 【賃貸物件の場合】賃貸借契約書の写し及び所有者からの承諾書

⑥ 採択のための重要ポイント

本補助金は先着順の要素が強いため、要件を満たし、不備のない書類をいかに早く提出するかが鍵となります。ここでは、採択の可能性を高めるためのポイントを解説します。

ポイント1:事前準備を徹底する

申請受付開始(4月1日)と同時に提出できるよう、事前に準備を進めましょう。特に「燕市SDGs実践事業者」や「つばめ子育て応援企業」への登録・認定には時間がかかる場合があります。まだの方は、今すぐ手続きを開始することをおすすめします。

ポイント2:書類の正確性を期す

申請書類に不備があると、修正に時間がかかり、その間に予算が上限に達してしまうリスクがあります。見積書の内訳、施工面積の記載、各種証明書の有効期限など、提出前に何度も確認しましょう。市の担当窓口に事前相談することも有効です。

ポイント3:補助上限額アップを狙う

「つばめ子育て応援企業」の認定、特に「プラス」認定を受けることで、補助上限額が最大40万円もアップします。これは非常に大きなメリットです。認定要件を確認し、積極的に取得を目指しましょう。企業のイメージアップや人材採用にも繋がります。

よくある不採択・減額理由

  • 交付決定前の契約・発注:これが最も多い失格理由です。必ず交付決定通知書が手元に届いてから行動してください。
  • 対象外経費の計上:見積書に足場代や処分費などが含まれていると、その分は減額対象となります。
  • 申請要件の未達:常時雇用労働者の人数不足や、SDGs実践事業者への未登録など、基本的な要件を満たしていないケース。

⑦ よくある質問(FAQ)

Q1. 市外の施工業者に工事を依頼しても対象になりますか?

A1. はい、対象になります。施工業者の所在地に要件はありません。

Q2. 交付決定前に業者と仮契約を結んでしまいました。対象外になりますか?

A2. はい、残念ながら対象外となります。交付決定日以降の日付で契約・発注されたもののみが対象です。

Q3. 「つばめ子育て応援企業」にまだ認定されていませんが、申請できますか?

A3. はい、申請可能です。申請時に「確約書兼同意書」を提出し、事業完了後の実績報告時までに認定を受ければ問題ありません。

Q4. 複数の工場を所有していますが、それぞれで申請できますか?

A4. いいえ、この補助金は1事業者につき1回限りの交付となります。

Q5. 国の省エネ補助金と併用できますか?

A5. いいえ、同一の工事に対して、国や他の地方公共団体の補助金との併用は認められていません。

⑧ まとめと次のアクション

「燕市工場等遮熱断熱促進補助金」は、燕市の中小企業にとって、労働環境の改善とコスト削減、そして企業価値の向上を同時に実現できる絶好の機会です。最大240万円という手厚い支援は非常に魅力的ですが、申請要件が複数あり、予算上限もあるため、計画的な準備と迅速な行動が不可欠です。

今すぐやるべきこと

  1. 自社の対象要件を確認する:特に「SDGs実践事業者」「子育て応援企業」の状況を確認しましょう。
  2. 施工業者に相談し、見積もりを取得する:補助金の要件を伝えた上で、対象経費を明確にした見積書を依頼します。
  3. 燕市の担当窓口に相談する:不明点があれば、申請前に必ず商工振興課に問い合わせて解消しておきましょう。

この記事を参考に、ぜひ補助金を最大限に活用し、貴社の事業発展にお役立てください。

お問い合わせ先

  • 部署: 燕市 産業振興部 商工振興課 産業支援係
  • 住所: 〒959-0295 新潟県燕市吉田西太田1934番地
  • 電話番号: 0256-77-8231
  • 公式サイト: 燕市工場等遮熱断熱促進補助金